書店併設のカフェは、焙煎した濃いコーヒー豆と古紙の香りが混ざり合い、冷蔵ショーケースに並ぶケーキからかすかにバニラの香りが漂っていた。木曜の午後、街全体がゆっくりと呼吸しているかのような静けさだった。外の車の音は遠くでかすかに聞こえるだけで、午後の遅い日差しが大きな窓から斜めに差し込み、使い込まれた木の床に黄金色の筋を描いていた。マヤは現代写真の棚の隣のテーブルに座った。いつもそこを選ぶのは、誰かを待っているように見せずに正面玄関が見えるからだ。目の前に開かれた本は、ナン・ゴールディンのモノクロ写真集だった。裸体、しわくちゃのシーツ、そして何かを見透かしているかのような視線。しかし、彼女は読んでいなかった。いや、正確には、視線は写真の上を滑るように流れていたが、心は別のところにあった。7分前――彼女は心の中で数えた――首の後ろに、まるで誰かが触れずに手のひらを置いたかのような、重苦しい感覚がずっと続いていた。それは被害妄想ではなかった。本能だった。気づいたことを悟られないように、ゆっくりと、マヤは視線を上げた。低いテーブルが並ぶ狭い通路の向こう側、約5メートル先に、彼がいた。エリック。もちろん、彼女はまだ彼の名前を知らなかった。しかし、彼女の脳はすでに、危険と好奇心を同じ音節で表すような名前を、この見知らぬ男につけていた。彼は濃いグレーのドレスシャツを着て、袖を前腕まで捲り上げ、浮き出た腱を見せていた。左手首にはシンプルな黒い革のブレスレット。ペン――マットブラックのモンブラン――は宙に浮いていて、ペン先は目の前の開いたモレスキンノートから数ミリのところにあった。見えるページには何も書かれていない。ただ空白の行と、約束のように映る彼の手の影だけがあった。彼女の視線と目が合っても、彼は目をそらさなかった。瞬きもせず、微笑みもしなかった。彼はただじっと彼女の視線を見つめていた。その視線はまっすぐで、穏やかで、静けさの中にどこか傲慢ささえ感じさせた。まるで彼女が先に折れるのを待っているかのようだった。マヤは背筋に熱がこみ上げてくるのを感じた。それはまるで熱い油を注がれるように、ゆっくりと、そして意図的に伝わってきた。彼女は鼻から深く息を吸い込み、指先に今にも震え出しそうなかすかな震えを隠そうとした。計算されたような動作で本を閉じると、ハードカバーが裏表紙に
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