「今の動き、無駄が多すぎ。その一往復で何人待たせたか、数えてから動いて」 佐伯は結構、というか無茶苦茶、自分の考えをはっきり物を言うタイプで、波風が立つとかそういう概念を軽く超えて台風レベルで突っ込んでくる。 でもそれは、効率を重視し「その後の仕事がいかに楽になるか」を徹底的に計算しているだけで、合理的行動の一形態だ。 ある程度、佐伯が思う効率化された状態になれば一気に手を抜いて、気怠そうに時間をやり過ごすことも分かった。要するに、佐伯は滞りの悪い問題点を改善して、いかに力を抜いて金を稼ぐかを考え、それを実行する天才だった。 そんな佐伯とシフトが被ることが増えてから、俺は“あること”に気づいた。 アルバイト仲間の「小瀧南緒」が、佐伯を常に目で追っているのだ。 (うわー……すっげぇ見てる。佐伯が後ろ向いてるとき、ほぼ見てるのでは……?) 佐伯と同じシフトだと、小瀧はやたらと視線を固定しているのに、本人に話しかけられると即ケンカが始まるのも、見ていて違和感を覚えた。「お前、いい加減にしろよ。パンダの左右の目玉くらい対称にデコれないの? 生後6ヶ月から入れる保育園からやり直せよ」「それは慌てて作って失敗しただけ! お客さんにはちゃんと可愛いの渡してるし! なんで俺の失敗だけほじくるの!? 人でなし! バカ!」「お前以外の奴にも、失敗は指摘してる」「いつ?聞いた事ないし。何時何分何秒?地球が何周周った時?」 言い合いの99.8%は下らない内容。 小瀧の方なんて、悪口を覚えたての小学一年生みたいだ。「UTCで言うと11時47分03秒。地球が約40,075kmのうち23km進んだ時」「はぁ⁉︎ 全然意味分かんない、何それ!」 だが、ここから小瀧の性格特性と佐伯の反応パターンを観察すれば、心理的互換性を測定できる。 小瀧は天然で抜けているが、佐伯も過剰に反応気味。 しかも言葉の鋭利さは他のアルバイトに向けるそれよりも鋭い。暗闇で刃物を全力で振り回してるみたいな感じだ。 そのくせ小瀧は、佐伯に「これ取って」「あれ手伝って」と甘える部分もあって、意地悪された後でも自分からその近くに寄っている。 (これ、もしかして……もしかしなくても……?) 俺のBLレーダーが「ピピピピピ※過剰反応」状態に突入。 距離と苗字呼びの組み合わ
Last Updated : 2026-05-22 Read more