翌日。家まで迎えに来た彼は、どこに行くかを告げないまま車をどこかへ走らせていた。そのあと、彼に連れてこられた場所を見て「何なのここ……」と、思わずボソッと呟いた。高くそびえ立つ高級感を感じるそのビルを見上げながら、唖然としている私を置いて彼はその建物の中へと入っていく。私はそんな彼を追いかけ、一緒にその建物に足を踏み入れると、そこは別世界だった。ゴージャスなエントランスはどれくらいの広さかわからないほどの解放的な空間で、建物は大理石で覆われ、煌びやかなシャンデリアが共に光り輝く。ラウンジにはお洒落な高級ソファーとテーブル。一面の窓からは鮮やかな緑を感じられる樹木や花々を眺められる癒しの空間が広がる。私はその景色をキョロキョロしながらあとについていき、エレベーターホールで上層階へと上がっていく。目的の部屋に着き、彼が鍵を開け扉を開きながら、ようやく私の方へと振り向いた。そして衝撃な言葉を彼は私に告げた。「ここがこれからお前の住む家だ」「えっ!? どういうこと!?」「そのままの意味だ。今日からここに引っ越してこい」「えっ!? ちょっと待って。急展開すぎて頭がついていかないわ」「お前も今住んでる家は気に入ってそうしてるわけじゃないと言ってただろうが」「それは、そうだけど……。でも急にこんなところに住むなんて」「お前はモデルという仕事をそんな簡単なことだと考えてるのか。ちょっと意識が低すぎるんじゃないのか」「そんなことないわ! 私は真剣にモデルとしてやっていきたいと思ってる!」「なら今の生活をすべて変えろ」「変えるって……?」「華やかなトップモデルになろうって人間が、あんな貧相なアパート暮らしをしてそこを目指せると思ってるのか」「それは……。少し落ち着いたら……」「落ち着いてから? はっ。ふざけてるのか。そんないつかもわからない未来までお前は指をくわえて、あんな屈辱的な生活を我慢するというのか」「そんな言い方……!」「仮にもお前は桐生の人間だったんだぞ。そんな人間が、たとえ一時的でもあんな場所で生活していくなんて俺が許さない」「またあなたの体裁の話……? もう私とあなたは離婚していて他人なのよ。なのにあなたのそんな勝手でとやかく言われる筋合いないわ」「は……? 今は俺の話じゃない、お前の話をしているんだ」「わかっ
Last Updated : 2026-04-28 Read more