Tous les chapitres de : Chapitre 31 - Chapitre 40

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第8話 求められて…… 03

 黎斗の手が薫子の下腹部へ滑り込んだ瞬間、彼女の身体が弓なりに跳ねた。 「っ……ん!」  抗議の声は唇で塞がれ、唾液が糸を引くほどの激しい口づけに変わる。 「啼いても誰も来ない。思う存分乱れるがいい」  冷酷な命令と共に膣内に異物感が走る。中指が蜜壺を探るように動く度、「いやっ……」という声が漏れるのに黎斗は口元を歪めた。 「聞こえないな。もっと啼け」  ぐちゅり、という淫靡な音が静寂を破る。人差し指まで挿入されると薫子は必死に黎斗の袖を掴んだ。 「やぁっ……そんなに……黎斗さまっ……」  懇願する瞳に嗜虐心が煽られる。だがその奥底に見える純真さに黎斗は歯を食いしばった。引き抜いた指に絡んだ透明な蜜を見て彼は嗤う。 「あの男にも同じように誘惑したのだろう? 俺にもやってみせろ」 「そんなことしておりません! わたくしは――っん、むうっ……」  ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てながら舌を絡ませ、卑猥な音を響かせる。やがて彼の唇や舌はそのままつうっと薫子の肌を伝い、先端のいちばん敏感な部分に触れる。 「きゃあっ……あ、あ……っ」  初めての快感に思わず体がぶるりと震える。白濁の靄がかかり、知らずと卑猥な声が漏れる。 「あ、れ、黎斗さま……もう、っ、ぁあ……」「男を惑わす声だ。その美しい声であの男を誘惑したのだろう!」 「ち、違いますっ……ひ、あぁ……!」  先ほどの男――どこの誰かはわからないが、挑戦的な目を思い出すと、腹の底から怒りが沸いてくる。 黎斗は怒りに身を任せ、荒々しい指で薫子の花弁を開いた。どうやら今の乱暴な愛撫でも感じたようで、彼女の秘密の密林は濡れていた。割れ目に人差し指を埋めると、薫子は「ひぅっ!」と喉を鳴らして背筋を弓なりに反らせた。初々しい反応に黎斗の目に昏い満足感が宿る。 「何人
last updateDernière mise à jour : 2026-05-05
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第8話 求められて…… 04

 黎斗の舌が蕾の最奥を容赦なく突き上げ、熱い口腔が彼女のすべてを飲み込まんとする。薫子は逃げ場のない快楽の波に呑まれ、狂おしく頭を振り乱した。 「黎斗、さま……もう、壊れて……しまう、っ……!」  溢れ出す蜜に濡れた彼女の太腿が、黎斗の頭を挟み込むように震える。それは拒絶ではなく、これ以上ないほどの依存の形だった。黎斗は彼女の悶える様を片時も離さず見つめ、鼻腔を満たす彼女の香りに陶酔する。鈴子が振りまく人工的な香水とは違う、命の根源に触れるような、清らかで甘い神凪の芳香。  やがて、黎斗は濡れた口元を離すと、自身の欲望を解放した。黒竜の血が沸き立ち、熱を帯びたそれは、もはや一刻の猶予も許さないほどに猛り狂っている。 「刻みつけてやる。お前の奥深くに、俺以外の男を受け入れられぬほどの毒を」  黎斗は薫子の膝を大きく割り、その境界へと自身を押し当てた。初めての質量に、薫子の瞳が恐怖と期待で大きく見開かれる。「あ……ぁ……」 一気に貫かれた衝撃に、薫子の声は音にならない悲鳴となって消えた。 (思った以上に狭い……これは……もしかして――)  黎斗の脳裏に疑問が浮かんだが、彼女が淫乱で売女、詐欺師だという鈴子の残した偽の記憶が、彼の中から慈悲を消し去った。 (惑わされるな。この女は妹を食い物にする悪どい女だ)  黎斗は構わず侵入を続けた。あまりの熱さと、内側を内臓ごと押し広げられるような圧迫感。しかし、その苦痛はすぐに、脳を溶かすような濃厚な熱情へと変質していく。黎斗は彼女の腰
last updateDernière mise à jour : 2026-05-06
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第9話 仕掛けられた罠 01

 夜が白み、まだ完全に日が昇る前だったが、薫子は意識を取り戻した。普段閉じこめられている地下等ではなく、天井が遠く明るい。天井は贅を尽くした装飾に彩られ、和の美しさを際立たせていた。 薫子がゆっくりと目を開け、隣を見る。そこには眠りにつく黎斗の横顔があった。  昨夜の嵐のような情熱が嘘のように、その寝顔は幼く、どこか悲しげに見える。(黎斗様……)  薫子がそっと彼の頬に触れようとしたその時だった。長い睫毛が震え、紅色の瞳が開かれた。だが、そこに宿っていたのは昨夜の熱情ではなく、射抜くような冷徹な光だった。「……離れろ」  黎斗は伸ばしていた薫子の手を無情に振り払い、跳ね起きる。彼の視線は、薫子の白い肌に刻まれた、自らがつけたはずの情事の跡に止まった。 (なんだこれは……地下で男と通じていた女を、俺が抱くはずがない) (昨夜のことは、俺の意思ではない。薫子が俺を誘惑し、無理やり……) ひどく痛む頭を押さえ、黎斗は乱れた着衣を元に戻した。「いつまでそこにいるつもりだ」「も……申しわけございません」「目障りだ。失せろ」 ばさっと薫子のために用意をしていた着物を投げつけ、背を向けた。  彼の中で鈴子の呪いがまだくすぶっている。今、薫子を自分の傍から離しておかないと、また傷つけてしまうことを畏れていた。どうしていいのかわからなくて、冷たい態度になってしまう。  ほんとうは、薫子を慈しみたい。  昨日のことが夢ではなく、温かな、彼女こそが自分の求めていた心焦がれる女性だったのではないかと、錯覚してしまいそうになる。(どうすればいいのだ……) 薫子が去った後、彼女が眠っていた寝具の上に黎斗は自分の体を重ねるようにその身を置いた。 懐かしく、優しい香りがする。 この温もりを欲しているはずなのに、なぜ、拒否してしまうのかわからない。 本能なのか、竜の血のせいなのか。どれがほんとうで、どれが嘘なのかわからない。 ただ、女性を抱いていて、あんなに心地よく感じたのは初めてだった。  ひどい言葉で詰(なじ)り、傷つけてしまったが、彼女は許してくれるのだろうか――(はっ。なにをバカな) (詐欺師に許しを請うなど、言語道断) 心とは裏腹に、体は薫子の温度を求めていた。彼女の香りが消えるまで、黎斗は寝具を抱きしめていた。 ※ 一方、琥珀に妖力
last updateDernière mise à jour : 2026-05-07
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第9話 仕掛けられた罠 02

  自室で薫子が支度を整えていると、そこへ黎斗が訪ねてきた。下働きが着用するエプロン姿を見て、黎斗は顔をしかめた。 「今日から下働きは一切禁止だ。当主の命があるまで、この部屋を出ることも許さん」   黎斗の冷徹な声が降ってくる。 「……ですが、わたくしは女中として……」 「黙れと言っている。今のお前の顔色は、死人より酷い。目障りだ……ここで休め」   そっけなく吐き捨てるような物言い。だがその瞳の奥には、薫子の疲弊した体を案じるような、落ち着かない色が微かに混じっている。彼は薫子に背を向け、足早に去っていった。  ひとり残された部屋。  薫子は、昨夜の指先の熱を思い出し、心細さに体を丸める。  (やはり、わたくしは迷惑な存在でしかないのね。あんなに熱く求めてくださったのも、すべては呪いの血のせい……) (でも、ここでどうやって時間を潰せばいいのかしら……お役に立てるよう、せめて勉学に励みましょう)  使用人に黒竜家の歴史について書かれた本がないか、尋ねてみた。しかしそれらを管理しているのは当主様で、持ち出すにも彼の許可がいると言われてしまった。   (黎斗様にお願いしてみよう)   そう
last updateDernière mise à jour : 2026-05-08
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第9話 仕掛けられた罠 03

「だったら昨日、地下にいた男はなんだ!」  黎斗は意を決して、ずっと気になっていたことを口にした。「あれは……薫子の恋人ではなかったのか!」  黎斗の空気が、一瞬で凍りついた。紅い瞳に嫉妬にも似た暗い炎が宿る。「琥珀は千代の使い……いえ、飼い鳥です。昨夜、わたくしの霊力に当てられて、一時的に人の姿を借りていただけなのです。鷹が擬人化した姿……それが、彼――琥珀の正体です」「鷹……?」「はい」「恋人ではなかったのか」「決してそのようなことはございません」 黎斗の表情が、目に見えて凍りついた。  男。地下。密会――脳内を支配していたどろどろとした疑念が、音を立てて崩れ落ちていく。(――鳥、だと?) 自分は千代の飼い鳥に嫉妬し、ライバル視して、挙句の果てに彼女を傷つけたというのか。  黎斗の顔が、わずかに朱に染まる。彼は拳を口元に当て、気まずそうに視線を泳がせた。「……鳥、だったのか」 「はい。千代が大切にしている……家族なのです」 沈黙が部屋を支配する。  黎斗はしばらくの間、己の浅はかさと葛藤しているようだったが、やがて絞り出すような声で呟いた。「…………悪かった。俺の、勘違いだったようだ」 その言葉は、消え入りそうなほど小さかった。  だが、誇り高い彼が初めて見せた、不器用な歩み寄り。 彼はそのまま部屋を出ようと踵を返したが、そのまま立ち止まった。振り返ることなく、だが低く、どこか愛おしさを隠しきれない声が響く。「薫子……しっかり食べて、早く元気になるんだぞ。これは命令だ」 その言葉と共に彼は去っていった。(今……黎斗様が、わたくしを気遣ってくださったの……?) 胸の奥が、ぎゅっと締め付けられるように熱くなる。  冷たい氷の奥に見えた、ほんの少しの熱。  それだけで、これまでの苦しみさえも報われてしまうような気がした。 薫子を直視できなくなり、たまらず廊下に出た黎斗は、真っ赤になった顔を手のひらで覆っていた。 (……早く元気になるんだぞ、などと。俺は、なにを子供のようなことを……!)(しかも命令だ、などと余計なひとことまで……!) 自分の心臓がうるさいほど脈打っている。  もはや、術の力で制御できないほどに、彼の心は薫子に支配されていた。 今、彼の口元には柔らかな笑みが浮かんでいる。だが、その幸福な熱
last updateDernière mise à jour : 2026-05-09
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第9話 仕掛けられた罠 04

 部屋に残された薫子は、黎斗が置いていった粥を一口、また一口と、慈しむように口へ運んでいた。  粥はまだ温かく、喉を通るたびに冷え切っていた体と心が解きほぐされていく。 体に残る、昨夜彼が刻みつけた情熱の痕が、今はなぜか熱く疼く。黎斗はあんなに冷たく突き放しながら、不器用ながらも体調を案じてくれた。(……黎斗様) しかし、薫子はまだ知らない。  その扉のすぐ向こうで、黎斗が再び深い闇に堕ちてしまったことを。  ※ 数日が過ぎ、屋敷は異様な熱気に包まれていた。あれから昼は冷たくされるが、夜は『竜の血を鎮めるため』と称し、夜な夜な黎斗から体を求められた。 昼は氷のように冷たく、夜は焼けつくほどに熱い。 そんな歪(いびつ)な二面性に、薫子の心は少しずつ、黎斗へ傾いていった。  太陽が昇っている間、黎斗が薫子に向けるのは「軽蔑」という名の刃だけだった。  廊下ですれ違えば、彼は汚いものを見るかのように視線を逸らし、短く「近寄るな」と吐き捨てる。粥を運んでくれたあの朝の温もりを求めて縋ろうとしても、黎斗は振り返らずに薫子の前から去っていく。 だが、夜の帳が下りると、すべては一変する。  寝室を訪れる黎斗は、獣のような飢餓感を瞳に宿し、強引に薫子を組み敷く。「……っ、黎斗様……! あっ……」 「黙れ。これは竜の暴走を鎮めるための儀式だ。余計な声を出すな」  冷たい言葉とは裏腹に、薫子を抱き締める腕には優しい。決して彼女を傷つけたりしない。  竜の呪いが脈動する彼の肌はひどく熱く、薫子が『神凪』の霊力を流し込むたび、彼は溺れる者のように彼女の肌に顔を埋め、深く、執拗にその香りを吸い込み食らいつく。 薫子の夜伽は義務だと言いながらも、安らぎを得る黎斗。行為の後、触れ合う肌から伝わってくるのは、狂おしいほどの独占欲。そして優しく掻き抱かれ、まるで宝物をその腕に閉じこめるようにするのだ。 矛盾した行為が、薫子を混乱させる。そんな中、またも彼女を惑わせるようなことを黎斗が言い出した。「披露目の式は延期する」 突然、黎斗が言い放った。「……式の、延期?」 薫子の声が微かに震える。抱きしめられた腕の中から見上げれば、黎斗の紅い瞳にはいつもの冷徹な仮面の裏で、激しく揺れ動く困惑が滲んでいた。「……理由はわからん。ただ、お前を抱くたび、……薫子の代わり
last updateDernière mise à jour : 2026-05-10
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第10話 薫子、屋敷を去る 01

 あれから時が過ぎた。  延期された祝言の日は、残酷にも巡ってきた。いよいよその日が明日に迫っている。  黒竜家の屋敷では、大勢の人間を招いて、鈴子を紹介するというパーティーたるものを開くことになっていた。現在の薫子ではなく、鈴子が本来の妻であると、そう訂正、説明するためのもの。そして明日、改めて鈴子と祝言を上げる。それが実際の結婚式にあたるものとなる。 参列するのは、黒竜家の一族を牛耳る数人の重鎮と、他家からの目付け役である有力者のみ。そして白藤一家とその親族たち。彼らの前でまずは事実の訂正を行うのだ。 「……お姉様。ようやくこの日が来ましたわね」  鈴子の身支度を整える薫子の背後で、妹が低く笑った。  鈴子の肌はこの一か月でさらに土気色を増し、今や白粉をどれほど厚く塗っても、その奥に潜む「崩壊」を隠しきれなくなっている。彼女にとって、この儀式で黎斗との絆を「血」で上書きし、薫子を抹殺することは、もはや生存のための絶対条件だった。 あの日、披露目式を待たずに姉を大罪人に仕立て上げる――その計画は、今日、行うこととする。  実はこの紹介パーティーは、鈴子のアイディアだった。急に祝言(結婚式)に姉と妹が妻と入れ替わりなどがあった場合、黎斗の沽券に関わるとそそのかし、まずは重鎮の関係者を集めさせた。  ここで問題が発生すれば、薫子は終わる。 もっと早くに執り行いたかったが、なんと黎斗が鈴子との披露パーティーの日取りを延ばすと言ってきたのだ。そのため、大掛かりな場で姉を陥れることを思いついた鈴子は、今日という機会を狙っていたのだ。「お姉様のおかげで美しくなりましたわ」「よかったわ、鈴子」  黎斗に命令され、鈴子の支度を手伝っていた薫子は、そうは言うものの内心は複雑だった。  夜ごとに黎斗に抱かれ、身も心も彼に捧げてきた。  夜の彼は壊れ物を扱うように自分を愛し、その腕の中で「行かないでくれ」と子供のように縋ったこともあった。  だが、朝日が昇れば、彼はその記憶をすべて切り捨て、彼女に軽蔑の言葉を投げつけた。 (黎斗様……)  いよいよ彼は鈴子のものになってしまう。本来なら身代わり婚で選ばれたのは自分だったはずなのに。  彼の妻となったのは、こちらの方が先だったのに。  鈴子は昔からなんでも薫子のものを
last updateDernière mise à jour : 2026-05-11
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第10話 薫子、屋敷を去る 02

(なぜ……こんなにも胸がざわつくのだろう。彼女こそが本物の俺の花嫁のはず。そもそも彼女に結婚を申し込んだのだ。俺の呪いの浄化ができるのは、高貴な巫女のみ。それを――……)  黎斗は痛む頭を少しだけ抑えた。大勢いる前で弱い所は見せられない。黒龍家は、この呪いの血と共に帝都を反映させてきたのだ。運命の番を探し、浄化できる巫女を求め、一生涯、この身を捧げ、呪われた自分に安息をくれる伴侶である番だけを愛しぬこうと考えていた。  それが――……目の前にいる女性の滲み出る醜悪さといったら、とても言葉にはできない。  赤いドレスを身にまとい、勝ち誇った笑みを浮かべて彼と対面する彼女は、まさに正妻の座を手に入れた勝利者の姿だった。  黎斗は無意識に薫子の姿を探した。彼女のためにあつらえた着物ではなく、千代たちと同じような女中の服に身を包んでいる。 (なぜ、薫子が――……) 着飾ってもいない彼女の方が、目の前の鈴子よりもはるかに美しいと感じるのはどうしてか。  その答えは、黎斗にはわからなかった。 「黎斗様、本日は白藤家より、愛の誓いとして、我が家に伝わる至宝を献上したく存じます」  鈴子が声を張り上げると、重鎮たちがどよめいた。  彼女が差し出したのは、精巧な装飾が施された小さな桐箱。中には、白藤家の守護石であり、持つ者に莫大な霊力を与えるとされる『白藤家に代々伝わる国宝級の神器・竜の涙』が収められている。 「これこそが、私が貴方様の真の伴侶である証にございます。……さあ、黎斗様。どうぞ、お受け取りくださいませ」  鈴子が一礼し、黎斗に箱を献上する。彼女に倣って一礼した黎斗は、恭しく箱の蓋を開ける。
last updateDernière mise à jour : 2026-05-12
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