All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 81 - Chapter 90

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第三十三話⑧ ※※※

穴を華麗に落ちて、ほい着地っ。 さて、お姉様方はっと。 視線を巡らせて、あ、いた。 私はゆっくりと歩いて座りこんで泣いているお姉様方に近寄った。 『やっぱり無理なのよ』 『私達にはこんなこと』 『お姉さん達。落ち込んでいる所悪いんだけど、ここにいると危ないよ?』 と注意しつつ私は唯一言葉が通じていないスペイン人のお姉さんの手を取ってその場を離れた。 多分意味は理解していないけど、残り三人のお姉さんも私と同じ方向に逃げて来た。 途端に天井から黄色と赤の球体がくっ付いて落ちてくる。 ずもんっ。 …ゲームの時の音はもう少し軽い音だった気がするんだけどなぁ。 やっぱり質量の都合上こうなるのかー。 『な、なんでっ…』 『なんでって、何が?』 『私達がこんな目に…』 『……うん。今そんな事言ってる余裕はないんじゃない?』 私はお姉様達を自分の背に庇い、次に落ちて来た緑と黄色の球体を蹴り飛ばし、黄色の球体と黄色の球体をくっつけた。 これは、もしかしなくても結構きつい奴だぞー? でも猪塚先輩だって頑張ってるんだから。 私が音を上げる訳にはいかないよね。 次に落ちて来たのは黄色と赤の球体。 黄色を少し角度を変えて蹴り飛ばして、最初に落ちて来た黄色と赤の球体が同時にくっつくようにする。 すると黄色の球体が消えて、赤と赤の球体がくっつく。 そして、私達がいる所の反対から。 『うわぁっ!?』 猪塚先輩の驚く声が聞こえた。 やっぱりね。対戦モードになってるんだ。 一体どんな変化が出たんだろう? 通常あの有名パズルゲームならば、お邪魔なぷよっとした物が落ちてくるんだけど。 もしそれが落ちて来たならば、上手い事回避してそれを踏み台にして、あの観戦場所まで退避出来るかなって思ってたんだけど。 …違う可能性もある。 ……猪塚先輩が一つ消すのを待ってみるか。 私は落ちてくる球体を2つまでくっつけて3つにならないように調整しつつ、猪塚先輩が球体を消すのを待った。 数分その状態で待機を続けていると、唐突に落ちてくる球体が四角いブロック状態に変化して落下して来た。 ズドンッ。 床凹むんじゃない?とまじまじと見たくなるくらいの音だった。 近寄って触って見る。固い。完全に石だ、これ。触っても熱くも冷たくもない。 叩くとコンコンと音もす
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第三十三話⑨ ※※※

どうにかこうにか。 『んーっ!』 最後アウローラさんを引っ張り上げて、私達はどうにか観戦室に戻ってくる事が出来た。 水も恐らく調度いい高さで止まってる。 後は、猪塚先輩だっ。 私は急いで猪塚先輩のいる叩き割った窓の方へと駆け寄る。 すると、猪塚先輩も流石でちょうどこっちに飛び移ろうとしている瞬間だった。 「猪塚先輩っ」 私が名を呼ぶと猪塚先輩は直ぐに気付いてくれて観戦室に跳んできた。 『猪塚先輩っ。良かった、無事でっ』 『それはこっちのセリフですっ。白鳥さんこそ無事で良かった…』 手を伸ばそうとしたけど、流石の身体能力できっちり着地してくれる。 『どこも怪我はありませんか?』 『それはこっちのセリフだよ。何処も怪我してない?かぶれたりは?』 緑色の球体が色んな意味で危険そうだったから問うと、大丈夫だとハッキリ答えてくれた。 ホッと一安心。 さて、色々事情を知るにもまずはここから出ないと。 『マリアさん。ここから出るにはどうすればいいか解りますか?』 『この部屋からと言う意味なら、そちらから』 言って指さしたのは奥のドア。 『だけど』 『だけど?』 『この建物から出ると言う意味ならば、反対です』 言いながら指さしたのは、恐らく私を攫って来た時に入って来たドア。 『でもそっちは』 『白鳥総帥が以前やったブロックが落ちてくる場所、ありますよね?』 『うん』 『そちらの部屋をステージ10までクリアしたら脱出経路が現れます』 『それって…』 本当なの? と出かかった言葉を飲みこんだ。 マリアさんの目は真剣で嘘を言っている様には見えないからだ。 となると、騙されている可能性がある。 だって、あそこ手動でやってたんだよ? それをステージ10までって、下でゲームしてる人間も上でブロックを落としている人間も疲労困憊で死んでしまう。 『白鳥さん。彼女は何て?』 『あ、あぁ、そうか。あのね?』 マリアさんの言葉を私は猪塚先輩にイタリア語で通訳する。 良く考えたら他の三人も解らないか。 三人にも通訳するように声を少し大きめにして通訳すると、三人が首を傾げた。 『私が聞いたのと違うわ』 『私も』 『私も違う』 『…どゆこと?』 もっと情報を交換する必要がありそうだ。 『……女性が五人か。守り切れるか?
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第三十三話⑩ ※※※

戻るよりは進む。 私達は前へと進んでいたけれど、それらしい部屋やパズルが出来そうな行き止まりはなかった。 ちょっと広めのスペースに出たので、私達は一旦足を止めた。休憩も大事だからね。 皆で床に座る。 『パズル部屋ないですね』 『それっぽいのは無かったねー』 『じゃあ、やっぱり聞いた通り、前のパズル部屋なのかしら?』 『…それはありえないと思うんだけど…』 さっきも説明した通りあの場でやれることって限りがあると思うの。 だけどねー。こうも見つからないとそう考えてしまうのも解る。 …が、戻るって選択肢の可能性はゼロに等しい。と言うか戻ったらそれこそパズル部屋に閉じ込められてさよならだと思うの。 あの球体の部屋なんてあの装置を止めない限り、水で満杯だと思うし。 …そう言えば、あの部屋って上の階にあるんだよね? 水で一杯になったら当然下の方に流れて……あー…気にしないでおこう。 例え人がいたとしても逃げてるよ、うん。 『でも白鳥さん。これから先に進んでも上に行くだけですよ?もし逃げるのだとしたら、最悪どこかで下に降りる必要がある』 そりゃそうだ。 上に逃げたって逃げ道はない。 逃げるなら何処かで絶対に地上に出なければいけない。 それは解ってるんだけど…。 『…もう少し進んでみようよ。そこで何もなければ、パズル部屋を通らずに下に行く方法を探してみよう』 私が言うと皆は頷いてくれた。 それにホッとしつつ、暫しの休憩を入れて私達はまた歩き出した。 一本道の廊下をただ黙々と進む。 段々と廊下は狭くなり、螺旋状になっている坂道と階段を登りだす。 何となくだけど、ここの道の最後にパズルがある気がする。 そんな私の勘は当たった。 恐らくこの建物の最上階。 密室の空間に辿り着いた。 周囲は案の定何もなく、天井には穴が開いている。きっと今までの流れと同じであればあそこから何かが落ちてくる。 落ちてくる…んだろうけど今回の天井は割と近いな。今までは結構高い位置にあったのに。 今度はなんだろ。ブロック、球体と来たら次は? この部屋を形成している壁には防水性は感じられない。普通の石の壁だ。 って事は水関係ではないってこと。かと言って天井のこの近さだとブロックでもなさそう。 …想像がつかない。 結構数多くパズルはやってきたと思う
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第三十三話⑪ ※※※

休憩をしっかりと取って、私達はまた休憩室を出て坂を下り始めた。 お姉様達も一杯休憩をとったおかげか、テンション高く進んでいる。 どんどん階段と下り坂を降りて、だいぶ地上に近づいてきたんじゃないかな? って言うかここまで降ろされる? 登った分だけ下るのは解るけど、結構長い。 そして螺旋階段をぐるぐるし過ぎて、三半規管が悲鳴を上げている。気持ち悪ーい…うぅ。 また暫くぐるぐる降り続けて、やっと終点に辿り着いた。 まっ平らの道ーっ! 素晴らしいーっ! やっと真っ直ぐの道に辿り着いて。 私の三半規管が絶叫してたので、ちょこっとまた休んで。水分も取って。うん。オッケー。 で、真っ直ぐな廊下を進む。 そんなに長く歩く事なく、ドアが目の前に現れた。 『ここが最後のパズル部屋かな?』 『だといいね』 猪塚先輩の言葉に頷き、私達はドアを開けた。 私達が螺旋階段を下る前にいた部屋とほぼほぼ同じ。 ただ、一つだけ違うのは…。 『床が脆い?』 『脆い、と言うか、下に空洞がありそうだね。歩いた時の音が軽い』 私達はなるべく早めに奥へと進む。 何故なら奥の方は少し頑丈そうに見えたからだ。 素早く奥へ辿り着くと、案の定壁が光りだす。『ステージ6 ゲーム開始します』続きステージ番号を言われた事で、予想通りここが同じパズル部屋だと言う事が分かった。 分かったんだけど、何故か落ち着かない。 足下が脆い所為だろうか? 何か下に気配を感じると言うか…。 何とも言えない落ち着かない感に自分の肩を擦っていると。バキッ。バキバキバキッ!「な、何の音っ!?」 振り向くと、そこには。 『きゃあああっ!?』 『な、何あれっ!?』 『口っ!?』 『恐竜っ!?』 お姉様方が驚き叫ぶ。 私も猪塚先輩もお姉様方の様に飛び跳ねて叫びはしないものの驚き動きを止める。 床から巨大な鰐が大きな口を開けてこっちに向かってきていた。 大きく開かれた口は、バキンッ!!と音を立てて、床の一部を齧り摂った。 もっしゃもっしゃと咀嚼しているが、床の石はお気に召さなかったようでギロリと大きな目が私達を見ていた。 なんでこんなに大きい鰐が生息しているのか。 大きさで言えば、2m位はあるんじゃない? そんな大きい鰐が口を開けてこっちに向かってくるとか怖いに決まって
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第三十三話⑫ ※※※

涙が溢れる。 だけど今は泣いている場合じゃない。 私にはまだやれる事が、やらなきゃいけないことが一杯ある。 お姉様達を助けてあげなきゃいけないし、猪塚先輩のお祖父ちゃんを全力で殴らなきゃいけない。 それに何より、猪塚先輩を救い出さなきゃ…。 でも、足が動かない。 だって、私にはまだ出来る事があったかもしれないのに。後悔が私の脳内をぐるぐる回って足を止める。 『…立ち止まってる時間はないんじゃないですか?』 肩を叩かれて、そう言われて。 私はゆっくりと振り返った。 マリアさんが私の肩をゆっくりと抱いてくれた。 『時間が経てば経つほど、坊ちゃんを助ける事は不可能になります。今、動かなくては白鳥総帥は後悔なさいますよ』 『後悔…』 そうだ。これ以上の後悔は、したくないっ! 私は涙を拭いて、歩きだす。 猪塚先輩を助けなきゃっ! 『マリアさん。悪いんですが車の手配お願い出来ますか?』 『任せて下さい』 『ソフィアさん。電話をお借り出来ますか?』 『電話ですか?ですが電波が』 『そうですね。車で移動しつつ電波が戻り次第電話をしたい人がいるんです』 『解りました』 『ジュリアさんは紙とペンを用意して貰えますか?地図を書きます』 『地図を?かけるんですか?』 『ざっくりですけどね。それからアウローラさんは相手を錯乱させる為に、上司に任務は完了したと報告を』 『え?でも…私達が白鳥総帥の側についたともう分かられている気が』 『それでも良いんです。相手を混乱させる事に意味があるんです。さぁ、動きましょうっ』 『『『『了解』』』』 動き始めた四人の行動を見つつ、私は振り返ってジッと崩壊した建物を見つめた。 「絶対に助けに来るからね。猪塚先輩。待っててね」 言葉を口に出して宣言して。 私は走った。 マリアさんが用意してくれた車をこちらから迎えに行き乗り込んで、走らせる。 車をまずは人通りのある場所に移動させる。 ソフィアさんに電話を借りて私はある場所に電話する。 …出てくれるかなぁ…? 知らない電話番号だろうし…。 コール音、一回。 『美鈴ちゃんっ!今何処っ!?無事っ!?』 「か、華菜ちゃん。詐欺電話だったらどうするの…」 『そんなの相手から逆に奪い取るに決まってるじゃないっ!それよりも、無事なのっ!?怪我は
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第三十三話⑬ ※※※(猪塚視点)

「それはそれとして、棗お兄ちゃんっ!会いたかった!」 「鈴っ」 ポイッ! 「ふごっ!?」 あっさり棗先輩に捨てられた。 いや、まぁ、白鳥さんの方が大事なのは当然だけども。 「棗お兄ちゃんだぁー…癒しぃ…」 それは、それとしてっ!額をぐりぐりと棗先輩の胸に押し付けてる白鳥さん可愛いっ! 可愛い白鳥さんをずっと見ていたいけど、ずっとずーっと見てたいけど。 今はそれよりもやる事がある。 むくりと体を起こして、実は痛む体に鞭を打って立ち上がる。 投げられて痛い訳じゃないからね? 鰐に食われたから痛いんです。 「……?」 あれ? 急に体が重く…? しかもお腹の辺りが暖かい? 「……無事で、良かったっ」 「………え?」 ………え? 脳内と思わず出た言葉が同じになった。 ちょっと脳内の理解が追い付かない。 え?待って? もしかして、もしかすると…僕、白鳥さんに抱き付かれてる?棗先輩から離れて?白鳥さんが?え?嘘? 「ごめんね、猪塚先輩。助けるって言ったのに、全然動けなくて」 『い、いや、そそそそんなことないですっ!』 ぎゅっと白鳥さんの手が僕のお腹をきつく握った。 背後から抱きしめられてるんだけど、ふわっと白鳥さんの良い香りが…。 「……猪塚?」 棗先輩の殺気が合わさって、嬉しいと怖いが仲良く僕の脳内で殴り合っている…。 「でも、どうして?私、かなり最短ルートでここに来たつもりだったんだけど。先輩には悪いんだけど、あの爺全く動かないし。孫が可愛いとか嘘でしょ?としか思えなかったし」 「それは僕から説明しようか?鈴」 「棗お兄ちゃん?」 背中に感じた温もりが消えて、何故か僕は棗先輩にまた放り捨てられた。 「まずは僕がイタリアに飛んだ所から話は始まるんだけど」 「うん」 棗先輩は白鳥さんに説明を始めた。 僕もその概要は鰐の口の中で聞いた。 何でそんな所でって? だってそこで棗先輩と合ったから。あの後。 僕は石を二つ持ち、鰐の口の中に突入して、石を発動させた。 正直その後の事は何も考えていなかった。 ただ、白鳥さんを助ける事が出来ればそれでと。 口の中は真っ暗で何か見える訳でもなく。 とは言え、僕が座っている所がぬるぬるとしているから舌の上にいるんだろうなって事は解る。 そもそもこんな大きい鰐
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第三十三話⑭ ※※※

皆無事で本当に良かった。 棗お兄ちゃんの話を聞くとますますそう思う。 ハイジャックに遭ったのに棗お兄ちゃんがケロッとしてるのをみると本当心底そう思う。色んな意味で皆無事で良かった。うん。 …ぎゅー。 所で、聞いて下さい。 私さっきから猪塚先輩に抱き付いているのですが。 私、猪塚先輩に触れても震えなくなりました。あれー? あの場所を脱出するまでは震えてた…?うん?ちょっと待ってね?記憶を辿るに…その前にもう震えなくなってた? 最後のパズル解いている辺りかもしれない。震えなくなったの。 …何でだろ?慣れたのかな? ぎゅー。 「……鈴。そろそろ猪塚に同情したくなるから止めてあげて」 「ふみ?」 …猪塚先輩の顔が真っ赤っ赤。 そんなに力を込め過ぎただろうか? 緩めたらいい? 腕から力を抜いて…あれ? ひょいっと棗お兄ちゃんに持ちあげられてしまった。 「ほら。猪塚。ご褒美貰ったんだから、そろそろ動きなよ」 「……はっ!?」 棗お兄ちゃんの肩に担がれてたから良く見えないんだけど、猪塚先輩が我に返ったらしい。 もぞもぞと動いて振り返ると、慌てて動き爺に詰め寄る猪塚先輩の姿があった。 あ、そうだ。忘れない内に。 「棗お兄ちゃん。電話貸してー」 「良いけど、どうしたの?」 「華菜ちゃんにお姉様方の身内を助ける為の人員を割いて貰わないと」 「?、良く解らないけど花崎さんに連絡するんだね」 スマホを素早く操作して電話を繋いでくれた。 感謝して華菜ちゃんにお姉様方の現状を説明すると直ぐに人を回すと言ってくれた。 金山さん辺りに連絡をして直ぐに動いてくれるだろう。 これでこっちは安心。 さてさて。猪塚先輩の方は、と。 『要っ、無事で良かったっ』 『それはこっちのセリフだよ、お祖父ちゃんっ』 『なんじゃと?』 『どうして、白鳥さんにあんなことしたのさっ!』 ダンッ! 盛大に机を叩くが、流石猪塚先輩の祖父ちゃん。動じない。 『可愛い孫が魔性の女に騙されているのを黙って見ていられるかっ!』 『騙されってっ、確かに白鳥さんの可愛さと綺麗さと美しさに常に心奪われて騙されても本望だと思ってはいるけどっ!でもそれとこれとは話が別だよっ!』 …猪塚先輩。私、素直に恥ずかしいんだけど…。 『一つ言っておくけどっ。白鳥さんは白鳥
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第三十三話⑮ ※※※

「と言う訳で、ぜーんぜん乙女ゲームらしき所はなかったんだよね」 出掛ける準備をしていた私をとっ捕まえたママに、「何事もなく出掛ける前に、どうして『そう』なったのか、きちんと説明なさいっ」と怒られたので、自室で今までの流れを説明していた私なのです。 「乙女ゲームっぽい所って言うと、滅茶苦茶やらされた立体パズルゲームくらいで」 「…正直、…美鈴達があんな目に合わされた場所でなければ。私もやりたかったわ」 「うんうん。だよね。命の危険とか危なさがないのなら私ももう一度やりたいわ」 二人向かい合って腕を組んで頷く。 「じゃあやっぱり私の予想通り、猪塚くんが一番美鈴を安全にラストまで導いてくれたのね」 「安全、とは言い難い気もするけど。でもそうかもしれないね」 「美鈴の命の危険は限りなく低かったと思うわ」 「鰐に食べられそうになっても?」 「鰐は両生類だから大丈夫よ」 「…確かに」 再び頷き合う。突っ込みは現在不在です。 「それで?」 「ふみ?」 「一番重要なのはここよ。猪塚くんのこと好きなの?」 「………好き、は好きなんだけど…」 ううーん…? 「そう言う意味で好きか、と聞かれると、首を360度捻りたくなるなぁ」 「一回転する位なら捻らないでよろしい。だけど、美鈴?」 「んー?」 「その割には、猪塚くんと結婚関係を続けているし、猪塚くんに抱き付いたり出来る様になっているし、男性恐怖症、だいぶ克服してるんじゃない?」 「それがねー」 男性恐怖症。 私も猪塚先輩に震えなくなったからもしかしてと思って、仕事中に男性だけの部署に足を向けてみたんだけど、入れなかったんだよね。足が震えて。 だから男性恐怖症を克服した訳じゃないみたい。 「猪塚先輩に『慣れた』が正しいのかも」 「慣れた、ねぇ。本当にそれ、惚れた、じゃないの?」 「うーん…解んない。カッコいいって思った事が無い訳じゃないんだけど、猪塚先輩に関しては何でだろう?カッコいいより面白いなぁって」 「面白い?」 「うん。面白い。だってさ。出会った当初はすっごい押せ押せで流石に怖くて怖くて堪らなかったんだけど。段々、だんだん…」 「だんだん?」 あれ?ママがとても期待に満ちた目を向けてきた。 これは、応えなければっ! 「ギャグキャラに見えてきたのっ!」 「そ
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外伝小話 猪塚編 会長子息の夢

「………はぁ~…」ヤバい。「………はぁ~ん…」ヤバ過ぎる。可愛い。 どのアングルから見ても。 どんな事をしていても。 「僕の奥さんが可愛くて死ねるっ!!」 「社長。仕事しろや」 秘書に言われて、眺めていたスマホの待ち受けを片手に、僕はノートパソコンを開いた。 だけどさ。 開いては見たけどさ。 やる気は全くおきない。 だって、今は出張中の車の中で、僕は奥さんと会えない。 一秒だって離れていたくないのに、そんな奥さんと離されてしかも仕事? 「いや、無理です」 「無理じゃねーです。やれ。でないと」 言いながら秘書が取りだしたのがスマホ。 しかも、しかも。ディスプレイに出てるのは僕の愛おしい恋しい奥さんの名前。 「仕事しなくて困ってるので離婚して下さいと奥様に伝えるぞ」 「ヒィィィィッ!?何て恐ろしい事をっ!!わ、分かったっ!!やるっ!!やるからっ!!」 宣言して、僕はキーボードの上で指を高速タイプした。 「…もしも、私が持ってるこの決済待ちデータUSB10本分を午前中に終わらせる事が出来たらご褒美をやろう」 「ご褒美?」 「あぁ。私が社長の半休をどうにか調節して作ってやろうじゃないか」 「えっ!?えっ!?じゃあ、もしかしてっ」 「奥様に会いに行かれるのも、遊びに行かれるのも、どうぞご自由に」 「や、やるっ!!絶対に仕上げるっ!!」 集中すれば決済の山の一つや二つっ!! 鬼秘書である従兄弟に言われ、僕は死ぬ気で仕事をした。そして僕は当然、休みをっ!!―――とれなかった。いや、だから無理なんだって。 あの量をこなせるのは優秀な、それこそ僕の奥さんだったりその身内だったり樹先輩みたいな色んな意味でおかしな脳みそを持っている人達だからであって。 凡人には無理なんだって。 仕事は終わらず、僕は盛大に落ち込みつつ仕事に臨んだ。 うぅ…会いたい…。 出張先のホテルに辿り着いて、チェックインを済ませて僕はまた直ぐに車に乗りこむ。 余所の社長との会食を終わらせて、車に乗りこんでまた仕事をこなして。 一先ず秘書が言った分を終わらせたのが夕方で。 これじゃあ今から帰っても奥さんと過ごすなんて夢のまた夢。泣きたい。 「で?どうする?飯食うなら予約するが?」 「いい。ホテルの部屋で美鈴さんに電話する。せめて顔を見
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外伝第六章 第三十三話① 牧師と白猫が望むは共に歩む未来の地(丑而摩大地編)

※ 外伝第一章 御三家ルートの第三十二話から続くお話です。ルート割れしておりますのでお気をつけてお読みください。「大地お兄ちゃんっ!!」知らず走りだして、大地お兄ちゃんの背に飛びついていた。―――トスッ。背中に衝撃が走った。だけど、あれ?痛みが、ない? 大地お兄ちゃんの背中には…ってあれ?背中でもない? 目の前にあるのは大地お兄ちゃんの胸板。 今の衝撃ってもしかして、大地お兄ちゃんの腕がぶつかった衝撃? どゆこと? ちょっと待って。 状況が理解出来ない。 「……間に合った、か。あー…危なかったー」 ホッと一安心…じゃなくてさ。どうして私大地お兄ちゃんの腕の中にいるの? い、一体どう言う事? 全く理解していない私とは違い、お兄ちゃん達は冷静だ。 「落ち着いてる場合かっ!大地っ、姫っ、車に乗れっ」 「姫ちゃんっ、ちょい失礼ー」 ひょいっと大地お兄ちゃんに抱っこされて、そのまま車に乗りこむ。 それと同時に運転席に乗り込んでいた奏輔お兄ちゃんが車を走らせた。 「姫ちゃん。何処か痛い所はないー?」 「な、ない、けど…大地お兄ちゃん?」 「うんー?」 「えっと…私はどうやって助けられたのかな?」 「姫ちゃんが俺に向かって走って来た気配がしたから咄嗟に振り返って、姫ちゃん抱き止めて右腕で腕の中に引き寄せて左手で矢を叩き落としたー」 「……へ?」 え?あの一瞬でそんな動きをやってのけたの?マジで? 念の為に怪我がないか、大地お兄ちゃんの腕をマジマジと観察する。 傷一つない。…マジで? いや、実はどこかに一か所くらい…腕裏、肘、手の平、手の甲…ないっ。 「姫ちゃん?擽ったいんだけどー」 「あ、ごめんねっ。ついつい…」 「全然構わないけどねー。むしろ触って」 キリリッ! 大地お兄ちゃんが急に凛々しくなった? でも、許可が出たから、触っておこう。ぺたぺたぺた…。 「姫。大地が図に乗るから、そこまで」 「ふみ?」 助手席にいる透馬お兄ちゃんにストップをかけられた。 「所で、姫さん」 「ふみみ?」 「あかんで。大地を庇おうとするとか。…いや、大地に限らん。俺らを庇おうとしたらあかん」 「なんで?」 「決まっとるやろ。姫さんの方が弱いからや」 う…。 それを言われたら、ぐうの音も出ません。 「だって、咄
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