窓の外で雀が鳴いていた。障子の隙間から朝の白い光が薄く差し込んでくる。微睡(まどろ)みの中で、薫子は自分の頬が誰かの胸に押しつけられていることに気がついた。 とくり、とくり、と刻まれる、規則正しい鼓動。あたたかい、生身の体温。 長い夜の終わりに、その温度を確かめるように薫子は薄く瞼を開けた。 黎斗が、隣で眠っていた。 眠っている彼をこんなにも近くで見るのは初めてのことだった。眉間の険しい皺は消えていた。長年、世界中の敵意を一身に受けていた、その硬い表情の代わりに、頬には淡い陽の影だけが落ちている。乱れた前髪の下、閉じられた瞼の睫毛が、思ったよりずっと長くて——薫子は、ふっと、笑ってしまった。 (こんなお顔も、なさるのね) 薫子はそっと指を伸ばし、彼に触れようとした時――
اقرأ المزيد