All Chapters of 社長、離婚した奥様が世界的トップモデルになっています!: Chapter 141 - Chapter 150

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第141話 強い自分に

「あれ? RURIさん戻られるんですか?」綾乃はぷりぷりと怒りながら、スタジオから出て行く。「編集長。じゃあ、新しい企画のご連絡待ってますね」「オッケー夏希。私が決めた企画だから、通ったのも同然よ。期待して待っててちょうだい」「ありがとうございます!」「杏華さんも、この企画通してもいいかしら?」「はい! もちろんです! そんな素敵な企画考えてくださってありがとうございます!」私は勢いよく頭を下げてお礼を伝える。「私ね。あなたたちには期待してるの。実は、あなたと夏希、私も二人は共鳴し合えるところがあるんじゃないかって思ってたの」「そうなんですか?」「えぇ。あなたたち、お互いよく境遇も環境も似ている気がしてね。夏希のあの自信満々な頼もしい勢いあるパワーと、あなたのその穏やかで繊細に見えて強い意志を感じられるパワーが、同じように感じるの。それが組み合わさったとき、どうなるのか実は見てみたかったのよ」「前からそんなふうに感じてくださってたんですか……?」「えぇ。だから実は、いつか二人を引き合わせてみたいなって、本当は密かに考えてたの」「え! そうなんですね!」「だけど、まさかそんなことをするまでもなく、あなたたちが巡り会ってたなんてね。それこそ、あなたたち運命的ね。これからまさに運命的な最高の相棒(バディ)になるかもしれないわ」「最高の相棒(バディ)……」編集長に言われたその言葉を、私はつぶやきながら噛み締める。そんな最高の関係になれるといいな──。私はそのあと編集長に改めて挨拶をし、楽屋へ戻るためスタジオを出る。楽屋に戻る途中で、仕事の連絡を入れるからといって、夏希さんは電話をしに行った。私は一人、とても軽やかな清々しい気持ちで楽屋へと足を進める。そのとき、前方から見慣れた姿が歩いてくる。え、一弥さん!待ち望んでいたその姿が、こんな不意打ちで現れて、私は胸の高鳴りと共に、その姿を見つけ自然に笑みが零れる。「一弥さん!」私は彼の元に気づけば駆け寄っていた。「あぁ。杏華」「お仕事終わったの?」「あぁ。もう少し早く終わる予定だったんだが。思ったより遅くなった」「そっか。私の撮影終わっちゃった……」見てほしかったその気持ちが出て、少しガッカリしながらつぶやいてしまう。「いや、撮影なら……」「ねぇ! どうかな! 私の
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第142話 それぞれの切なさ

「よく似合ってる」「え……」「杏華自身が好きだと思える自分になれたこと。それはお前にとって、ちゃんと自信になったんだろ?」「うん……」「今までのお前も、今の変わったお前も、全部がお前だってこと、ちゃんとわかってる。ちゃんと見てるから──」一弥さんが優しく呟く。その言葉に私は、自然とまた笑みが零れた。「あの一弥さん! そのヘアメイクさんなんだけどね!」夏希さんのことを話しかけようとしたとき。彼のスマホから電話の呼び出し音が鳴る。「すまない。電話だ。あっ、俺はまだこれからここで大事な用事があって、そのあとも仕事があるから、今日は送ってやれないんだ」「あっ、そうなんだ。うん。全然大丈夫! 一人で帰るね」一弥さんにそう返事をすると、一弥さんは電話をしながらスタジオの方へと向かっていく。そっちはスタジオ……、だよね?私の撮影を見に来てくれたわけじゃなく、今からスタジオの方で大事な用事だなんて……。その瞬間、すぐに綾乃が思い浮かぶ。私じゃなく、綾乃を……見に来た……?事務所的に彼が綾乃を見る必要はないのに、さっき綾乃が私に挑発した言葉を、ふと思い出してしまう。やっぱり一弥さんにとって、綾乃は特別なの……?電話をしながらスタジオの方へ遠く消えていく背中を見つめながら、私は彼に問いかける。やっぱり気にかけてるのは、私よりも綾乃なの……?彼があのときかけてくれた言葉を信じたいのに、綾乃が挑発してきた言葉が、やっぱり引っかかってしまう。彼の目に映るのは、私だけであってほしい──。私だけのことを考えていて──。また考えてもどうにもならない感情や不安が押し寄せる。私は、ずっと彼が視界から消えていくまで、ずっと彼の背中を見つめ続けていた──。♢ ♢
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第143話 抱えきれなくなる想い

 【一弥side】杏華はカメラの前で撮影に夢中になっていて、後ろの方で杏華を見つめている俺には気づいていなかった。こんなふうに夢中になっているときに感じる、孤独感が俺の中で襲ってくる。いつかきっと杏華は、こんなふうに、俺をあの目に映さなくなってしまうかもしれない。一人大きく羽ばたいて、俺なんかのことを本当に相手にしなくなるかもしれない。所詮今は俺は、ただのビジネスパートナーだ。あいつが、もっと大きく羽ばたきたいと願えば、俺はそれに素直に従うしかない。もしこれが夫婦のままだったら、俺はなんとしてでも、夫という立場で、あいつの自由を奪っていたかもしれない。誰の目にも触れさせたくない。これ以上輝いて綺麗になっていく杏華を、誰にも知られたくない。そんな自分勝手なドロドロとした願望が、きっと嫌というほど溢れだしていた。だが今は夫婦ではないということで、なんとかセーブして自分を保っているようなものだった。きっとあいつがモデルとして、どんどん綺麗になって輝いていけばいくほど、俺はそれと同時に、こんなにも醜い感情が渦巻いて溢れ出てしまう。もうこれ以上、あいつに嫌われたくない。あいつにこれ以上、嫌な想いをさせたくない。そうなんとか保っている感情も、いつ自分の中で溢れてしまうか、俺自身予測が出来なかった。今のままじゃ、また俺のこんな気持ちを、あいつにぶつけてしまう。俺は撮影が終わる前に、頭を冷やしに外へ出て行った。そのとき秘書からの電話が入り、電話に出た。『社長。先程の取引。どうなさいますか。先方は一億で手を打つとおっしゃってますが』「わかった。二億出せ。そのかわり、一切この先向こうの言い分を変えさせるな。こっちが掲示した条件を、もう一度ちゃんと納得させろ。あと、保留していたあの条件も追加しておけ。あれを入れておけば、向こうも何も言わないだろう」『わかりました。それで進めてみます』「頼んだ」秘
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第144話 愚かな過去

 【一弥side】 スタジオに戻り、俺は編集長に声をかける。「あっ、桐生社長」「編集長。お疲れ様です」「杏華さんの撮影見られましたか」「はい」「すごいわね。あの子。本当に自分で乗り越えて、すごい撮影にしてたわよ」「えぇ。本当に」やっぱり編集長の言ってたとおり、編集長も認めるほどの撮影だったってことだな。「実は、そのことでご相談が」「何かしら」「この今回の企画で人気や可能性が出たら、巻頭ページや表紙に使うと言ってましたよね」「そうね」「その件ですが、うちの杏華も平等に判断してくれませんか」「──そのつもりよ」「……そうですか。ならよかった。最初これは出来レースだとおっしゃってたので──」俺は冷静に呟く。「最初はね。そのつもりだったわ。杏華さんは、あなたがどういう人間か……、この業界に深く関わっているということ、まだ知らないんでしょ?」「えぇ。まだ本当のことは伝えてません」「そうね。あの子は本当に純粋で、ある意味どんな色にも染まるようなタイプよ。だからこそ、自ら意志を持って、自ら決めたやり方や魅せ方で、モデルをしていく必要があるわ」「はい」「だから、あなたの本当の姿を知ってしまうと、あなた色に染めてしまう恐れがある──。そうでしょ?」編集長は、見透かしたように冷静に俺に問いかける。「ハハッ。編集長は、さすが、なんでもよくおわかりですね」「何年の付き合いになると思ってるのよ。あなたが杏華さんと夫婦だった頃からの付き合いよ?」「そうですね。まさか杏華を、この業界に引き込んでしまうとは思ってもみませんでしたが──」ただ偶然、離婚してから杏華が綾乃のモデルの現場に来てたことで始まったことだった。俺はこの自分のテリトリーに、杏華がまさか関わってくるとは、夫婦だった頃は想像もしていなかった。
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第145話 まだ見ぬライバル

 【一弥side】 「だけど、今だからよかったんじゃない?」「今だから?」「えぇ。その頃その原石に気づいていても、きっとあなたはその原石を輝かせてあげられなかった」「そうですね……」「だけど、今なら、あなたもようやくその自らの力を、彼女のために役立てるんじゃないかしら」「──はい。そうしようと思ってます」編集長は、俺がどういう人間か、杏華と夫婦だったこともすべて知っている。杏華にはずっと明かさなかった、編集長と知り合いであるこの俺の本当の姿を、そろそろ明かすときが来たのかもしれない。「だから──。今回の企画も、出来レースではなく、彼女の功績をちゃんと見てやってほしい」「やだ。私そんなずるいことしないわよ。あなたじゃあるまいし」「え」「正々堂々と皆で闘わせるつもりでいたに決まってるじゃない」「そうなんですか……?」「あなたに逐一報告してたのは、杏華さんがどれだけあなたに頼らず自分の力でこの業界でやっていけるか、それをあなたにもちゃんと知っておいてほしかったからよ」「杏華が……自分の力で……」「そうよ。まぁあなたにとったら、少し寂しいかもしれないけどね。アヒルがあなたの手から離れ、大きく自由に白鳥として羽ばたいていくとき、男にとってそれほど虚しく悔しいことはないでしょうからね」編集長は、そう言ってニヤニヤして俺をあおる。まさにそのとおりだった。この人は昔からなんでも見透かして、説得力ある最もな言葉で俺を言い負かすところがある。だから、俺もこの業界で信頼している中の一人なのだが──。「それに杏華さん。あなたがいなくても、ものすごーく強い相棒手に入れたから、あなたは心配することないわよ」「強い相棒?」「えぇ。ヘアメイクの子よ。コンテストでも圧倒的
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第146話 輝かせる力

 【一弥side】 「杏華さんも、すごくその子に絶大なる信頼を寄せていたわ。よっぽど自分を信じてくれて、そこまで自分を輝かせてくれたのが嬉しかったんでしょうね。彼女もその子に気を許して、ずっと嬉しそうに微笑んでいたわ」「そんな男が……杏華に……」「あっ、そうそう。その子、杏華さんを自分のモノに口説き落とすって意気込んでたわよ~。振り向いてくれるまで、絶対諦めないって、私たちの前で強く宣言していたわ」「は? どういうことですか!?  その男、仕事にかこつけて杏華を口説き落とそうなんて、どんな根性してるんだ!」俺はどんどん怒りが増して興奮して叫んでしまう。「ブッ! アハハッ! やだ! もう限界! これ以上無理!」編集長が、どうしてか腹を抱えゲラゲラと笑い始める。「は? なんなんですか、編集長!」「あ~おかしい。あなた、からかうの最高に楽しいわね」「ちょっとなんなんですか本当に! からかうってなんなんですか!」「フフッ。あなたもそんな子供みたいになるのね。いいじゃない。人間らしくて。昔みたいに鉄仮面被ってるようなロボットのようなあなたより、よっぽど血の通った人間らしくて、今の方がよっぽどいい男よ」「は……?」編集長は勝手に笑い始めたと思ったら、今度はマジメな顔して、そんなことを言い出す。俺にはその言葉の意味がさっぱりわからなかった。「まぁそれは直接、杏華さんに聞いてみなさい。あなたにも、ちゃんとその報告はしたいはずよ」そういえば、さっきヘアメイクのことを何か話したがっていたような……。そのことだったのか……?そんな男のことを俺に報告しようと……?それならある意味、あのとき聞かなくてよかったのかもしれない。そんなことを聞いたら、俺は怒り狂っていたかもしれない。また杏華に嫌われるところだった。そんな自分にならなかったことだけ、ホッとする。もう少し時間を置いて
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第147話 あなたが見つめる意味

 一弥さんと現場で別れて、その撮影のあと、すぐにマンションに帰る気になれなかった。それはきっと、マンションに帰っても、いつも一緒に帰る一弥さんが隣にいないから。どうしてか今日は、一人の部屋に帰るのが寂しく感じた。この仕事を始めて、当たり前かのようにそばにいた一弥さんが、私じゃない誰かの元に足を運び、私に背中を向けてしまうことが、夫婦でいた頃よりも、どうしてこんなに悲しく感じてしまうのだろう……。それはきっと、あの頃平気だったのは、彼の心に、彼の視線の映る先に、私がいないことをわかっていたから。いや、決して平気だったという訳ではない。気づかないフリ、見ないフリをしているだけだった。私には彼が誰を好きになろうと、どこへ足を運ぼうと、何も言えなかったから……。どれだけ手を伸ばして、声を出しても、彼には届かない。だから、いくらそれを望んだとしても、いつからか、私は諦めるようになっていた。だけど、今は──。今は……、あの頃よりもちゃんと、私を見てくれている気がするから……。ちゃんと私の声を、受け取ってくれているような気がするから……。だから、また彼の心が離れてしまいそうで怖くなる。また私をあの頃のように、見てくれなくなるかもしれない──。そう思うと、彼を感じるすべてを、意識してしまうことですら、この胸が苦しい──。しばらくしてから、マンションの自分の部屋がある最上階にエレベータ―が到着する。そして自分の部屋に戻ろうと思うと、その部屋の前に、一弥さんが立っていた。彼の姿を見つけ、この胸は苦しさから切なさに変わる。「一弥さん……?」腕組みをして、私の部屋の前にもたれかかり、ボーッとうつむいている一弥さんに、声をかける。「あぁ……。戻ったか──」「どうしたの……?  待っててくれたの……?」「あぁ──。まぁ……」あの一弥さんが、私を待ってくれていたことに、今度は嬉しくて胸が
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第148話 想いが返る嬉しさ

 電話が鳴った瞬間、お互いその電話の音に反応し、少しその雰囲気が崩れた。私は、その視線が気になりつつも、鳴り続けている電話の通知画面を確認する。「あっ……、電話。ごめん。出ていい?」一弥さんは、電話を出るように手で合図する。「もしもし」私は一弥さんから少し離れた場所で、電話に出る。『もしもし! 杏華! 私、夏希!』それは、さっき一緒にいた夏希だった。彼女とは、あれから意気投合し、連絡先を交換した。そして彼女のあの気軽さと勢いに押され、彼女とはお互いを呼び捨てで呼ぼうということになった。「あっ、夏希。さっきは、ありがとう」『こちらこそだよー!  私、杏華とずっと会いたくて。でもまさか、こんなすぐに杏華とこんなワクワクする仕事出来るなんて思わなかった!』「うん。私も。出会えてすごく嬉しい。誰かとこんなにこれから一緒にいたいと思ったのは初めてよ」こんなに自分の胸がワクワクして、そして絶対この縁を逃したくないと思ったのは初めてだった。そう、一弥さん以外では──。一弥さんと結婚出来たとき、私は夢を見てるようだった。ワクワクどころじゃない、今までで一番幸せだと思えたときだった。ずっと大好きだった人と結婚して、これから彼の妻でいられる。誰よりそばで、ずっと一緒にいられる。そんな先の未来を、夢見た瞬間だった。彼が私のことなんて、最初から好きじゃないことくらい嫌というほどわかっていた。だけど、それでもよかった。ただ彼といられれば……。だけど、そんな幸せはいつか儚く夢のように消えていきそうで怖かった。“一緒にいたい” というより、”ただこのまま、この幸せが消えないでほしい”そう願っていた──。だけど、夢は所詮夢。幻となって儚く消えていく。結局私のその願いは叶うことなく消えていった──。『ホントに!? すご
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第149話 いつもと違う違和感

 「え!? どうしたの、一弥さん」私の腕を力強く握り締めながら、さっきと同じような切ない目で、だけどそれと同時に険しい悔しそうな表情をしている一弥さんに気づく。「誰だ……。そいつは──」一弥さんが静かに呟く。「え……。誰って……」夏希のことを、言ってるのかな……。どうしてこんなに険しい顔をしているんだろう……。「今から、そいつ、ここに来るのか」「え、あ、うん」聞こえてたんだ。やだ、なんか恥ずかしいな。「お前、何やってる」「何って……。別に……」なんなの、どうして急にそんなイライラしているの?「もっとモデルとしての自覚を持て」「え……」「そんないい加減な気持ちで、モデルの仕事が出来ると思ってるのか」「それ、どういう意味……」なんなの、いきなり……。意味がわからないんですけど……。「もっとプロの意識を持てって言ってるんだ。そいつとどんな関係か知らないが、すぐに家に呼ぶだなんて何考えてる。どこで足を引っ張られるかなんてわからないんだぞ」「なんのことを、言ってるの……」「そんな簡単に家に来る奴なんて、ろくな奴じゃないな。お前にだってどんないい加減な感情を抱いてるかわかったようなもんじゃない」「何……それ……」どうしてそんなことを言うの……。私と夏希のこと、何も知らないくせに。私が夏希と出会えて、どれだけ勇気をもらえたかなん
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第150話  私だけを見ていてほしい

 え……?俯きがちに、静かに呟いた彼の声。どういうこと……?その言葉は、どういう意味で、言っているの……?初めて聞いた彼のそんな言葉に、私は今まで感じたことのない胸の高鳴りのような、切ない苦しさのようなものを感じる。どうして、そんな勘違いしそうな言葉を言うの……?あなたにとって、私はそんな存在じゃないくせに……。「俺の断りなしに、勝手なことなんて許さない。お前は、俺のそばで、俺だけの言うことを聞いていればいいんだ」何……それ……。酷い……。この人にとって、私の存在なんて、結局そんな程度だったんだ──。彼といろんな時間を重ねてきて、彼とのそんな関係は、今はもうちゃんと変えられているのだと思っていた。ちゃんと私の主張を受け入れてくれて、私自身を、ちゃんと認めて受け入れてくれている。そう信じていた。なのに……、あなたにとって、まだ今でも、私は結局自分の言いなりになる、そんな扱いやすい存在のままでしかなかったってこと……?───ショックだった。私だけが勝手に舞い上がっていたみたいで。私だけが勘違いしていたみたいで。単純な私は、目の前で起きていることや、実際に自分が感じたことしか理解出来ない。きっとそれが、そもそも全部勘違いだったんだ。優しくしてくれたことも、全部自分の都合よく私を動かしたかっただけだったんだ……。結局はこの人にとっては、ただのビジネスパートナー。わかっていたはずだったのに。それでも、最近のこの人は、優しい言葉をかけてくれて、私をちゃんと見てくれていた。それが本当に嬉しかったから……。なのに、この人にとっては、それも全部お金のため、仕事のためだったっていうことなのかな……。もう、あなたの本当の気持ち、全然わからない……。それなら……、私だって……、私だって……。「じゃあ、あなたはどうなのよ!」
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