離婚してからは彼への気持ちは消し去ったはずなのに、どうして私は彼に信じてもらえないことが、こんなにショックなのだろう。彼が信じてくれなくて辛かったから別れの道を選んだはずで、とうにその期待は捨てたはずなのに……。病院で偶然知ってしまった彼の内に秘めた想いが、そんな私の決意を鈍らせる。彼に期待なんてしちゃいけない。信じたら裏切られる。そんなことわかっているはずなのに──。そんな気持ちを抱えながらも、私はそのあと気持ちを切り替え撮影に挑む。撮影現場は、可愛らしい女の子と親子の撮影だった。撮影を始めようとすると、その女の子は初めての撮影らしくモジモジして、お母さんの後ろに隠れている。「すいません。この子大勢の人いるの見たら恥ずかしくなっちゃったみたいで」お母さんが申し訳なさそうに謝る。「いえ。確かにこんなにたくさんの人ビックリしちゃいますよね」お母さんに答えたあと、私はその女の子の前でしゃがみ込む。「こんにちは。お名前なんていうの?」そして、その女の子の目線に合わせて話しかける。「えっと……桜……」その女の子は恥ずかしそうに答える。「桜ちゃんか~。可愛いお名前だね。たくさんの人の前は恥ずかしいかな……?」コクリとその女の子は小さく頷く。「実はお姉ちゃんも、たくさんの人がいると恥ずかしくなっちゃうんだ」「お姉ちゃんも……?」「うん。桜ちゃんそのお洋服とっても似合ってて可愛いから、一緒にお姉ちゃんとお写真撮ってもらわない?」「一緒に……?」「そう。お姉ちゃんも素敵なお洋服着せてもらったから、桜ちゃんと一緒にお写真撮ってほしいなぁって。もし桜ちゃんが一緒にいてくれたら勇気が出て恥ずかしくなくなると思うんだ。もしよかったら、お姉ちゃん頑張れるように桜ちゃん一緒にいてくれないかな~?」私の言葉にその女の子は、ちょっと表情が明るくなる。「──いいよ」
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