「ど、どうしよう……社長が職場にまで……」「淳子……」この頃、淳子は洋介の執拗なストーカー行為に悩まされるようになった。洋介は人目を憚らずに淳子の職場にまで姿を現わし、熱烈なアプローチを始めるのだ。周囲の目がある以上、強く拒絶することもできない淳子は彼の行動に頭を抱えていた。元々、淳子は優しく穏やかな性格で、人を拒否することができなかった。(それに、あの人は本気になったら何をするかわからない……)それ以上に、彼女は洋介が傷付いてストーカー行為が過激になることを恐れていた。穏便に解決することができればいいが、洋介の淳子への気持ちはハッキリ言ってかなり重い。きっとそう簡単には解決できないだろう。「アイツ……俺の淳子になんてことを……」恋人は当然、洋介の行動に憤った。今すぐにでも洋介の前に飛び出していきそうな恋人を、淳子は必死で抑えた。「お願い、変なことはしないで。社長に目を付けられたら……あなたも無事ではいられないかもしれないわ」「淳子……」恋人が間に入ることで解決するのであれば、すぐにそうしていただろう。しかし、淳子は洋介が彼の存在など気にも留めていないことに気付いていた。恋人が出たところで、彼の行為は止まないだろう。誰から見ても、明白だった。不安げに俯く淳子を、恋人は優しく抱きしめた。「淳子……警察に行こう。アイツのストーカー行為を記録し、捕まえてもらうんだ」「……ええ、そうね。それが一番いいはずよ」困り果てた二人は、とうとう警察を頼ることにした。淳子は洋介のストーカー行動に耐えられなくなり、最寄りの警察署に駆け込んだ。警察が介入すれば、いくら洋介であろうとこれ以上変な真似はできないと思っていた。しかし、事態は思わぬ方向へと転がった。「ど、どういうことですか……!?」「ですから、私たちにできることは何もありません」淳子の悲痛な叫びを聞いてもなお、警察は動こうとしなかった。(ど、どうしてなの……!?証拠だって揃っているのに……!)淳子は恋人と協力し、洋介が彼女の周辺をうろつく瞬間を証拠として動画に収めていた。他にも彼から送られる大量のメールなど、十分すぎるくらいの証拠品を警察に提出した。しかし、それらの証拠を見てもなお、警察は事件性無しと判断した。信じられなかった、なぜこれを見ても事件ではないなどと言えるのか。「夏目社
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