【一弥side】そういえばあの夜も、確かこんなどうしようもなくなった日だった。同じようにあいつが俺以外の男に淫らなことをしていると初めて知ったときだ……。ずっと手を出さず、あいつとは距離を取っていたのに、それを知った瞬間、俺は爆発したんだ……。ただあの夜は酷く酔っていた。あいつにはそう誤魔化していたけど、いくら飲んでも酔いきれなくて、ただあいつへの止まらない感情が溢れて暴走しただけだった。あれは酒を飲んだ悪い影響だと、自分自身理解出来ない行動に、そう何度も自分で言い聞かせていた……つもりだったのに。ずっとあいつとのあの夜のことも、あのときの俺の抑えられない感情も、そしてあいつとの肌の感覚やどこまでものめりこみ溺れたあの満足感と快感も、俺の中で今でも鮮明に憶えている……。思えばあのときからか……、俺が杏華に今までと違う感情を少しずつ感じ始めていたのは……。なのに、どこですれ違った……。どこで何を間違ったんだ……。俺はあのときも今も、いや、ずっと杏華に対して、どう接すればいいのか、どう向き合えばいいのかがわからない……。この持て余すほどの自分でも厄介なこの感情の意味も理由も、俺はずっとわからずにいる……。昔なら、あいつの口から聞く男の名前は、俺一人だけだったのに、今はあのカメラマンの名前が審判に杏華の口から出てくる。それも嫌でたまらない。あの男の名前を口にするだけで、こんなにも苛立つ。それどころかあいつのことをあんなにも嬉しそうに褒めたり、必死にかばったり……。くそっ! なんでなんだ!……どうして、俺はあいつには素直な言葉が言えないんだ……。あいつに感じた感情が、確かにこの心にも存在していて、本当はすぐそこまでその感情が口から零れそうだったのに……。あいつを前にすると、なぜだかそれが言えないんだ。本当は、言葉を失うほど、その変わった姿が綺麗で目が離せなかったことも、その姿を誰にも見せたくないほど独占欲が渦巻いていたことも、確かにあのとき俺は自分でも気付いていたのに……。俺といたときは、あんなにも弱くて頼りなくて、俺がいないと何も出来ない女だったのに。今のあいつはあんなにも堂々と自分の意志を持ち、プライドを持って、その仕事に誠実に向き合っている。そんなことも本当はちゃんとわかっている。あいつは何でもいい加減に考えるよう
Terakhir Diperbarui : 2026-05-18 Baca selengkapnya