Tous les chapitres de : Chapitre 61 - Chapitre 70

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第61話:お昼を食べて

「タカナシさん、セルフィさん、あなた方の冒険者ランクをFランクからEランクに認定します。規定の物品納品に達したからです。更新を受けられますか? もちろん断ることもできますが……基本的にFランクからEランクへの昇級で断られることはよほどの理由がない限りありませんが、念のために聞いておきますね」 冒険者ギルドのカウンターで昇級についての説明を受ける。Eランクになれば、パナメラのダンジョンでも五層まで潜ることができるようになる。まだ五層で戦えるほどの実力はないが、四層へは潜りたいとは思っている。「わかりました、では昇級ということでお願いします。昇級することで逆に立ち入りを禁じられる場所ですとか、こういう行為はやってはいけないですとか、そういう制限を受けることはないんですよね? 」 念のために確認しておく。薬草採取ができなくなるとか、ミニボア狩りができなくなるような話になるようなら問題だ。この後もミニボアを狩る予定なのだから、それが変更となるとちょっと面倒くさい。「FランクからEランクであれば、特にはございません。他のランクで昇級となると制限が入る場合はありますけどね」 今回は大丈夫なようだ。いずれはそういう制限を受ける立場になる可能性は考えておく必要があるが、今はまだ大丈夫だろう。しかし、Fランクになって数日でEランクになれたことを考えると、Fランクの探索者はチュートリアルみたいなものなんだろうな。 Eランクになったことで大きく変わるものはないが、新しいダンジョンや探索地域へ行けるようになった、と思えばいいだろうな。新しい冒険者証を受け取って冒険者ギルドをいったん後にする。また午後になったら来よう。 午前中に一日分以上の生活費を稼いだ結果、午後はさっきまでよりも安全なところをうろうろして、ミニボア狩りを引き続き行おうということになった。 ワイルドボアが混ざってもいいとは思うものの、わざわざ危険を冒してまでワイルドボアを狩る理由に乏しいという点と、まだ自分たちの実力ではワイルドボアには及ばない部分がある、というのがイアンちゃんの言い分である。 セルフィはより強いモンスターと戦うほうが強くなれるし好都
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第62話:ミニボア狩りに来たはずなのに

 午後に入ってもほぼ同じ地域にとどまり、ミニボアを狩り続ける。ワイルドボアが漏れて出てきたところには近づかないように注意しながらだ。 ワイルドボアが近づいても何とかなるといえばそうだが、まだ苦労する、というのが現状。Eランクになったぐらいで倒せるようになるのが標準なのかどうかまではわからない。 が、できるだけ俺とセルフィだけで倒せるようになるのが理想ではあるので、出来るだけイアンちゃんは頭数に数えなくてもいいようにしたい。 ワイルドボアは……周辺にはまだいない。さっきの一頭だけが珍しく出てきた、という形なのだろう。ふと気が付くと、自分たち以外にもミニボアを狩りつつ、草原の奥のほうへ進んでいくパーティーがいた。「あれは……多分冒険者ギルドの依頼を受けた調査隊ですね。さっきの報告を受けてさっそく向かっているのかもしれないのです」「街の近くにグレートボアが出現したら大変だから? 」「それもあるのです。グレートボアなんて普通はCランクパーティー相当のモンスターですから、迂闊に街に近づくとそれだけでも脅威になりえるのです。後は、定期馬車の運行地域をうろつかれると交通に支障が出るのです。グレートボアの出現地域に押し出されるようにワイルドボアが出てくると、道端にも出てくるようになるかもしれないのです。そうなったらまた冒険者ギルドに依頼が出て、一時的に抑え込むための特別クエストが出るかもしれないのです。その前にできるだけ調査して、その兆候があるかどうかを確認する必要があるのです」 たしかに、街道を迂闊に移動できないとなると他の町や村との流通がなくなってしまうので問題なのだろう。国としてもそれだけの問題を放置しておくことはできないだろうし、それを冒険者ギルドに依頼する形で外注するのだろう。だとしたら、門番や兵士という者たちの仕事は何を行うことになるんだろう?  まあ、いい。引き続き生活費を稼ぐために頑張っていかないといけないな。今日中にいくら稼げるか、今日の稼ぎで何日仕事をせずに頑張っていけるのか、それをきっちり計算するためにも、今日の午後の稼ぎは重要だ。 とりあえず出て
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第63話:本日の成果

 安定してミニボアを狩り続け、日が傾き始めたころには狩ったミニボアの数は80を超えた。一日の稼ぎとしては十分すぎるほどになったな。これでイアンちゃんのレンタル代がほぼタダだというのは申し訳がないので、夕食をご馳走しようか。「さて、そろそろ帰ろう。午後もいっぱい働いたからきっと夕食は美味しいはずだ」「そうですね。何匹狩ったか楽しみです。途中から数を数えられなくなったので何日分の生活費になったのでしょうね」 セルフィもニコニコだが、ミニボアの返り血があちこちに飛んでいるので少々血なまぐさい笑顔ではある。12歳の女の子がこんなに血まみれでいいものなのだろうか。ちょっと悩ましいな。「さて、私もそろそろ疲れてきたのです。せっかくなので最後まで付き合いますが、いったいいくら稼いだのかはちょっと私も気になるところなのです」「それは冒険者ギルドに着くまでのお楽しみだな。何匹が100%査定で何匹がマイナス査定かもわからないからな。それに、倒したワイルドボアの査定料金もある。これが本当にいくらになるかわからないからな」 ワイルドボアは結局あのあともう一匹現れて、同じように倒したが、俺だけひたすら挑発して避ける側だったので、戦ったというより逃げまどっていた、という認識のほうが強い。次回戦う時にはもうちょっと格好がつけられるようにしたい。 安く盾を都合してアイテムボックスに入れておき、ワイルドボアと戦う時は盾で受け止めてその間に綺麗に首だけを狙って狩るとか、そういう方向性でやってみよう。 帰り道にも所々で現れるミニボアを倒しては首から上だけをアイテムボックスから出して、血の跡を作りながら町の門前まで来て、そこで完全にアイテムボックスに仕舞いこむ。最後の一匹は血抜きが完全じゃないから査定が安いかもしれないな。「あー……またお前たちか。まあ、ちゃんと街に入る前に仕舞ったからヨシとする。夜の間にミニボアが血の匂いを嗅ぎつけて寄ってくるかもしれないが、門は閉めてあるから安全なはずだからな」 後ろを見ると、歩いてきたとおりに血の跡がたらたらと流れていて、門の前の石畳に入る前でピタリと止まっている。うむ、これは
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第64話:トリキシ

 銀の卵亭に帰ってすぐに湯をもらい、清潔魔法をかけながらセルフィとそれぞれ身ぎれいにしていく。やはり清潔魔法をかけながらのほうが服も綺麗になるし、ついでに体についた垢や汗、血も落ちていく。その分もらった湯がどんどん濁っていくが、そのための湯だ、しっかり汚してその分体を綺麗に保っていこう。 セルフィは……意外ときれいなものだな。主に汚れているのは俺か。清潔魔法を使い始めたのと、やはり剣術と剣聖の腕の差なのか、返り血もほとんど浴びてないセルフィに比べて、まだまだ動きの荒い俺は腹から膝にかけて返り血がしっかりと付いている。 これも清潔魔法で浮かして、湯に軽く通して血なまぐささを取り除いていく。セルフィが髪の毛を洗おうとしていたので、制止する。「待った、俺の血でさすがに汚れすぎてる。湯で洗うほうが気持ちいいだろうけど、新しい湯をもらうか明日の朝清潔魔法をかけながら水で洗ったほうが綺麗になるぞ」「そう……ですか。ご主人様に髪の毛を洗ってもらうのは気持ちいいので楽しみにしていたのですが」 しゅんとするセルフィ。ああ、かわいいなあもう。って、一応ご主人様と奴隷というプレイをそのまま続けるなら、奴隷がご主人様に髪を洗ってもらうのはダメなのでは? と思うのだが、指摘するともう髪を触らせてもらえそうにないから黙っておくか。「まあ、気持ちいいと言われるのは素直にうれしい。また休みの前日か、体がそんなに汚れないダンジョンでのお仕事の時に綺麗にしてやるからな」「明日はお休み……ではないんですよね、多分」「まあ、そうだな。まだ元気いっぱいだし。疲れてもう動けないほどへとへとなら明日休んで明後日働くための活力にするところだが、そこまでのものでもないしな。セルフィこそ大丈夫か、疲れてないか? 」「私は……大丈夫です」 少し間があってから返事をしてくれた。もしかしたら、疲れてもう明日は動けないので休みにしましょう、とか言い出そうと悩んだのかもしれないな。でも、素直に疲れてないというあたり、セルフィも俺になじんできたな。なんかや
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第65話:丸揚げ

 悩んだ挙句、みんなで食べられるように丸揚げと丸焼き中身詰めを注文することになった。鶏丸揚げ一匹だけで黒パンセット4つ分ぐらい、という金額。丸焼きも含めれば6食分の金額になる。 しかし、こっちに来て七日目、そろそろ揚げ物が恋しいとも思っていたところだ。異世界へきて揚げ物が食べられるとは思っていなかった。 よく考えれば、マヨ用の植物油も安く手に入るのだから、その分揚げ物文化があってもおかしくはないんだよな。だとすると、ミニボアのカツレツなんかも食べられるかもしれないな。そういう店を開拓するのも面白いかもしれない。値段分は働くから、その分良いものを食べたいもんだな。 しばらくすると、ガルキンの各部位に分けて揚げられたものがひとしきり運ばれてくる。足の部分のチューリップや、手羽先まできっちり揚げられていて、塩がしっかりとまぶされていて美味しそうだ。さすがに胡椒は……ないか。だが、塩だけの唐揚げもまた悪くないぞ。 まだ高血圧に悩んでいるほど運動不足でも不摂生でもない。がつがついけちゃうもんね。むしろ今日しっかり体を動かした分、カロリーを摂取しないといけないし、セルフィも育ち盛りだ。ここは一つ、しっかりと食べよう。 むね肉のボリュームはそれほどでもないが、しっかり小麦粉をつけられた後揚げられているらしいその見た目のカリフワさが目に入ってくると、もう胃袋がたまらないと手を伸ばし始める。早速切り分けて、みんなで味わうことにしよう。 肉のザクッとした歯触りと、皮のカリカリがたまらん。これは美味しいところだ、間違いない。今俺は異世界で鶏唐を食べているぞ。異世界にも鶏唐はあったんだ。 セルフィも揚げ鶏の美味さに目を向いて、はぐはぐと良いペースで胃袋に入れている。どんどん食べるといい。今日は一週間に一回の贅沢の日、ということにしておこう。いや、一週間ではなくこっちでは10日で一回りだったな。10日に一回はこうして贅沢ができる日を作ってお互いをねぎらっていこう。 鶏肉の美味しい所を味わったところで、ローストガルキンの丸焼き中身入りが届く。揚げ物もいいが、焼き物もしっかり食べよう。中に詰め物がしてあるからしっかりと胃にたまるものを食
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第66話:RMT

 食事でお腹いっぱいになった。これだけ食べたのは久しぶりだな。満足して支払いを終えて、お腹を抱えて外へ出る。「ふぅ……ごちそうさまでした。私も久しぶりにお腹いっぱい食べました」 イアンちゃんもすっかり満足したらしい。一番マヨを使って食べていたのもイアンちゃんだった。どうやら胃袋をぎゅっとつかんだらしいな。「そういえば……イアンちゃんにスキルについて聞きたいことがあったんだけど」「なんですか? 私もすべてのスキルについて詳しいことを知っているわけではないですから、わかる範囲でだけ答えることになりますが」 ふむ……ここは語る範囲を狭めておいたほうがいいな。少し暗がりの、人気のない場所へ三人で移動すると、イアンちゃんに早速相談を始める。 ここなら詳細やスキルの内容について内緒話をしていても問題ないだろう。虫の声一つ聞こえない街かど、聞こえるのは遠くのさっき出た店での騒ぎがほんのり聞こえる程度だ。「実は、RMTというスキルについてなんだが」「ああ、そのスキルですか。基本的にはタカナシさんの現実の預金口座からお金を引き出して、こっちで豪遊できるようにするためのスキルと考えてもらっていいんですが……もう使ってみました? 私もお給料はその形でもらっているんですよ」「一応は。それで、逆にこっちから資金を投入することもできるかどうか試してみたんだけど、どうやらうまく行ったみたいなんだよね」 こっちから資金を……というくだりあたりでイアンちゃんの顔が険しくなるが、やり切ったと伝えると、あきらめたように答えてくれた。「それは……できますねえ。手数料は預けるにも引き出すにもかかりますが、向こうへ資金を送って預けておくこともできますよ。私の場合は引き出してばかりですが」「結構お給料もらってそうなんだよね、イアンちゃん。今日のおごりでも心の底から満足して喜んでいる、という感じはしなかったから、結構いい生活をしていそうだ」
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第67話:監視員イアン 2

 イアンちゃんと別れ、自宅としている銀の卵亭に戻る。戻るとちょうど夕食時の一仕事を終えたリンカちゃんがフロアで休んでいて、水分片手にぐんにょりとしていた。「ただいまー」「おかえりなさいタカナシさん、今日も忙しかったですよ、マヨのおかげで」「それは何より。売り上げのほうもしっかり上がったんだろ? 」 指で丸を作って稼ぎなすったんですかい? と確認を取る。「マヨが途中で切れたんですけど、商業ギルドのほうからマヨのおすそ分けが来まして。それで急遽再開することになって大慌てでしたね」 ほう、銀の卵亭にもマヨの供給があったのか、それは大盤振る舞いだな。ここが出元だとわかってるから、ここには配らないと思っていたがさすが商業ギルド、今後は俺が直接作らなくても買いに行けば手に入るように配慮したのかもしれないな。「今日食べてきたお店でもマヨが配られてたよ。街中の店に配ったのかな? 」「どれどれ……揚げ物のにおいがしますね。贅沢をしてきた香りがします」 セルフィの服のにおいをかいで、油のにおいを嗅ぎつけたらしい。俺じゃなくセルフィのにおいを嗅ぎにいったのは同性だからだと思いたい。別におっさん臭かったりまだ血なまぐさかったりするためじゃないよな? 「ガルキンの大量入荷の話を聞いてますから……さては鳥騎士にでも行ってきましたね? ガルキンの丸揚げとか食べてきたんだ! 贅沢! 贅沢は敵です! 」 じたばたと机に突っ伏して暴れるリンカちゃん。しょうがないなあもう。「まあまあ。こんどもしリンカちゃんがお休みをもらえる時があったら食べに行こう。それでいいじゃない」「本当ですか! 絶対ですよ! 」 宿屋の愛娘に休みがもらえるかどうかはさておき、それで機嫌が直るなら……安い報酬ではないが、10日に一回の贅沢を鳥騎士で過ごすようになるのも悪くないかもしれないしな。定番の飯屋を一つぐらい持っておくのは悪くないだろう。「お、タカナシさん帰ってきたか、ほれ、今日の分だ」
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第68話:商業ギルドでは

 side:商業ギルド マヨのレシピの特許権を独占することができた商業ギルドの動きは早かった。商業ギルドで、泡立て器も含めて材料の購入ルートを確保してしまうと、ギド親方から出来始めの数本を受け取り、商業ギルドの一角を仮のマヨ生産拠点とし、さっそくマヨづくりを始めた。 最初は二人一組で始め、慣れてきたら一人ずつそれぞれのペースでマヨづくりを始め、手ごろな容器を都合してくると、容器に入るだけのマヨをたっぷりと入れると、各食品店舗や食事店に無料で配り始める。「急いでください、初動でどれだけの店に配れるかが勝負を分けます。えこひいきなしでどれだけのお店に配れて、それぞれのお店でどのぐらいの客を相手にマヨを売りさばけるか、そしてマヨがどれだけ美味しいかをわかってもらうためのこれは呼び水です。金を払っても欲しいと思わせられればそれでマヨの価値は確定します。後は作っただけ売れる、と思ってください」「はい! 」 ギルド職員のやる気も本物らしく、一生懸命泡立て器を回しながら油を流し込んで、分離しないように一生懸命マヨを作る姿が見えていた。 木工ギルドから適度な大きさの入れ物を受け取ってはそこにマヨを詰め、試供品として配りまわる職員と、製造に回った職員、そして、職員に雇われて、機密契約を結んだうえでさっそくマヨを作り始めた、おそらくこの世界で初めてのマヨ職人たちがひたすらかき混ぜ続けることになった。「ギド親方には歯車式の回転泡立て器の発注はしてありますが、それが仕上がってくるまではひたすら自力で混ぜることになります。泡立て器までセットで考えてくれたタカナシさんにはお礼以外に言うことはありませんね。こうなることまで予想されていた、ということでしょうか」 マルタは一人微笑む。さて、マヨはいくらで売れば元が取れるのか……という計算はもうしてある。後はその値段でも買うと言い出す店がどれほどあるのか、ということだろう。しかし、これは調味料の革命だ。 マルタには絶対の自信があった。これは売れる、この街だけではない、国中、いや、商業ギルドが存在するすべての地域でこれを流行らせることができると。そのためのバラマキの値段だとする
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第69話:今日はダンジョン

 朝のぎらついた、煩わしい太陽に視線を貫かれて目が覚める。もうこの目の覚め方も慣れた。慣れてしまえば、毎朝お日様が昇るありがたさを感じようともいうものだ。 そういえば、こちらへ来てまだ雨が降ったことはないな。雨が降らない地域なのか……いや、それにしてはあんまり埃っぽくないな。今は降らない時期なのかもしれないな。 外で仕事をするにしてもダンジョンに行くにしても、晴れているほうが都合がいいのでその点は感謝はしている。おひさまありがとう。 セルフィも目を覚ましたらしく、目を軽くこすりながらくぁ……と小さくあくびをして起き上がってきた。「おはようございます……」「まだ眠たそうだな。顔を洗ってさっぱりしに行こう」「ふぁい……」 本当に眠そうだが、冷たい井戸の水で顔を洗えば気分も落ち着くだろうし、昨日してやれなかった髪の洗浄を清潔魔法でしてやることもできる。朝からちょっと冷たい思いをすることになるかもしれないが、それでしゃっきりして今日一日を過ごす必要がある。 着替えて着替えをもって井戸へ。洗濯板に洗い物を入れておくと、その間に顔を洗い、口を漱ぎ、塩と布で口の中を綺麗にしてさっぱりする。うむ、今日も一日気持ちよく過ごせそうだ。 身支度を済ませてから洗い物を始める。清潔魔法を唱えてから下着と上着を洗い始める。しかし、洗濯板って割と近代の発明品だったはずだが、この世界の文明水準からすればオーパーツなんだよな。 これも、俺以外の異世界転移者が残していった痕跡だったりするんだろうか。だとしたら……助かった、というべきだろうな。さすがに洗濯板までは思い浮かばなかった。 洗濯機と洗濯板を比較すると、洗濯板のほうが綺麗に汚れが落ちやすい部分があって近年再評価されているらしいし、頑固な汚れになりやすい血の汚れや匂いも、清潔魔法をかけながら落とすことでよりきれいになってくれるはずだ。少なくとも、汚れ以外の菌なんかは落ちるだろう。 自分の分の洗濯が終わった後、セルフ
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第70話:マヨ専門店:マヨチュッチュ

「ちょっと寄り道してから帰るか」「寄り道ですか? いいですけど、あてはあるんですか? 」 セルフィに少し話をしてから商業ギルドに立ち寄ってみる。すると、商業ギルドの入り口に大きく貼り出しがしてあった。「マヨ専門店、マヨチュッチュ、本日開店! 容器持ち込みで容器代サービス! 」 ネーミングセンスぅ……商業ギルド内で適当に決めたんだろうなという気がするが、しかしマヨチュッチュしたいほどのマヨ中毒者がいた、ということにはなるか。 場所は……ちょっとだけ離れたところになるか。食品を扱う店舗に近い場所にはあるので、各種の食事店や宿屋からのアクセスは悪くない場所ではあるな。ここで今後マヨを販売していくことになるんだな。「どれ……朝早くから開いてるかどうか確認しに行こう。自分が原因でできた店だし、どのぐらいの人や人気が出てるかは気になるしな。それが自分の収入に直結するならなおさらだ」「ご主人様のマヨがもう売られているんですか……これからは毎朝作らなくても、マヨチュッチュに来るようになればマヨが気軽に買えるようになる? 」「そういうことになるな。それを確かめにお店のほうに寄ってみるんだ。もしかしたらもう並んでたりして」「どうでしょうね……昨日の鳥騎士にも来ていた通り、マヨを配っていましたから、もしかしたら話題になっているかもしれませんね」 早速商業ギルドの案内図に従って……そして、途中から列ができていたので、すぐに店の場所はわかった。なかなかの長蛇の列。そして、入れ物を持っている人たち。入れ物は千差万別だが、同じような容器を持っている人も多いので、もしかするとマヨを配った容器なのかもしれない。「多いですねー……でも、順調に進んではいますからペースは悪くなさそうですね」 並ぶ列の先を見ていくと、食品店街に近い一角にそこそこの広さの店が営業を始めていた。どうやら急ぎで店を改装して、一刻も早く食事処に
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