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第487話

Author: 森の小鹿
充は反射的に佳乃を引き離そうとした。

その瞬間、背後から蛍の冷ややかな声が飛んでくる。

「へえ。娘が病気なのに、病院の前で女といちゃつく余裕はあるんだ。やっぱり、最低な男は最低なまんまなんだね」

充の身体が固まった。すぐに佳乃を押し離し、充が振り返ると、そこにはラフな服装にリュックを背負った蛍が立っていた。充を見る目は、明らかに険しい。

充も眉をひそめたが、彼が何か言う前に佳乃が割って入った。

「あなた誰?私の彼氏に、何その言い方!」

充は目を見開いた。

充が訂正しようとしたその瞬間、「彼氏」という言葉を聞いた蛍が、一気に捲し立てる。

「はあ!?あんた奈緒との離婚を引き延ばしておいて、もう別の女と付き合ってるの!?ずいぶん器用なことしてるじゃない!」

蛍は佳乃を上から下まで眺め、思わず鼻で笑った。

「それにしても……趣味悪すぎない?奈緒みたいないい女を放っておいて、なんでこんな派手な七面鳥みたいなの選ぶわけ?」

その一言で、佳乃の顔が一気に赤くなった。真っ赤なネイルの指を蛍へ突きつける。

「な……誰が七面鳥よ!

私が誰だか分かって言ってるの!?そんな口を利いて
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    充は反射的に佳乃を引き離そうとした。その瞬間、背後から蛍の冷ややかな声が飛んでくる。「へえ。娘が病気なのに、病院の前で女といちゃつく余裕はあるんだ。やっぱり、最低な男は最低なまんまなんだね」充の身体が固まった。すぐに佳乃を押し離し、充が振り返ると、そこにはラフな服装にリュックを背負った蛍が立っていた。充を見る目は、明らかに険しい。充も眉をひそめたが、彼が何か言う前に佳乃が割って入った。「あなた誰?私の彼氏に、何その言い方!」充は目を見開いた。充が訂正しようとしたその瞬間、「彼氏」という言葉を聞いた蛍が、一気に捲し立てる。「はあ!?あんた奈緒との離婚を引き延ばしておいて、もう別の女と付き合ってるの!?ずいぶん器用なことしてるじゃない!」蛍は佳乃を上から下まで眺め、思わず鼻で笑った。「それにしても……趣味悪すぎない?奈緒みたいないい女を放っておいて、なんでこんな派手な七面鳥みたいなの選ぶわけ?」その一言で、佳乃の顔が一気に赤くなった。真っ赤なネイルの指を蛍へ突きつける。「な……誰が七面鳥よ!私が誰だか分かって言ってるの!?そんな口を利いて、ただで済むと思わないでよね!ほ……本当に……」人前でここまで露骨に馬鹿にされたことなどなかった佳乃は、怒りのあまり、言葉がうまく出てこない。蛍は腕を組み、余裕たっぷりに笑った。「七面鳥みたいな格好してる人を七面鳥って言っただけ。でも、まともな神経してる人間なら、普通、病院にそんなド派手な格好で来る?ここは病院で、授賞式のレッドカーペットじゃないんだけど?少しは患者さんに配慮するっていう常識、持ったら?」蛍は最後に呆れた目を向けると、そのまま踵を返した。そして何事もなかったかのように、入口を通って病院の中へ入っていく。仁哉があらかじめ話を通していたため、蛍は止められることもなかった。その様子を見て、充の顔がさらに険しくなった。佳乃のことなど気にする余裕もなく、充は佳乃の腕を無理やり掴んで言った。「佳乃、俺たちも入ろう」佳乃は蛍に散々言われ、まだ怒りが収まっていなかった。目を赤くし、不満そうに甘えた声を出す。「充、今の女誰なの?私にあんな言い方したのに、あなた何も言ってくれなかったじゃない……」充は淡々と佳乃の手を外した。「あれは、奈緒

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    一方、奈緒は会場を出るとアクセルを踏み込み、二人の新居である水鏡ヶ丘の家へと車を走らせた。そして、ドアを開けると、昔からいる使用人の井上恵(いのうえ めぐみ)と、奈緒が雇ったベビーシッターの黒崎香織(くろさき かおり)が、一緒になって赤ちゃんをあやしていた。二人は、奈緒の顔が真っ青なのを見て、ぎょっとした。「奥様、どうかなさいましたか?」そう言われ奈緒は、なんとか笑顔を作って答えた。「なんでもないの。お腹が空いちゃって。温かいうどんかなんかを作ってくれる?」そして、香織から赤ちゃんを受け取ると、奈緒の荒れ果てた心は、そのあどけない寝顔を見てようやく落ち着きを取り戻した。

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