All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 21 - Chapter 30

83 Chapters

第三十二話 ハネムーンとは?

『あの人』との政略結婚を無事に終え、現在地はハワイでござーいっ! 何で?って?そんなの勿論結婚式の為でーす。 式も無事に終えて、晴れて?私と彼は夫婦になりましたー(仮) 現在はホテルに泊まり、観光旅行中でございます。 …正しくはハネムーン? いや、ハネムーンでこんなに人数来ないよね。うん。 二人っきりだと色々危ないからって友達も含めて皆で観光してるんだけど。 うん、まぁ、多種多様の美人が揃ってるから相変わらず皆避けて通るよね。ありがたくはあるんだけどさ。 通り過ぎる人がみーんな一度は振り返る。罪作りな人達だわ。うんうん。 「おい、美鈴。ぼーっとしてるとぶつかるぞ。俺に」 「だったら、ワザとらしく足止めるの止めて下さい。樹先輩」 「優兎ー。龍也を入れる棺桶発注してくるからちょっと息の根止めといて」 「優兎ー。ついでに猪塚の分も頼む」 「お兄ちゃん達、優兎くんは下僕じゃないんだから。あれこれ頼んじゃ駄目だよー」 「誰か棺桶って所、突っ込み入れるとかしねぇのかよっ」 「…大丈夫ですわ。樹先輩。後の事は私とダーリンが請け負いますわ」 「殺す気満々じゃねぇか」 「ハニー。そんな物騒な事を言ってはいけないよ。だが、そんな言葉を出したい時もあるだろう。そんな時はほら。僕の広背筋でも眺めて心を落ち着かせると良い」 「ダーリンっ…そんなっ。こんな人の目がある所でっ、恥ずかしいですわっ」 「白鳥さーんっ」 「………お前ら。いい加減にしろ。周りに迷惑だ」 鴇お兄ちゃんが盛大に溜息をついた。 ん、確かに。 観光旅行をしつつ、私達は意識をすれ違う人達へと向ける。 怪しい人間がいないか、探すのだ。 もっと詳しく言うのなら、猪塚先輩の所にいたクローンが何故か三ヶ月に一度、ハワイに旅行に行くと言う事を聞き付けたので、その人を探し出して何をしているか有力な情報を掴むのだ。 なのでそのクローンが旅行に行く時に合わせて私達は結婚式を上げてハネムーンをすると言う言い分で、そのクローンを探しに来た訳である。 「聞き込みしますか?」 「うぅん。私達はあくまでハネムーン中だから。そっちは、得意な二人に任せて置こう」 「…そうですわね」 桃と二人頷き合う。 情報収集は別行動している華菜ちゃんと逢坂くんに任せるのです。適材適所。 「さて。それじゃあ私
Read more

第三十三話① 龍の恋は流される?彼と彼女の脱出劇!(樹龍也編)

……ふかふか~…。 良い感じのスプリングが効いてる。高級なベッドに寝てるみたい。 シーツも良い匂いがするし~…もう一眠りしても良いくらいだよ~…。 ふみ~……って、ダメでしょ、私。 何寝こけてるの? 思い出せ、私。どうしてベットの上にいるの? だって、落下したんだよ?急激に下降し出したヘリコプターから。 普通に考えてベッドにいるのは可笑しいでしょう? あまりのふかふかベッド具合に騙されるところだった。 目をゆっくりと開くと、全然見覚えのない天井があった。 はーい、自宅や夢じゃない事確定ー。 キョロキョロと視線を動かすと、立派なシャンデリアにふっかふかの絨毯。超高級らしきベッドに高そうなクローゼットに小さいけれど洗練されたデザインの猫足テーブル。テーブルの上には割ったら弁償必須そうなティーカップセット。 見る限りはそんな感じ。もう少しきちんと見てみよう。 手を付いて起き上が…カシャン。 ……カシャン?え?何の音? 起き上がって、両手を確認する。…何もついてないね。 じゃあ頭?…特に何も感じない。 となると残るは…? そっとかけられていた毛布を剥いで足を確認すると、右足に枷がついていて枷から伸びた鎖は床へと続いている。 「……試しに引っ張ってみる?」 鎖を握って、えいやっ! ガツンッ。 案の定何かに繋がれている。勢いよく引っ張ったからじんわりと手が痺れた。 「ん。無理っ!」 キリッと断言。…何してるの、私。えー?これどうなってるのー? ベットの上で立ち上がってみると、鎖は結構長く部屋の中を隅々まで歩く事は可能そうだ。 そもそもここ何処ー? そうだ。ベッドの上にいた訳だしっ。自分の服装っ…あ、良かった。どこも違和感ない。 ホテルにいた時のまま、Tシャツにロールアップのデニムのままだ。 「ふみみ…?」 ひとまずベッドを降りて、辺りを探索する事にした。 まず一番に確かめるのは、ドア、だよね。 外に出れるかどうかは大事。 えっと、ドア…ドア…、あっ、はっけーんっ。 駆け寄ってドアノブを回す。 うん、中はトイレだった。 バスもセットのタイプだね。 出口ではなかった、と。 え?もしかして…もしかしなくても私監禁されてる? ………いやいや。ちょっと待って。すぐそう考えるのは早計過ぎるよね。 もっと他にド
Read more

第三十三話② ※※※(樹視点)

「…とにかく美鈴の無事を確認出来ただけでも儲けものか」はぁと息を吐いて俺が今現在閉じ込められている部屋を改めて見回した。「…にしても、酷ぇな。いくら誘拐と言えどもっとましな部屋に入れるだろう。普通は。これでも俺は財閥の総帥なんだがな」床は汚いズタボロの絨毯が敷かれていて、所々開いた穴からはコンクリートの部分が見え隠れしている。天井も壁も煤だらけ。天井の隅にいたっては蜘蛛が綺麗な六角形の巣を作っていた。ベッドもほぼ布団に近い。足が四本とも折れてる。クローゼットらしきものはないが、代わりに薬品棚が何個も並んでいる。まぁ、その薬棚の中は、地震でもあったのかと思いたくなる程ぐちゃぐちゃだったりするが。……一部棚が溶けてる所を見ると酸でも入ってたんだろう。座れる椅子があるのはまだマシと取るべきか否か。あと、問題はこれだよな。腕を動かすとジャラッと鎖が鳴る。拘束されるのは予想してたとは言え、こんな風に鎖で腕と床とが繋がれるのは想定外だった。しかもだ。窓には何とか届くが、二つあるドアには全く届かない。「どうやってトイレや風呂に行くんだよ、これ」引っ張って見ても頑丈過ぎて壊れる気がしない。そもそもトイレと風呂があるかどうかも謎なんだがな。「…葵だったら壊しそうだけどな」いや…葵に限らないか。あいつの兄貴連中だったら誰でも破壊しそうだ。…もしかして俺が非力…いや、いやいやいや。そんな事はない。あの兄弟と兄の仲間がおかしいだけだ。俺は一般男性よりは強い筈だ。……多分。くそ、あの規格外の奴らの所為で自信が持てねぇ…。さて。そんな事よりも、だ。美鈴とどうにかして合流しなきゃならない。使えそうな道具を探してみるか。一歩をそっと踏み出す。ぶっちゃけて言えば、この床はもろい。下手すると崩れる可能性だってある。俺は生身の普通の人間だからな。落ちそうになった所を跳ねて回避など出来ない。そんな一般的な俺に出来る事はそっと歩く事位だろ。慎重に数歩歩いてる最中に、ガコンッと何かが落ちた音がした。…あっちのドアの方か。壊れたベッドの脇にあるドア。確かめたいのは山々なんだが…届かない。となると、やっぱり先にこの鎖をどうにかしないといけない。……この鎖、鉄で出来てるな。…この部屋にあるのは薬品棚くらいだ。ペンチとか工具があれば良いんだが、それは期待出来そう
Read more

第三十三話③ ※※※

樹先輩が再びドアの向うに消えたのを良い事に、私は先輩が持って来た書類を改めて見直した。 確かに先輩が言うように、クローンの失敗例ばかりで何の情報にもならない。 「クローン、か…」 実際クローンを作るってのは違法だ。人道的にどうなんだ?とか色々、未だそっちの界隈では騒がれ続けている。 けどまぁ、隠れて研究している人がいない訳ないよね。 研究ってのは、人間のある種の本能のようなものだから。 「……失敗作を、こんな隠れた場所に押し込めて放置ってのはあり得ない…。ここが何処かは解らないけれども」 「全くだな」 「あれ?樹先輩。お帰り」 「ただいま。ほら、さっさとお前の足枷の鎖壊すぞ」 「はーい」 塩酸片手に戻って来た樹先輩が私を繋いでいる足枷から手の平四つ分位離れた所の鎖に塩酸をかけた。 一応鼻と口を手で覆っておこう。念の為ね。 樹先輩も直ぐに窓を開けてくれたし。大丈夫だと思うけど。 ちょっとだけ間を開けて、樹先輩は塩酸をかけて脆くなった部分を挟む様に鎖を握ると左右に力一杯引っ張った。 バキィンッ。 音と一緒に鎖が千切れる。 「おお。先輩、怪力」 「冗談言うな。これで怪力ならお前の兄貴と父親はどうなる」 「怪物?」 小首を傾げて問う。 樹先輩が何とも言えない顔をして眉間に皺を寄せて笑った。器用だね。 「…樹先輩、笑いたければ思いっきり笑っていいと思うの」 「笑う状況じゃないから堪えてるだけだ。ほら、とっとと隣に行くぞ」 「はーい」 私と樹先輩はトイレへと向かい、ダクト穴を通って隣の部屋に来た。 …のは良いんだけど、どうしよう。降りたくない。汚い。汚過ぎるぅ…。 先輩は靴履いてるから良いだろうけど、私裸足なの。裸足なのー。逃げ出している最中か落下している時に靴が脱げちゃったらしく裸足なのです。 うぅ…どうしようかな。 そう言えばクローゼットに服はあったのに靴はなかった。うぬぬ…。 「おい、美鈴。何してんだ」 いつまでも降りて来ない私に樹先輩が不思議がって下から訪ねて来た。 だけど、私がじっと下を見ている事に気づいて直ぐに納得してくれた。 「あぁ、確かに降り辛いか。ちょっと待ってろ」 樹先輩は自分の靴を脱いで私にくれた。 「でも先輩?先輩のは…」 「俺は裸足じゃないから平気だ。いざとなったら外に居るクロー
Read more

第三十三話④ ※※※(樹視点)

俺は一体何回このトイレの上に登る事になるのか。 はぁと溜息をつきつつ、けれど美鈴と一緒に脱出する為にも行かねばならない。 折角政略とは言え、結婚したんだ。このままあいつとの結婚生活を送らずにやられて堪るか。 トイレからダクト穴に入り、俺の部屋とは逆の方を向く。 美鈴は気付けなかったみたいだけどな。 ここ…明らかに怪しいんだよ。黒く塗ったベニヤ板か何かで元々あったダクトを塞いでいるのだ。風が入って来てるから尚更ダクトがあったのだと確信出来る。ガンッ!蹴ってみる。 あぁ、予想通りだ。ここ、あきらかに壁が薄い。ガンッ!ガンガンッ!ガンッ!バキャッ!よしっ、外れたっ…っつーか、壊した? まぁ、そんな事はどうでもいい。邪魔な板はトイレの方に落として……俺の方のトイレに落としておくか。 少し戻って、俺の部屋の方に板を落として、今度こそ進む。 …こっちの方が埃が凄いな。そもそも通る場所じゃないんだけどな。 結構奥があるな。…俺のスーツもすっかり雑巾状態だ。 四つん這いで前進を続ける。暫く真っ直ぐ進んでいると、床から光が洩れている場所に気付いた。 ここだな? やっぱりそこは金網になっていて、外す為に態勢を変えてから床を蹴る。一回、二回、…三回。 三回目の蹴りで金網は外れて、下へと落ちた。 さて、下はどんな感じだ? ……安定のトイレだ。 美鈴の部屋程豪華でもなければ、俺の捕まっていた部屋程汚くもない。所謂普通のトイレ。 「なんなんだ。この違いは…。元々、部屋を使用していた奴の違いなのか?」 口に出しても意味がないのは解ってはいるがつい言いたくなる。 便器の蓋に足を降ろして、なるべく静かに着地する。 変わった所は…特にないな。ドアに鍵も…かかってないな。 ドアノブを回して微かな隙間を開けて中を覗き込む。 特に、怪しい奴は…いないな。 そっとドアを大きく開けて、中に一歩踏み入れる。 …この部屋は…何の部屋だ? 美鈴がいた無駄に華美でも、俺がいた研究所(実験後)みたいな部屋でもない。 ベッドがある訳でもないな…。 ソファが二脚、テーブルを挟むように…成程。応接間か?…普通応接間にトイレ置くか? と思わなくもないが、今は気にしない。 それよりも、だ。 他に何がある?…やたらデカい絵画が置かれてるな。有名画家の絵だな。……
Read more

第三十三話⑤ ※※※

樹先輩がトイレから出て来た姿を確認して、ちょっと驚いた。 まさか、あの樹先輩がこんな汚れるまで動くとは思わなかったから。いや、だって、樹先輩だよ? 「美鈴。ひとまず俺が持って来たものの内容を確認してくれ。あと、これは持ち運びできなかったものとか、気になった事のメモだ」 「了解」 樹先輩が、これはえっとバスタオルかな?の包みを床に置いて、くるっと今来たトイレに戻ろうとした。 え?ちょっと待って。そんな直ぐにまた行くの?危なくないっ? 「樹先輩、ちょっと待っ」 「美鈴。風呂、借りるぞ。この埃だらけの状況耐えられない」 「……あ、うん。どうぞ」 なんだ、風呂か、心配させんな、樹先輩の馬鹿。 でも、お風呂?タオルとかどうするんだろ? とは思ったけれど、それ以上にある事に気付く。 「樹先輩?着替え、どうするの?」 「……確かに」 樹先輩の足が止まった。着替えがないと結局汚れた服を着なきゃいけない。 それはお風呂に入る意味があるのか?って話になるよね。 でも何か気持ち悪い物にでも触れたんだよね、きっと。だから洗い流してしまいたいってなってんだろうな。気持ちは解る。 「全身浴びるのは我慢して、何か適当な布で拭くだけにしたら?幸い、樹先輩が持って来たバスタオルがあるし。これを溜めたお湯で洗って絞って体を拭いたら良いよ」 「…そうする」 「早く脱出して、広いお風呂に入ろう」 「おう…」 樹先輩がぐったりしてる。けどこればっかりはどうする事も出来ない。 それにお風呂がちゃんと機能するかどうかも私は調べてないしね。だって元々使う予定が欠片もなかったから。 さてさて。樹先輩のお風呂は一旦置いておき、私は樹先輩が持って帰って来た物を調べる事にしよう。 樹先輩が持って来た物を床に置いて、バスタオルは先輩に預ける。 えっと、樹先輩が持って来たのは…ウェストポーチとあ、靴だっ。しかも清潔…って言うか洗剤の匂いしない?もしかして樹先輩見つけて洗ってくれたのかな?…樹先輩が優しい。なんてこったい。 試しに靴を履いてみると、問題なく履ける。サイズの問題もない。おぉー。樹先輩良く見つけてくれたなぁ…ありがたい。 で、他には?えーっと、あ、ボトルだ。スプレーの。確かにこれ使い様によっては便利かも。あの薬液を入れておけば、クローン相手に噴きつけられるかも
Read more

第三十三話⑥ ※※※(樹視点)

『行ってらっしゃい』階段の前にまで来て、やっと美鈴に言われたこの一言の価値に気付いた。…あいつが俺に行ってらっしゃいって言ったのか?美鈴が?そう言えばさっき出た時も言ってた。美鈴がだぞ?美鈴が俺に行ったんだぞ?…ちゃんと聞いとけば良かった。……って俺キモ過ぎだろ。美鈴の行ってらっしゃいの価値のデカさに一瞬我を失いかけた。念の為にここに来る前に、蠍座の鍵をメダルに変えて、胸ポケットに仕舞っておいた。非常口のドアを細く開けて敵の影が無いか、気配がないかを確認してゆっくりとドアを開けた。階段は上と下。両方に向かって伸びている。俺は美鈴に頼まれた通り階段を慎重に下にむかった。…こう言う時、葵や棗の目を盗んで美鈴に会いに行こうとした時に培った隠密行為が役に立つと痛感する。階段を降りて折り返して更に下る。だが直ぐに引き返して、手すりの影に身を隠した。(おいおい。普通に徘徊してるじゃねぇか…)そっと覗き込み、クローンが何人いるか探る。一人…二人…二人か。二人なら何とかいけるな。バッと勢いよく飛び出して、階段を駆け下り、奴らがこちらに気付く前にポーチから試験管を二つ取り出して、それぞれに投げつける。クローン二体は反応を示す前に液体へと変化した。液体となった奴らの跡には、それぞれに鍵が一つとメダルが落ちていた。あまり触りたくはないが、鍵は大事だ。そしてメダルも。何の鍵なのかメダルなのかは後で確かめるとして、今は拾ったそれをポーチに入れて二階の非常口のドアを開けた。中に入ると自動的に鍵が閉まった。…今メダル手に入れたよな?って事は二階と三階のドアを開けるメダルが必要って事か。蠍座のメダルはあるとして、手に入れたメダルはなんだ?って、それ所じゃないなっ!クローンだらけだ。しかも右も左も三、四人はいる。全部の相手はしてられないぞ。どっちかだ。どっちに行く?いや、消す事は出来なくても、殴って動きを止める程度は出来るか。取りあえず、手近な部屋に飛び込むか。あぁ、そうだ。適当な鍵を一つ取りだし、この鍵が刺さる部屋に行こうと俺は走り出す。そして、運が良い事に非常口のあったドアの直ぐ横のドアの鍵だった。鍵穴に刺して、鍵を開けて即飛び込み、中にクローンがいない事を確認してドアを閉めて鍵をかけた。…うん?そう言えばこの部屋は、外に鍵があった
Read more

第三十三話⑦ ※※※

「ふみみみみぃ~……」あれから暫く弄ってたけど、全然動かない。やっぱりロックかかってるのかなぁ?でもさぁ?ロックって電気が流れてこそかけれるものじゃない?電子ロック、だもんね。だとしたら、これ純粋に壊れてるって可能性もあるのでは?型も古いしね。昔良く見たブラウン管の画面があるパソコンだし。…あ、私、今あり得ないけど有り得そうなこと思い付いたかも。ここさ?この部屋さ?鍵かかって開けられないとか思わせといて実は引き戸だったってオチだったじゃん?もしかしてさ~?思い至って、もしかしてと思いつつも私はパソコンのディスプレイを両手で掴み、持ち上げてみた。すると、想定していたよりもずっと軽くそれは持ちあがり、その下から小さなノートパソコンが出てきた。「やっぱりかいっ!」思わず全力で突っ込みを入れてしまう。でもねっ?これは仕方ないと思うのっ!何なのよ、もうっ。パソコンの電源を入れて起動させる。当然ロックはかかってるだろうから、それを考えてみる。どんなロックだろう?一先ず、この部屋…乙女座の部屋な訳だから…VIRGO(ヴァルゴ)と試しに入力。Enterっと。「……開いたんですけど。セキュリティの意味あるの?これ」まぁ、折角開いたんですから?弄れるところは一通り弄ってみる。カタカタカタとパソコンのキーボードを叩く音だけがこの部屋に響く。うぅ~ん…?特にこの建物の情報らしきものは入ってないのかな~?思わしきファイルは全て確認したし、怪しい所も潜ってみたけど特にこれと言った情報はない…あ、そうだ。ネットに繋がってるなら外にも連絡出来るんじゃない?……ってあれ?待って待って?ネット回線繋がってないの?あらー?そう言えば無線が入ってそうな感じもしない。有線も…繋がってない。LANケーブル繋がってないもん。まぁ、そうか。監禁する場所の近くに連絡ツールは置かないよね。でもそれって逆に言えば、このパソコン持ってっても良いって事じゃない?そうだそうだ。持って行こう。ここに長くいるのももしかしたら危険かもしれないしね。パソコンを一旦閉じて手に持ち、私は天秤座の部屋へとトイレから戻った。ベッドの上に座り改めてノートパソコンを開く。中に入ってるデータとか取りだせないか試してみる。と言えど、こう言うのは華菜ちゃんの方が上手いんだよね…。私はどっ
Read more

第三十三話⑧ ※※※(樹視点)

美鈴が沸かしてくれたお湯でカップラーメンを作り食べ終えた。しかし、盲点だった。箸を持ってくるのを忘れてたと言う…。割り箸が自販機室にあったのは覚えてたんだが。あったのに持ってくるのを忘れると言う…。情けなさのあまりつい二回言ってしまった。俺の監禁されていた部屋にガラス棒があったからそれを良く洗って箸として使ったが…明日、外へ行ったら持って来よう。絶対。水を無駄に使ってしまったしな。美鈴は気にしてないってケロッと使っていたが、あいつのそう言う所、ホントに…。思わず遠い目になる。「ふみみ~…?」美鈴の声がしてハッと我に返る。そもそもアイツはあのパソコンで何してるんだ?…背後に回るのは、怖がるだろうから。俺は美鈴がちゃんと気配を察知出来る位置から移動して美鈴の隣に座ってパソコン画面を覗き込む。「…数字パス?」「そなの。恐らく、3の位置は確定。残りは多分2、5、7、9のどれかが入るんだと思うの」美鈴が適当に数字をはめ込んでいくが、どうにも一致しないらしい。…考えすぎなんじゃないのか?俺は手を伸ばして、キーボードを叩く。3は確定って言ってたな。なら順番に、2、5、3、7、9でどうだ?【MISSION CLEAR】「ふみっ!?」「やっぱりな。ごちゃごちゃ考え過ぎなんだよ、お前」「うぅー、反論しようがないー」ふみふみ泣きながら美鈴はキーボードを叩く。それを横から覗き込むと、そこにはこの黒い箱が映っていた。多分その画面に今切り替わったんだろう。美鈴もキーボードを叩く手を止めて首を傾げていた。「これ、なんだろー?」「箱、だよな?良く見ると12個の丸い窪みが無いか?」パソコンに手を伸ばしてその箱の角度を変えて確かめると、やっぱり12個の窪みがある。それもどうやら深さは無くまるでコインが一枚入りそうな…うん?「もしかして、これか?」「っぽいね。メダルをはめる為の箱かも」ふみふみ泣きながら美鈴はキーボードを叩く。「…だが画面の中だぞ?」「さっきみたいにMISSIONをクリアするとパソコン内でゲット出来るか、それともこの箱が何処かに実在するか。どっちだろう?」「俺達はまだ探索していない階があるからな。もしかしたらそこにあるかもしれない」「うん。その可能性もあるよね」「この中のデータには、他に何かありそうか?」「んー…探れる限り探っ
Read more

第三十三話⑨ ※※※(葵視点)

「どうして何にも反応しないのぉーっ!!美鈴ちゃーんっ!!」「お、おい、落ち着けって。華菜」「そうですわ。落ち着いて下さいませ。華菜さん」「ハニー。その手にあるのは一体何だい?」「ダーリンと王子を守る為にとても必要なものですわ」「…気のせいか、俺の目には日本刀に見えるんだが…」「美鈴ちゃあああんっ!!」……すっかりカオスだ。僕達の乗ったヘリがクローンの手により墜落させられて、鈴ちゃんが奴らの手に渡って結構な時間が経過した。あの後鴇兄さんが直ぐに操縦して、どうにかヘリを不時着させ僕達は事なきを得たが。落ちた筈の鈴ちゃんは幾ら捜索してもその姿を見つける事が出来なかった。それから違う機体に乗っていた龍也達も発見出来ずにいる。「うんっ!?反応があったっ!!」『本当っ!?』全員が華菜ちゃんの周りに集まり、反応を窺う。パソコンの画面上には、地図が表示されており、その二ヵ所が赤く点滅している。「何故二ヵ所なんですの?」「ちょっと待ってね…」カタカタカタとキーボードが凄い速さで打ち込まれている。すると、赤の点滅か所の下に、ローマ字が表示された。「…どうやら優兎くんと猪塚先輩みたいですね。…美鈴ちゃんじゃないみたいです」「そのようですわね…」全員がその結果に落ち込むが、その空気を破ったのが逢坂くんだった。パンと手を叩き、その空気を払拭する。「一先ず二人が見つかったんなら、良い事じゃないか。白鳥と樹先輩が見つかる可能性が上がったんだから。華菜は捜索を続けて。後は誰か優兎と猪塚先輩を助けに行こう」「…なら、俺は優兎の所へ行ってこよう」「え?鴇兄さん?だったら僕が行くよ?」「いや、棗は猪塚の所へ行け。何が起きようと問答無用で連れて来い」「あー…うん。解った。それじゃあ、葵。ここで皆の事頼んだよ」「任せて。気を付けてね、鴇兄さん。棗」二人は大きく頷き、直ぐにその部屋を出て行った。因みにここはクローンに狙われたホテルと別のホテルだ。何があるか解らないから念の為白鳥傘下のホテルも一応とっておいたのだ。貸切状態にしてあるので、僕達はロビーに集まっている。ここなら狭くないし、何かあっても直ぐに動けると鴇兄さんが決めた。「うぇぇんっ!!美鈴ちゃあああんっ!!」再び華菜ちゃんが泣きながらキーボードを叩き始めた。「樹先輩はどうでもい
Read more
PREV
123456
...
9
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status