「もー少ーし早く来てくれるものだと思ってたのだけど。こんなダンジョンの一つや二つ、一時間で突破しなさいな」「いやいや、無茶言わないでくれー。これでもかなり急いだんですよ、佳織さん」普通に会話が出来てる。これならば近づいても大丈夫だろう。玉座に座っている佳織さんは黒いドレスを着ていて如何にも悪玉と言えそうな姿だった。その所為か、「ちょっ、大地さんっ。そんなに近づいて大丈夫なんスかっ!?」小次郎が焦ってオレの腕を引っ張った。「大丈夫だよー。この人はオレが助けたい女の子の母親だからー」「母、親…?」「そー」母親兼ラスボスとは口にしないでおく。それを口にしたら小次郎が今以上に警戒しそうだからな。ついでに何言ってんだとオレまで警戒されそうだし。オレが口調を元に戻した事で小次郎が警戒してくれた。その事に安堵する。それ以上に警戒されると今度は動き辛くなるだろうから。「美人でしょー」「そうっスねー。怖い位の美人っスー」「あらやだーっ!褒めてもお金しか出ないわよっ!はい、お駄賃」褒められた佳織さんが満面の笑みを浮かべ、小次郎に駆け寄りその手に五百円玉を握らせた。「あ、ど、どもっス」面食らった小次郎はさておき。「それでー?佳織さんはどうしてここに?と言うかー、直球で聞いちゃいますけど、本物ー?」「本物よ。大地くんの事だから大体の想像は付いているでしょう?…ねぇ?」ね?に込められた恐怖。これ以上ないってくらい圧を感じる。いや、まぁ、大体の想像は付いているが、オレが聞きたいのは、姫ちゃんの為にいるのかどうか。もしくはここにいるのは本当に本物の佳織さんなのか。突き詰めていけば、信用して良いのかどうか、なのである。「…にしても…ヒロイン補正がここまで強いものとは思っても見なかったわ。…付いてらっしゃい」玉座の方へ歩きだす佳織さんが付いて来なさいと言ったので、大人しくついていく。玉座の横を通る時、さっきまで佳織さんが座っていた椅子を見ると、立派だけれどどうやら石で出来ておりちょっと驚く。「その椅子ねー。すっごくお尻痛くなるのよ~。でも座って待ってなきゃいけないし。辛かったわ」「ああー…」確かに痛そう。赤い絨毯が敷かれている範囲を過ぎて、佳織さんは先頭をきってどんどん奥へと進んで行く。時折、何かしら今まで戦ってきたアンデット系の敵の気
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