All Chapters of RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~: Chapter 101 - Chapter 110

121 Chapters

第101話 怪獣襲来

 広場は華やかなムードである。 軽快な音楽に合わせて踊る町民たち。男女のペアが時々その場でくるくると回っている。とても賑やかだった。焼きそばを食べ終えたウミはオレンジジュースを飲みながら観賞していた。はふぅと吐息をつく。 ベルフラウとトウマはとても楽しそうにダンスをしている。幸せそうな笑顔だった。 けれど、ウミの胸には寂しさがかすめる。(私もペアが欲しいですぅ) ふと気がついてステータス画面を出した。 そういえば、アイちゃんはどこへ行ったでしょうか? この場にはいない。 フレンド項目をタップすると、アイギスの名前には緑色のランプが点灯していた。まだインしているようだ。というか、彼女はログアウトをできない。主人がログインしないせいで、アイギスはログアウトをするともう出現できないのだった。(電話をかけてみるです) アイギスへの通話をタップする。 コール音が何度も鳴った。 だけど出ない。 取り込み中なのかもしれなかった。 あうぅ。 出ないです。 あまりしつこくかけるのも悪い。 ウミが通話終了の赤いマークを押そうとした時だ。 電話がつながった。「もしもし、ウミちゃん!?」 画面からアイギスの焦ったような声が響いた。彼女は走っている最中なのか息が弾んでいる。 ウミが話しかける。「アイちゃん、すいません、何度もコールしてしまって」「助けて!」 切羽詰まった声だった。 ウミは眉を寄せて画面に顔を近づける。「助けてって、どうしましたか?」「クレナイに追われてる!」「本当ですか!? 今、どこにいるですか?」「今、広場に向かってる」「ここまで来れますですか?」「何とか」 そこで通話が切れた。 ウミは血相を変えてオレンジジュースのコップをテーブルに置いた。椅子から
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第102話 町を守るために

 トウマがグリーンの戦車によじ登る。 ハッチを開いて搭乗した。運が良いことに鍵は付けっぱなしだった。鍵を回して戦車を駆動させる。迫力のある音と共に動き出した。トウマはハンドルを回してアクセルを踏む。車体を動かしてルーインメイデンに主砲を向けた。 アストラブールの広場前では女性悪魔、ルーインメイデンが立て続けに青いビームを撃っている。建物が次々に破壊されていた。ベルフラウは単身で矢面に立ち、左手のひらを胸元に掲げる。唱えた。「メイクアップ」 左手のひらに小さな丸い手鏡が生まれて虹色の光を放った。ベルフラウの顔が一段と綺麗になる。手鏡が消えると、ベルフラウはルーインメイデンを睨みつけた。「いつでも来なさい。そのビーム、躱してあげるわ」 ルーインメイデンの頭上ではクレナイがあぐらをかいており上機嫌で膝を打っていた。クレナイはベルフラウを指さして命じる。「さあルーインメイデンよ。あの女を葬り去るのだ」「了解だっちゅん! くらえっ! ルーインウェイブッ!」 悪魔の人差し指から青いビームが発射される。 ベルフラウは横に素早く跳んで回避した。青いビームが地面に突き刺さって土をえぐる。土が焼け焦げて痛々しい傷跡を残した。 ルーインメイデンが悔しそうにつぶやく。「当たらないっちゅん!」「ルーインメイデンよ。もっと良く狙うのだ」「了解了解! 今度は命中させるよおおっ」 ルーインメイデンが両手の人差し指を使い、次々に青いビームを放つ。しかしベルフラウはすばしっこく横に跳んでどれも避けてしまう。地面が次々とえぐれて焦げ臭い匂いが漂った。クレナイはさすがにイラついてきた。「ルーインメイデンよ、当たらぬではないか!」「そんなこと言ったってご主人ー、あいつ速いっちゅん。こっちの攻撃が読まれていると思うのね。ご主人、ちょっと行って倒してきてよん」「ちっ、使えんな」 クレナイは手のひらにあごを乗せて悪態をつく。 その時だ。 ベルフラウの後ろにグリーンの戦車が現れた
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第103話 シンデレラタイム

「おじさま、踊っていただけます?」 ベルフラウが歌うような声で誘う。 アストラブールの西大通りでは全ての屋台が潰れていた。ルーインメイデンに破壊されたのである。これではせっかくのお祭りが台無しだ。他プレイヤーや町民は逃げ出しており、辺りにはベルフラウたちとクレナイしかいない。太陽は西に傾いていき、空が夕焼け色に染まりつつあった。 ベルお姉様ファンクラブ会員:お姉様、頑張って! 孤高の親衛隊:我らのお姉様が負けるはずがない。 レディミラージュ:こっちの配信にもお邪魔させてもらおうかしら。 夜月:お初にお目にかかります。ベルフラウさんの腕前を拝見させてもらいに来ました。 クレナイが左手の指でタバコをつまみ、煙をくゆらせる。「良いだろう。貴公とのダンス、謹んでお受けするのである。それでは、行くぞ」 ベルフラウはメイクアップのスキルをすでに唱えてある。 彼女が周囲に呼びかけた。「みんな! 後はあたしがやるから!」「分かった、ベルフラウ、頼むぞ」 トウマが返事をする。 他のみんなも首肯した。 ベルフラウが伸ばしていた右手を下ろす。言葉を紡いだ。「来なさい!」 クレナイは身体を左右に振る。独特なステップで地面を滑った。石畳と靴が擦れてぞおおと音が鳴る。「一対一で我が輩にかかってくるとはな。女にしては中々肝が据わっているのであーる。気に入ったのだ。よって、本気を出させてもらうのである!」「それは光栄ね」「行くぞ行くぞ行くぞ行くぞ!」 クレナイがベルフラウに接近する。回し蹴りを放った。「せいはーっ」「甘いわっ」 ベルフラウは右にひらりと避ける。すり抜けざまにクレナイの脇腹をダガーで斬り裂いた。「何と!?」 クレナイが驚きの声を上げている。 ベルフラウはダガーを振りながらくるくると横回転してクレナイに迫る。曲芸のような動きだ。クレナイは両手の拳を振ってパンチを繰り出す。しかしベルフラウに全て防がれた。 お互いの攻撃が交差して小気味の良い音が鳴っている。 クレナイの顔に明確な焦りが浮かんだ。彼がバックステップを踏む。距離を取った。「我が輩より速いだと?」「あたしはウサギちゃんのように速いのよ」「ふむ、アジリティが高いと見える。では! 我が輩はここで、闘技祭二位の賞品を使わせてもらうのだ」 クレナイがステータ
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第104話 グラスオースへようこそ

 海辺のカモメレストラン。 砂浜では波が静かに揺れている。水平線の向こうに太陽が沈んでいき、夜が訪れていた。落ち着いたブラウンの壁と床。大きなテーブルの椅子にトウマたちは六人で腰掛けている。トウマ、ベルフラウ、ウミが並んで座っていた。対面にはニキ、晴恋、アイギスがいる。 晴恋とアイギスが親しく会話をしていた。「アイ、ごめんね。私、全然ログインできなくて」「良い。それより晴恋、これからはログインできる?」「これからはするよ!」「分かった。じゃあ、いい」 アイギスの瞳は赤くなっており潤んでいる。主人が帰ってきてくれて感無量のようだ。聞いた話によると、晴恋はゲームに久しぶりにログインしたらしかった。:感動の再会ですね。:アストラブール町を守ってくれてありがとう。 ニキが嬉しそうにストローでアイスコーヒーを飲んでいる。ニキと晴恋は付き合うことになった。何とも電撃である。 ウミがご機嫌そうに肩を揺らした。スプーンでパフェのクリームをすくっている。「アイちゃん、良かったですぅ」「うん。良かった」 アイギスがコクりと頷く。 冷やし中華を食べているトウマにニキが話しかけた。「トウマさん、お願いがあるさ」「それはどんなお願いなんだ?」 トウマは器を口につけて汁をごくごくと飲む。器を置いた。 ニキは両手のひらを勢いよく合わせる。「頼むっ。俺っちたちをギルドに入れてくれさ」 トウマは二度頷いて隣に視線を向けた。「ベルフラウ、どう思う?」「あたしは良いと思うわ」 ベルフラウは頬を緩めてあごを引く。 ウミが口を開いた。「ご主人様、アイちゃんたちも入れてあげて欲しいです!」「分かった」 トウマはステータス画面を出した。ニキと晴恋にフレンド申請を送る。二人のステータス画面が自動で表示された。 晴恋が申し訳なさそうにつぶやく。
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第105話 二人の約束~二巻エピローグ~

ログアウト後。 ユウマと真帆はコインランドリーに来ていた。ログネストのすぐそばの建物であり、泡美人という名前である。いま二人でベンチに並んで座っている。目の前ではドラム式の洗濯乾燥機が音を立てて脱水していた。ユウマと真帆は一緒に洗っている。一台の洗濯乾燥機で済ませた方が安いからと真帆が笑って提案したのだった。 他に客はいない。 ユウマは緊張していた。ドキドキとしている。 (これから、真帆は、その……) してくれるのだろうか? そういう約束である。 真帆が色っぽい視線を向けた。 「あー! ユウマの鼻が伸びてるぞ」 「の、伸びてないからな」 「これからあたしに何をさせるつもりかしら?」 「何って、そりゃあ約束だからな」 「うふふ、お楽しみね。ユウマ」 「あ、ああ。すごく楽しみだ」 「素直ね。可愛いわ」 たじたじだった。 下半身が熱い。身体が火照って仕方無かった。 やがて洗濯が終わり、乾燥が始まる。真帆が甘えた声でつぶやいた。 「ねえ、ダーリン。早くアパートを借りましょ?」 「そうだな」 「あたし、その、ユウマと早く愛し合いたいわ」 「スケベだな」 そんなセリフが出かけたがユウマは飲み込んだ。真帆の気持ちを包み込むように優しく返事をする。 「俺も、真帆と愛し合いたい」 「一緒に燃え上がりましょうか」 「朝まで頑張るぞ」 「寝不足になっちゃう」 「子作りだ」 「子供はまだ早いわ、ダーリン」 「そうか?」 「そりゃあそうでしょ。子供を作るためには、せめてユウマが安定した職に就かないと」 「安定した職か……」 弁護士になりたかった過去がふと脳裏に蘇る。学生の頃は試験勉強に明け暮れていた。本当は今も未練がある。 ユウマの寂しそうな顔を見て、真帆が不安そうに声をかける。手を握ってくれた。 「ユウマ、やっぱり、まだ弁護士になりたいの?」 「なりたい。だがな……」 「うん」 「司法試験は七月だからな。今は四月の終わりだろ? 今から勉強したって間に合わないんだ」 「……来年は?」 「生活費を稼ぎながら勉強するのは、正直きついな」 「じゃあ、あたしが支えてあげる」 びっくりとした。 ユウマは目を丸くして真帆の顔を見つめる。 「いいのか? お前」 「うふふん、あたしを誰だと思っ
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第106話 置いてけぼり

 日曜日の昼間だった トウマとウミ、ベルフラウはのんびりと釣りをしている。 ノーファン村の山の上流。大きな岩に三人で腰掛けて川に釣り糸を垂らしている。餌は道具屋で買った練り物だ。川はさやさやと流れており辺りは涼しかった。太陽の光を反射して水面がキラキラと瞬いている。ウミがるんるんと歌った。「お魚さんお魚さん、ふんふんふーん、釣れて欲しいですよー」「何その歌。ウミちゃん」 ベルフラウがクスリと笑って聞く。 ウミが口角を上げた。チャーミングな八重歯が覗く。「お魚さんが釣れる歌なのですよ」「じゃああたしも歌おうかしら」「歌うです!」 そして二人は声を合わせる。「「お魚さんお魚さん、ふんふんふーん、釣れて欲しいですよー」」 賑やかな女性陣だった。 ちなみにウミの格好はラヴリー天使の水着である。着ているうちに恥ずかしくなくなったようで、今では水着姿が馴染んでいた。:お魚さんの歌とか草。:ウミちゃんがいるだけでほっこりと草が生える。:ベルさんは今日もお美しい。 トウマは腹をひくつかせる。 こいつら、(まったく、可愛いな) あれから一週間ほどが経過していた。五月である。トウマたちは料理を売って稼ぎに稼ぎ、いまかなりの額のヴァルを所持している。トウマの持ち金だけでも300万ヴァルより多い。トウマとベルフラウが目指すアパートを借りるまでの貯蓄500万ヴァルが目前に迫っていた。 明日はついに、みんなで次の町へ進む予定である。 今日は日曜日なので休暇だった。 ふと、トウマの釣り竿がピクピクと反応する。彼の頬に期待の笑みが灯った。「来たぞ」 ウミの尻尾がたゆんたゆんと振動する。「本当ですか?」「トウマ、やったわね」 ベルフラウが笑顔を向けた。金髪が揺れてサラサラと揺れる。「大物の予感だ!」 トウマは釣り糸を木の竿に巻き付けて糸を
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第107話 団長命令

アストラブール町の東出口。 五月中旬の空気が生暖かい日だった。道端にはライラックの木花が咲き誇っている。太陽の光がさんさんと降り注ぎ、道を照らしていた。トウマたちは出口前に集合しており、これから次の町へ行く予定である。だけどアイギスとウミがいない。その場にいるのは、トウマ、ベルフラウ、ニキ、晴恋の四人だった。 ステータス画面から、トウマがウミに電話をかける。 五回目のコール音の後で通話がつながった。 トウマは少し尖った声音で話しかける。 「もしもし、ウミか?」 「ご主人様ですかぁ?」 ウミの声は弱気である。 トウマは眉をひそめた。 「今どこにいる?」 「あ、あの、今、アイちゃんとルスプルにいるですぅ」 ルスプルは次の町の名前だった。 トウマは呆れたように頬にしわを寄せる。 「ウミ、お前、もう先に進んだのか?」 「ごめんなさいです。ご主人様、昨日の夜にアイちゃんと進みました」 「……今から俺たちも行くんだが、戻って来られるか? また一緒に行くぞ」 「ちょ! ちょっと待ってくださいです! ……アイちゃんどうします?」 ウミの隣にはアイギスがいるようで、二人の話し声が聞こえてくる。 話し終えた後で、ウミがトウマに伝えた。 「アイちゃんは、戻りたくないみたいですぅ」 「それは一体どういうことなんだ?」 「アイちゃん、ニキさんが苦手みたいで」 「……はぁー」 トウマは顔を落としてため息をついた。 ウミが早口で喋る。 「ご、ご主人様。とりあえず今日のところは、私はアイちゃんと一緒にいてあげたいです」 「どうしても戻って来られないか?」 「ごめんなさぁい」 「無理なんだな?」 「ご主人様、申し訳ないですぅ」 「分かった。とりあえず、危険なことだけはするなよ。俺たちも今から行くから」 「はい! 了解です」 「分かった。じゃあ、電話を切るぞ」 「あ、はぁい」 電話が終わった。 :今日はウミちゃんいないの? :使い魔の仲良しコンビが不在で寂しい。 :ニキと晴恋が悪い。 隣にいたベルフラウが両手の甲を腰に当てる。彼女がつぶやいた。 「ウミちゃんも大変ね」 「そうだな」 こんなことなら昨日のうちに解決を図るべきだった。後悔の念が浮かぶ。 トウマはステータス画面を閉じてニキと晴
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第108話 優しいだけでは

 夜月が堂々と言い放つ。「私はヒイラギの息子です」「「ヒイラギの息子?」」 トウマとベルフラウの疑問の声が重なった。 空ではカモメが気持ち良さそうに泳いでいる。太陽の光が反射して夜月の眼鏡がギラリと光った。ふっと風が吹いてトウマの青い髪がサラサラと揺れる。ベルフラウと晴恋のスカートがひらひらとなびいた。 夜月が眼鏡のふちを左手でくいと上げる。「はい」「ヒイラギに息子なんていたのか?」 トウマは怪訝な表情で尋ねた。:ヒイラギって誰?:セレクターのマスターじゃん?:有名な迷惑プレイヤーな。 夜月が鼻で笑う。「いたんですよ。両親はもう離婚しましたが、私は父方に引き取られましてね。そして――」 彼が冷笑する。声を紡いだ。「父はいま、病床に伏せっています」「病気?」 トウマがまた聞いた。「はい。詳しくは言いませんが、もうすぐ現実で死ぬでしょう」(そりゃあ良いことを聞いた) トウマはそう思ったが口には出さない。だけど口角が若干上がった。(同情する気は無いな) 夜月はトウマのその表情のかすかな動きを見逃さなかった。夜月は無表情になり言葉を続ける。「だから、父が生きている間に仇を討ってあげたい」「何をするつもりだ?」 トウマは挑戦的に睨みつける。 夜月は身じろぎもせずに言い放った。「グラスオースに決闘を申し込みます」「それは決闘システムを使っての決闘か?」 トウマの質問に対し夜月はほくそ笑む。しかし素早く笑みを消した。 何だ?(今の違和感は?) かなり気持ちが悪かった。 夜月が小さく頷く。「はい。そうです。決闘システムならデスペナルティもありません。安心してください」 その時、トウマの背後でニキが親指を立てた。
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第109話 テルルの願い

 クロネア山の山道を四人で登って行く。 木々が青々と茂っており、木漏れ日が差し込んでいた。木枝ではシジュウカラがピーチクと可愛らしく鳴いている。落ち葉の多い地面を踏みしめての登山だった。清々しくて気持ちの良い日である。ベルフラウと晴恋が並んで前を歩いており、トウマとニキがその背中に続く。次の町ルスプルに行くためにはこのクロネア山を越えなければいけない。 トウマは自分自身に怒っていた。 理由は甘い判断である。どうして先ほど、夜月との決闘をニキに任せてしまったのだろうか? 自分が出れば、あるいはベルフラウに任せればこんなことにはならなかったはずだ。そのせいでニキが大きな被害を受けてしまった。 ニキは持っていたお金でレベルとスキルレベルを10に上げたようだ。だけど弱い。先ほどからちょくちょくモンスターが出るのだが、ダメージを大して与えられなかった。 金を貸すのは簡単だ。 だけど、それでは反省がない。 ニキが悲しそうにこぼす。「トウマさん、ごめんさ。俺っち、これじゃあ戦力にならないさ」「その通りだな」「トウマさん、頼む、金を貸してくれ! 後で絶対返すから!」「……今は、貸せない」「マジかよー、くそう。これじゃあ晴恋の前で格好良いところを見せられないさ」「今回は自分で取り戻せ」 トウマはニキにあえて厳しい言葉を投げかける。雰囲気は良くない。今は我慢するしか無かった。:ニキの自業自得。:お金を貸してあげれば?:簡単に助けちゃダメだよ、トウマさん。 前方ではベルフラウと晴恋がゆったりと歩いている。だけど晴恋は時々心配そうにニキを振り返っていた。気にしているようだ。 ベルフラウの金髪がサラサラと揺れている。小声でつぶやいた。「晴恋は、ニキさんのどこがいいの?」「えっ!?」 晴恋が両手を口元に当てた。 ベルフラウは首をひねる。「正直、もっと良い男がいると思うけれど」
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第110話 バルドロッグ村

 テルルに案内されてバルドロッグ村へと向かう。 崖下に空いている洞窟から進入した。中はぽっかりと広い空間になっている。だけど暗い。晴恋がランタンを取りだして点灯してくれた。黒い岩壁がゴツゴツとしている道を五人で通り抜けて行く。トウマが壁に触ってみるとツルツルとしていた。洞窟はゆるやかな下り坂である。 道中、テルルが語った。「私は、バルドロッグ村を助けてくれる人間様を探していたのです」「村は、何かの被害にあっているのか?」 トウマが聞き手だった。「実はいま、村には悪質ギルドが逗留していまして」「悪質ギルドというのは?」「ギルド名はダークネスダガーと言います。男ばかりのギルドです」「ダークネスダガーか。聞いたことないな」「そうですか」 テルルがトウマの顔を一度見る。すぐにまた前を向いた。声を紡ぐ。「ダークネスダガーは、村の女たちにハレンチな行いをしているんです」「ハレンチな行い?」「はい。女たちに裸エプロンを着せて、お酒の相手をさせているんです」「そんなことが許されるのか?」「仕方無いんです。ダークネスダガーは、村を守ってくれているから」「詳しく聞きたいな」「私が話しても良いですが、それよりも見えてきましたよ。トウマさん」 洞窟の下り坂の先には村のような広い空間があった。天井がとても高い。木造の家屋が建ち並んでいる。通行人は無い。何かに怯えているように家々の扉は固く閉ざされていた。 テルルは迷わずに道を歩いて行く。まずは村長の家へと案内してくれるようだった。:こんなところに村が?:ダークエルフの集落じゃん。 道を右に折れ、左に折れ、それから真っ直ぐに行ったところにその建物はあった。他の家と見比べると一段と古めかしい家である。木製の屋根や壁は黒くくすんでいた。 テルルが玄関前に下げてあった鈴を鳴らす。シャンシャンと高い音が鳴った。 彼女が玄関を控えめに開き、家の中へと声をかける。「ごめんください。村長! 村を救ってくれる人間様を連れて来ました」「ふむ! テルルか。入りんさい」「失礼します!」 テルルが玄関を大きく開き、中へと入っていく。トウマたちもその後に続いた。 配信ドローンは入れなかった。 玄関で靴を脱ぎ、廊下を歩いてリビングへと入る。ランプの灯りだけが照らしていた。 長いソファの前にはNPCの背の低い男
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