All Chapters of RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~: Chapter 81 - Chapter 90

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第81話 今日も頼んでいいかな?

 ベルフラウはトウマの手を握りながら、ふと思い出していた。 過去。 真帆とユウマにはある秘密があった。 学生時代。姉御肌であり男女問わず人気を博した真帆だが、人気が出たのは中学校に上がってからである。小学校時代はそうではなかった。 今でこそ真帆は健康そのものである。 だけど、彼女は生まれつき病気だった。 女性過剰性欲障害。 その名の通り、他人よりも性欲が強い。たったそれだけの事なのだが、真帆は毎日の生活に生きづらさを感じていた。幼稚園では男の子にパンツを見せるような遊びや行為を頻繁に繰り返していた。もちろん先生に見つかれば怒られる。真帆は常習犯であり、先生に頭を叩かれた事件は数を知れない。 真帆の性欲が強いことについて、彼女の両親は病気として認知しなかった。それどころか真帆がそういう事件を起こす度に厳しく𠮟りつける始末だ。罰として、夜の家の玄関前に立たされたこともあった。 やがて真帆は小学校に上がり三年生になる。真帆は男の子に人気があった。なぜなら男の子とのスキンシップを頻繁にする子だったからである。ふざけて髪を触りあったり、くすぐりあったりは毎日のことだった。スカートめくりごっこを率先して行うこともあった。そんな真帆は、クラスの女子たちにムカつかれていた。 ある日の昼休み、真帆はトイレの個室に閉じ込められた。天井から水をぶっかけられて、クラスの女子たちに「もう小学校に来るな」と叫ばれた。真帆はうずくまって泣いたのを覚えている。 その時だ。 幼馴染であり同じクラスの男の子だったユウマが女子トイレに入って来た。ユウマは昔からキレると何をするか分からない。ユウマは、いじめを行ったリーダー格の女子の胸ぐらを掴んで顔面を殴りつけた。「真帆ちゃんをいじめるのは許さねーぞ!」 何度も何度も殴っていた。リーダー格の女の子が泣いても鼻血を出しても許さない。やがて先生が呼ばれて、先生がユウマを止めに入る。すると今度、ユウマは先生に立ち向かう。その日、ユウマは一時間以上大暴走を繰り返した。 後日、真帆は体育館倉庫にユウマを呼び出した。自分のた
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第82話 宝物

 トウマはベルフラウに膝枕をしてもらっていた。 まるで花畑にいるような気分だ。二人はベンチを占領していた。ベルフラウは機嫌良さそうにトウマの髪を撫でている。彼女の顔には素敵な笑顔が咲いていた。るんるんと鼻歌を歌っている。トウマは調子に乗って、彼女の太ももに顔をうずめてみる。危険なスリルが二人の心を支配して、ベルフラウは真っ赤な顔で笑みを深める。トウマは楽しくて仕方なかった。:ラブラブおつ。:これ以上は見てられない。違う配信へ行きますね、二人とも頑張って。:膝枕が最高級クエストとか草。 道を行き交う人々がこちらに羨望の眼差しを送っている。ため息をついているカップルもいた。トウマは調子に乗ってベルフラウの膝の上をゴロゴロする。彼女は「あん」と声を響かせたり、トウマの名前を呼んだりした。日だまりにいるように心地が良い。いつから自分はこんなにもリア充になったのだろうか? この間までは人生に絶望していたというのに。 ――クエスト昇格 ――ダイヤモンド級、恋愛クエスト、高台で二人の愛を確認する トウマは頭上を見上げてつぶやいた。「ベルフラウ、クエストが昇格したな」「そうみたいね。うふふ」 ベルフラウはトウマの髪をまた撫でた。「行くか?」「待って、もう少し」 ベルフラウはまだ膝枕をしていたいようだ。あんまり長引くとクエスト達成評価の効率が落ちる。しかしトウマは「分かった」と言ってベルフラウの胸に手を伸ばした。右手でタッチする。「ちょ、トウマ、ダメよ」「いいだろ?」「いいけど、人が見てるわ」「気にするな」「赤ちゃんみたい」:これ以上視聴するのは悪い希ガス。:ベルお姉様がトウマさんの毒牙にかかってしまいました。悲ぴい。 それからも二人の世界を堪能した。 やがて満足し、トウマとベルフラウはベンチを離れて歩き出す。トウマは男の余裕に満ち溢れていた。ズボンのポケットに手を突っ込んで歩く。その腕にベルフラウが手を添える。彼女
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第83話 約束

 アイギスの主人の名前は晴恋と言った。 晴恋の性格はかなりのポンコツである。二人でクエストに出かけると、晴恋はいつでも敵から逃げてばかり。モンスターを倒すのは専らアイギスの役目だった。おかげでアイギスはいつしか、一人で戦闘を遂行するすべを身につけていく。 晴恋の良いところは、いつも明るくておしゃべりで人懐っこいところであった。イン時間は長く、毎晩遅くまでアイギスと遊んでくれた。晴恋はよくこう言った。「アイ、貴方は生きているんだからね」「生きている?」「そう。AIだけど、生きている。だからご飯をきちんと食べて、いっぱい遊ばなきゃダメだよ?」「……分かった」 アイギスは晴恋と一緒にいるのが楽しかった。晴恋が優しい性格だったからである。それにアイギスが喋らなくとも、晴恋は小鳥のようにピーチクパーチク会話を紡いでくれる。それが楽だった。 どうしてか晴恋はギルドに誘われても入らなかった。アイギスとばかり会話をして遊んでくれる。それがアイギスにとっては不思議であり、心地よいものでもあった。晴恋は良く現実の話をした。「私ね、このゲームに来る前、彼氏に振られたんだ」「どうして振られたの?」「相手はバイト先の先輩だったんだけど、浮気されちゃったんだ」「……晴恋を浮気するなんて、最低」「私、浮気され体質なの」「それはどうして?」「それが自分でも分からないんだ。男に貢ぎすぎたのかなあ」「貢いだの?」「うん。私、男の人を一度好きになると、どこまでもどこまでも貢いじゃうの。それが多分、災いしたんだろうなって」「今度は貢がなきゃいいよ」「そうだよね」 アイギスは晴恋を振った男に怒りを感じた。紫色の尻尾が逆立ったのを覚えている。こんなに優しい主人を浮気するだなんて、可哀想な男だなとも思った。アイギスは晴恋に約束をした。「それじゃあ僕が晴恋に、ゲーム内で素敵な恋人を見つけてあげる」「本当?」「うん」「お願い、アイ。見つけて欲しいな」「約束」「うん、約束だよ!」 二人は指切りげんまんをする。 けれど、事件は突然やってくる。 今からおよそ一ヶ月前。 アイギスと晴恋はノーファンの村を越えてアストラブールに来ていた。防御力の高い服を作るために浜辺でラズリーフを狩りしている。この頃になると、晴恋もゲームに慣れて戦
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第84話 友達の印

 ウミとアイギスのペアでお祭りを見て回る。 屋台からはオレンジ色の照明がこぼれておりキラキラとしていた。道を行き交うプレイヤーの数は増えてきていて賑やかである。空の太陽がだんだんと傾いていく。午後の三時をすでに過ぎていた。 ウミは嬉しくて仕方が無かった。初めて友達が出来たからである。胸がウキウキと躍る。尻尾がたゆんたゆんと揺れた。いまダーツに挑戦していた。 ウミの投げる矢はみんな10点に刺さる。難しいゲームだった。だけど彼女は友達に格好良いところを見せたくて頑張る。「それっ!」 最後の矢が10点に刺さった。 あうぅ。 外れですぅ。 屋台のおじさんが朗らかに笑って声をかけた。「はい。猫のお嬢ちゃん、残念賞ね」「ありがとうございますぅ」 ウミは猫耳を垂れて残念賞の風船を受け取った。ヒモを握る。赤色の風船がぷかぷかと宙に浮かぶ。 アイギスが前に出た。「おじさん、ダーツやらせて」「はいよ! 犬のお嬢ちゃん、500ヴァルだよ」「うん」 アイギスがステータス画面からヴァルの入った革袋を取り出す。おじさんに渡した。ウミは両手をグーにして応援する。「アイちゃん、頑張ってくださいです」「任せて、ウミちゃん」「私の仇を取ってくださいですぅ」「うん」 アイギスがダーツの矢を持って狙いを定める。放たれた矢は一本目から100点に見事に刺さった。「アイちゃん、凄いですぅ!」「簡単」 アイギスは次々と矢を投げる。五本の矢が100点に全部突き刺さった。ウミは興奮してモフモフとした尻尾をぶんぶんと揺らした。「アイちゃんは上手ですぅ!」「簡単」 おじさんがベルを鳴らして祝福する。「犬のお嬢ちゃん、お見事! 景品はどれにする?」 棚を見ると、400点以上は一番良いものを選ぶことができるみたいだった。アイギスは銀のイヤーカフを選択して受け取った
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第85話 お誕生日おめでとう

 アストラブールの高台。 まだ夕方であり花火は上がっていない。そのせいか高台は空いていた。お祭りの喧噪が遠くに聞こえる。ベルフラウとトウマはベンチに並んで腰掛けていた。肩が触れあうような距離。胸がドキドキとした。いつからだろう、自分が彼を男として意識するようになったのは。 多分、あの時からだ。 小学校三年生の時、ベルフラウがいじめられた時に助けられてから。 ステータス画面を出す。中からリボンで結ばれた白い箱を取りだした。トウマに差し出す。本名で呼び合った。「ユウマ、お誕生日おめでとう」 彼がびっくりしたように居住まいを正した。「俺の誕生日を覚えていてくれたのか?」「当然じゃない。あたしを誰だと思っているの?」「真帆、ありがとう」「うふふん、どういたしまして」 トウマが白い箱を受け取る。「開けてみても良いか?」「いいわよ」 トウマがリボンをはずして箱を開ける。中に入っていたのは赤い魔石のついたネックレスだった。銀のハート型に装飾された赤い粒が綺麗に輝いている。昨日ベルフラウが魔導具店で購入したところの性欲のネックレスである。彼がそれを取り出す。「これ、高かったんじゃないか?」「あたしが安物をプレゼントすると思う?」「ありがとう、大事にするよ」「首に付けてあげるわ。貸して」「ああ」 ベルフラウはネックレスを持って、トウマの首に回した。留め具を引っかける。ハート型を首の前に回した。 瞬間である。 彼の瞳にハートマークが灯った気がした。 あら。 早速効果があったのかしら? 性欲が上昇するはずである。「ダーリン、似合っているわ」「すごく嬉しいよ。真帆、お前はとても魅力的だ」 ベルフラウの胸に彼が手を伸ばそうとする。ベルフラウはその手を掴んで、膝の上に静かに置いた。「ダメよ、ユウマ。ここは外よ」「ああ。だけど、ちょっと我慢ができなくて」「もうー、待ちなさいよ。ネックレスはもう一つあるの」「もう一つあるのか?」「うん。あたしのぶん」 ベルフラウはステータス画面から白い箱をもう一つ出した。中から同じ形のネックレスを取り出す。トウマに渡した。「ダーリン、付けてくれる?」「お揃いだな」「お揃いにしたの」「分かった」 トウマがネックレスを持ってベルフラウの首に回す。カチと留め具が鳴った。魔石を前に回す。(これ
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第86話 迎えに来たさ

 二人は手をつないで歩いていた。 祭りの賑やかさが背後に遠のいてゆく。空は夕焼け色に染まっており、オレンジ色が鮮やかだった。一歩一歩、歩く度にトウマの心臓がドクンと揺れる気がした。無性に甘酸っぱい気分に包まれて感情が高ぶる。身体が火照っていた。 ベルフラウと今、宿屋へ向かっている。 エッチをするつもりだ。 この気持ちをどう表せば良いだろう。 性的な興奮よりも、 感動の方が強くて、 感動と同じくらい、 これは夢なんじゃないかと思った。 強い緊張があって、 軽く吐きそうであり、 脳裏に不安がよぎる。 今日、自分の男性器は正常に機能するだろうか? 緊張は毒である。 正念場で立ち上がれないのではないか? そうなれば彼女に恥じをかかせることになる。 だけど不安がよぎったその次には、 性的な興奮が下半身を熱くした。 ベルフラウの身体は、 どんなに興奮するだろう? どんな声を上げるのだろう。 昔から憧れていた。 その胸の膨らみと、 スカートの中。 自分の男性器に正常な感覚を意識して、 トウマは安心すると同時にまた不安になる。 堂々巡りを繰り返す。 宿屋への道中はまるでジェットコースターに揺られているようなスリリングな気分の道だ。 ベルフラウはそんなトウマの顔を見てどう思ったのか、 トウマの右腕に両手を絡めた。 本名で呼び合った。「ユウマ、大丈夫よ」「そ、そうか?」「リラックスしなさいね」「あ、ああ」「あたしはスーパー真帆ちゃんなのよ」「それは頼もしいな」「スーパー真帆ちゃんに任せなさい」「俺も頑張るぞ」 ベルフラウが顔をちらりと向ける。金髪のボブカットがサラサラ
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第87話 親友です!

 夜空に魔法花火がドンと咲く。 ピンク色の火花がちらちらと燃えて散っていく。そうかと思えば次はオレンジ色、青色と、夜空に花火がキラキラと開く。夜空に開く円形を眺めて、ウミは「わぁっ!」と声を上げた。今、アイギスと手を繋いで高台の崖の上に立っている。高台には花火の見物に来たお客さんで溢れており、人口密度が高かった。 ウミが目を輝かせて吐息をつく。「綺麗ですぅー」「うん」 アイギスがコクと頷く。「すごいです!」「本当」 花火の光に照らされて、アイギスとウミの顔には様々な色が灯った。二人の尻尾が規則的に動いており仲良く揺れている。ウミの唇からはチャーミングな八重歯が覗いた。満面の笑顔である。 ――友情クエスト、クリア。 ウミ 効率C 技術B→[無口な友達のために頑張って喋る] 意義A→[初めての友達] 魅せB【総合評価B】【+500ヴァル】 アイギス 効率C 技術A→[ダーツの矢を的の中心に全て命中] 意義A→[初めての友達] 魅せB【総合評価B】【+500ヴァル】 アイギスとウミは顔を見合わせる。照れたようにクスクスと笑った。 ウミが口を開く。「アイちゃん、クエストクリアですぅ」「うん」「私たちは親友です!」「そうだね」「むふふ」 ウミは嬉しそうにアイギスと握っている手を振った。アイギスは口角に笑みをたたえつつ夜空を見上げている。連続で勢いよく咲いた魔法花火群がお祭りのピークを彩っていた。 ふと、この場に似つかわしくないハスキーボイスが響き渡る。「AI同士が友情を結ぶだと!? ふははははっ! 笑止千万であーる。このゲームはどこまで謎要素が多いのだ!? 阿呆らしくてオナラが出るのであーる」 ぶ
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第88話 予備選

 翌日。 カラッとした晴れ空だった。アストラブール広場の闘技祭会場には百人以上のプレイヤーが集まっていた。トウマとウミ、ベルフラウも闘技祭へ参加するために人々の列に並んでいる。戦力増強のため、すでにバフ料理は食べてきてあった。 先頭にいる闘技祭実行委員長のNPC男性が拡声器を持って喋る。「おはようございます。ここに集まっている方々は闘技祭出場者ということで間違いありませんね!?」 特に誰も返事をしない。だけど小さく頷いている者はいた。:ウミちゃん、闘技祭頑張って!:ベルお姉様は一位に決まっています。:トウマ君、応援しています。 NPC男性が拡声器を持ったまま声を張る。「返事はありませんでしたが、皆さまを闘技祭出場者ということで認めさせていただきます。それではこれより、皆さまには予備選会場へとワープしていただきます。闘技祭本戦のトーナメントに残れるのはたったの八名です。では、早速ですが、ワープさせていただきます。おい、頼む」 拡声器を持ったNPC男性が指示した。すぐそばにいた魔法使いの四人が呪文を唱える。闘技祭出場者の足下に白い魔法陣が灯った。 トウマの後ろにいたウミが怖々と身じろぎする。トウマの服の裾を掴んだ。「ご主人様、何か怖いですぅ」「大丈夫だろ。ワープするだけだ」 トウマはウミをちらりと振り返って頷いた。 隣にいるベルフラウがニヤリと笑う。「それじゃあトウマ、予備選会場で会いましょう」「分かった。またな」 トウマは首肯する。 そしてアストラブール広場に集まっていた闘技祭出場者の面々がワープした。 次に立っていたのはダンジョンの内部のようなフィールドである。床や壁は紫色であり、硬い材質だった。ベルフラウとは離れてしまった。「トウマ!」 近くに出現していたウミがすぐに彼の名前を呼んだ。近寄ってくる。 トウマはブラウンのステッキを構えつつ、辺りをうかがうように視線を配る。少し離れたところには他プレイ
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第89話 灯台もと暗し

円形状のフィールドだった。 端は崖になっている。崖の先は灰色の空がそびえるのみであり。フィールドの中心には、ピンク色の髪をした巨人の大悪魔が立ち上がっていた。頭には羊のような角が生えており、尻には黒い尻尾があった。黒いボンテージを着ている。その大悪魔ルーインメイデンが可愛い声を発する。 「きゃりらりらーん。ルーインメイデン様のご到着ー。君たち、灯台もと暗しって言葉、知ってるぅー?」 ルーインメイデンの大音声である。彼女を囲むようにして数十名のプレイヤーが顔を向けていた。それらの表情は不安なニュアンスで揺れている。 :出た、闘技祭のルーインメイデン様。 :この大悪魔、可愛くて好こ。 :尊い! ウミがわなわなと唇を震わせている。 「トウマ、あれを倒すですか?」 「分からん」 トウマは短く答えて辺りを見回す。ふと、少し離れたところからベルフラウが駆けて近づいてきた。良かった、彼女もこのフィールドへと無事にたどり着いていたようだ。 「トウマ、ウミちゃん!」 「師匠!」 ウミが頬にエクボを浮かべて両手を開く。 ベルフラウは近寄るなり両手の甲を腰に当てて説明した。 「二人とも、ルーインメイデンの攻撃は避けるしかないわ」 「そうなのか?」 トウマが尋ねる。 ベルフラウはコクコクと二度頷く。 「あたしは以前にも闘技祭の予備選に参加したから知ってるけれど、ルーインメイデンは戦っても倒せないわ」 そんな話をしていた時である。 ルーインメイデンがこちらに人差し指を向けて唱えた。 「きゃりらりらーん。灯台もと暗しの意味が分からない君たちは、あちきの怒りを食らえっ。ルーインウェイブ!」 ズッキューンと音が鳴った。 ルーインメイデンの人差し指から青いビームが射出されて飛来する。 ベルフラウが叫んだ。 「二人とも、横に跳んで!」 言った本人もジャンプしている。トウマとウミは横に大きく跳んだ。青いビームが床に突き刺さり、けたたましい音と共に床がえぐられる。えぐられた地面が焼けついていた。 ルーインメイデンは踊るように肩を揺らして次々とプレイヤーたちに指を向ける。青いビームを立て続けに放った。 「それそれそれ、灯台もと暗しだよ! ルーインメイデン様のルーインウェイブを避けられるかな!?」 青いビームが床を陥没
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第90話 本気を出したら

 第一試合開始前。 闘技祭会場はお客さんたちの熱気で包まれていた。がやがやと話し声が響いている。賭け事が始まっているようで、誰が勝つかという声が一段と高く聞こえた。観客席の後ろにはあの巨大なグリーンの戦車があった。砲身が長くピカピカと輝いている。呼び物としてデカデカと目立っていた。 試合場は四人の魔法使いが囲んでおり、彼らが結界を張ってくれていた。遠距離攻撃がお客さんへ飛ばないようにとの配慮だろう。  試合場の横の地面で、いまトウマはウミを叱りつけていた。「ウミ、ラヴリー天使の水着を着ろ!」「い、嫌ですぅ! あんな恥ずかしい水着を着て、お客さんたちの前に出られないです!」「何を言っているんだ! ウミ、あの水着は防御力が高いんだ! Bランクだぞ? 早く着ろ!」「ご主人様、勘弁してくださぁい! 無理なものは無理です!」「馬鹿! これは闘技祭に勝つためなんだ!」「水着を着なくても勝てれば良いです!」「水着を着た方が、勝率が上がるだろ!?」「無理なものは無理です!」:ウミちゃんいい加減にしなさい! 闘技祭は真剣勝負だよ。:ウミちゃんの水着姿! げへへへっ。:さあウミちゃん。恥ずかしい水着を着ようね。 ウミは頑なに水着を着ようとしない。トウマはやれやれと首を振った。(着せるには、どうすれば良いんだ?) やがて入場時間になり、トウマの名前が呼ばれた。彼はしぶしぶ試合場へと歩く。ウミがしかめ面をしながら着いて来た。結局、緑色のロリータ服のままである。これでは防御力が低い。 試合会場は縦横五十メートルほどの間隔を儲けられた正方形の空間だった。地面は石畳である。魔法使いたちが張っている結界以外に障害物は無かった。正面にはベルフラウが立っている。一回戦目から恋人と当たるなんて、ついてなかった。 女性の審判がいた。闘技祭係員の制服を着ており、頭にはハチマキを巻いている。彼女が拡声器を持って喋った。「それでは、闘技祭一回戦です! 行ってみましょう! トウマvsベルフラウ
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