奈緒の迫力に、医師は思わず身体を引いた。慌てて眼鏡を直し、今度は表情を和らげる。「本当に幸いなことに、先ほど骨髄穿刺の細胞形態検査の結果が出まして、黎ちゃんの骨髄から、白血病細胞は確認されませんでした」奈緒は眉を寄せたまま、さらに聞く。「それって……どういうことですか?もっと分かりやすく言ってください」医師はうなずいた。「結論から申し上げると、黎ちゃんは白血病ではありません。これまでの経過と合わせて考えると、重いウイルス感染による類白血病反応だと思われます。骨髄の造血機能そのものは正常でした。血液検査で非常に異常な数値が出たのは、身体が強い感染症と戦っていたためです。つまり、今回は白血病ではありませんので、感染症をきちんと治療すれば、回復が見込めるでしょう」その説明を聞き終えた瞬間、奈緒の全身が震え始めた。足に力が入らない。嬉しいのか、安心したのか、それとも張り詰めていたものが一気に切れたのか、自分でも分からなかった。仁哉はすぐに椅子を引き寄せ、奈緒を座らせる。頬を伝う涙を拭いながら、奈緒は大きく息を吐いた。胸にのしかかっていた重石が、一気に消えたようだった。そして思わず医師の肩をつかむ。「じゃあ……娘は白血病じゃないんですよね?本当に、違うんですよね?」医師は少し驚きながらも、何度もうなずいた。「もちろん、完全な健康体とは言えませんが、白血病のような状態ではありませんので、きちんと治療すれば治る病気です。そこは安心してください」その瞬間、心だけでなく体全体から力が抜け、体は羽のように軽くなった。奈緒は込み上げる感情を抑えられずに、涙を流しながら笑う。「よかった……本当によかった……白血病じゃないなら、それで十分……」両手を胸の前で合わせ、何度もつぶやく。「神様、ありがとうございます。黎が無事で、本当によかった……」仁哉もそばでその様子を見つめながら、目元をわずかに潤ませていた。黎の病気を聞いた瞬間から、胸の奥には重いものが居座り続けていたため、この数日、奈緒だけではなく、仁哉もずっと気が気ではなかったのだ。それがようやく消えた。これ以上ないほど嬉しい知らせだった。仁哉も奈緒と黎のために、心から安堵した。そのとき、診察室のドアが慌ただしくノックされ、健二が勢いよく入っ
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