親父さんの代理でパンを買いに来たら、突然の廃業宣言に巻き込まれてしまった。「辞めるんですか? パン屋」「最近パンの売り上げがそれほど好調じゃなくてな。他の場所に新しいパン屋ができたせいだろうな。そっちのパンのほうがフカフカで、黒パンにも混ぜ物をして少しでも柔らかくしようとする努力をしているらしい」 ふむ、よくある新規出店に押されて古い馴染みの店が勢いに押し切られてしまうパターンか。まさに死活問題だろう。ここのパンには毎回顎を鍛えてもらっているし、銀の卵亭の親父さんも新しい店に切り替えて……というのは手間が増えるだろうしな。 それに、新しい店が同じように区切り日払いの掛け払いができるかどうかは怪しい。商売人にとって掛け売り掛け買いができるかどうかは大きく変わるところだろうし、できれば続けて商売してもらいたいところだろうな。「昔から懇意にしてもらってる店には引き続き利用してもらってはいるんだが、一般の家庭の需要が減って来ていてね。何かうちなりの売りを押し出さないと厳しいんじゃないかって家内とも相談してるんだが、いまいち思い浮かばなくてな。兄さん何かいい方法ないか? できることならなんでもやってみるつもりだ」 ふむ。パン屋か。さすがにパンチートは……ベーキングパウダーを使ってふっくらさせた白パン、というのは持ちネタとしてあったが、すでにこの世界ではふっくら白パンが存在する。 つまり、重曹なりベーキングパウダーなり、つまりは炭酸水素ナトリウムを使った膨張効果を使ったパンが一般に手に入るかどうかはともかく、既に存在するのでチートを一つ潰された気分だ。「これだけ詰め込め! 異世界に行ったときにチートできる知識100選」が99選になってしまった。 パン屋といえば……いや、パン屋ではなく、パン工場と幅を広げて考えよう。食パンに限らずパンメーカーでやっているキャンペーンをそのままこっちでもやってみるとかはどうだろうか。例えば……「パンを複数個買ってくれた人には丈夫なお皿をプレゼント、とかはどうだろう? どこかのギルドと共同開
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