All Chapters of 社長、離婚した奥様が世界的トップモデルになっています! : Chapter 31 - Chapter 35

35 Chapters

第31話 未来のために

翌日。家まで迎えに来た彼は、どこに行くかを告げないまま車をどこかへ走らせていた。そのあと、彼に連れてこられた場所を見て「何なのここ……」と、思わずボソッと呟いた。高くそびえ立つ高級感を感じるそのビルを見上げながら、唖然としている私を置いて彼はその建物の中へと入っていく。私はそんな彼を追いかけ、一緒にその建物に足を踏み入れると、そこは別世界だった。ゴージャスなエントランスはどれくらいの広さかわからないほどの解放的な空間で、建物は大理石で覆われ、煌びやかなシャンデリアが共に光り輝く。ラウンジにはお洒落な高級ソファーとテーブル。一面の窓からは鮮やかな緑を感じられる樹木や花々を眺められる癒しの空間が広がる。私はその景色をキョロキョロしながらあとについていき、エレベーターホールで上層階へと上がっていく。目的の部屋に着き、彼が鍵を開け扉を開きながら、ようやく私の方へと振り向いた。そして衝撃な言葉を彼は私に告げた。「ここがこれからお前の住む家だ」「えっ!? どういうこと!?」「そのままの意味だ。今日からここに引っ越してこい」「えっ!? ちょっと待って。急展開すぎて頭がついていかないわ」「お前も今住んでる家は気に入ってそうしてるわけじゃないと言ってただろうが」「それは、そうだけど……。でも急にこんなところに住むなんて」「お前はモデルという仕事をそんな簡単なことだと考えてるのか。ちょっと意識が低すぎるんじゃないのか」「そんなことないわ! 私は真剣にモデルとしてやっていきたいと思ってる!」「なら今の生活をすべて変えろ」「変えるって……?」「華やかなトップモデルになろうって人間が、あんな貧相なアパート暮らしをしてそこを目指せると思ってるのか」「それは……。少し落ち着いたら……」「落ち着いてから?  はっ。ふざけてるのか。そんないつかもわからない未来までお前は指をくわえて、あんな屈辱的な生活を我慢するというのか」「そんな言い方……!」「仮にもお前は桐生の人間だったんだぞ。そんな人間が、たとえ一時的でもあんな場所で生活していくなんて俺が許さない」「またあなたの体裁の話……?  もう私とあなたは離婚していて他人なのよ。なのにあなたのそんな勝手でとやかく言われる筋合いないわ」「は……? 今は俺の話じゃない、お前の話をしているんだ」「わかっ
last updateLast Updated : 2026-04-28
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第32話 一流の環境

「ふっ……。よし。それでいい」すると彼がふっと笑って告げる。「え…?」「中に入れ」私はそんな彼に何も言葉をかけられないまま、結局中へと足を踏み入れる。「すごっ……」その広さと豪華さに思わず玄関から圧倒される。そして中に入ると、そこにはすでにしっかりと家具もインテリアも準備されてあり今すぐにでも住める仕様になっていた。「ここ。誰か住んでるの……?」「ふっ……」私がそう尋ねると、彼はなぜか顔を横に向け吹き出すように笑う。「ちょっ、何よ──!」「誰か住んでるわけないだろ。お前のために用意したんだ」「私のためにって……。えっ? この家具も全部?」「そうだ。そうじゃなきゃ今すぐ住めないだろ」「そうだけど……。そんなすぐに?」「当たり前だろ。すぐにあんなボロアパートから出ろ。一日でも早く意識を高めた方が上質な自分に早く近づける」「だとしても……、これを私のために……?」「お前がこんなの用意出来るわけないだろ」「それはわかってるけど……。そうじゃなくて……」どうして私なんかのためにそこまで……?その言葉を彼に伝えようとしたけれど、彼から返ってくる言葉はなんとなく予想は出来た。だから私はあえて、その言葉を伝えず──。「甘えていいの……?」「甘えるか……。確かにそう言われたら悪い気はしないな」えっ!?  私言葉の選択間違った!?どうしてこの人は少し嬉しそうな顔をしているの?「いや、違う……! そうじゃなくて、あなたがそこまで言うなら、しょうがないから使ってあげるわ」これが正解なのかもわからないけれど、私はなんだか彼に見透かされてる感じがするのが嫌で、つい意地を張った言い方をしてしまう。「あぁ。ここを無駄にされても困る。遠慮なく使え」この人の世話になるのは悔しいけれど、これはビジネスパートナーの助けだと思えば──。私も彼を利用するつもりで使わせてもらうわ。「奥の部屋も見てみろ」「奥の部屋?」「あぁ」彼に言われその指定された部屋へと足を進める。その扉を開けると、部屋一面がウォークインクローゼットになっていて、高級服やバッグに靴にアクセサリー、あらゆる高級な物が並んでいた。「えっ! 何これ!?」「それも全部お前のための物だ」「えっ!?」彼の行動があまりにもすごすぎて、私はただ驚くしか出来ない。「正直俺はお前
last updateLast Updated : 2026-04-29
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第33話 接近 

「じゃあそろそろ行くぞ」「えっ? 行くって?」「お前の引っ越しだ」「引っ越し!?  私手続きも手配も何もしてないわよ!?」「全部俺が済ませてある」「済ませてあるって?」「大家にもお前が今日出ていくことは了承済だ。引っ越し業者も、もう少ししたら向こうに行くように手配してある」「えっ!?  もう!? そんなの私何も準備してないのに!」「あのスペースでそこまで手がかかる準備なんて何もないだろう」「そうだけど──!」「だから今から帰って軽く準備すればいい。業者にすべて任せれば全部やってもらえる」すべてが強引な彼に私はまた唖然とする。結局私は言われるがまま彼とアパートに戻り、子供のために準備している物や自分の身の回りの物をまとめる。気づけばあっという間に引っ越しも終わり、またこのマンションへと戻ってきた。「今日は、ありがとう」すべてが片付くまで彼はこの部屋で見届けていた。「あぁ。今日は疲れただろうからゆっくり休め」「え、えぇ……」こんな気遣いが出来る人だったのね。他人になって初めて知ることばかりだわ……。「あなたもこんな時間まで付き合わせてごめんなさい。すっかり時間遅くなったわね。今からあの家に帰るのは、少し距離あるわよね。あなたも気を付けて帰ってください」他人になると私もこんなにも自然と気にかけることが出来る。この人とはやっぱり近い距離じゃない方がいいのだとよくわかるわ。「あぁ。問題ない。今日はあの家には戻らない」「え?  戻らないって? まだ仕事なの?」「いや。仕事はない」「なら……」綾乃のところに今から行くの……?二人でいた時間があまりにも早すぎて、そんなこともすっかり忘れていた。この人のそばにはいつも綾乃がいることを……。なんでもないことは言い合えるようになったのに、綾乃のことになると、やっぱり私はつい躊躇して何も言えなくなってしまう。本当はそれが一番彼に問いただしたいことかもしれないのに……。「戻るのはすぐそこだ」「すぐそこ?」意味がわからなくて私は怪訝な表情で彼に尋ねる。「すぐ隣に帰るだけだ」「隣って?」「隣の部屋だ。俺もそこに住むことにした」「──えっ!?」あぁ、またこの人はどこまで暴走していくの。まったく理解出来ないわ。お金ある人ってこんなに自由で暴走しまくるの!?「住むって
last updateLast Updated : 2026-04-30
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第34話 海外撮影

モデルの仕事にまだ慣れないまま、私は今、一弥さんの指示の元、新たな大きな海外撮影の仕事に参加している。話によるとこれはファッション業界を盛り上げるために、デザイナーやモデルなどが一堂に集まりそれぞれの魅力を発信するという大型イベントだそうだ。新進気鋭の新人から有名な人物まで、実力も経歴も問わない、いわばこのイベントに参加出来れば誰にでもチャンスがある仕組みになっている。どれだけ今いるポジションで有名になれるか、このイベントでこれからの将来が決まるとまで言われているほどだ。けれど、それはいわばサバイバルゲームのようなもの。このイベントで自分の実力や魅力を活かし、どれだけ大きな影響力ある仕事を生み出し、そのあとの大きな可能性に繋げられるか。裏テーマとしては、そんな弱肉強食の意味合いも含まれている。特にモデルの世界では大きな仕事に繋げることというのは簡単ではなく、実力はもちろんチャンスもどれだけ手に出来るかも大きな要因になってくる。たくさんのモデルが参加する中、もちろん綾乃もこれに参加している。「あれ? お姉ちゃん。まだ撮影に一度も参加してないの?」綾乃は初日早々明るく華やかな自分の魅力を周りにアピールし、そういうイメージを求めているブランドの数人のモデルの中に選ばれていた。「海外まで来て何も出来ないなんて辛いよね。でも私の仕事を譲るわけにはいかないし、華やかな雰囲気はお姉ちゃんには到底無理だもんね。こんなところで実力の差が出ちゃうなんて、お姉ちゃんには不利になっちゃうね」綾乃にそこまで言われても、自分の魅せ方などをまだ何も知らない私は、ただその一部始終を見ているしか出来なかった。「焦らなくていい」すると撮影に同行している一弥さんが、その綾乃の撮影を見ている私にそっと声をかける。「綾乃は何年も前から留学してまでモデルをやっているんだ。同じ土台に立とうと思うな」その言葉は励ましてくれているのか、それとも……。「このイベントでお前は選ばれなくても仕方がない」「え……?」「何の経験も実力もないお前が、今回大きな仕事を手に出来るとは思ってはいない」彼のその言葉で期待してくれてるわけじゃないのだと、少し落ち込む自分がいる。「急に飛び込んだ世界だ。これがいい機会だと思って、綾乃や他のモデルを見て勉強しろ」けれど、それは最もなことだと納得し
last updateLast Updated : 2026-05-01
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第35話 モデル界のカリスマ

私は近くにいるモデルの女性に初めて聞くその名前を尋ねる。 「え? お姉ちゃん知らないの?」 すると近くにいた綾乃がすばやくそれを聞きつけ反応する。 「AKIはすっごく有名なカリスマフォトグラファーで、モデル業界ではその名を知らないほど有名な人よ? 」 「そうなんだ……」 「彼に撮られたいモデルは山ほどいるのに、滅多にその仕事を受けない。大きなコレクションや決まった有名ブランドの撮影でないとお目にかかれないの」 「そんなにすごい人なんだ……」 「彼が撮影するとどんなモデルでも成功すると言われてるわ。その人の魅力をすべて映し出し美しさの限界まで引き出してもらえるって有名で、すごいフォトグラファーよ。有名モデルも口を揃えてまた撮ってもらいたいってアピールしてる」 モデルの世界のことを知らない私は、その人物の存在も初めて聞いた話だった。 「そんなAKIが今回この撮影に参加だなんて、運命感じちゃう! モデル始めた頃から、AKIに撮られることが本当に夢だったの……! ようやく今日その夢が叶うなんて、もう私興奮と嬉しさでどうなかなっちゃいそう!」 綾乃がテンション高く興奮しながらAKIの話を嬉しそうに話す。 「私も! こんなチャンス私に巡ってくるなんて思ってもみなかった!」 「このために私もモデルの世界で頑張ってきたの!」 綾乃だけじゃなく、周りにいるモデルたちが次々にAKIへの熱い思いを語り始める。 そんなすごいチャンス私も手に出来る資格があるのだろうか……。 「誰でもそのチャンスってあるんですよね……?」 私は隣の女性に尋ねる。 「もちろん。ここでは誰でも平等に勝負出来る場所よ。私もまだモデル始めたてでこんなチャンスに遭遇しただけで夢みたいだわ」 そう私に教えてくれた瞬間。 「フッ。まさかそんなこと本気で思ってるの?」 「えっ……?」 またもや綾乃が反応してくる。 「所詮この世界は実力勝負よ。どれだけその力を魅せられるかアピール出来るかで仕事にどう繋げられるか変わってくる。その実力を手にするために、どれだけ苦労してきたか……。モデルを最近始めたあんたたちが簡単に手に出来るほど、この世界は甘くないわ」 さっきは一弥さんが近くにいたから私に気遣うフリをしていた綾乃が、今はモデルしかいないこの空間で、早々に本性を見せる。 「そうよ
last updateLast Updated : 2026-05-02
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