Semua Bab 社長、離婚した奥様が世界的トップモデルになっています!: Bab 41 - Bab 50

82 Bab

第41話 ピンチからの光

意図的にされたのか、偶然こうなってしまったのかはわからないけど、今確かなことは、ここに最後に残った私一人が、この状況をどうにかしないといけないということ。私はそのすべての衣装を手にし、AKIさんの元へと向かった。「AKIさん。すいません。衣装が何かの手違いでこんなことになってしまっていて……」「えっ?  何だよこれ……」その衣装を見てさすがのAKIさんも表情が険しくなる。「申し訳ありません。せっかくチャンスをいただいたのに……」私は衣装を手にしながら、慧さんへと深々と頭を下げる。なんとなくこの状況はわかっていた。私が存在することで、また誰かに迷惑をかけてしまうというその事実に胸が苦しくなる。……悔しい……。私が関わってしまったことで、大切な衣装もこんなことになってしまったこと、そしてAKIさんにも嫌な思いをさせて迷惑をかけてしまったこと、それは紛れもない事実だから。「すべて私の責任です!」私に今出来ることは、誠心誠意、彼に謝ることしかなかった。「はぁ……。酷いことになってるね」彼はその衣装を手に取り、溜息交じりに呟く。彼のガッカリした声を聞いて、同じような表情を見るのが辛くて、顔を上げることが出来ない。「どうするかな……」どうしようもないその状況に、彼がそう呟く。こんな状況でも、こういう人は諦めずに何か方法を考えようとしているのだろうか。「今日はこの撮影はこの衣装しか用意してないんだよな……」「すいません。ご迷惑をおかけしてしまって……」顔を上げられないままAKIさんに伝える。「……誰が迷惑って言った?」「えっ?」彼がそう言った瞬間、思わず顔を上げて、彼を見る。「君が自分でこんなことしたわけじゃないだろ?」「もちろんです……!」「じゃあ誰かに仕組まれたってことだね」「それ……は……」ストレートにそう告げるAKIさんに思わず戸惑ってしまう。私がいることで、こんなことが起きたなんて、どう謝ればいいか……。「あぁ~。隠さなくても大丈夫だから。この業界こんなことざらにある。何度もこういう現場には遭遇してるから、たいして驚きもしない」「そうなんですね……」それを聞いて、ほんの少しだけホッとする。「でもこの状況どうにかしなきゃね」「でも……もうどうしようもないですよね……。大切な衣装もこんなふうになってしま
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-08
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第42話 生まれ変わる魅力

「これ。どうにかアレンジ出来ないかな」現場のスタイリストさんのところに行き、AKIさんが相談し始める。「お~。これは派手にやられましたね」「だよね。てか、ここまでの破れ方なら、逆にもっと派手にやってしまおうかと思うんだけど」「あ~いいですね。この裾を、もう少しデザイン的に切り刻んで……。ここリボンで止めちゃいましょうか」「いいね。この肩のとこは、逆にこういう感じで繋げてほしいんだけど」「わかりました。なら、別で準備してたこのアクセサリーあるので、これをつければ逆にバランス取れて、いい感じにカッコよくなりますね」「あ~そうそう。そういう感じ。逆に元よりこっちのが個性的でいいね」AKIさんとスタイリストさんが、次々と意見を出し合って、斬新にアレンジし始める。「彼女、とても脚長くて綺麗ですから、この衣装身にまとったら、更にそのスタイルが映えますよ」「あぁ。これは逆に見せることで、彼女の魅力もより伝わるな。えっと、杏華さん。この衣装だと、脚を見せる方が断然美しくなるんだけど、それでも構わないかな」AKIさんが相談してる途中で私に確認してくる。「えっ、あっ、はい。もちろん大丈夫です! 衣装の着方はすべてお任せします」「ありがとう。助かる」そう返事して、またどんどんとアレンジを進めて行く。そのプロの素早いやり取りのすごさに、私は圧倒されてしまう。相談してる通り、どんどんとボロボロだった衣装が、斬新な洗練されたカッコいい衣装に変わっていく。私はその変わっていく衣装の様子をワクワクしながら、ずっと見続ける。すると、あっという間に、その衣装は新たな素敵な作品として生まれ変わった──。スカートの裾は太ももの中ほどまで大胆に短くカットされ、裂けた部分さえもデザインの一部へと変えられていた。いくつかの黒いリボンが破れた箇所を交差するように通され、生地を再びつなぎ合わせている——それは修復ではなく、再構築だった。肩の部分は、もともと切れていたストラップを取り外し、代わりに一本のメタルチェーンへと付け替えられている。チェーンは鎖骨の脇に垂れ、動くたびに細かな光を揺らめかせた。ドレスの汚れは、薄いチュールで覆われていた。墨がかったグリーンで、ウエストの脇から斜めに裾へと切り替えられている。「立って」AKIさんが仕立て直されたドレスを私に差し出した
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-09
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第43話 輝ける舞台へ

AKIさんが用意してくれたその衣装は、激しく破れたワンピースをダイナミックにアレンジした作品。普通なら隠れる部分を、あえて見せることで、隙間から見える肩や脚の部分に女性らしい魅力が出て、激しさと女性らしさの絶妙なバランスが、その衣装の最大の魅力へと倍増する。最初に用意されていた衣装は、女性らしい雰囲気ばっかりだった中で、これは180度違う作品。だけどその甘さとカッコよさ、どちらもその服にミックスされて、その服を着たいという欲を駆り出される。その衣装を着ることで、更に違う自分へと変身出来るようなそんな気持ちになる。背筋をピンと伸ばし、顔を上げ、視線も目の前に向かってまっすぐ向ける。撮影エリアに入った瞬間、周囲のざわめきがまるで一時停止されたかのように消えた。誰かが隣の人に小声で聞く。「……あれ、あの新人?」「衣装……ちょっと待って、あの衣装──」言葉が途中で途切れた。そして、誰かが息を呑む音がした。「それって、さっきダメになったやつじゃないの!?」ささやき声が水のように一気に広がっていく。「ありえない……」「もう破れて着られないはずじゃ……」「どうやって直したの?」「いや、これもう別物じゃない?」「彼女が着ると……まるで別人みたい……」「すごい!  めちゃめちゃカッコいい!!」「あんなオーラあるモデルなんていた!?」「スタイル良すぎ」「綺麗すぎる」すれ違う人のいろんな声が、私の耳に届いてくる。批判的な声も、称賛する声も、どれも今の私に自信と刺激を与えるエネルギーや栄養剤のようなものだ。気持ちいい──!そんなすべての声も今の私の快感に変わる。そしてAKIさんの元に到着し、「お待たせしました」と、彼に声をかける。AKIさんは隣に立った私を見ながら、満足そうに微笑んだ。「よしっ。君たちの撮影はこれで終わりだ」今撮影していたモデルたちにAKIさんが声をかける。「さっき打合せした今の彼女のに合うセットを今すぐ準備してくれ」「はい!」そして周りにいたスタッフさんたちにAKIさんが早々に指示を出す。そこからは手際よく、さっきまで華やかだった可愛らしいセットからスタッフ総出で、ダークな雰囲気あるセットへと早変わりしていく。一瞬でAKIさんの頭の中に創られた世界が形になっていく。吸い込まれるようなその魅力的な世界
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-10
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第44話 私だけが魅せる世界

私だけのステージの真ん中に立ち、AKIさんが構えるレンズに視線を合わせる。そして、私はまた目を閉じ、深く深呼吸をして、モデルとしての私のスイッチを入れた。目を開けた瞬間。そこにはもう別の私が存在していた。その後のことは、まるで身体が自分で判断しているようだった。振り向いた瞬間、赤い布の端が肩からすべり落ちた。私はそれを掴まなかった。布は床を引きずりながら、私の足音に合わせてかすかな音を立てる。シャッター音が背後から追いかけ、だんだんと密になっていく。私は立ち止まり、振り返った。レンズはまだこちらを追っていた。その“目”を見つめたまま、ゆっくりと手を上げ、腰に巻かれていた赤い布を引きはがした。布が落ちる音は、シャッター音にかき消された。「——止めるな」彼の声は低く、息を殺すようだった。私は赤い布を放り投げた。それが広がった瞬間、シャッター音は一斉に弾けるように連なった。その後、彼が何を言ったのかはもう聞こえなかった。ただ覚えているのは、自分が大きく息をしていて、心臓が破裂しそうなほど速く脈打っていたこと。それなのに、口元だけは確かに笑っていたこと。「……よし。終了」カメラをその場に置き、彼が私の元へとゆっくり近づいてくる。「お疲れ様。素晴らしい出来上がりになったよ」彼は私にそう言いながら手を差し出し握手を求める。「お疲れ様でした! ありがとうございました!」私は嬉しくなって、彼のその手をすぐ握り返し、勢いよくお辞儀をしお礼を伝える。「ありがとうございます! 私もAKIさんに出会えて、こんな素敵なお仕事出来て、もう悔いはありません!」私は彼の手を更に強く握り締めながら興奮して伝える。「ハハッ。痛い痛い。って、撮影はまだまだ残ってるから、勝手に終わらせてもらったら困るんだけど」「あっ、すいません!  って、そうですよね。まだまだ撮影残ってますもんね」「あぁ。これからまだ君にもいくらでもチャンスはある。実力勝負のこの世界で、君がどこまで俺をこれから満足させてくれるか楽しみにしている」「はい! よろしくお願いします!」私はAKIさんと笑い合いながら、言葉を交わす。なんだろう。どうしてこんなにこの人は話しやすいんだろう。なんだか昔から知っているようなどこか安心する、そんな不思議な感覚になってしまう。私は彼とそん
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-11
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第45話 本能のキス

「お疲れ様でした」撮影が終わりAKIさんやスタッフさんに挨拶をし、衣装を着替えに戻ろうとすると、いきなり横からぐいっと腕を引っ張られる。「キャッ!」激しく引っ張られたせいで、よろけそうになって、その方向を見ると、眉間にしわを寄せて険しい表情をした一弥さんがそこに立っていた。「一弥さん……」「こっちに来い!」するとそのまま彼は勢いよく私の腕を力強く引っ張って、どこかに連れて行こうとする。「痛いっ!」あまりの力強さに私が痛いと反応するも、彼が私を握り締める手の力も険しい表情も変わらず、黙ったまま、どんどん人気のない方へと一弥さんは足を進める。「ちょっと、どこ行くの!」「うるさいっ!」頭ごなしに怒鳴りつける一弥さんの言動に私はわけがわからず、その手を振りほどけないまま、されるがままに一弥さんの連れて行く場所までついて行くしかなかった。そして誰も使ってない部屋に勢いよく入ると、彼は扉を閉め、そのまま鍵をかける。えっ……、なんなの……。彼の行動に不安になりながら、私はそっと彼に視線を移す。すると、そのまま腕を引っ張り壁際に勢いよく押し付けられる。こんな彼は今まで見たことがなかった。……いや、一度だけ。過去にも、一度こんな瞬間が彼に訪れたときがあった。私はそのときの彼の記憶を本能的に思い出す。そう。こんな表情と勢いある彼に、あのとき……。そう思い出していたら──。あのとき以上に激しく怒りに満ちた表情をして、彼が私の身体と顔を抑えつけ、勢いよく唇を重ねた。「んっ──!」顔を動かないように抑えつけ、彼が何度も私の唇を貪り続ける。息も出来ないほど、ずっと私の唇を求め続ける彼に、私は苦しくなってドンドンと目の前にいる彼の胸を叩く。ようやく彼が唇を離し、彼はじっと私の目を見つめる──。私は涙目で彼を見つめながら、ようやく息を吸う。すると、見つめ返した彼の表情は、さっきまでの怒りに満ちた勢いある感じではなくなって、私をじっと切なそうに見つめる。何……。どうして、あなたはそんな表情をしているの……?初めて見せる私へのその切なそうな表情と視線。彼が何を言いたいのか、何を伝えたいのか、私にはわからなかった。だけど、どうしてかそんな彼を見ていると、胸の奥が苦しくなって、私まで切なくなる。「一弥さん……?」私はついそんな彼が気にな
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-12
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第46話 想いだす感情

唇を離した彼は、次はその流れのまま、衣装から出ている私の首筋に肩に、唇を移動させる。そのまま彼の手も動きを止めない。「んっ……。一弥さん……」衣装に手をかけ、肩から服を外し、彼の手が私の胸元に触れた瞬間、私はようやく正気に戻る。「……だめっ!」力が緩んでいた彼の身体を力いっぱい両手で離れるように押しのける。すると、彼もようやく正気に戻ったのか、ハッと表情が変わる。彼がゆっくり私から離れると、彼は「くそっ……!」と頭をかきむしり、不満そうに俯きながら呟いた。私は乱れた服を直しながら。「どうして……、こんなこと……」彼に静かに尋ねる。彼の表情で、彼の今の感情はなんとなくわかっていた。きっと、あの顔は、自分の行動に後悔している顔だ……。どういう衝動に駆られて、こんなことをしたのかはわからないけど、きっと彼の中で不服に思っているに違いないとそう感じた。その瞬間、私の胸の奥がチクリと痛みを告げた。彼は自分の言動を自分の中で問いただしているのか、しばらく何かを考えながら言葉を発しない。私は彼が次に口にする言葉を聞くのが、少し怖く感じた。まだ私にそんな気持ちが残っているのかと、また自分に呆れてしまう。こんなことをされても、いきなりで驚いてしまい彼を突き放そうとしたものの、結局は私は彼を受け入れてしまっていた。情けないけれど、私はあの瞬間、嬉しいと、心のどこかで感じてしまっていたのだ。彼が女の私を求めるというその事実が、嬉しくて仕方なかったのだ。まだ彼に女として見られているという、そんな対象でいられることに、私はあのときと同じように喜びを感じてしまっていた……。たとえ彼が衝動的に何かを思って起こした行動だとしても……。そこに彼の気持ちはまったくなかったとしても……。私の本能は彼を求めていたことは、紛れもない事実だった──。また「間違いだった」と、「気の迷いだ」と、彼の口から、私を否定する言葉が、彼の気持ちを否定する言葉を、聞くのが怖いと思ってしまう。彼への想いは、離婚したときに、あの指輪と共に置いてきたはずなのに、結局はいとも簡単にこうやって簡単に引きずり戻される。私はこんなにも結局は本能でも彼を忘れていなかったのかと、ガッカリしてしまう。結局は離婚しても、彼から離れられず、今こうやって行動を共にしていること自体、そもそもの間
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-13
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第47話 理解し合えないもどかしさ

「そんな格好して、あいつを誘惑して、さぞかし気持ちよかったんだろう」彼が口を開いたと思ったら、耳を疑う酷い言葉を彼が告げる。「は……? どういう意味……?」私はあえて興奮せず冷静に言葉を静かに返す。「そのままの意味だ」「私は、ただ仕事をした。それだけよ」「あれが仕事か?  あんな肌を露出して、あんなに大勢の人間の前で、あの男に向かって、あんないやらしい顔や姿を見せて。恥ずかしいと思わないのか」「あなたは……、何を、言っているの……?」冷静に穏やかに……。だめよ、興奮しちゃだめ。私は今にも爆発しそうな感情を必死に抑える。「あれがお前の得意技か。あーやって今までも多くの男を誘惑してきたんだろう」何も知らないで、この人は……。「あの男もあの男だ。何が撮影だ。何が最高だ。あんなお前の乱れた姿撮影して何が面白い」ブチッと、何かが壊れる音がした。「彼のことを侮辱しないで……!」彼のことをキッと睨みつけ、思わずそう口にしていた。「は……?  なんだと……?」彼はイラつきながら同じように私を睨みつける。「私のことは何言われたっていい。だけど彼のことまで悪くいうのは筋違いの話よ」「あの男をかばうのか?」「そんなんじゃないわ!」「はっ。なんでそんな必死にあの男をかばう」「違うって言ってるでしょ! 彼はただ全うに仕事をしただけよ! 彼は私を助けてくれたの!」「助けた……?  お前を……?  あの男が……?」「そうよ……。彼がいなければ、私はあの撮影に参加出来なかった。あんなにも素敵な撮影になったのは、すべて彼のおかげよ」「どういうことだ……」状況を知らない彼は、不服そうに私に問いかける。「フッ……。あなたに説明しても理解出来ないんじゃない……?」「どういう意味だ」「あなたには彼のような優しさも思いやりも、何一つないってことよ」「どうしてそんな話になる。あの男がお前に何をしたんだ」「……話す必要ないわ……」「何……?」きっとこの人に何言ったところで通じない。理解しようともしない。彼は私がピンチだった時に、手を差し伸べてくれた。あんなにも素敵な私として輝かせてくれた。それをこの人はあんなにも酷い言い方を……。やっぱりこの人は何も変わってなどいなかった。感情のままに気持ちをこんなふうに理不尽にぶつけてくるところも、
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-14
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第48話 なりたい自分

「そうなればもちろん資金も仕事の援助も打ち切りだ。お前は当然モデルの世界で仕事をすることは今後一切不可能だ」「何よそれ……!」「当たり前だろ。誰を敵に回すと思ってるんだ。お前がモデルで仕事出来ないようにすることなんて、俺にとっちゃ簡単なことだ」「──!!」何も、言い返せなかった。彼の言っていることは、間違いでもなく、誰が聞いても納得してしまう確かなことだったからだ。きっと私は、そうなってしまうことを心のどこかで恐れている自分がいることにも気付いていた。彼の言葉どおり、何かのきっかけで彼と本当に完全な別離を迎え、いつか憎しみ合うほどの関係になってしまったら……。想像したこともないその現実を、この瞬間頭に浮かんだことで、私はとても怖くなった……。あぁ、私はそんなことは私の人生に何の影響もないのだと、そんな人生になっても平気なのだと、堂々と胸を張って言える自分に、まだなることは出来なかった……。なんて、弱くて、なんて情けないのだろう……。「はっ……。何も言い返せないのか」「わかったわ……」「フッ。わかったのなら……」「わかったと言っただけよ」「何……?」「たとえ……。あなたがビジネスパートナーだとしても、私にも譲れないことはある。私はこのモデルの仕事に人生をかけてるの。私にも仕事にもプライドを持って挑んでる。私のすべてで勝負しているの。だからこそモデルとして、私も納得出来ないことは、ちゃんと言わせてもらう。いいわね?」これだけは引かない。やっと手にしたこの人生。簡単に手放してたまるもんですか。彼をじっと見つめ、その視線にこのいい加減じゃないという想いが伝わるようにと念を込める。「勝手にしろ……」すると、そんな私の意気込みが伝わったのか、彼が少し諦めるように呟いた。彼がそう言葉にするときは、決して否定しているのではないということを私は知っていた。なんとか彼に自分の想いが伝わったのかと、胸をなでおろす。「それにしても今のお前はあまりにも普段と違って落ち着かない。早く元に戻せ」「あなたが、引き止めたんでしょ──!」「あぁ。そうだったか。話はもう済んだ」「結局、あなたはあんなことをして、私に何を伝えたかったの……?」「それは……」ただここに連れ込んでキスをして、さっきの仕事を否定しただけ……。って、最初の行動は、本当
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-15
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第49話 求めていた言葉

「わかってるわ。だけど、これも今の私よ。ビジネスパートナーっていうんなら、あなたも今のこんな私にも見慣れて早く受け入れて」「……言うようになったな」「えぇ……。私は、今の私が好きよ。こんなにも違う私になれて、とても心が軽くなって清々しい気持ちなの」「今のお前がか……?」「そうよ。AKIさんも今の私をすごく褒めてくれたわ。最高に素敵だって。私自身もそう思える」「はっ……。またあの男の話か」「だったら何よ……」「本当にあいつは仕事だけの感情か? お前にあよわくばという下心なんかを持ってるんじゃないのか」「……何言ってるの!? そんなことあるはずないじゃない!」どうしてこの人はさっきからAKIさんのことでこんなにも突っかかってくるの!?とんだ思い違いで甚だしいわ……!「どうだかな……。あいつのお前に対してのあの視線や態度は普通じゃなかったぞ」バカにするような言い方をして更に彼が煽ってくる。こんな彼……知らない。一体どうしちゃったの……?「あなた……、少しおかしいわよ?」「何がだ……」「さっきから彼のことであることないこと言って、突っかかってばっかり。彼は誰もが認めるすごいカメラマンよ。そんなこと彼が聞いたら呆れて笑われるわ。そもそもそんなすごい人が私を相手にするはずないでしょ?」「相手にしてきたら、お前はどうにかなるのか……」「はっ!? だからそういうこと言ってるんじゃなくて!」「お前がそう思ってるだけで、向こうは実際どう思ってるかわからないんだ。気を抜くな。隙を見せるな」「だからどうしてそういう話に──!」「絶対口説かれてその気になるなよ」「ちょっ、本当にどうしちゃったの……!?」彼のその言葉が、やけに意味深で、私は少しドキッとする。「お前は俺しか男を知らないんだ」「はっ!?」そんなストレートな言葉まで飛び出して私は動揺してしまう。「お前が痛い目を見るだけだ。ちゃんと身の程をわきまえとけ」「──!!」彼の言う言葉は最もだ。最もだし、自分でも十分すぎるくらいわかってはいるけど、なぜだかこの人にそう言われると無性に腹が立つ。どうして私がこんなに頑張っても、こんなに自分で嬉しくなるほど輝くことも出来たのに、この人は認めてもくれないのだろう。カッコよかったとか、頑張ったなとか、綺麗だったとか……。どんな小さな
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-16
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第50話 嫉妬

【一弥side】一体、俺はどうしたんだ。なんで、杏華にあんなことをした……。勢いよく出て行った杏華をあとにし、残された部屋で俺はようやく冷静になる。あのときは、自分でも気持ちがセーブ出来なかった。杏華が一人遅れて撮影に現れた瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。あれは……杏華なのか……?モデルを始めてから、その仕事を経験していくたび、その都度見たことない杏華が現れる。あんな杏華は見たことがない。おどおどしてるわけでもなく、堂々と自分に自信を持ってまっすぐ前を向いてるあんな杏華が彼女の中で存在していたのだと初めて知った。しかもあんなキツイ濃いメイクや髪型をしているだなんて、ありえない。今まで地味で全然化粧っけもない映えもしなかったあの杏華が。そしてそれ以上に見てて耐えられなかったのが、あの服装だ……。なんなんだ、あれは。どうしてあんなに激しく娼婦みたいに肌を露出しているんだ──!あんなに肩も脚も……露になって、女を全面的に出しやがって……!あいつはあんな格好する女じゃないんだ。あいつの肌は、真珠のように白く輝いて、触れるとその肌触りが気持ちよくて、俺の指も身体も肌もすべて吸いつくように受け入れる。あいつの身体はそれほど魅力的で溺れるほどの……って、違う! そうじゃない!俺はどうしてあんな昔のことを思い出してしまっていたんだ。それもあいつがあんな格好して男を誘惑するようなポーズまでして挑発していたから……!そうだ……。なんなんだ、あれは。あんな姿、あのとき俺にも見せたことがなかっただろう……。あのとき、あんなに、恥ずかしそうにしながら俺にしがみつき、すべてを委ねていたくせに……!あのときのあいつと、さっきのあいつはそれこそ別人だった。しかも俺ではなく、あのカメラマンに、見たこともないそんな真逆のあんな女を全面に出した姿を……!今までもやっぱりそんな姿を誰にでも見せていたのか……?お前はいったいどういう女なんだ。どっちが本当のお前なんだ。どうして俺じゃないあんな男にそんな姿を見せる。どうしてあんな大勢の前で、そんな淫らなお前を見せる。あぁ~!  腸が煮えくり返って仕方ない。どうしてこんなにイライラする!どうしてこんなにあいつにもそれを見ていた男たち皆にも腹が立つ!あいつは俺だけの物だった。女の部分も何も
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-17
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