「クライアントの吉岡社長は、与謝蕪村の熱烈なファンだそうだ!このデザイン案を見たら、どれほど喜ぶか、今から楽しみだな!」「なるほど、そういうことか。すごいな!一体誰が考えたんだ?吉岡社長の好みをどうやって調べたんだろう?」会議室のあちこちで視線が交錯し、一体誰の作品なのかと皆が周囲を見回した。章良は深く感心したようにうなずき、口を開いた。「それでは、正解を発表しよう。この設計案は、我が設計部が手がけたものではない。今回新たに入った臨時スタッフの一人が手がけたものだ!」その言葉に、室内が再びどよめいた。最後列のドアの近くに座っていた夕凪は、驚きと喜びで胸がいっぱいになった。驚いたのは、昨夜徹夜して仕上げたばかりの図面が、なぜ今日、章良の手元にあるのかということだ。嬉しかったのは、章良をはじめとするその場の全員から認められ、高く評価されたことである。激しく胸が高鳴り、興奮で頬が熱くなる。このあと章良が自分の名前を呼び、皆の前に立たせてくれるのだろう。いつ呼ばれてもいいように、少し腰を浮かせてそわそわと身構えていた――「星野紫月さん!」章良が微笑みかけたのは、茜の隣に座る紫月だった。紫月はすぐに立ち上がり、皆のほうを振り返る。割れんばかりの拍手が響き渡る中、紫月は頬を赤らめ、照れくさそうにはにかんでみせた。その一方で、夕凪の顔からはさっと血の気が引いた。まさか……紫月が。どうしてこんなことに?そんなはずがない。若い顔立ちに恥じらいを浮かべる紫月を見つめながら、夕凪の思考は完全に停止していた。たとえ会社の誰かが自分の図面を盗んだのだとしても、それが紫月だとは夢にも思わなかった……章良はにこやかに言った。「紫月さん、みんなにこのデザインのコンセプトを説明してくれないか?」その言葉を聞き、夕凪は一瞬、ほっとした。――あれは私が描いた設計図だ。紫月は見たことがあるだけ!しかも彼女は毎日、仕事をサボってアイドルの追っかけやネットのゴシップ、ゲームばかりしている……デザインのことなんて何もわかっていないのに、コンセプトを説明できるはずがない!夕凪は、紫月が顔色を変えてしどろもどろになる姿を今か今かと待ち構えた。しかし紫月は少しも動揺する様子を見せず、いっそう輝くような笑顔を浮かべて、ペ
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