「お疲れ様。杏華」一連の撮影が終わり、夏希が声をかけてくれる。「お疲れ様~夏希」「……お疲れ」「お疲れ様。一弥さん」少し気まずそうに小さく呟く一弥さん。「無事終わってよかったね。杏華」「あっ、うん」「いやぁ、社長今回も途中で大暴れして、この撮影ぶち壊しちゃうんじゃないかとハラハラしてたよ」すると、いきなり夏希が少しニヤニヤしながらそんな言葉を呟く。「えっ? ぶち壊す? どうして?」「いや、だってレイくんと杏華が近づいたり微笑み合ったりするたび、今にも飛び出しそうな勢いで、思わず私必死に止めてたからね」「えっ! そうなの!?」「うん。でも『大人げないですよ社長。ただの撮影ですから』って、冷静になるようになだめておいた。そしたら社長、ピリピリしながらも悔しそうに、なんとか耐えてた(笑)」「おい! そこまで言わなくても!」夏希がケラケラと笑いながら私に暴露すると、一弥さんは少し照れくさいのか気まずそうに反応する。「いやぁ~私はめちゃめちゃ面白かったですけどね。杏華に一喜一憂する社長を見てて!」こういうときは上手になる夏希に、一弥さんはもう何も言わなくなってしまった。「でも。さっきスタッフさんから耳にしたんだけど、今回のレイくんとの撮影は、あえて社長がキャスティングしたらしいよ?」「えっ? そうなの……?」「私もそれビックリしたんだけどね。そんなにヤキモチ妬きまくるくらいだから、社長この仕事不本意で受けたのかなって思ってたんだけどさ。──社長、ホントの理由、杏華に伝えてあげてください」「ホントの理由──?」「──いや、うん。彼……レイくんは、最近売り出し中で、人気があるモデルだ。実はレイくんが杏華のファンだというのはずっと公言してるみたいで、彼のファンや世間的にも有名らしくてな。ずっと杏華と共演出来ることを本人もファンもホントに願っていたそうなんだ。それを彼の
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