画面を見た瞬間、充の心臓は喉元までせり上がった。指先まで冷たくなる。深く息を吸い込み、胸の動揺を無理やり押し殺すと、翠に黎を任せ、そのまま足早に廊下の奥へ向かった。誰にも聞かれない場所まで来てから、ようやく電話に出る。奈緒の声は荒く、切迫感に満ちていた。「さっき悪い夢を見たの。黎がずっと高熱を出して、痙攣まで起こしてた!あの子は本当に大丈夫なの?本当のことを教えて!」充は必死に平静を装いながら答えた。「大丈夫だよ。安心して、元気にしている」「信じられない!」奈緒は即座に言い返した。「今すぐそっちへ行くから。黎を返して。あんなに現実みたいな夢を見るなんて初めてなの。自分の目で確かめないと安心できない!」充は胸の焦りを押し込み、少し声を強めた。「奈緒、俺だって黎の父親だ。黎を傷つけるわけがないだろ?祖母も父も母も、みんな黎を可愛がってるから、もう少しこっちで過ごさせたいんだ。お前が来ても会わせるつもりはないから、来なくていいぞ」そう言い切ると同時に、充は奈緒の返事を待たず電話を切った。充の顔は青ざめ、手のひらには冷や汗が滲んでいた。電話を一方的に切られた奈緒の指も、関節が白くなるほど握り締められていた。嫌な予感だけが、胸の中で際限なく膨らんでいく。母親である自分には分かる。絶対、黎に何かがあった。そうでなければ、ここまで胸騒ぎがするはずがない。みんな黎を可愛がっている?そんな充の言葉など、微塵も信じられなかった。翠の身勝手さ、麟太郎の徹底した打算、そして充の傲慢さ。青木家に心から信用できる人間など一人もいない。そんな人たちに黎を預けることは、娘の命を賭けるのと同じだ。蘭も同じく、一睡もできずにいた。暗い表情で階段を下りてきた奈緒を見るなり、慌てて駆け寄り、その手をぎゅっと握る。「奈緒、黎ちゃんはどうだった?やっぱり、青木家なんかに預けちゃだめ。一刻も早く連れ戻さないと!私も昨日の夜から胸騒ぎがして、ずっと眠れなかったの」奈緒は深く息を吐き、蘭の震える手をさすって落ち着かせた。そして蘭の目の前で、海外へとビデオ通話をかける。画面が一瞬光り、すぐに繋がった。画面にはギルが映し出された。端正な顔立ちに、揺るぎない落ち着きをまとっている。「奈緒、ウォール街のチームにはもう準備をさせて
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