All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 91 - Chapter 100

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第三十三話② ※※※

三、四時間程車を走らせてやっと到着しました、私の別荘。 住宅街から結構離れていて、パッと見、山の中の一軒家です。でも畑も、井戸だけど飲み水も、電気にネット環境だってフル装備しております。はい。 周りは木しかないけどねー。でも侵入者用の罠もあるよー?牛や豚はいないけど鶏はいるから、卵も手に入るし。結構良い場所だよ、ここ。 「えっと鍵、鍵~」 車ごと敷地内へ入り、駐車スペースや車庫なんてものはないから、家の前にどんと車を止めて、私達は車から降りた。 奏輔お兄ちゃんが車にロックをかけてる間に、私はスマホを取りだし、そのスマホカバーに挟んで置いたカードキーを取りだして、家の鍵を開けた。 中へ入ると、窓が閉めきられている所為で、むわっと熱気が来る。 「まずは換気かなー?」 「掃除はあまり必要なさそうじゃね?」 「掃除はちょくちょく私がしてたり、真珠さんにして貰ったり、ママの執筆監禁場所に使ってたりしてたから比較的綺麗なままだと思う」 言いながら靴を脱いで、中へ入る。 てくてくと進み、真っ直ぐ続く廊下を歩く。 「えっと、右手にある扉がトイレでー、左手にあるのが掃除用具入れでー」 案内しつつ、正面のドアを開ける。 すると下に降りる階段がある。そこをまたてくてくっと降りて行くと、結構な広さのキッチン・ダイニング一体型リビングに着く。 「広っ!?」 「おいおい、マジか。流石白鳥財閥総帥の別荘だな」 「成程。山の斜面に建ってるからパッと見解らへんのか。窓から見える景色が圧巻や」 「右手側の奥にある階段を下れば寝室。反対の左手側の奥にある階段を下りればお風呂とか、洗面所とかあるよ~」 歩いて、換気の為に窓を開けて行く。 お兄ちゃん達もそれぞれカーテンを開いたり、窓を開けてくれたりと手伝ってくれた。 さ、寝室も換気して来よう。 自分がさっき言ったように右側の奥にあるドアを開けて階段を下りると、廊下が続き、寝室のドアが右左に交互に並んでいる。 お兄ちゃん達と、私の分。それから恐らくこれから来るであろう、華菜ちゃんと愛奈、近江くんの分。 ってなると、私達女は同じ部屋で構わないから一番奥のベッドが三つある部屋だね。で男の人達は一人一部屋で割り当てようかな。 丁度寝室は五部屋あるしね。 まずは一番奥の私達の部屋から。 ドアを開けて、部屋を見回
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第三十三話③ ※※※(大地視点)

真っ暗な道。軽トラックを走らせる。 今日姫ちゃんに野菜をとって来てと頼まれ畑へ行った時、畑の脇にあった小屋に軽トラックが置いてあった事に気づいたのだ。 幸いガソリンも満タンに入っており、恐らく何かあった時の為に常に姫ちゃんか姫ちゃんの頼んだ誰かがメンテナンスをしていたんだろう。 畑用に用意していたってのは、承知の上だけどねー。 ハンドルを緩く切って、山道をぐねぐねと進む。 何処へ向かっているのか。 それは勿論、皆で話し合って目星をつけた場所だ。 本当なら皆で行くべきなのかもしれない。 だけど、良く考えてみて、 (そんな危険な場所に、姫ちゃんを連れて行ける訳ないだろ) と、オレの中で結論が出た。 何で可愛くて堪らない、ずっと見守ってきた女の子を危険に合わせなきゃいけない? 姫ちゃんは女の子だ。か弱い女の子なんだ。可愛くて堪らない女の子なんだ。むしろ天使っ!姫と言うより天使っ!女神でも良いかっ!?いやっ、女神は色々複雑だからやっぱり天使だっ! 脳内、姫ちゃん祭り。 そんな祭りを開催していたら、気付いたら管理地に到着していた。 トラックから降りて、まじまじと観察してみる。 管理地ってどんな場所かと思ってたら、洞窟?いや、洞窟とは違うか? 大きな岩壁の一部が鉄のドアになっており、そこには藤の花の房が九つ、描かれていた。 「わっかりやっすーい。どっからどう見ても裏門の管理地じゃねぇーか」 さて、どうするか。 ここで素直にドアを開けるのは馬鹿のする事だろ。 表門の連中はきっとここを見つけただけでテンション上がって、何も考えずにドアに触れて開けたんだろうな。 …まずは様子見、か。 足下にある小枝を上方へ蹴り上げて、キャッチするとそれをある程度力を込めてドアに向かって投げつける。バチッ!目に見えない何かに弾かれた。結界か? それともあれに触れると、表門の連中の子みたいになる呪いか何かがある、か? 何か、あれを発動させる装置か何かあんじゃねぇの? ドアに触れないギリギリの位置まで近寄って、周囲を確認する。 特にそれらしき装置はな…い? 装置はなかったが、ドアの横。岩壁の前。何か不自然に盛り上がってる土があるんだけど。 結界とは関係ない位置にある。 掘ってみるか? 確かトラックにシャベルがあったはずだ。 軽トラックの
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第三十三話④ ※※※(大地視点)

洞窟の中。一歩一歩と慎重に進む…のは流石に面倒なのでズカズカと奥へ進んで行く。 気になる所は調査しつつ進もうと思うんだけど、特に怪しい所は見つからない。 今の所普通の洞窟だ。 …入口が梯子な時点で普通ではないけどな。 さて。そうこう考えてる内に結構前へ進んできたが、ここで漸く別れ道らしい。 道は前方方向に三つに分かれている。 一先ず簡単に右斜め方向の道を右、隣を真ん中、左斜め方向を左と考えるとして。 懐中電灯でそれぞれを照らしてみるが、真っ暗で見えない。 これが調査じゃなきゃ適当に石蹴飛ばして石が転がった方向へ行くんだけどな。 何があるか、一通り調べて行かなきゃな。姫ちゃんが怪我するような事は絶対ない様にしないと。 まずは、右に行ってみるか。行き止まりは行き止まりで何かあるかもしれないし。 躊躇せず進む。 特に怪しい所はなさそうだ。 強いて言うなら、足下にスイッチ式の罠があること位か。 こんな解りやすく作られてたら、逆に踏みたくなるな。 姫ちゃんが来た時、既に罠が作動されて動かない状態にしといた方がいいか?…うん。そうしよう。 カチッ。 罠のスイッチを踏むと、両サイドから矢が飛んできた。 パシパシッ。 音を立てながらも自分に当たりそうな分は掴んで回避。 在り来たりな罠だな。 掴んだ矢をポイッと放って、少し進む。 今度は側面に如何にもなでっぱりの岩がある。 これもどう考えてもスイッチだろ。 ……風が止まった? さっきまであった風の音が消えた。 って事はここは無風状態って事で…。 奥まで進むと、どうやら行き止まりっぽかった。 壁を見る限りスイッチや罠の起動装置はなさそうだ。…と考えると、あのスイッチは空気に混じるタイプの罠だな。毒ガスとか催眠ガスとかそこら辺。 なら、押さずに戻るか。 来た道を引き返し、別れ道まで戻って、今度は真ん中の道へと行こうとして、ピタッと足を止める。 「これからこうやって道が続くとしてー。オレ、道順暗記とか無理ー」 自分の記憶力の残念さは自分が一番知っている。 佳織さんのスパルタがあって、姫ちゃん可愛さに養護教諭になる為の勉強は死ぬ気でしたけれど、おかげで脳味噌にもう余裕がない。 マッピングするか? 紙…とか、持ってくるような人間でもないんだよな、オレ。 持って来たのは懐中
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第三十三話⑤ ※※※(大地視点)

調査を開始して3日が経過した。 洞窟内の調査は大分進んだと思う。 マップを見ても、行ける場所は大体行った。何度か戦闘にもなったが、まぁあのクラスなら問題ない。佳織さんのが余程強い。 で、今オレは何をしているかと言うと。 「このままで終わる訳ないと思ってたけど、まさかまた梯子があるとはねー」 洞窟の最奥でまた下へ進む梯子を発見したのだ。 見つけ辛い事に、土に隠されて簡単に発見出来なくされていた。けど歩いていきなり、足下に空間の様な違和感を感じたら嫌でも気付く。 足で土を避けてみたら案の定マンホールみたいな蓋があって、それを蹴ってみたら梯子があって今に至る、と。 んー…今何時だ? 時計を見ると、今午後3時。少し様子見位は出来るか? いや、こっから戻る時間を考えると…無理だな。 けどなぁ…。 今日別荘出る時。 『大地お兄ちゃん。…何か、怪しい…』 って姫ちゃん言ってたっけ。そろそろ隠すのも限界なんだよねー。だったらいっそ、ばらしてしまって、オレが調べて安全って解ってる所から調査をさせた方がいいか。 となると、もう少し調査をして態と遅れて帰るか。 そうと決まれば、梯子を降りよう。 カンカンと音を鳴らしながら、降りて行くと。 お決まりの真っ暗闇。 けど最初の時と違うのは、何かが蠢く音がそこかしこからする事。 暗闇で動くモノ、かー。 特に恐怖はないので、懐中電灯で先を照らしてみる。すると、そこには歩く骸骨が。 「えっとー…こーゆーのはあれだ。…そうスケルトンって奴だなっ」 ゲームとかでは騎士だったり、侍だったりの恰好をしてるもんだけど、こいつらは忍びの恰好をしている。 要するに死ぬ前は忍びだった連中って事だ。 さて、強さはどんなもんかな? スケルトンの倒し方…結構効かない攻撃が多いって言うよな。確実なのは浄化系の魔法やスキル。…オレは何持ってたっけ? 特にそれらしいスキル持ってないよなー。あ、そういや回復スキル持ってたっけー? ……スキル『手当て』。簡単な手当てをする事が出来る。アイテム救急箱が必要。…うん、意味ねーなー。 はぁ。仕方ない。殴るか。 いつの間にかじりじりと迫って来ているスケルトン。囲まれる前に倒す必要がある。 一先ず足下にある石を拾って、目の前のスケルトンの頭蓋骨に向かって投げつけた。 ガシャンッ
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第三十三話⑥ ※※※

「じゃあ、行ってくるからー」 「……いってらっしゃーい」 じとー…。 大地お兄ちゃんを見送りつつ、「ずるい」「心配」「不安」と様々な感情を込めて見つめてると、大地お兄ちゃんに苦笑されて頭を撫でられた。 うぅ…。情けない。 何でだろう。鴇お兄ちゃんや御三家のお兄ちゃん達といると、自分が滅茶苦茶子供に思えて情けなくなるのは…。 精神的にはずっと年上なのになぁ…。 家を出て行った大地お兄ちゃんのトラックが敷地を出て行くのを見送って、私はとぼとぼと別荘の中に戻った。 リビングに戻ると、そこには透馬お兄ちゃんがコルクボードに貼られた地図を真剣な眼差しで考察している姿があった。 奏輔お兄ちゃんと近江くん、そして愛奈は大地お兄ちゃんより先に情報収集に出掛けて、華菜ちゃんは寝室で何やら別ルートで情報を集めている。 …何か、私だけ何もしてないんじゃ…? 確かに守られる立場にいるけどさ。何もしないのは違うじゃん? かと言って不用意に外に出たら、迷惑になる。…ふみぃ~…役立たずじゃ~ん…。 自分の足手まといっぷりに、落ち込みながら透馬お兄ちゃんの横を通り過ぎようとすると。 「ん?姫?、どうした?しょんぼりして」 「透馬お兄ちゃん…だって、私があまりにも足手まといの役立たずだから~…」 「は?いや、そんなことないだろ。俺達のモチベは姫の存在にあるんだぞ?」 「そんなの気休めだー」 「いやいや。んなことねーって」 「ふみぃ~…」 透馬お兄ちゃんは私の拗ねっぷりに、大地お兄ちゃんと同じような苦笑いを浮かべて私の頭をわしわしと撫でた。 「じゃあ姫。俺の気分転換に付き合ってくれよ。少しお喋りしようぜ。茶と菓子用意してくれよ。今なら俺達が小さい頃の話をしてやろう」 「えっ!?いいのっ!?ま、待っててっ!!直ぐ用意するからっ!!」 お兄ちゃん達の小さい頃のお話っ!これは聞かない訳にはいかないっ! 秒で準備を済ませて、ソファで座る透馬お兄ちゃんのテーブルに紅茶と特製パウンドケーキを置いて、反対側のソファに座った。 「恐ろしく速いな…」 「透馬お兄ちゃんっ、早くっ、早くっ」 わくわく。 正座で待機している私を見て、小さく笑って、透馬お兄ちゃんは話し出した。 「あー、どっから話していいもんか。そうだな、まずは出会いからか?」 どんな子供時代だった
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第三十三話⑦ ※※※(大地視点)

―――数時間前。姫ちゃんに見送られ、オレは今日も姫ちゃん特製のお弁当を持って、洞窟の探索へと向かった。 姫ちゃんのあの不服そうな?不満そうな?顔を思い出すとついつい笑ってしまう。何でかって?可愛いからに決まってる。 そんなにオレが心配なのかなー?とか思うとマジやばい。テンション上がる。アクセル踏み込んでいいか?駄目だよなー。 順調に車を走らせて、洞窟前に辿り着く。前回と同じく車を止めて、早速中へと潜る。 一層も前回二層もクリアした。 今日は三層に進む。 これまで通りなら恐らく問題ないと思う。 敵も遭遇しても軒並み倒して来てるしな。 真っ暗だった二層も前回ボスキャラを倒した時に明るくなった時のままであっさりと三層への入り口である梯子を見つけた。 って言うか、ここ。三層の入り口の穴。前回の戦闘中ここにあるって知らなかったから、下手してたら落ちてたかもねー。まぁ、落ちても怪我はしないだろうけどー。 カンカンと音を立てて梯子を降りる。 お?明るい? 二層と同じく石が光ってるっぽいけど…それだけじゃない?奥の方で何かがビカビカ光ってる。 警戒してはいるけど、スピードを緩めることなく足を進めると、その光っている物が何か素直に納得した。 「おー…ここが金銀財宝の山って事かー」 思いの外、近かったなー。財宝置き場。 本物かどうか、確かめるか? あー…でもなぁ。罠って可能性が高いっつーか、多分罠だよなー。 一歩近付く毎に首筋の辺りがチリチリしてくる。絶対に何かある。 下手に近づかない方がいいな。 敢えて懐中電灯で周りを照らす。金銀財宝を避けて周囲を確認する。すると何もない真っ暗闇の方に下へ行く梯子を見つけた。あっちに行けば四層か。 オレは財宝に特に興味はないし。まずオレが確かめるべきは姫ちゃんが安全に進めるかどうかだし。三層が財宝エリアって事は、恐らく呪いはここでかけられたと考えても良い。 となると解呪方法はあるとしたら更に最深部だな。何でそう思うかって?RPGの鉄則っしょー。ボスと秘宝は最深部って。 四層に行く梯子に足をかけた所で、 「………だっ?」 話し声が聞こえた。 一体誰だ? 相手の姿を確かめる為に、梯子をもう少し降りて姿を隠して待機する。 オレはあちらの気配に気付いたけど、むこうは全くオレの存在に気付いていないらし
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第三十三話⑧ ※※※(大地視点)

「……はぁっ…はぁっ…っとに、先輩っ。碌な事しねぇな、マジでっ」 心の底から同感ー。 二層に戻ったものの、今何か起きたり襲われたら直ぐに対処なんて出来ないだろうという事でオレ達は一旦地上へと戻り、地面にへたり込んだ。 「あー…今日は調査止めて帰ろっかなー」 万全な状態で挑まないと危険以外の何物でもないし、何より小次郎は別として、もう一人の忍者の先輩、略して忍先が邪魔過ぎる。 「俺っち達もそうした方が良さそうっスねー……って、何だこれ?」 「あ?」 小次郎がオレに向かって振っていた手を止めた。 しかもその手を凝視している。一体何を見ているんだ? オレがその手の甲を見ようとしたら、小次郎が今度はオレの手を指さし、 「大地さんの手にもあるっスよ?」 言ってきた。 無意識に手を上げて、その甲を見ると何か良く解らない文様がある。小さな記号や文字があるが…単体で見ると意味が解らないが遠目で見ると、これは…。 「時計、か?」 「時計っスね」 …なんで時計? オレと小次郎が再び自分の手を見て一時停止。 何でかって? この時計の針。秒針…動いてる。手の甲にある文様が動いてる。 「気持ち悪っ!?」 「自分の意思に関係なく手の甲の表面が動くとか気持ち悪っ!!」 小次郎の言ってる通り、まるで時計が体に埋め込まれたみたいな感じで。兎に角気持ち悪い。 でもさっきも思ったけど何で時計? 鏡がある訳じゃないから、オレは同じ状況にある小次郎を観察する。 すると首とどうやら手の平にも時計ではないが文様が…。 「これって、さっきのアイツが付けたって事か?」 「…って事は、これ、呪いっスかっ?」 「…それは間違いなさそうだけどー…苦しむがいいって言ってたよな?」 「言ってたっスね」 「の割に全く痛くも痒くもないよな?」 「ないっスね。しいて言うなら気持ち悪いってだけで」 確かに気持ち悪いが、そんな気分だけの呪いってどうなんだ? これだって気にしなければ大して気にもならない。 だけどあいつは、オレ達に呪いをかけた奴は何て言っていた?『……呪イ…。宝、命吸収、……苦シムガ良イ…』「呪い。宝、命吸収、って言ってたっスよね?」 同じ事を考えていたのか、小次郎が言葉にしたのでそれに頷く。 宝の命…? 「『宝の命』と言う言葉をそのまま捉える
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第三十三話⑨ ※※※

さて、皆様問題です。 今私は何を考えているでしょうか。 1、大地お兄ちゃんが私に囁いた事について。 2、大地お兄ちゃんがほっぺにキスした事について。 3、大地お兄ちゃんが辛そうな顔をして引き返していった事について。 ……。 ……全部じゃーっ! え?なに?なんなのっ? どっから悩んで良いのっ?これっ。 大地お兄ちゃんに一体何があったのっ!? そもそもあれは大地お兄ちゃんだったのっ!?本物っ!?あってるっ!? 「透馬お兄ちゃん。今大地お兄ちゃん来たよね?幻?」 「いや。来たぞ。間違いなく大地だった」 「だよね」 「ただ、あいつの表情。あれ、何だ?」 「え?」 表情?すっごく辛そうな顔してたあれのこと? でも何だと聞かれても、私には解らない。 首を傾げると、何か考え込んでいた透馬お兄ちゃんが私を見た。 「…姫。悪いがちょっとデコ見せてくれ」 「おでこ?はーい」 あっさりと前髪を上げて透馬お兄ちゃんに見せる。恥ずかしさ?ないない。だっておでこだし。あ、勿論、女子の中にはおでこ見せるの恥ずかしい人がいるって知ってるよ?私は恥ずかしくないだけで。 透馬お兄ちゃんが私のおでこをマジマジと観察する。 「…あいつ、何を見てやがったんだ?それらしき怪しいのは何も…」 そっと触れられるけど、痛みとかは何もないし、自分で触ってみても特に変化はない。 私が再び首を傾げると、透馬お兄ちゃんが再び何かを考え込み始めた。 さっきの大地お兄ちゃんが残した謎なキスを思い出すと私はまた思考が停止しそうなので、他の何かを考えよう。 あぁ、でも、大地お兄ちゃんが辛そうなのは私も嫌だな。 …何が、あったんだろう? 私の額と頭上を見てたっけ…。 見上げてみるも何もない。おでこは透馬お兄ちゃんが確認したしなぁ。念の為に鏡でも見てみる? 立ち上がって手っ取り早い鏡のある場所。洗面所へ向かう。 洗面所の鏡の前に立ち自分の姿を映してみても、特に変わりはない。おでこも…何もないよねー? んんん?大地お兄ちゃんは何にそんな衝撃を受けたんだろう? 他に何か変化してる所あるかな?…パッと見、見当たらないけど…。自分の変化が何か数値化でもしてたら解りやすいのに……って、してるじゃん。私の能力しっかりと数値化されとるやん? ステータス画面を開く。 あ、レベル
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第三十三話⑩ ※※※

「陸実くんっ、ストーップっ!」「行くぜ行くぜーっ!!」「聞けーいっ!!」陸実くんが全力ダッシュしている。ホント、何処に向かってるのっ!?「戻って来てくれないなら、私一人で別ルート行っちゃうんだからーっ!!」やけくそで叫んだら、「それは困るっ!」秒で戻って来てくれた。おっと、あんまり近くに来ないでね。体震えちゃうから。適正な距離を保ちつつ、私は戻って来た陸実くんと向き合った。「それより陸実くん。一つ聞きたい事があるんだけど」「いいぜっ」「陸実くん。別の入り口から入ったって言ってたよね?」「おう」「それって何処?どんな感じだった?」「どんなって…真っ暗で良く見えなかったんだけど、階段だったぜ?ただずーっと降るだけの一本道」階段…一本道。それってまさか、ゲームで良くあるショートカットルートって奴じゃない?深いダンジョンとかだともう一度そこまで行くのは面倒だって事で、到達した地点まで移動出来るルートが作られる。例えば、『魔法陣でワープ』とかそれこそ『直通の階段が出来る』とかだ。だから陸実くんが来たのは恐らく直通の階段だと思う。しかもご丁寧に、『一度踏破した階層は選べる』タイプ。これは利用しない手はないんじゃない?もしかしたら大地お兄ちゃんに一足飛びで近づけるかもっ!「ねぇねぇ、陸実くんっ。その階段って何処っ?私、そこに行きたいっ」「へ?あー、連れてってやりてーんだけど、真っ暗過ぎてわかんねーんだよな。あり得ない話だけど、来た道戻ろうとして振り返ったら壁があって戻れなくなっててよ」成程…一方通行型なんだ。じゃあ、まずは一旦外に出るしかない。外からなら入れるんだし。正直、各階層を探るよりはそっちの方が余程速い。「陸実くん。その階段の一本道への入り口は覚えてる?」「おうっ。それならバッチリだぜっ!」「じゃあじゃあ、そこに私を連れてってっ!」「おうっ!任せろっ」そうと決まったらまず外に出なきゃっ!「それじゃ、行こうぜっ!」「って、何処行くのーっ!?カムバーックっ!!」「へ?」「奥に行ってどうするの。一旦出るの。ついて来て、陸実くん」陸実くんの案内に若干…かなり?の不安を覚えつつ、私は勝手に進もうとする陸実くんを連れて外に出た。行った側から戻って来た私に驚いた近江くんが慌てて駆け寄って来てくれる。「どう
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第三十三話⑪ ※※※(大地視点)

七層に降りた。 ……何にもない、ただ、だだっ広い空間がそこにあった。 暗くはない。 天井に光る石が敷き詰められている。 怪し過ぎる空間。 …同じ失敗はしない。罠が、呪いが姫ちゃんに行く可能性が少しでもあるのなら、慎重に行く。 オレにかけられる分にはいくらでも構わないが、姫ちゃんに行くのなら話は別だ。 「……特に何もないように見えるっスね」 「…あぁ。だからこそ怪しいんだ」 「そうっスね」 オレと小次郎は慎重かつ確実に前へと進んだ。 それと同時に覚悟も固めて行く。 この広さは何かある。 ゲームで言うなら、ボス戦がありそうな場所だ。 普段予想とか勘とか一切当たらない癖に、こう言う時だけ勘が鋭くなるのは何故なのか。 ざわりと空気が動く。 足下から、横から、上から、後ろから。 奇妙な感覚が辺りからオレ達の前方へ集まって行くのを感じる。 ざわざわと見えない何かが何もないそこに何かを形成していく。 「こ、これヤバくないっスか?」 「間違いなくやべぇな。これは最悪だぞ。姿が見えない、不用意に動けない、更に時間もない」 「ど、どうするっスか?」 「まず、相手を見えるようにするのが先だ。透明なままで攻撃されては逃げも隠れも出来ない」 「成程。ならこれはどうっスか?」 小次郎がポケットから何か小さな球体を数個取りだした。 「これは?」 「痴漢撃退ボール小っス」 「痴漢撃退?」 「そうっス。防犯ペイントボールの改良版みたいなもんっスね。これを投げるとボールが弾けて中からインクが出てくる仕組みっス」 「色を付ける、か。いいな。やってみよう。…所で」 「?」 「何でペイントボールをこんなに持ってんだ?」 「彼女に持たせる為に決まってるじゃないスかー」 …良い笑顔だな、おい。 でもその気持ちは少し理解出来る、いや大分理解出来るから突っ込みは入れない。 今は見えない敵に集中。どんどん膨れ上がる気配の塊に投げつけるタイミングを見計らう。 この敵は何の部類に入るんだろうか? 透明人間? 幽霊? それが解らない事には次の行動手段に移れない。 敵が集まるのを警戒しつつ見ていると、何処からかシュルシュルと謎の音が聞こえて来た。 まるで蛇が動いている様な音に毒持ちだった場合を考えてオレ達は少し後方へ下がる。 「……何が動い
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