高倉に案内され、唯は駅前の落ち着いた喫茶店へ入った。窓際の席へ向かい合って座る。注文した飲み物が運ばれてきても、二人はしばらく穏やかな沈黙を共有していた。事件が終わったという安堵からだろうか。その静けさは、不思議と心地よかった。やがて唯が小さく笑う。「こうしてお店でゆっくりお話しするのは、初めてですね」「そうですね」高倉も穏やかに頷く。「いつも仕事のお話ばかりでした」「仕事以外のお話をする機会がありませんでしたから」唯は紅茶を口に運び、ふっと笑みを浮かべた。「高倉さんって、お休みの日は何をしているんですか?」「読書が多いですね。それから散歩でしょうか」「やっぱり」「想像どおりでしたか」「はい。休日もきっちり予定を立てて過ごしていそうです」高倉は小さく笑う。「そこまでではありませんよ」その笑顔を見た唯は、少し驚いたように目を瞬かせた。「どうかしましたか」「いえ……」唯は少し照れたように首を振る。「高倉さん、最近よく笑うようになりましたよね」高倉は一瞬だけ考え込む。「そうでしょうか」「はい」唯は迷いなく頷いた。「最初にお会いした頃は、もっと近寄りがたい印象だったんです」「そのような印象でしたか」「でも今は違います」唯は柔らかな笑みを浮かべた。「すごく話しやすいですし、一緒にいると安心します」その言葉に、高倉は静かに目を細めた。「ありがとうございます」短い返事だった。それでも、その一言には普段よりも温かな響きがあった。少し話題が途切れ、窓の外へ目を向ける。夕暮れの街を、仕事帰りの人々が足早に歩いていく。唯も同じように外を眺めな
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