All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 101 - Chapter 110

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第三十三話⑫ ※※※(大地視点)

「もー少ーし早く来てくれるものだと思ってたのだけど。こんなダンジョンの一つや二つ、一時間で突破しなさいな」「いやいや、無茶言わないでくれー。これでもかなり急いだんですよ、佳織さん」普通に会話が出来てる。これならば近づいても大丈夫だろう。玉座に座っている佳織さんは黒いドレスを着ていて如何にも悪玉と言えそうな姿だった。その所為か、「ちょっ、大地さんっ。そんなに近づいて大丈夫なんスかっ!?」小次郎が焦ってオレの腕を引っ張った。「大丈夫だよー。この人はオレが助けたい女の子の母親だからー」「母、親…?」「そー」母親兼ラスボスとは口にしないでおく。それを口にしたら小次郎が今以上に警戒しそうだからな。ついでに何言ってんだとオレまで警戒されそうだし。オレが口調を元に戻した事で小次郎が警戒してくれた。その事に安堵する。それ以上に警戒されると今度は動き辛くなるだろうから。「美人でしょー」「そうっスねー。怖い位の美人っスー」「あらやだーっ!褒めてもお金しか出ないわよっ!はい、お駄賃」褒められた佳織さんが満面の笑みを浮かべ、小次郎に駆け寄りその手に五百円玉を握らせた。「あ、ど、どもっス」面食らった小次郎はさておき。「それでー?佳織さんはどうしてここに?と言うかー、直球で聞いちゃいますけど、本物ー?」「本物よ。大地くんの事だから大体の想像は付いているでしょう?…ねぇ?」ね?に込められた恐怖。これ以上ないってくらい圧を感じる。いや、まぁ、大体の想像は付いているが、オレが聞きたいのは、姫ちゃんの為にいるのかどうか。もしくはここにいるのは本当に本物の佳織さんなのか。突き詰めていけば、信用して良いのかどうか、なのである。「…にしても…ヒロイン補正がここまで強いものとは思っても見なかったわ。…付いてらっしゃい」玉座の方へ歩きだす佳織さんが付いて来なさいと言ったので、大人しくついていく。玉座の横を通る時、さっきまで佳織さんが座っていた椅子を見ると、立派だけれどどうやら石で出来ておりちょっと驚く。「その椅子ねー。すっごくお尻痛くなるのよ~。でも座って待ってなきゃいけないし。辛かったわ」「ああー…」確かに痛そう。赤い絨毯が敷かれている範囲を過ぎて、佳織さんは先頭をきってどんどん奥へと進んで行く。時折、何かしら今まで戦ってきたアンデット系の敵の気
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第三十三話⑬ ※※※

七階の横穴に入って、真っ直ぐ進む。 先頭に近江くん。後ろに陸実くんがいるんだけど…あれ?近江くんが少し下がってきた。 うぅん…ちょっと私も歩くペース落とした方が良さそう、かな? 近江くんと一緒に歩くスピードを落としたんだけど、一人それに一切気付かずにスピードアップしてる人がいる。 …止めた方がいいのかな? でもこれはこれで面白…げふんげふんっ。 近江くんが反応してないし大丈夫だよね、うん。 ずんずんずんずん。 私を追い越し、近江くんを追い越し。 ゴンッ! 「ほぎゃっ!?」 陸実くんが何かにぶつかった。 壁?石壁?そんな道の真ん中に壁ある? 「ちょっと待つでござる」 言いながら近江くんは、簡単に手元に明かりを灯す。何処から出したの?そのランタン。 大きさ的にポケットに入る大きさじゃないよね?それは突っ込み入れて良い事?悪い事? 私がツッコミいれるべきかむずむずしている間に近江くんは灯りと一緒に進み、おでこを擦っている陸実くんと並んだ。 二人の後ろから私も覗くけれど、壁らしいものはなさそ…うん? 今何かが反射した? 近江くんが手を出して、ドアをノックする要領で目の前を叩く。 コンコン。 まさかの音がした。 え?ちょっと待って。そこに壁があるって事? 私は陸実くんの横から顔を出して、手を伸ばしてみる。 そこには目には見えない透明な壁があった。 「水族館の水槽みたいだな」 「確かにアクリル板っぽいよね…」 コンコン。 私も叩いてみるが、かなり頑丈っぽい。 「何にしても行き止まりだよね?引き返す?」 「一本道でござるからなぁ。一つ上の階に行ってみるでござるか?」 「近江先輩、壁壊せたりしねーの?」 「ここの地下全部を破壊なら出来るでござるっ」 どやっ! 近江くん。それ胸張って言う事じゃないわー。 「おぉっ!じゃあ、それで行こうぜっ!」 「行けるかっ!」 思わずツッコミ入れちゃったじゃんっ! 「冗談でござる」 「えっ!?冗談だったのかっ!?」 「……近江くん。反省して」 「申し訳ないでござる」 陸実くんの前で不用意な事を言ってはいけない。 近江くんをしっかり反省させた所で、私は何か良い案がないかと腕を組んで確かめる。 そもそも何でここに透明な壁が出来たんだろう? だってさ? 周りを見る
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第三十三話⑭ ※※※

梯子を降りて、地面に足が着いたと同時に辺りを見渡す。 すると真っ直ぐ先に玉座が目に入った。 近江くんと陸実くんが左右に守る様に立ってくれる…のはありがたいけど、怖いのでちょい距離を下さい。 一歩先に進み、玉座に歩み寄るとそこには『ただいま外出中』と雑に書かれた段ボールの立て札が置かれていた。 「……ママの文字だわ」 いや、解ってるよ。うん。 大地お兄ちゃんとのやりとりが色々あって、それでここを離れますって伝えたいのは解るよ。 でもさ?でもさ?黒のマジックペンででかでかと只今外出中って。ここまで結構気を張りながら来たのに、一気に台無し。 ママ急いで書いたんだろうなぁ…ペンも横に置いてある。 キュポッ……書き書き……『と見せかけて実は迷子』…これで良し、っと。 「……何をしてるでござる?」 「愛情を少々」 「……余裕でござるな…」 「どんな場所でも多少のゆとりは必要だよ」 さて、行こう。 奥の方に道がある。 真っ直ぐそちらへ向かうと、開かれた扉があってそのまま抜けると、足下を腕を組みながら見降ろしているママがいた。 「ママっ!」 「……美鈴」 私の名前を呼んでいながらも動かないママに疑問を覚えて、急いで側へと駆け寄るとママはどうやら穴を覗いていたらしい。 梯子がかかっている穴で、私達が今まで下の階に降りる為に通ってきた穴と同じだ。 先が真っ暗だから何も見えない。 穴の淵に膝を付けて、中を覗き込むと。 ドォンッ! とぶつかる音が聞こえて、軽く振動が手足から体へと伝わってくる。 しかも、その音と同時にカメラのフラッシュのような一瞬の光が見える。 「…もしかして…」 「…えぇ。大地くんが下で戦ってるわ」 「ちょっ、ママっ。どうして一人で行かせてるのっ!?」 「……そこから先は一人しかいけないのよ」 「何でっ!?」 言われて直ぐに梯子に手をかけようと試みるが、また見えない壁に阻まれた。 手の甲で叩いてみるとコンコンと音が鳴る。 さっき私達の道を阻んだ壁と一緒ならば、大地お兄ちゃんがその階を踏破しないとここは通れない。 でも、だったら、ショートカットコースに出来る筈だ。 となるとここの壁は理由が違うって事になる。 「ママ。どうしてここは一人しかいけないの?」 「隠しボスの間だからよ」 「隠しボスか…」
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第三十三話⑮ ※※※

「いってぇー…。奏輔、少し手加減しろよー…」 「大丈夫?大地お兄ちゃん」 両方のほっぺがパンパンになるだけ往復ビンタされた大地お兄ちゃん。 触れるのも痛そうで、どうしたらいいだろうと私はおろおろした結果、透馬お兄ちゃんが持って来ていた救急道具に入ってた湿布を両頬に貼り付けた。 …何か一昔前の漫画であった虫歯のある少年みたい…。 「にしても、すげぇな、大地。お前一人でこんなのぶっ倒したんかよ」 「…鴇と戦うよりは余程楽だったよー。ただ固いだけでー」 「…鴇がこいつより強い事に驚くべきか、それともこいつを固いだけって考えるお前に驚くべきか」 透馬お兄ちゃんが溜息をつきながら呆れている。 「……こいつが隠しボス…」 「ママ?」 静かにママが隠しボスの側に歩み寄る。 一体何を探しているんだろう? 私は大地お兄ちゃんと顔を見合わせて、首を傾げた。 愛奈と近江くん、奏輔お兄ちゃんと透馬お兄ちゃん。四人もママの行動をただ眺めている。 すると、ママは腕を振り上げて、 「ママっ!?」 その隠しボスの胸に巨大な氷柱を突きたてた。 ボシュンッ。 風圧と同時に隠しボスは消えた。 ママは自分で隠しボスに止めを刺したと言うのに、愕然として膝から崩れ落ちた。 顔を両手で覆って肩を震わせている。 「ママ…?」 泣いてるの…? ……いや、違うっ。 膨れ上がる、この肌をピリピリさせる感じは…殺気だっ! 誰に向けられてるかって、そんなのっ。 私とママが動いたのはほぼ同時。ガキィンッ!大地お兄ちゃんの前に立ち、ママの氷の剣を私は薙刀で受け止める。 ギリギリと力と力がぶつかり拮抗する。 「……ッ、…何、するのっ、ママっ!」 「どきなさい、美鈴っ。貴女を助けるには、こうするしかないのよっ」 「意、味が、解んないんだけどっ!?」 渾身の力を込めてママの剣を払い、そのまま来る反撃に今度はこっちからも薙刀を振るう。 ギィンギィンッ。 剣と薙刀がぶつかり合う音が辺りに響く。 「私はっ、貴女の、呪いを解きたいだけよっ」 「それとっ、大地お兄ちゃんをっ、狙うのとっ、何のつながりがあるのよっ」 互いの武器を振るう速度はガンガン上がって行く。 「あるわよっ!美鈴にかけられた呪いは大地くんを経由しているっ!なら大地くんを殺せばその呪いは消えるっ!
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第三十三話⑯ ※※※

「おーい、美鈴ー。メールが来てるぞー」「はーいっ!」大地が私の携帯を持ちながら、手を振っている。私は持っていた鍬を畑の土にぶっ刺し、大地の側へと駆けよった。結果から言って、あの時の私達の作戦は成功した。呪石を発動させて、その呪いを私と大地は受けて意識を失った。意識を失うまでの記憶が全くと言っていいほどに無いので、恐らく発動と同時に意識を失ったんだろうと思う。そんな意識を失いぶっ倒れた私達を発見したママは一瞬死んだものと勘違いして泣き崩れたらしい。けれど、そこに何故か駆けつけてくれた陸実くんが、『あの』陸実くんが私達の心臓が動いている事に気づいてくれた。その時点で私達に本来かかっていた呪いは制限時間を越えており、死んでいてもおかしくない状態だったのに、心臓が動いていたから呪いの上書きは成功したのだと解る。ママと陸実くんは私達を担ぎ急いで病院へと連れて行ってくれて、私達は無事意識を取り戻した。外傷らしき怪我はなかったから、私達は直ぐ退院をする事が出来た。とは言え、あくまでも私達がしたのは『呪いの上書き』だ。上書きと言う事は、私達が最初にかけられた呪いより、より強力な呪いが私と大地にかけられたと言う事になる。意識を取り戻した私達は、生き長らえたチャンスを得た事を喜ぶよりも、まず上書きされた呪いが何かを調べる事が先決となった。近江くんや愛奈、華菜ちゃんにお兄ちゃん達。金山さんや銀川さん、真珠さん色んな人に協力して貰ってやっと自分達の呪いが何なのかを理解した。私と大地にかけられた呪いは。『寿命の共有』の呪いだった。大地と私の寿命が足して2で割られてると考えて貰っていいと思う。ただここで注意すべきは、私の寿命はあの時で尽きていたと言う事だ。私は前の呪いの所為で寿命がギリギリの所まで来ていた。例えて言うなら、本来は私の寿命が2、大地の寿命を4だったとする。本来ならば合わせて6の時間を二人分で割って、互いに3ずつになる筈だった。だけどこの時の私の寿命はほぼ0に等しかった。大地の寿命が4とするなら、0+4で合計が4のまま。足して2で割られたら、大地の寿命を私が奪ってしまう事になる。私のこの命は全て大地のモノと言う事で、私は大地の寿命を縮めてしまったのだ。私は頑張った。この私だけにかかった呪いならまだしも、大地の寿命を私が吸収する呪いな
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外伝小話 大地編 とある隣人の話

「丑而摩さーん。いらっしゃるー?」 「はいはーい」 田舎はチャイムより先にドアを開ける。 それだけ関係が密だと言うのもあるけれど、大抵の家がチャイムが鳴らないなど様々な理由により直接声かけた方が早いからが一番の理由。 丑而摩さんはこんな田舎に珍しくとにかく美形で。 「すみません。お待たせしました~」 奥さんに至っては既に別次元の美人である。 毎度彼女の顔を見たくて、話かけに来る奥さん達は多い。 美人で優しくて、料理上手。いつお家を伺っても笑顔で出迎えてくれて、しかもお土産に料理を分けてくれて。良い人過ぎる。 お蔭で彼女と同じく田舎に嫁いで来た私でも、こうして何の苦もなく住めている。 旦那と縁が切れたとしても、彼女との縁は切りたくない。 だから私も彼女には出来る限り手を貸そうと思っている。 思ってはいるんだけど、今日はちょっと違う案件で、私以外にも他の若い奥さん達が一緒だ。 「ふみみ?皆さん、ご一緒にどうされました~?ご飯食べて行きますか~?」 ニコニコ微笑んで現れたら直ぐにご飯に招待してくれるとか…うぅ、神…。 「それとも、疲れてる?ご飯持って行きます?それか何かお手伝い出来ますか?ひとまず中へ入ってお茶でも」 「あっ、ごめんなさいっ。今日はそうじゃなくて」 「ふみ?」 「丑而摩の旦那さん、帰って来てる?」 「いいえ?まだですが…大地に用ですか?」 「ううん。違うのよ。奥さん。実は私達の旦那も帰って来て無くて」 「今日は確か町内の飲み会でしたよね?今は、えっと九時…まだ飲んでいてもおかしくないですよ?」 「そうなんだけど…」 「…何か不安な事があるんですね。どうぞ話して下さい。協力出来る事はしますよ」 「…今日が町内の飲み会なのは私達も解ってるのよ?ただ、どうにも怪しいと言うか」 「そうそう。いつもなら飲みが苦手な男達はそろそろ帰って来てるのに、今日は誰一人も帰って来ないのよ」 「こう言う時って、いつも理由は決まってて。隣の町内の飲みがかちあってる時なのよね」 「あっちの方が絡んできて、いつも飲み比べになるのよ」 「帰ってくるとお酒臭いわ、愚痴ばっかりだわ、当たり散らすわ、翌朝は二日酔いだわ、で鬱陶しいのよね」 「あっちの町内が絡んでくるんだから仕方ないだろとか旦那達は言うけど結局飲み明かしてたら何を言って
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外伝幕間 年下組ルート 第三十一話① 無限~年下組編~

※ このお話は本編である『乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…』の三十話から続くお話です。まだ本編をお読みで無い方はまずは本編からお楽しみください。「いやいやいやっ!無理だっつーのっ!!美鈴センパイっ!この量はありえねぇっ!!」 「………………すー………すー………」 「とり先輩が言うなら…やるしかない」 「はい、陸実くん暴れない。海里くんは寝ない。空良くんはまずノート開いてくれるかな?」とある事務所の一室で私は三人を目の前に鞭を奮っていた。 いや、だってね? 私達が卒業して、後輩の三人がまだ在学中の高校。 彼らは芸能人になる為に日々努力を重ね、そしてものの見事に勉強がおろそかになった。 その所為である事が起き、呼び出されたのは私。 私は彼らの保護者ではないんだけど…。 でも心配で心配で…だって、騙されやす過ぎて…。 「美鈴センパイ。何故か答えが7万になったんだけど」 「なんで?ちょっと待って?陸実くん、今国語やってるんだよね?」 「すー…」 「ほら、海里くん。起きて」 「とり先輩。ノート開きました」 「うん。じゃあ早速取りかかってくれる?空良くん」 うん。絶対に心配になるでしょ、これ。 何このカオス。 何でこんな事になった? 私は腕を組んで椅子の背もたれに凭れかかって記憶を捜索し始めた。ママに選択を迫られた時、私は当然、誰も選べなかった。 いやだってさ?男性が怖いって言ってるじゃない? ずーっと言ってるよね? 選べる訳ないよね? でも、ママが言うにはそれが危険だって言う。 じゃあどうしたら良いの? って思ってた時に、陸実くんから連絡が来た。 『デビューが決まったんだけど、事務所の人が話している日本語が理解出来ない』と。 書いている意味をこっちが理解するのには、ちょっと時間がかかり過ぎたので、私は彼らに会いに行く事にした。 …んだけど、それに待ったをかけたのはママだった。 「美鈴。いいのね?」 「え?何が?」 「その呼び出しに答えるって事は、年下組に行くって事になるけど」 「えっ?そうなのっ?」 「このタイミングで連絡が来るって事はそうでしょう。今は美鈴…ヒロインにとってルート選択の選択肢画面みたいなものでしょうから」 「選択画面…」 言われて私はもう一度手にあ
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第三十一話② ※※※

戻って来たマネージャーさんと外島社長の二人が席に着き、私もその前に座る。 念の為に真珠さんも横に座って貰う事にした。 こう言う時はちゃんと対等に人数を設けないとね。 数を侮るなかれ。クレームを言いに来たモンスターなお客様だって、店員の方に人数を揃えればどうにかなる対処出来る場合がある。場合だからね?確実ではない。 「美鈴センパ~イ、この問題わかんねーよぉ」 「死ぬ気で頑張れ。さて、お話に移りましょうか。契約書。お持ち頂けました?」 「はい。こちらです」 差し出された契約書を受け取り、その内容を読み込む。 ……成程ー。 悪質だわー。 「…空良くん」 「………………とり先輩。呼んだ?」 「うん。呼んだ。悪いんだけど、私に前見せてくれた契約書。出してくれる?」 「?、………持ってない」 「どうして?私ちゃんと大事にとっておこうね、って言ったよね?」 「うん。言われた。でも持ってない。前の契約書は更新になったって持ってかれた」 「…ふぅん。そっかぁ」 ………ジトリ。 外島社長を睨みつけると、社長は直ぐに視線を逸らした。 「外島社長?更新になったとしても、回収する必要はないのでは?」 「それは、その…」 「そんな、社長。私みたいな小娘に遠慮なんてしないで下さい。ハッキリと仰って頂いて宜しいんですよ?」 言えるものならね? ギラリと私の目が光る。 勿論目は光らせてるけど笑顔は絶やしてないよ? 「…これは、ユメの方の契約書も確認が必要かもしれないね」 「えっ?」 「ちょっとごめんなさい」 言いながらスマホを取りだし素早く操作。 ユメへ電話をかける。 すると、1コールならずに電話は繋がった。 『はいはーいっ!王子っ、呼んだっ!?』 「相変わらず早いね。電話出るの。ごめんね?忙しいのに。ちょっと今ユメ達の事務所に来てるんだけど」 『今行くっ!』 ブツンッ。 「……へ?」 切られた。 しかも今行くって言ってた? ユメ今仕事中なのでは? ズダダダダダッ!! うん。ドアの向こうからすんごい足音がする。 バァンッ。 既に開いているドアに何故そんな音が…? あ、ユメが自分にブレーキをかける為に柱を掴んだ音だったのか。 と、凹んだドアの壁を見て一人納得した。 「王子っ!王子っ!」 ハタハタと振られている
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第三十一話③ ※※※

外島社長はあっさりと退任…と言うか、むしろやっていた事が色々露呈して社長職を外された直ぐ後に逮捕されました。 まぁ、当然と言えば当然だよね。 で、だ。 事務所の立て直しに協力すると言った手前、まずはマネージャーだった彼女、後莉良(うしろりら)さんを暫く私の側付きとして真珠さんと一緒に行動して貰う事にした。 とは言え真珠さんのレベルに追い付いてくれっていうのはかなりの無理があるので、一先ず華菜ちゃんと一緒に勉強して貰う事にした。 勿論、事務所の経営は同時進行しなければならないので、私と一緒に人事体制の見直し。 それから所属タレント達としっかりと連携をとるための面談もした。 後社長が選びそして育て上げたタレントさん達は好印象な人達ばかりだった。 と言うか、基本的に賢い人達ばっかりで、正直うちの子達が浮くくらい…。 因みに、外島社長の息がかかった社員は面談の上、何かやらかしてそうだった人達は皆白鳥へと移らせた。 白鳥はそんなに甘くないので、条件だけで惹かれた人達はまず生き残れない。真っ先に首にしなかっただけ感謝して欲しい。真面目にやればお金稼げるんだから問題はないでしょう? 私優しい。うんうん。 タレントさん達と面談は、勿論ユメとあの三人も例外じゃないのよね。 私は事務所内の社長室で莉良さんと一緒にまずはユメの面談をした。 「では、夢子さんは今まで通りアイドル路線で構いませんか?」 「はいっ」 「私からは以上ですが、白鳥さんは何か聞きたい事はありますか?」 総帥と呼ばれると皆がビビるのでさん付けで呼んでと言ってある。 それは良いとして。 勿論聞きたい事はあるともさ。 「ユメはアイドルからどう進みたいの?」 「アイドルから?」 「そうそう。まぁ所謂その後って奴だよね。アイドルって言ったって、未くんと結婚して子供が出来たりしたら続け辛いと思うよ?」 「その後…考えてなかった…」 「まぁね。勿論アイドルとしてトップを走る、表に出るってのがまず難しい事だとは思うの。でもね?ユメがやりたいことがあるのなら、そっちの方に動いていけるように考えるのが大事だと私は思うのね?」 「んー…」 「今すぐに答えを出す必要はないんだよ?ただ考えといて欲しいなぁって私が思ってるだけで」 「うん…。あのね、王子。これはね?私だけじゃなく多分あのば
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第三十一話④ ※※※

「陸実っ。お前また人の話を聞いてなかったなーっ?そこは右回転ー」 「へっ!?あれっ!?おっかしいなっ。師匠、今の所もう一回っ!」 「次間違ったら、姫ちゃん特製クッキー没収なー」 「マジでっ!?」 「じゃあ、陸実くんが次間違えたら、大地お兄ちゃんの報酬も没収ねー」 「陸実。死ぬ気でやれ」 「う、うすっ」「おい、こら。海里。寝てんな。今二番の歌詞歌ってたぞ」 「………ネテマセン…、ボク、寝てナンカ、いません…」 「いや、寝てるだろ」 「……ネテマセン。透馬兄、ボク、ネテナイ…ヨ」 「…駄目だ。姫ー。海里がぶっ壊れたぞー」 「え?大変っ。じゃあ、透馬お兄ちゃんにあげるはずだった今日のおやつのシフォンケーキを海里くんの口に」 「起きろ、海里。今すぐ起きなければ命は無いと思え」 「ヒィッ!?」「ワン、ツー、スリー。ワン、ツー、空良。踏み出しが遅い。もう少し早く」 「…………解りました。奏輔様」 「ワン、ツー、スリー…空良、変わってへん。もう一度や」 「…………………」 「違う。そうやない。もう一回や」 「……………………」 「奏輔お兄ちゃーん。空良くん、酸欠でーす」 「へ?お前、それを早く言わんかいっ!あーっ、倒れるな倒れるなっ!まず座れーっ!」以上。ここ数日のレッスン風景をお届けいたしました。 あの三人に教えるのって本当大変なんだけどねー。 流石お兄ちゃん達と言うか何と言うか。 ちゃーんと勉強もさせつつ、レッスンもしてくれていた。 でもね。いくらなんでも頼み過ぎかなーとは思ってはいるんだよね。でもお金とか受け取ってくれないと思ってはいたの。 だけど、一応ね?一応、お礼と言うかしっかりと仕事として、きちんと契約して給金を支払う手続きをしようと思ってね?お兄ちゃん達を家に呼んで、ご飯を振る舞いながら聞いてみたんだけど。 「金?別にいらねーよ?」 「そうそう。別に困ってへんし。教師やってた手前な」 「副業とかちょっと、だしねー」 「あー、そっかー。そうだよねー。んー…それじゃあこうしよう。お兄ちゃん達に自由な時間をプレゼントしますっ」 「ん?姫ちゃん、自由な時間って?」 「むしろ拘束時間増えてるな」 「まぁまぁ、最後まで話を聞いてよー。透馬お兄ちゃんには七海お姉ちゃんを連れ出して欲しい時、七海お姉ちゃんを何
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