All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 111 - Chapter 120

123 Chapters

第三十一話⑤ ※※※

………徹夜ってしんどいよ、ね…。 いやね、頑張ったんだよ。 私めっちゃ頑張ったの…。 いや、違うの。本当は…本当はっ、止め時が見つからなかったんだっ! すっごい楽しかったのー。ゲームって楽しいよねー。 しかも練習モードで歌唱力のメーターゲージが貯まるまですっごく時間かかってね。 そのー……今日で完徹三日目です。 「てへっ!」 「王子。てへ、じゃねーし」 「いやんっ、ユメの口調が怖い事にーっ!」 「王子、目の下に隈とか。あり得ないから。取りあえず、今日のレッスン見てなくて良いから、寝て」 「えーっと…」 棗お兄ちゃんいないし、鴇お兄ちゃんもいないしなー…。優兎くんもいないし…あんまり眠れないから結果は一緒かもしれないと言うか何と言うか…。 「眠れないならせめて、目を閉じて休んでて」 「…はぁーい…」 こう言う時のユメと華菜ちゃんは強いのです。 仕方なく椅子に座って目を閉じようと思っていると、 「姫さん。こっちにおいで」 「?、奏輔お兄ちゃん?」 レッスン室の壁に背を預けている奏輔お兄ちゃんが私を呼んだ。 素直にそちらへ行くと何故か奏輔お兄ちゃんがポンポンと自分の太ももを叩いた。 「?」 理解出来ずに首を傾げていると、苦笑した奏輔お兄ちゃんが私の肩を掴んで、…これは膝枕でしょうか? 「奏輔お兄ちゃん?」 「今日はレッスン言うても陸実も海里もまだ学校の補習から来てへんし、空良は今から歌レッスンやからそれを子守歌にして寝たらええ。空良の奴、爆発的に歌上手くなったから、良い子守歌になると思うで?」 そう言って笑う奏輔お兄ちゃんを見上げると、奏輔お兄ちゃんは真っ直ぐ空良くんの方を向いていた。 歌の練習…。 天井を向いていた体を横にして、奏輔お兄ちゃんと一緒に空良くんを見守る。 「~~♪………ちょっと、違う?もう少し、低めに…~~~♪、……うん、こうだ…。じゃあ、一回通して歌ってみよう」 楽譜を持って立ち上がった空良くん。 「準備はええか?空良」 「はい。奏輔様」 しっかり頷いた空良くんに頷きで返した奏輔お兄ちゃんは手早くスマホを操作して音楽を流した。 あれ?この曲って…。 私が朝までしつこくしつこーくやり続けた練習モードの曲では…? あぁー、やばい。 イントロ流れただけで、指がコントローラーを握る形になる
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第三十一話⑥ ※※※(空良視点)

じー…。 何度眺めても全く飽きない。 むしろ可愛くて仕方ない。 寝顔すら綺麗なのってもう犯罪だと思う。 「空良。歌を止めないのは良い事やと思うけど、姫さんに近寄り過ぎやで。あと、また同じ所外してる。それから何かおかしいな思とったら、お前歌詞間違えとるで。そこは「ゆいいつ」や。「ゆーーつ」じゃない」 そうなのか…。 「お前達が漢字を間違えやすいのは、意味を知らないからや。解らない事があればまず調べてみる癖をつけろ」 頷いて、早速辞書を取りだそうとしたが、「今やない」とあっさり奏輔様に止められてしまった。 ……一先ず歌い続けよう。 ……じー…。 「だから、姫さんを見過ぎやって言ってるやろ」 あっ、隠されたっ。 奏輔様の手が、とり先輩の顔を覆ってしまった。酷い…。 折角のおれの癒しタイム…。 歌い終わり、奏輔様がおれに改善点を告げてからもう一度曲を流す。 それにしても、なんでだろう? 昨日より歌いやすい気がするのは…。 とり先輩が来てくれてるからやる気も出るし。 …そう言えば、とり先輩の顔、もう見れるかな? そっと奏輔様にばれないように視線を送ると、奏輔様の手はとり先輩の頭を撫でていた。 羨ましい…。 おれもとり先輩の頭撫でたいし、奏輔様に撫でられたい…。うん?何かおれ変な事思った気がする。…気のせいかな? まぁ、細かい事はいいや。 それよりも、とり先輩の寝顔…。 じー…。 「ふみっ!?」 とり先輩が驚いてる。 いつの間に起きたんだろう? ベシっとデコピン喰らったから戻る事にする。 そうこうしてる間に陸と海が合流した。 とり先輩も帰っちゃったし、今日もレッスンして終わりかな? 「どう思う?透馬」 「…俺としては、やるのもありだと思うが」 「でもそれだとソロ活動になっちゃうんじゃねー?」 「いや、だからやるならまず動画サイトにアップする所からだろ」 「…ほんなら、一度とるだけ撮って見るか?」 「だな。えっと、姫が言ってた動画投稿開始日いつだっけ?」 「来月の14日って言ってたはずー。本当は12月の14日にしたかったらしいけどねー」 「?、12月の14日?」 「猿の日って奴だろ」 なんか奏輔様達が笑ってる。 一体何に笑ってるのか解らないけど。 「おーい、聞いてんのかよー、空」 「聞いてない
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第三十一話⑦ ※※※(海里視点)

「……すよー………」 ボクの寝息じゃないよ? この寝息はボクじゃなくて、鈴先輩の寝息。 どうしてレッスン室で卍描いて寝てるんだろう…? 今日レッスン室に一番乗りだったボクは、ドアを開けていきなり卍型で力尽きている鈴先輩を見て驚いた。 どうしたらいいんだろう? 取りあえず風邪引くといけないから、ボクの制服のジャケットでもかけておこ……あれ?でもボク達が近づいたら起きちゃうかな? 鈴先輩、男性恐怖症だし、ボク達が近づいたら気配で起きちゃうし。 …夢姉連れて来る? でも夢姉、今日歌番のリハがあるからって早くインしてる筈だし…。 …………………。 せめて暖かくして寝る為に…。 レッスン室のドアを閉めて、誰にも邪魔されないようにボクは閉めたドアを背に座った。 おやすみなさい。 これで誰かしら来たら起きれるしね。…………すよすよ……。ゴンッ。 「…………痛い…」 「そらそうだろ。痛くなる様に殴ったんだからな。お前なんつー場所で寝てんだ」 この声は透馬兄? 目を開けると呆れたように笑う透馬兄の顔があって、ボクの体は床に倒れていた。 「大体、想像はつくけどな。ほら、とっとと退け。中に姫がいるんだろ?」 「そうだった」 急いで立ち上がってドアを開ける。すると中では相変わらず鈴先輩が卍型で眠っていた。 「あーあー。なんつー格好で」 透馬兄は普通に鈴先輩に近寄り、先輩のほっぺをつついた。 「ひーめー。おーい、姫ー?起きないと顔に床の痕がつくぞー」 ボクがその様子を遠くからジッと見ていると、透馬兄がその視線に気付いて今度は少し強めに鈴先輩の肩を揺すった。 「………ふみぃ~……HARDモードが……ガチ、過ぎて、……つらぁ…」 「何か楽しい寝言言ってんな。こりゃまたゲームのし過ぎか?」 「鈴先輩、ゲームにはまってるの?」 「みたいだな。毎日プライベートな時間はそれに注ぎ込んでるっぽい。ほら、姫。しゃっきりしろ。ってーか、寝るならここじゃなくて家で寝ろ」 「……んー…起きる」 もっそりと起き上がった鈴先輩は目を擦って漸く目を開けた。 「ふあ~ぁ…。…うん、寝不足には慣れてるから大丈夫っ!さっ、早速仕事しようかっ。海里くん、スケジュール表持って来てる?」 スッと切り替えるあたり流石だと思う。 でも、まだ皆揃ってないんだけどな
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第三十一話⑧ ※※※(陸実視点)

初めての歌番組の収録も無事終了ー。 美鈴センパイが出した宿題も何とか終了させた。 そして、今日の現場からの距離を考えて施設の方に帰って来たんだけど…。 「むつみにいちゃんっ!あーそーぼーっ!!」 「かいりおにいちゃん、ねてないのー?じゃあいっしょにねんねしよー」 「あきらにいにー、とどめをさすよ」 新しく施設に入った奴らも追加された状態で飛び掛かってこられた。 「……ちょっと失敗したな」 「ちょっとどころかだいぶ、だよ」 「……………………とどめ、くらった……」 「ほらほら3人共、子供達の相手してたら本当に寝れなくなるわよ。明日は朝早くから現場入りなんでしょう?」 母さん先生がオレ達三人を客間(オレ達の部屋はもう弟妹達に引き継がれている)に荷物を放り投げた。 鞄の中からスマホを取りだして、社長からの連絡がないかのチェック。 今日は特に連絡はないみたいだ。 宿題もさっき言ったように終わってるし…。 「今日はもう風呂入って寝るかー」 「……………すよー………」 「もう寝てんのかよっ!海、せめて布団敷けよっ」 「………………陸。おれが敷いておいた」 「自分の分だけなっ!海の分も敷いてやれよっ!」 「…………………風呂、行ってくる」 「うぉーいっ!!……結局オレが敷くのかよ」 襖の奥から布団を取り出して、敷いていく。 海をわざわざ布団に寝かすのも面倒だな…転がしてやれ。 あ、上下逆さまになった。…枕をそっちにおいてやるか。せめもの優しさ。 さて、オレも風呂にするかな。 着替え着替え、っとー? ~~~♪ スマホの着信音? スマホを持つと画面には白鳥美鈴と映っていて、即電話に出た。 『やっほー、陸実くん。こんばんわ』 「おうっ、こんばんわっ。美鈴センパイ」 うわーうわーっ。電話越しでも美鈴センパイの声って可愛いよなっ! 『ごめんねー?夜遅くに。ちょっと今日の感触を聞きたくてねー。どうだった?楽しかった?』 「おうっ。楽しかったぜっ」 『大成功だったんだ?』 「んー…ちょこちょこ失敗したけど、バレた感じはしなかったな」 『そっかぁ。うんうん。失敗をちゃんとカバー出来て楽しく終われたのなら良かったねぇ』 電話のむこうで美鈴センパイがにこにこ笑って頷いている姿が想像出来て嬉しくなる。 気にかけてくれて、し
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第三十一話⑨ ※※※

「…………ふ、み………ぃ……」 どうも、美鈴(ヒロイン)です。 私、頑張りました…。 頑張りましたよ…。 ハマったー…。 ゲームやり過ぎて、すっかり真っ白な灰になってしまったよ…。 でもそのおかげで、聞いて下さい。 全てのゲージMAXにしましたっ!!拍手ーっ!!わーわーっ!! …………いや、マジで楽しかったけど、結構難易度高くてね? こんだけMAX、コンプリートにするの本当大変だったんだよー。 ましてや私のやっている事があの子達に反映するなら尚更でしょう? でもゲームやり過ぎて私の目がさよならしそう。 暫く、画面系見るの止めよう…。 うふふふふ…。 でも、ちょっと…もう少しやり込みたくもあるような…。 「……アホな事考えてないで取りあえず目薬買いに行こう…」 鞄を持ってから…もう面倒だからいいやと、財布だけを持ってふらふらと部屋を出て、そのままお外へ。 あうっ、…お日様が私の目を刺してくる…うぅぅ…。 浄化される乙女ゲーヒロインってどうですか…? ふみぃ~…く、薬屋さ~ん…。 ふらふら~っと…そう言えばお兄ちゃん達含め、家族皆が仕事にかかりきりなのを良い事にご飯もこっそりカップラーメンですませてたんだよね…。 いや、解るよ? 言いたい事は解るの。 ご飯は大事ってあなたが言ってたのよ、って言いたいのは解るの。 でもね、ゲーマーってのはゲームに集中したいが為に…さーせんした。 取りあえずちゃんとご飯食べよう。 ちゃんとご飯…う~ん…何食べようかな。 冷蔵庫の中、空っぽだと思うんだよね…。 食材も買って行こう。 「おいおい、姫。後ろから見てると危なくて仕方ないんだけど」 「ふみ?」 背後から声がして振り返るとそこには透馬お兄ちゃんが立っていた。 「うわ、すげぇ隈だな。なんでそんなんになってんだ」 笑いながら私の頭を撫でる透馬お兄ちゃんを真っ直ぐ見られない。 ゲームしてましたとは言えないよねぇ…。 「えーっと…えへへ」 笑って誤魔化せ。 「ったく、すーぐ笑って誤魔化そうとするな、姫は。ほら、姫。家に来いよ。コロッケ、おごってやる」 「ふみっ!?か、カレー味ありますかっ!?」 「ハハッ。多分あるぜ。さっき前を通ったらカレーの匂いしたからな」 「やたーっ!透馬お兄ちゃんっ、早く行こっ」 「姫、前
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第三十二話① 三猿の成長~赤い聞か猿編~(申護持陸実の場合)

どの文字の奴から犯人を捜すか。 色々考えたけど、文字を見て一番単純そうなのが一行目の文字の奴だと思ったので。そこから開始することにした。 とは言えあの後は皆それぞれ仕事があったから、あの場はあれで解散。 で、翌日である今日の朝。 念の為に、三人のいる寮へ行ったんだけど、そこで事件が起きていた。 「陸ーっ、本当に大丈夫なのっ!?」 「………………いっそ蹴破る?」 陸実くんの部屋の前で海里くんと空良くんが慌ててドアを叩いて何か話していた。 「おはよう、海里くん、空良くん。何かあったの?」 「あ、鈴先輩。実は、陸が中から出て来なくて」 「出て来ない?鍵でもされてるの?」 「いえ。鍵はかかってないんです。ほら」 海里くんがドアノブを回すと確かに最後まで回るし、小さくドアが動く。 鍵がかかってたらこんな風にドアが緩く動く筈はなく、ガチンッと鍵のかかっている音がなる筈だ。でも開かない。 「陸実くんは中にいるんだよね?」 「はい。遠くからですけど声がするので」 「遠く?」 ドアの向うにいるんじゃないの? ドアに耳をピトッとつけてみると、 「―――ッ!―――!!!」 確かに何か言ってる声はしている。確かに声は遠いな…。 「取りあえず何処か体調が悪いとかじゃなさそうだね。……でもこのままだと陸実くんの仕事に支障が出ちゃうし。………蹴破ろうか」 ニッコリ。 今大事なのはドアじゃなく陸実くんの安全と仕事です。 「じゃあ、やっちゃおうかー。姫ちゃん、ちょっと離れててねー」 実はずっと後ろにいてくれた大地お兄ちゃんが、私達に下がる様に言うとドガンッとそれはもうあっさりとドアを蹴破って開けてくれた。 開いたドアの向こうに大地お兄ちゃんが先行して入ってくれた。 その後ろを私がそーっと入った。 んん?ドアを閉じていたのは何だったんだろう? ドアの周囲に何か……ガムテープ?しかも色とりどりのガムテープがべったりと。 何で内側にこんなガムテープがあるの? 「うおおおおおっ!!変な音がしたああああっ!!やべえええっ!!こえええええっ!!」 ………駄目だ。陸実くんの変な叫びの所為で全く頭が回転しないや。 中に入ったから声がしっかり聞こえてきている。 え?でもこの声って…反響してる…まさかっ!? 「大地お兄ちゃんっ!」 「解ってるっ!
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第三十二話② ※※※

「うめーっ!!超うめーっ!!」 「ふふっ、ありがとう。でも出来れば座って食べてね?」 一口食べては立ち上がる陸実くんを注意しつつ、お代わりのご飯を茶碗に山盛りにして大地お兄ちゃんに渡す。 「姫ちゃんのご飯食べれるだけでも、陸実のマネ受けた意味あるわー」 「大地お兄ちゃん、おかず足りる?追加で作ろうか?」 「良いのー?って言いたい所だけど、姫ちゃんもちゃんと食べることー。後で双子に怒られるぞー?」 「ふみっ!?…じゃあ、大地お兄ちゃんの美鈴特製生姜焼き追加で焼いたら、食べる。陸実くんは?お代わりどうする?」 「食うっ!!って言いたい所だけど、多分、カロリーとか」 「ふっ。私が計算してないとでも思って?」 「だよなっ!じゃあ食べるっ!!」 よしよし。一杯食べさせようっ。 勿論太る程食べさせたり栄養を偏らせたりはしないけれど。今日あんな目にあったんだし少しくらい甘やかしても良いと思うの。 「……お姉ちゃん。僕達もお代わりっ」 「はいはーいっ!旭達も一杯食べて一杯大きくなるんだよっ!」 「うんっ」 「「「おーっ!」」」 どうしよう…家の子達(陸実含む)が滅茶苦茶可愛いっ! そしてそんな可愛い子を狙った奴、許すまじっ! ピロン。 ピロピロピロン。 「さ、てと。私は陸実くんの着替えの用意して来ようかなー」 ピロン。 「こら、姫ちゃん。ご飯ちゃんと食べる約束でしょー」 「…ふみぃ…バレたー…」 ピロピロン。 「………ねぇ?陸実くん?」 「ふぁ?」 「さっきから陸実くんのスマホ、大合唱してるんだけど…?」 「気の所為だろ」 ピロピロン。 「いや、めっちゃ鳴ってるから」 「気のせい気のせい」 「いいの?見なくて」 「誰からかは解ってるし、ちゃんと横目で見てるから平気だ」 「そう?なら、いっか」 とか言いつつ、私が視線で陸実くんの携帯をみていたら、陸実くんも流石に気になったのか、音を切って裏返しに置いてしまった。 その後ちゃんと私もご飯を食べ終えた。私が後片付けをしている間に大地お兄ちゃんが陸実くんの宿題を見てくれて。 二人にデザートを出そうかなと紅茶の茶葉を取り出した時に、華菜ちゃんとユメが家に突撃して来たので、二人の分も一緒に準備して。 結構騒がしく一日が終わった。 ……陸実くんが変なトラウマを持つ事な
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第三十二話③ 三猿の成長~青い見猿編~(申護持海里の場合)

どの文字の犯人を探し当てるか。私は三行目の幼い感じの文字を書いた判別つきやすいかなって考え、その文字の人間を探すと判断した。まずは事務所に戻って、この文字を書いたのが誰なのかを調べる必要があった。そもそも莉良さんの事務所ってあんまり幼い子がいるイメージがないんだよね。あの子達やユメが年若い方の部類に入るって言う認識でいた。それはどうやら真珠さんや透馬お兄ちゃんもそうだったらしくて。透馬お兄ちゃんの運転で事務所に戻ったら案の定結果は私達の知る結果と大差なかった。「でもあれ、正直幼稚園児とか小学生の文字だよね?」「まぁ、文字だけ見るとそうかもしれねぇけど。文字が下手な大人なんて多々いるだろ」「あー、それは確かにー」そっちの線で調べた方が良いかもしれない。莉良さんに文字が下手で何書いているか読めない人って事務所含めどのくらいいる?と問うと数人の名前が上がって来た。その人物の名前だけメモを取って。事務所を出て透馬お兄ちゃんの車の中でスマホで画像検索をする。「……あ」「どうした?姫」「この人だけ見覚えがある」「どいつだ?」「このアイドルグループ縁舞(えんぶ)のリーダー」「どれどれ…あぁ、こいつか?」この前ナンパして来た人達の中にいたな~。って言うか、今縁舞で検索したら画像に出て来た五人。あの時ナンパして来た五人と一緒だわ。……アイドルって職業してるのにナンパってってどうなのよ。そう言えばこの人達面談受けなかったな。成程。前の社長に縁がある人達って訳ね。縁舞、サイン、で検索したら出て来ないかな?筆跡を確認する為に試しにサインを検索したら結構な数が出て来て。リーダーであるカンって人の文字が恐ろしいほど下手くそで、しかもあの紙の文字にそっくりだった。「……もう確定なんじゃない?」「だな。現場を取り押さえた方が早そうだから暫く泳がせとくか」「そうしよっかー」「って所で今日はもう送るからな」「うん。透馬お兄ちゃん、ご飯食べてく?作るよ?」「あー、寄りたい所だけど、鴇とちょっと約束あるんだよな」「そうなの?じゃあ鴇お兄ちゃん、ご飯いらないのかな?」「連絡して聞いてみたらどうだ?」「ふみ。そうする」なんていつも通りに過ごした日の、翌日の朝。事件は起こった。念の為にと、海里くん達の寮へと寄ったんだけど。「……陸っ!
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第三十二話④ ※※※

「…なんでボクの家にお前がいるんだっ!」 「そもそもここお前の家じゃねぇし」 そう。ここは海里くんの家ではないし、寮の部屋でもない。 もっと言うなら、そもそも家でもない。 私が急遽取った旅館の一室でございます。 ホテルでも良かったんだけど、環さんの強い希望で旅館になった。 そして…何故私まで…? 「透馬お兄ちゃん、詳しく」 「いや、俺も解らない。むしろ何でここにいるんだ、俺達…」 「……ねー」 仲良く湯呑に入れたお茶を飲んでいる場合じゃないってのは解ってるんだけどね。 海里くんと環さんが一色触発状態でほっとく訳にも…ね。 「とにかく落ち着けよ。猿じゃあるまいし」 ……うーん。 なんか楽しそうだな~、環さん。 ちょっと見守ってようかな。 「この俺がわざわざ収録終わりの眠りこけてるお前を運んで来てやったんだろうが。感謝しろっての」 「感謝ってっ!」 「あ、それはちゃんと感謝しようね。海里くん。いつも思ってたけど、所構わず寝ちゃ駄目だよ?もう有名人だって自覚しようね」 「えっ!?あ、はい…」 「じゃあ、海里くんと環さんもお茶飲む?淹れるよ?」 「俺は酒の方がいいなぁ」 「この後お仕事ないんだったら構いませんよ~?ご飯食べに行く~?この旅館、飲食スペースあるらしいからさ。この部屋のお向かいがそうらしいよ?」 「あ、あのっ、鈴先輩っ」 「ご飯食べながら環さんに話を聞いたらいいよ~」 「だな。そうするか」 透馬お兄ちゃんが湯呑を置いて席を立ち、それにならって私も立つ。 環さんが暴れる海里くんをあっさりと小脇に抱えて一緒に部屋を出た。 目の前にある飲食スペースには机と椅子が四脚。 私と透馬お兄ちゃんが並んで座り、向かいには環さんと海里くんが座った。 丁度食事の時間だった事もあり、仲居さんが食事をお持ちしますと一言告げて廊下との境にある仕切りを閉めてくれた。 「鈴先輩。本当に聞いても良いでしょうか」 「どうぞー。好きに問い詰めてー」 許可を出した途端、海里くんはくるっと首を環さんの方へと向け立ち上がった。 何を言うのかな?と。私達は海里くんの行動を見ていたのだけど。 しゅるるぅと座り込んでしまった。 「何だ?何も言わないのか?」 環さんがニヤニヤと海里くんを煽る。 「………言う必要がなくなったので」 「
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第三十二話⑤ 三猿の成長~緑の言わ猿編~(申護持空良の場合)

どの文字の犯人を捕らえるか。 二行目の女子感がある文字の犯人が一番探しやすいかな、と思ったんだけど。 女子だし。女子でアッフェを恨んでるって中々ないと思うんだよね~。 ……派手に振られでもして逆恨み、的な? なくはないと思うんだけどさ。う~ん……ユメに聞いた方が早い気もするけど…。 「……姫さん?」 「?、あれ?奏輔お兄ちゃん?」 「何してるん?」 「え?ズタボロにされたあの子達の制服を繕ってる」 「繕うって、あの惨状はもう買った方早ない?」 「んー…そうなんだけど。あの子達悲しそうな顔してたから。明子さんに買って貰った制服だろうしね。戻せるだけ戻しておいてあげようかな、って」 「成程な。けどな、姫さん」 「なぁに?奏輔お兄ちゃん」 「あいつらももう高校生なんだから、アップリケはやめてやってや」 「ふみぃっ!?可愛くないっ!?このお猿さんっ!?」 「いや可愛いか可愛くないかで言われると可愛いけども。そのアップリケが通じるのは流石に小学生までちゃうか?」 「……なんと言う…」 しょんぼりと肩を落とす。 なんてことなの…。アップリケ刺繍がダメなんて…。折角昔に作ったアップリケの活躍の場があると思ったのに…。 因みにこれ皆分あるんだよね。皆をモデルにして作ってるから。樹先輩の龍のアップリケを作るのどんなに苦労した事か…。鱗がある生き物は大変なんだからっ。 ……話がそれた。 取りあえず、私と奏輔お兄ちゃんはあの子達に新しい制服を用意して、仕事が終わるのを待ちそのまま寮へと送り届けた。 私がアップリケを縫ってしまった制服は、私が預かり捨てるのも勿体ないので縫いぐるみのお洋服としてリメイクして渡す事に決めた。そして翌日。 彼らを迎えに行った陸実くんの部屋で事件は起こった。 陸実くんが意識を失った状態で水を出しっぱなしにされた密室状態のバスルームに放置されたのだ。 大地お兄ちゃんが駆けつけて、陸実くんは事なきを得たけれど…。 陸実くんは病院へ大地お兄ちゃんが連れて行ってくれた。 私達がここに来た時、入れ違いで海里くんが何かを叫んで出て行って、慌てて私も追い掛けようとしたけれど、透馬お兄ちゃんが任せろと言ってくれたから私はその場にとどまる事にした。 水浸しの陸実くんの部屋に入ると、そこには空良くんがいて。ほっぺが赤いんだけ
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