マルタさんは俺の言葉を飲み込むと、一口ティーを飲んで落ち着いた後、話をまとめ始めた。「タカナシ様は冒険者を続けたいのですか、それとも店を持って商人として今後やりくりを続けたいのですか、そのどちらを取るかで決まる、ということでしょうね」 ある程度将来の展望をこれまでの商売の例になぞらえて、いくらかのアドバイスをくれるようだ。「商人の道を選ばれるなら、商業ギルドとしても全面的に支援し、マヨの専門店を立ち上げることも叶うでしょう。その利益は莫大なものになるでしょうし、タカナシ様は毎日ひたすらマヨを作るだけで済みます。当然雇う従業員には奴隷契約なりをかけて秘密を洩らさないようにする必要がありますが、それらは解決できる問題です。大きな負担にはならないでしょうね」 ここまではいい。だが、俺には時間制限があるし、商人の道を選ぶのは俺ではなくセルフィ、ということになる。それではダメだろう。それにセルフィのスキルである剣聖スキルを完全に殺すことになってしまう。 親……ではないが、ご主人様が奴隷の、解放される前提である子の行く先や筋道、選択肢を狭めてしまうことはできるだけ慎まなければならない。「それがですね、私はしがない冒険者であって、店を構えてどっしり腰を据えて商売……というわけにもいかんのですよ。ですから今回取るべき方法は後者になります。レシピの特許を取り、マヨを取り扱う店にはいくらかの特許料を支払ってもらってそのレシピを作り出す。もしくは、そのレシピを改造して新しいレシピを考案する。商売ですから新しいレシピも浮かぶでしょうしそうやって競い合っていくにせよ、まずは元のレシピを新しがって購入し始める商売の同志を募るところから始めないといけません」「なるほど、最初から方針はお決まりでしたか。では、そのあたりの取り立てや商売敵、真似して商売を始める店やマヨのレシピを盗み出そうとしている商売人の相手は商業ギルドに一任する、というイメージでよろしいのですか? 」 マルタさんは少し厳しい顔をしてこちらに向き直る。たしかに、商売敵やレシピ泥棒に対する対応を個人でやっていたら話にならない。それらは商業ギルドに
Last Updated : 2026-05-23 Read more