やはり、千歳の仕業だった。昨日の三久の話が、まさに図星を突いていたのだ。由樹に関することとなれば、千歳はいつでも真っ先に三久を思い浮かべる。悪いことなら責任を押しつける相手に、良いことなら見せびらかす相手にしていた。「部長、申し訳ありませんが、私にはお引き受けできません」三久は申し訳なさそうに頭を下げた。「辞めるつもりでいますので。月末には退職します」部長の顔色がわずかに変わった。三久が辞めることそのものは驚くにあたらない。秘書職から総務部への異動など、誰であっても受け入れがたいものだ。辞めるのは時間の問題だと分かっていた。問題は、三久があえて千歳の顔を潰すような真似をしたということだ。もしかすると、どうせ辞めるのだからと開き直っているのかもしれない。だが三久が去れば、千歳が黙っているはずがない。部長は自分に火の粉が飛んでくるのを恐れた。「早坂さん、酒井社長と村上さんの婚約の準備が終わったら、すぐに退職を認めるから!あと数日だけ残ってくれないか!」部長の口調には、有無を言わせぬ響きと、いくらかの懇願とが入り混じっていた。三久はもはや秘書ではない。退職を認めてもらえるかどうかは部長次第で、彼女自身に選択の余地はなかった。「分かりました。よろしくお願いします」部長はほっと息をついた。「君のチームの新しいメンバーは、もう配属が済んでいる。顔を出してみてくれ」三久は頷き、部長室を後にした。急遽編成された第十六グループには、他のグループから異動してきた者が二人、新たに加わった者が二人いた。そのうちの一人は、三久にとって見覚えのある顔だった。奈緒だ。「私たち二人が、村上さんとのやり取りを主に担当することになったの」奈緒は顎をわずかに上げ、居丈高な態度で言った。「三久、あなたはまず予算案を作って。いくつか案を出して、私に提出しなさい」百栄を辞めてから、奈緒はずっと三久の悪評をあちこちに広めていた。三久は、退職した腹いせに自分へ嫌がらせをしているだけだと思っていた。だが今ようやく分かった。千歳が仕組んだことだったのだ。千歳がどんな手を使って奈緒を呼び戻したのかは知らない。三久はただ、自分の仕事をこなすことに徹した。三久は奈緒を除く全員に、それぞれ仕事を割り振った。式場探し、花の手配、招待状のデザイン
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