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甘い毒 Ⅱ

 体がもう覚えてしまった。 あの熱で腹を穿たれる甘い喜びと、溶け合って互いを貪り合う幸福を――。 公爵の硬い掌が体の外側を象る様に撫でる。 オルタナはその感触を追うようにただ、皮膚の感触に身を捩った。「ふぁっ……あっ……」「今日はいつになく敏感だな?」 触れるか触れないか、まるで羽でなぞる様な触り方をしておいて良くもそんな事が言えたものだと、オルタナはチラリと睨む。 でも睨んでも抗う事も出来ず、ただもどかしさに耐えかねて悪戯になぞる公爵の右手を掴んだ。「もぅっ……ちゃんと、して」「そんな顔で睨んでも可愛いだけだぞ、オーリィ」「意地悪しないで」 オルタナは掴んだ公爵の右手の甲に口付けて人差し指を口に含んだ。「煽るじゃないか」 長くて節のある公爵の指を、飴でも舐るように濡らす。  その様を上から見下ろしている公爵は、満足そうに口角を上げた。 覆いかぶさって来た公爵はキスを落として、左手で夜着を剥ぎ取る。  そして双果の陰で開かれるのを待ち侘びている蕾を、濡れた人差し指で確かめた。 疼いているのが自分でも分かる。 待ち侘びて綻んでいる秘所を知られて、羞恥にオルタナは顔を背けた。 ゆっくりと侵入してくる指に、短く喘ぐ。 息が詰まりそうな圧迫感と、擦れる快感が腰に響いて仰け反った。「あっ、んんっ……」 口付けられながら秘所を弄られると、より一層息苦しさに思考を奪われる。 ゆるゆると中を確め、何かを探すその指の動きに焦れ、腰が浮く。 ゆっくり、ゆっくり。  小さな火種を消えない様に育てるように、公爵の指は肉壺の内壁を撫で回し、腹側のシコリを態と避けている。 いつもなら見つけたとばかりにそこを攻めて来るのに――。
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ルルディ区

 オルタナは失念していた。 情事の後に馬に乗れるはずがない事を。 腰も秘所も最中は快楽しか追えないのに、終わると地味に痛いのでこんな状態で馬で遠乗りなんて無理だった。 今日はいつもより激しくなかったけれど、ゆるゆるとじっくりといつもより時間をかけて溶かされた事で、気付いた時にはもう日は高く登り切っていた。「大丈夫か? オーリィ」「……だいじょばない」「馬は……ムリか」「……ムリ」 起きてから一歩も寝台から出ずに閨事に耽っていただけに、くったりとした倦怠感の上、お腹が空いて怠い。 俯せになったオルタナの上から、重なる様にして覗き込んでいる公爵は平然とした顔をしている。「身を清めている間にオブライアンに昼餐を準備させよう。歩いて行ける所に良い所がある」「良い所……?」 公爵と湯浴みを終えたその後、昼餐をバスケットに入れて貰い、公爵と歩いて出掛けた。 屋敷を出て市街地とは反対側へと歩を進める。 二人並んで外を歩くなんてほぼ初めてかも知れない。 初めの頃、七日七晩かけて王都へと来た時は殆どが騎馬での移動で、街に滞在する時間も僅かだった。「オーリィ、手を。この先は足元が悪い」「う、うん」 オルタナは公爵の差し出された大きな掌を、躊躇いがちに握った。 さっきまで全裸を曝け出し、あんな淫らな行為に乗じていたというのに、手を繋ぐと言う幼い行為が少し恥ずかしいのは何故だろうか。 長閑な農地の先にある雑木林を抜けると、小高い丘へと続いている。「わぁ……凄い! お屋敷の近くにこんな場所があったんだね」 小高い場
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ルルディ区 Ⅱ

 遠くに見える王城とその少し左手にはもっと高台にある大聖堂も見えている。 見ているだけなら美しいそれを二人で眺めながら公爵は続きを話し出した。 自分とサリバン家の双子とノエル、そしてミレーのすぐ上の兄。 いつも五人で遊んでおり、それに二つ下のミレーはいつもくっついて来ていたらしい。 想像するにその五人と一人のα集団に出くわしたら、オーラがとんでもない上に、顔面強過ぎて近寄れない気がする、とオルタナは苦笑する。 ミレーの兄弟は見た事がないが、公爵曰くよく似ているらしい。 オルタナは中性的な顔をしたミレーを想像して、モテないわけがないと一人納得した。「皆が揃ったら凄い圧だろうね……」「そうか? まぁ、腐れ縁と言うヤツだな。友達と義兄弟になるとは思ってなかったが、あいつらが兄様等と呼ぶのは半分揶揄っているんだ」「あぁ……ナタリス様とエルダー様なら分かるかも」 オルタナは強烈なナタリスとあの無感情なエルダーが並んでいるのを想像して、一人の時にあの二人とは対峙したくないと思う。「オーリィは仲が良かったのはスーランだけか?」「うん。基本は婆ちゃんと一緒に森に入るか、家で香辛料作ってるか、寝込んでるかだったから……」「寝込んでる……?」「婆ちゃんスパルタだったから、薬草入りの食事で良く吐いたりお腹壊したりしてた。お陰で今は何食べても平気だけど」 薬と言うのは毒を持って毒を制すものも多く、幼くか細い体にはその刺激的な食事が苦痛だった事は否めない。 だけど何が入っているのかちゃんと分かって正解した時、褒めて貰えるのが嬉しかった。 ようやく明日会える。 ネロ区の大聖堂に行けば、婆ちゃんに会える。「明日は気を付けて行くんだぞ」
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交渉

 翌朝、オブライアンが御者となって王城へと向かい王妃の馬車に同乗する形でネロ区へと向かう。 何故か王妃の馬車の横にはエルダーが姿勢よく立っている。「エ、エルダー様……?」「おはようございます、オルタナ様。私に敬称は必要ありません。本日、団長より道中の警護を申し使って参りました」「そ、そうですか……宜しくお願いします」「ご同行出来るのはネロ区の手前のオミクレーの街までですが」 そう言われてオルタナはミレーじゃないのか、と少し残念に思う。 昨日の公爵の様子を思い出して、また少し不安が過った。「エルダーが外に出るなんて珍しいわね」「王妃様、特警はいつでも人手不足。王陛下に人員補填のお口添えを」「相変わらずね……エルダーは」 王妃は呆れた様にそう言ったが、その言葉にも顔色一つ変えないエルダーは、紳士然として馬車の扉を開け中へと促す。 王妃専用の大きな馬車は公爵邸の物よりも豪奢で、中の装飾も刺繍の凝ったクッションやカーテンには金糸のタッセルが付いていたりと賑やかだ。 全員が乗り込んだ後、オブライアンに見送られながら馬車は動き出した。 後から追っかけて来るであろう潜入班は、別行動するらしい。 ネロ区までは王城から馬車で半日ほどだと聞いているが、教会からの護衛がネロ区の手前にあるオミクレーの街まで迎えに来ると言う。 徹底して教会関係者以外をネロ区に入れない様にしているらしい。「そう言えばエルダー、ファージ侯爵家はまだ泳がせているの?」「お答えしかねます、王妃様」「ルアドの証言が取れたのは私達のお陰ではなくて? ねぇ、オルティ」「えっ⁉ あ、うん?」 王陛下が爵位剥奪の上、国外追放にすると仰っていたけれど、まだその沙汰は下されていないらしい。「その事については感謝しておりますが……」「感謝
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犬と豚

「言っておきますが、聞かなければ良かったなんて後から仰らないで下さいよ」 そう前置きしたエルダーは、ファージ侯爵家については“あえて”放置してあるのだと言った。「密輸だけではなく、今回の夜会の禁止薬使用についての証拠も挙がっております。ですが、ファージ侯爵はそれをケルメスに知られる事を恐れている」「ケルメスの制裁を恐れて公に騒ぐことも逃げる事も出来ずにいると言う事?」「はい、王妃様。動きがない所を見れば、団長の読みは大当たりかと」「ヴィー様の読みって?」「オルタナ様、団長はあの駄犬を爪の先まで使い古すおつもりの様です。ファージ侯爵家に沙汰を下せば駄犬も処罰の対象になりますから、駄犬を使うには泳がせるしかない。ファージ侯爵家は後ろ盾がありませんから、あの豚親子は家で大人しく震えている事でしょう」 犬とか豚とか……。 この兄弟は嫌いな人間が獣に見える病気でも患っているのだろうか。「そう言えば気になっていた事があるんだよね……」「なぁに? オルティ」「ファージ侯爵家はどうやって禁止薬を手に入れたんだろう? 誘発剤ならともかく規制の厳しいドーン王国で誘引薬はそんなに簡単に手に入るとは思えない。やっぱり教会が用意したのかな……?」 誘発剤と誘引薬には大きな違いがある。 それは誘発剤は自分が発情するように促す薬であるのに対し、誘引薬とは相手を発情させる薬である事だ。 だから禁止された。 本人の意志に関係なく発情させられ事件が起こった際に、どちらに罪があるのかを明確にするのが難しいからだ。「良い所にお気づきになりますね、オルタナ様」「何か知っているの? エルダー」「あれはこちらで用意して使わせるように仕向けたのですよ」「はっ?」「丁度、ファージ侯爵家に出入りしている商会がいましたから、夜会の前に薬の事を豚の耳に入れておいたのです」
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不手際

「ラティ、大丈夫?」「え、えぇ……」「お二人共、身を低くしてここでお待ち下さい」「どうするの? エルダー」「オルタナ様は王妃様をお願いします。私は御者の様子を見て来ます」「ちょ、待って!」 オルタナは馬車の扉を開こうとするエルダーのジャケットの裾を引いた。 激しく揺れる馬車の中で現状を把握するのは難しかったが、意外と冷静だったのはクスニューでの経験があったからかもしれない。「何です?」「窓の外見て! このままいけば下り坂で馬車ごと転倒しちゃう」「チッ……ではどうすれば? 言い争っている暇は……」「飛び降りよう。全員で」「は?」「御者の人にもそう伝えて、全員で飛び降りるんだよ」「しかしっ……」「ここで一人でも死ねば、大聖堂へ行けなくなる。馬車を失っても、生きていればどうにか出来るよ。これは僕らを引き返させる為の罠だ」 夜会で王陛下は、王妃に何かあれば責を問われるのはケルメスだと宣言なされた。 だけど、ここはオミクレーよりも手前で、教会の護衛の管轄外。 今この場で何か起きたとして、責を問われるのは御者とエルダーだ。 あの爺はここで王妃か自分が死ねばラッキーくらいに思っている事だろう。「僕はラティを抱えて飛び降りる。エルダーは御者の人を」「承知しました。オルタナ様、貴方も死なないで下さいよ!」「死なないよ。その為に飛び降りるんだから」 バンッ! と勢いよく馬車の扉を開けたエルダーは高速で走る馬車の車体に沿ってしがみつく様にして御者台へと乗り移る。 オルタナは着ていたローブで王妃を包む様にして、問いかけた。「怖い? ラティ&
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白い粉

「つっ……」「沁みますか? 少し我慢して下さい」「すみません、ありがとうございます……」「転倒した馬車の様子を見に行きたいのですが、一緒に来て貰えますか?」「えぇ、私で良ければ……」 エルダーに王妃を任せて、クラノスを伴い馬車へと急ぐ。 転倒した馬車はカラカラと車輪が空回り、息絶え絶えになった馬が二頭、藻掻く様に足を震わせ重なり合って倒れていた。「急に馬が暴走したんですね?」「えぇ……手綱を引いても全く落ち着かず……」 オルタナはその馬車の周りを一周し、まだバタバタと足を震わせている馬に気を付けて、その様子をじっくりと観察した。 栗毛の立派な馬の脚には、白い粉末が付いている。「獣の匂い……」「まぁ、馬ですから……」「いや、馬じゃない。違う獣の匂いがする……」 そう言ったオルタナに、クラノスは少し驚いた様に「え?」と聞き返した。「馬と言うのは肉食獣の匂いに敏感で、そういう匂いを察知すると走って逃げようとするんです」「へ、へぇ……それは、知りませんでした……」「ははっ、御者なのに?」「……いやまぁ、知らないわけじゃないですが。ここに獣は出ませんよ」「ラカン軍には野戦築城の際に狼や熊の血を使って獣を狩る術があります」「な、何のお話を……?」「クラノス、馬の脚に付いている粉末を調べればこれが何かはすぐ分かります。この粉末を走行中に馬の行く先へと投げたのは、貴方ですね?
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王妃の友人

 クラノスは困惑した顔をして、冷や汗を滝のように流している。「クラノス、どちらにせよ王族殺しは極刑です。貴方は嵌められた。こちらに協力すれば、情状酌量が見込めるかもしれません」「た、助けて貰えるのですか……?」「許すのは僕ではありませんが……何故、こんな事を? 王族殺しに加担すれば、極刑に値する事は子供でも分かる事です」 そう言ったオルタナの向かいに立つクラノスは、オルタナの視線ではなく肩越しに遠くへと視線を投げた。 オルタナはその視線の先を追いかけて、大聖堂より少し手前の辺りから濛々と立ち上る煙に目を見張った。「今日も誰かがあの煙になって天に昇っている……俺の息子もいつか……」「息子さんがどうかしたんですか?」「この仕事をやれば、薬が貰えるはずでした。息子は助かる……」 クラノスはそう言って、これまでの経緯を話してくれた。 あの教会の妙な病に掛かっている息子が、もう手に負えない状態になっており、心痛の余り妻も臥せってしまった、と。 困り果てていた所に、大司教からこの話を持ち掛けられたらしい。「不完全で弱い体を持った息子を助けてやりたければ、対価を払う必要があると言われました……」「息子さんは今どちらに?」「家でぼーっとしてるか、家の周りをグルグルと徘徊してまるで獣みたいに……庶民にしちゃ賢くてよく働く子で……自慢の息子だったのに……」 そう言ったクラノスは膝から崩れ落ちる様にして地べたに座り込んだ。「絶対に治るとは言えませんが、貴方の目の前にいるのは魔女ドーラの孫ですし、つい先日サリバン公爵の番になりました。後ろに控えてらっしゃる王妃様は薬学博士号を持った天才で、王に次ぐ権力をお持ちです。貴方を剣で脅している彼は特務警護団の一員で、彼もサリバン公爵の義弟です」「……へ?」「つまり、どちらに付く方が有利か、分かりますよね?」「ゆ、許して貰えるのですか?」「どうでしょう……ラチア様、いかがですか?」「良いわよ。オルティが良いなら」「良かったですね、クラノス。お許しが出ました」 そう言ったオルタナに、すかさず突っ込んだのはエルダーだった。「オルタナ様、この男を無罪放免にするおつもりですか?」「違うよ、エルダー。クラノスには僕達の味方になって貰うんだよ」「信用できません」「信用なんてしないよ」 そう言ったオルタナは
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狼煙

「何か妙案がおありですか? オルタナ様」「うん、いやまぁ……多分」「多分?」「いや大丈夫だと思うけど……後で怒られたらごめんね、エルダー」「怒られるとは? 誰にです?」「え、分かんない。街の人とか?」 そう言ったオルタナの言葉に、エルダーは流石に眉を顰め首を傾げる。 クラノスには王妃の手紙を持って麓の街まで走って貰う事にした。「オミクレーの関所には駐在している護衛兵がいるはずです。彼らは国軍在籍のはずですから、彼らにこの手紙を渡して下さい」「はい、ラチア王妃。必ず!」「貴方の境遇はとても辛い物だったと思います。貴方が追い詰められてしまったのは今の国政にも問題があると、私も真摯に受け止めます。ですが、クラノス。罪を犯そうとした自分を恥じるなら、私に貴方の誠意を見せてちょうだい」「寛大なお言葉に、感謝致します。王妃陛下」 片膝をついて礼を尽くしたクラノスは、意を決したように身を翻し走り出した。 多分きっと、クラノスが裏切る事はないだろう。 それでも、王妃の護衛をクラノスに任せる程信頼出来るわけでもない。 四人の中で一番足が速そうなエルダーに行って貰うのが最善策だったかもしれないけれど――。「それでオルティ、私達はどうするの?」「こっちが動けないなら、迎えに来て貰えばいい」「どういう意味です? オルタナ様」「エルダー、あの林道に生えている木はね、竈の木と言ってよく燃えるんだ」「はぁ……それが?」「あぁ! なるほど、そう言う事ね? オルティ」「ラティも手伝ってくれる?」「勿論よ! 行くわよ、エルダー」「……」 まだよく理解でき
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公爵の弱点

 馬から降りる前に、オルタナはその顔を見て呆気にとられた。「公爵様の命により、こちらに来られるのをお待ちしておりました」「え? ちょ、うそっ……スーラン⁉」 関所の護衛兵の制服を着て軍帽を目深に被っていた若い男は、スーランだった。 あの、スーランがまるで貴族の様な喋り方で、紳士の様に片手を差し出し馬から降ろしてくれようとしている。「降りて下さい、オルタナ様。時間がありません」 エルダーにそう言われて、呆然としたまま馬から降りる。 スーランはそれを片手を取って支えてくれた。「公爵様が、オミクレーより手前で有事があるといけないと」「それでスーランが関所の護衛兵になって待っててくれたの?」「なるほど。お前がオブライアンに預けられたと言う男ですね。ヴィー兄様はこうなる事も予測済みだったか」「エルダー様、初めまして。スーランと申します。サリバン公爵は夜会で番の発表をした後なので大事はないかも知れないが、事故を装うならオミクレーに入る直前だろうと仰っていました」「他人に見られるリスクが少なく、あの下り坂を利用すれば殺せる……か」「はい。予定時刻に関所を通らない様な事があれば、すぐに駆け付けられるように手配して下さいました」 オルタナは別人のようなスーランをポカンと口を開けてマジマジと見た。「あぁ! 人間にするって言われてた方の……」 急に思い出した様に王妃がそう言って、手を合わせた。「え? 何それ、ラティ……」「何かヴィンスが人間辞めさせる方と、人間にする方の悪ガキがいるって言ってたのよ。貴方が“人間にされた方”ね」
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