All Chapters of 社長、離婚した奥様が世界的トップモデルになっています!: Chapter 131 - Chapter 140

173 Chapters

第131話 偽られた特別

 一弥さんが綾乃のために……?その言葉を聞いて、私の表情が一瞬歪む。「この企画は私を売り出すための企画のようなものよ。だけど、ほら。私一人より、私より格下のモデルと一緒に企画した方が、私の魅力さらに引き立つじゃない? いわば、あんたは、私の引き立て役ってことね。アハハッ」そう……だったんだ……。そっか。私にそんな大きなオファーが直接来るなんておかしいと思った。だから今日一弥さんも同席しなかったってこと……?私がビジネスパートナーなのに、まだ綾乃にはそんなふうに特別扱いしてるんだ……。「この前も見てたでしょ?」「この前?」「あのすごいケータリングも、私のために用意してくれたんだから」え……、綾乃のために……?一弥さんは確かに私のためって……。「あんたは自分のためだと思ってるかもしれないけど、彼は私を守ってくれたんだから」「守る……?」「あぁ! もうあのサンドイッチ、あんたに食わせとけばよかった!」綾乃が何かを思い出して悔しがる。「サンドイッチ……?」「あんたの嫌いなもの入ってたんなら、あんたの分用意しなかったのが逆効果じゃない!」私の嫌いなもの……?  なんのことだろう……。「あんたにだからこの際、暴露するけど、一弥お兄ちゃんが、あのサンドイッチ評判悪かったらしいこと、あのとき教えてくれたのよね。だけど、それをカバーするために、あんなすごいもの用意してくれたのよ! すごすぎない! フフッ。私って大切にされてるわよね~」それをカバーするために、あれを……。「それに、そのあと、わざわざ一弥お兄ちゃん私を呼んで、『お前は特別だ』『どんなときも気にかけてるのはお前だ』って。一弥お兄ちゃん、私を抱き締めながら、そう伝えてくれたわ」抱き締めながら……?  特別……。あのとき、私を気にかけてくれていた一弥さんの姿が重なる。私のためだと言ってくれていた彼の言葉が、すべて信じら
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第132話 救世主

「あの……。なんでしょう……」 私は恐る恐るその女性に声をかける。 すると──。 ばぁっと顔が華やぎ、さっきとは打って変わった明るい表情に切り替わる。 え……? 私はあまりのその変貌に唖然としていると──。 「やだー! やっぱりそうだー! やっと会えた―!」 と、私の手を急に両手で握って、ぶんぶんと嬉しそうに上下に振りながら、よくわからないことを言い出す。 「あの……」 「私、あなたのファンなの!」 「え?」 「私あなたの海外での撮影の自己プロデュースのやつ、感動しちゃって!」 「海外の撮影って」 あの写真は、まだ世間には出てなかったはず。 それをどうしてこの人が? 「私あのとき、ヘアメイクのアシスタントとして同行してたの」 「えっ? そうなんですか?」 「そうなの! あなた、あのとき周りの嫌がらせに負けず堂々と立ち向かってたでしょ!」 「あ、あぁ~。っていうか、それも全部見てたんですか?」 「当たり前じゃない。あそこであったこと一部始終見てたわよ」 「そうなんですね……」 「だからあなたがRURIに相当嫌われてて嫌がらせされてるってことも、もちろん知ってる」 「それも!?」 彼女は私の手を離し、平然とさらっとそんなことを言いのける。 「うん。あーいうときってさ、モデルって自分たちしか興味ないし周りのことなんて一切気にしてないからさ。ヘアメイクがどこまで見てるかなんて全然気づいてないんだよね~」 「確かに、そうかもしれないです。ごめんなさい。私もあなたのこと全然気づいてなくて……」 「あ~全然平気! うちらなんてそういうもんだからさ。特に私なんてアシスタントだから、全然目立ってなかったし」 「そういうもんなんですね……」 「あのとき、嫌がらせに賛同してド派手にメイクしてたの、あれ私の先輩」 「そうなんですか!?」 「ひどいよね~。なんであんなの一緒になってやっちゃえるんだろ。あんなのRURIのただの嫉妬じゃんねぇ」 「嫉妬……」 「え~そうだよ~。もうあからさまだったじゃーん。てか、先輩に、あなたにそういうメイクしてくれって、あの人直接頼んでたし」 「そうだったんだ……」 「ごめんね~あのとき私かばえなくて!」 すると、なぜか、
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第133話 私を輝かせてくれる人

「え! 専属ヘアメイク!?」「そう! あの海外の撮影のときのあなたを見たとき、私のヘアメイクとしての才能やインスピレーションがブワーッて溢れてきたの! 」いきなり告げられたその言葉に、私が驚いていると、彼女はさらに興奮して嬉しそうに伝えてくる。「私を見て、ですか」「そうよ! ド派手に塗りたくられたメイク顔も、それを落とした素顔のあなたも、私にとってはすごく魅力的だった」「え、あれがですか」「うん。あなたは、とても大きな可能性を秘めてる。だけど私なら、もっとあなたの最高の魅力を引き出せるわ!」「最高の魅力……ですか……」彼女は、目をキラキラさせて私をじっと見つめながら笑顔を向ける。「私もね、あのときのあなたを見てカッコいいって思ったの」「まさか──。あのときそんなふうに感じる部分なんてどこにも。逆にカッコ悪いところばっかりだったように思いますけど……」「そうかしら。私が見た限りでは、あなたはピンチをチャンスに変えて、あなたしか出来ないやり方でしっかり闘っていたように見えたけど」「そんなふうに見えてたんですね…」「だけど──。あなた、本当は自分に自信なかったりしない?」「え。そう、です──」「それ。顔に出てる」「え! 嘘!?」彼女の言葉に私は動揺して、思わず両手で顔を隠す。「あぁ~大丈夫。それ普通の人にはわからないレベルだから」さらっと彼女が告げる。「そう……なんですか?」「だけど、私ならあなたに自信も満足感も与えてあげられる」そうハッキリと自信満々に伝える彼女のその言葉に、私はなぜだか違和感も不信感も感じなかった。それどころか、妙に説得力があって、納得してしまうような──。それは彼女のこの元気な明るさからなのか、この勢いなのか。それともこの人の親近感を感じる人柄からなのか、どれが理由かもわからないけど。でもなんだか彼女なら、本当に私をもっと輝かせてくれる
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第134話 差しのべられた救いの手

 「今日の撮影? 今日何かあるの?」「実は、今日雑誌の撮影があって、その五人の中のモデルに選ばれてるんですけど、あの海外撮影のときみたいに、自己プロデュースっていうのがテーマなんです」「うん。それで?」「メイクとスタイリングで自分の魅力を最大限に引き出すっていう企画で。本当なら雑誌側でお願いしてもらってたヘアメイクさんがいたはずなんですけど、私の担当さんだけ急にキャンセルされちゃって。それで、自分でヘアメイクさん見つけろって言われて、ずっと探してたんです」「なるほどね~。流れは大体わかった」「あの、すごくいきなりで申し訳ないんですけど、引き受けてもらえないでしょうか!? もう時間なくて、でもせっかくいただいたこのお仕事ムダにしたくなくて! どうかお願いします!」私は必死に気持ちを伝えて頭を下げ、お願いする。「わー! そんなのしなくていいよ! 頭上げて上げて!」顔を上げると、そんな私を笑顔で見ている彼女。「いきなりとか最高なんだけど! もちろん私にそれやらせて!」彼女は興奮しながら嬉しそうに無理なお願いを快諾してくれる。「え! 本当ですか!?」嘘! やった!  本当にやってもらえる!「ちょうど今別の仕事が終わったとこなの。何時でも付き合えるよ!」「ありがとうございます!」私はまた深々と頭を下げ嬉しさと共にお礼を伝える。「じゃあ、私の自己紹介させてもらっていいかな」「あっ、そっか。まだあなたのお名前聞けてなかったですね」「そだよ~。私はあなたを知ってるけどね~」「ですね」「改めまして。私、ヘアメイクの夏希。よろしく!」彼女が、私の前に片手を勢いよく差し出す。「杏華です。よろしくお願いします」その手を握り、握手しながら、自分も彼女に名乗る。この握った手から、なんだかもうすごいパワーをもらえるような、そんな感覚。「時間はあとどれくらいある?
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第135話 生まれ変わった新しい私

 「今までにない新しいカッコいい”杏華”が誕生するの、期待してて」夏希さんはそう言って私に微笑む。ずっと願っていた自分になれるかもしれないと、その言葉に私は期待を高める。「最後、生まれ変わるまで、鏡は見ないようにしてね。さっ。始めるよ」ガウンに着替えた私にそう声をかけた夏希さんは、そう言った瞬間、急に顔つきや雰囲気が変わり、プロの表情になる。しっかり私の顔をチェックし、プロの強い眼差しで、メイクをどんどん進めて行く。夏希さんは、今まで担当してもらったどのヘアメイクさんよりも手際がよくて、それでいて肌に触れる手の感覚や温度、どれもがなんだか心地よかった。そしてそれだけでなく、メイク中に話しかけてくれる彼女が作り出す雰囲気、空気感、すべてにおいて緊張がほぐれてリラックス出来た。すべてを預けられるような安心出来る不思議な感覚を、彼女には最初からずっと感じ続けていた。「よし。ヘアと大体メイクは出来たから、衣装これで着てみて」私は、衣装を前にし、少し感慨深くなる。ずっと手に出来なかった服。だけど、ずっと着てみたかった服。今までなら、きっと手にすることもなかったけれど、今は自らそれに手を伸ばす。ようやく着るその服に、やっぱり少し緊張していた。だけど、それは今まで逃げるように避けていた緊張ではなく、新しい扉を開くような、新しい自分に出会える一歩を踏み出すような、そんなワクワクする緊張。今の自分なら、このずっと憧れていた服を着て、強いカッコいい自分になれるのだと、そう信じて願いながら──。その衣装を着ると、自然と背筋が伸び、もう違う自分にその瞬間からなれているような、そんな気になれた。私は姿勢を正し、夏希さんの元へと戻った。そして衣装を着た私を見て、夏希さんは一瞬驚いた表情になったあと、明るい表情になった。「うん。最高にカッコいい。あなたのこのカッコよさは、唯一無二よ」夏希さんのその言葉に、私も自然に笑顔になる。
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第136話 唯一無二の自分へ

 「さっ。カッコよく生まれ変わった”杏華”で、思いっきり羽ばたいてきて」夏希さんの力強い言葉に、私は何かが降りてきたようなスイッチが入る。「あの。このまま生まれ変わった私を、最後まで見届けてくれませんか」「え」「夏希さんに撮影見ててほしいです」夏希さんが、それを見守ってくれていれば、強くなった私のままで、きっと頑張れる。「もちろん」夏希さんは笑顔で頷いてくれる。それから私の出番の時間になり撮影スタジオに入っていく。「え、あれ杏華さん……?」「うわ、全然雰囲気違う」「脚、長~。さすがモデル」「カッコいい~」スタジオに入ってきた私を見た周りの人たちが、いつもと違う私を見て声を上げる。私はその声を聞いて、嬉しくなって夏希さんと視線を合わし笑い合う。「よろしくお願いします」挨拶をして撮影が始まった。カメラの前に立った瞬間、また新しい私が生まれる。それはその撮影の雰囲気だとか、そういなきゃいけないと意識したわけじゃなく、私が自分自身なりたい姿を思い浮かべる。そうすると自然に、なりたかった私として、カメラの前で自由にポーズを取っている自分がいた。それはどう見られたい、どう魅せたいとか、そういう感情よりも、私にとって意味ある大切なこと。『自己プロデュース』というテーマのこの撮影で、どんな自分になりたいか、どんな自分なら自分が自信を持って胸を張れる自分でいられるか。強く堂々と胸を張って、今の自分が好きだと言える自分。今の私は、そんな自分になれていた。それはこの撮影に参加している五人の中で争うわけじゃない。”五人の中で私という存在は、どんなモデルであるのか”私はそれを大事にしたい。私だから出来る撮影。私というモデルだからこそ必要とされる。そんな”私”という存在が、唯一無二の存在になることが出来れば
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第137話 困難の先の喜び

すると、そこに現れたのは一弥さん……ではなく、綾乃だった。その姿を見た途端、私の感情は一気に落ちる。一弥さんじゃなかったという、これほどにない落胆だけではなく、綾乃がまたこれでもかというほど、意気揚々とスタジオに入ってきたことでわかる私への嫌がらせが始まる合図を感じたからだ。「あれ? RURIさんスタンバイまだあと30分早いですよ? 時間になったら、こちらから呼びに行こうと思ってたんですけど」「あれ? そうでした?  やだ~私勘違いしちゃったのかも~。でもせっかくなら前の撮影の杏華さん、どんなのか見させてもらおうかな♪」綾乃とスタッフさんのそのわざとらしい会話で、すぐにわかった。やっぱり私を偵察に来たのだと。撮影する順番は事前にモデルにも連絡してあった。綾乃はラストの撮影。私はその前の撮影だということは、もちろん綾乃も知っていたことだ。きっと綾乃は、撮影に失敗している私をあざ笑おうとやってきたか、私が穴を開けて自分が多めに撮影時間をもらえばいい、くらいに考えていたのだろう。そしてまた猫なで声でスタッフさんに話しかける綾乃。「どうですか? 杏華さん。ヘアメイクさんいなかったから、大変なんじゃないですか? もし杏華さんが辞退されるようでしたら、私多めに撮影しても──」「あっ、ちょうど今杏華さん撮影終わったんですよ~。杏華さんものすごく良かったですよ!」「え──」スタッフさんの言葉に綾乃の表情が変わる。「いや~あれは綾乃さんとはまた全然違って、すっごいかっこよくてシビれました!」スタッフさんが何気なく話すその言葉が聞こえて、私は素直に嬉しくなる。だけど、綾乃はその言葉を聞いて、私がいる方へと勢いよく振り向く。「は……?」私を見て明らか困惑している綾乃。まさか私がそんな状況になっていると思っていなかったのか、私を見てどんどん表情が崩れてくる。私はあえて、そんな綾乃に一人近づいて行った。「RURIさん。お疲れ様です」「お、お疲れ様……。へ、ヘアメイク、見つかったのね……」「はい。無事に素敵なヘアメイクさん見つかりました」私は綾乃に向かって、にっこりと笑いかける。綾乃は、なんとか興奮せずに言葉を返してるものの、その言葉の裏では、ずいぶん悔しがっているに違いない。目は笑っておらず、悔しさで歯を食いしばっているのがわかる。
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第138話 奇跡を起こせる力

 「杏華さん。お疲れ様」すると、そこにまた声をかけられ、その方向に振り向く。「あっ、編集長。お疲れ様です」その人は、この企画をしてくれた編集長だった。「すごかったわ。驚いた。あなたの撮影」「え。見ててくださったんですか」「えぇ。前の仕事が押してたんだけど、ちょうどあなたの撮影から間に合ったの。よかったわ、間に合って。まさかこんなスタイルで挑戦するとは」「ヘアメイクさんのおかげです」「ヘアメイク?  あぁ、そういえば急遽自分で見つけてくれたのよね」「はい」「やっぱり、あなたに自分で探させて正解だったわね」「正解?」「この企画は自己プロデュースでしょ。ヘアメイクとの相性って実はすごく大切なの。自分の意見、ヘアメイクの才能、それをすべて形にさせられる力って、無限で大きな可能性が生まれるの。ヘアメイクの力だけで、モデルの知らない魅力を何倍も引き出すことが出来る。どうせなら、あなたにはこのピンチをチャンスに変えてほしかった。それがこの自己プロデュースの企画の一部でもあるの」「そうだったんですね……」「今の自分がどんな状況で、どんなスタイリングやプロデュースにするか。一番大事なのは、ただ綺麗に仕上げるということじゃない。そこまでの過程やどれだけ自分が変われたか、そこがこの企画にとって本当に伝えたいことよ」「じゃあ、私のこのプロデュースは間違ってなかったんですね」「間違ってるどころか大正解よ! いえ、それ以上の期待と想像を超えてきて、もう本当にビックリしちゃった!」編集長は興奮しながら伝えてくれる。嬉しい。自分のしたことすべては、ちゃんと意味あることだったんだ。ちゃんとそれはこうやって伝わっていたんだ。だけど、それは全部夏希さんのおかげだ。私は後ろの方で見守ってくれる夏希さんを見て笑いかける。すると、そんな私を見て夏希さんは、親指をグッと立て、笑顔で私に返してくれる。「だけど、よくあんな
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第139話 手放したくない縁

「編集長。ごぶさたしてます」すると夏希さんが編集長に、挨拶をする。「え? 夏希さん。編集長と知り合いなの?」「うん。前からお世話になってる」夏希さんは平然と笑顔で答える。「あ~! そうなのね。確かに夏希なら、あなたのその魅力ここまで引き出せるわ!」編集長は、大声で一人納得する。「編集長。この人、何者なの──?」ずっと話を聞いていた綾乃が、編集長に尋ねる。「あら、RURIさん。あなたもいたのね。あぁ、あなたもまだ知らないかもね。夏希は今までは普通のアシスタントだったから、あなたとも直接関わり持ってなかったかも」「アシスタント……?」綾乃がその言葉に反応する。「えぇ。あなたにもよくついてくれてるヘアメイクのアシスタントをしていたはずよ」「じゃあ、前から……?」「はい! アシスタント時代は、先輩について、よくRURIさんのサポートもさせてもらってました」夏希さんが、綾乃に元気よく伝える。「そ、そうなのね……。そんなアシスタントなら、今回たまたまうまくいったってことよね」綾乃が悔しまぎれに呟く。「たまたまじゃないわよ。夏希は、今じゃ”奇才の新人”として、普通のモデルもオファー出来ない、ものすごい存在よ」「は……?」「え!? 夏希さん、そんなすごい人だったんですか!?」編集長の言葉に、露骨に顔を歪ませ反応した綾乃と、まさかのすごい人だと知ったことで驚く私。「あ~いや、別にたいしたことないよ。この前コンテストで優勝しちゃって、そこからなんか勝手に周りがそう騒いでるだけなんだよね~」夏希さんが、あっけらかんとしながら呟く。「え、コンテスト優勝? すごい……」「そのコンテストの優勝も、夏希は圧倒的なと才能と実力で、ずば抜けた結果で優勝したの。本当に稀に見ないすごい才能ね」「フフッ。恐れ入ります~」夏希は、編集長の誉め言葉にも、軽く答える。「『奇才の大型新人・夏希』で、うちの雑誌でも特集したページが今度載る予定よ」「え、そんな特集まで……」綾乃がまた反応する。「だけど業界的には、夏希のすごさはもう有名だからね。大きなモデル事務所は、夏希を専属にしようと必死になってるわ」「え、夏希さん。そうなの?」「あぁ、まぁね」「え、ならぜひ私の専属になってくれない!?  私ならあなたのその才能もっとすごくしてみせるわ!」すると
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第140話 最高のパートナー

「え……」私は思わずショックで感情が漏れる。夏希さんが笑顔で握り返した瞬間、綾乃の表情もぱぁっと明るくなり嬉しそうな笑顔になる。すると──。「ごめんなさい。私、あなたに一切なんの魅力も感じないの」夏希さんは、握っていた手を、勢いよく突き放し、笑顔で辛辣な言葉を綾乃に投げつけた。「は──?」綾乃の表情が歪む。「私、あなたみたいに上辺しか見てないような人、興味もないのよね。それに、あなたみたいな薄っぺらいモデルに、なんのインスピレーションも沸いてこない」「ちょっ、何よ!」夏希さんが吐き出すその言葉に、さすがの綾乃も素の表情で反応する。「私がヘアメイクとして仕事したいって思うのは、たった一人、この『杏華』だけよ」そう言って私の両肩に手を添え、隣でにっこりと夏希さんが微笑みかける。「夏希さん……」私はその言葉が嬉しすぎて、思わず言葉に詰まる。「彼女は、初めて私が『この人のために私の力を活かしたい』と思った人なの。自分の魅力を全然わかっていなくて、だけど誰にもない唯一無二の魅力を秘めている彼女は、ただの石ころから宝石になるほどのとんでもない逸材よ」夏希さんは、力強く綾乃に伝える。「だから私は彼女がどこまでも広くて大きな世界に羽ばたいていくのを、隣でサポートしたい。私の力で、彼女を誰よりも美しく魅力的に輝かせたい」「夏希さん……」「私はこの自分の力を、杏華にすべて尽くして捧げたい。彼女が嫌だと断っても、私は杏華の専属ヘアメイクにしてもらうまで、絶対諦めないわ!」そう言って私に、とびきりの笑顔で微笑みかけてくれる。夏希さんのその想いに、私は胸がいっぱいになる。こんな素敵な人が、こんな私のために、ここまで言ってくれるなんて……。いえ、『こんな私』じゃないわよね。自分で自分の自信を失くすようなこと思ってはいけない。そう。きっと彼女となら、こうやって彼女の強い力に引っ張られながら、私もきっともっと強くなれるはず。「夏希さん!  私もあなたがいい! あなたとずっとお仕事していきたい!  あなたがいたら、私きっともっと強くなって輝いていけると思う!」私は夏希さんを見ながら、今の自分の気持ちを伝える。「嬉しい! モデル杏華を輝かせるのは私以外絶対ありえないわ! あなたを誰よりも輝かせて唯一無二の最高に素晴らしいモデルにさせてみせる!」
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