All Chapters of 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!: Chapter 31 - Chapter 40

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第三十三話⑩ ※※※

ガタァンッ!!唐突に建物が揺れて、私と樹先輩はベッドから跳ね起きた。ベッドの上で作戦会議を続け、二人して寝落ちして、今の振動と音で同時に目を覚ましたのだ。「え?何?今の音?」「俺が知る訳がないだろ。…上から音がしたな」「うん。だよね。…上、調べに行くべきかな?」「…行くべき、だろうな」「上に上がる階段、あったよね?」「あぁ」「でも、慎重に行く必要あるね」「クローンが集まっている可能性もあるからな」「お前の話だとクローンがここまで来たんだろ?だったら、ここにいても危険度は変わらない。一緒に行くぞ」「おー」拳を突き上げ意欲を示したのに、何故か樹先輩は胡乱気な視線を私に向けた。なんで?「お前、気の抜ける声を出すなよ」「ふみ?」「……解ってないならいい」「ふみみ?」樹先輩って時々解らない事言うー。あぁ、でもこれ樹先輩だけじゃないか。さってと、手に入れた色々が入ったウエストポーチを腰に巻いて…うん。準備オッケ。樹先輩は…こっちを見て頷いている。樹先輩もオッケーって事だね。この部屋に戻ってくる可能性もあるにはあるけど、なるべく持って行けるものは持って行こう。…持って行けないのはノーパソくらいだけどね。「行くぞ。美鈴」歩き出した樹先輩の後を追う。念の為にいつもの様にトイレから蠍座の(樹先輩が閉じ込められていた)部屋に行き、そこから外へと出る。樹先輩が周囲を確認して、誰もいないと判断したと同時に走りだす。真っ直ぐ階段へと向かう。「そう言えば、メダルはっ?」「双子座のメダルが残ってた筈だが…」「あ、私もそう言えば乙女座の鍵余分に、持ってるよ?交換しとく?」「鍵をそれぞれ一個残して、メダルに変えておくか」「うん。そうしようっ」階段に向かう前に自販機室へと向かう。そう言えば、樹先輩がお金をゲットしてくれたから…自販機使えるんだよね。ないかな…アレ。…女性のクローンがいるならあって良さそうな…やっぱり無いかー。しょんぼりしながらトボトボとメダル交換している樹先輩の側に寄る。「何探してたんだ?」「髪ゴムー。鬱陶しいのー。髪がー」「あぁ。確かに鬱陶しそうだもんな」「うん。いっそ切ろうかなー」「やめろ。俺が葵達に刺される」「え?じゃあ、切ろうかな」「お前、人の話聞いてたか…?」「一先ずハンカチでまとめておこー
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第三十三話⑪ ※※※

作戦は成功した。樹先輩が上手い事クローン達に薬液をかけてくれたおかげで、クローン達はほぼほぼ一掃された。鍵も沢山落ちていて、先輩は隠れている私の代わりに拾って来てくれた。手に入った鍵は、どれも一度拾った物だった。双子座の鍵が2つ。牡牛座の鍵が3つ。天秤座の鍵が2つ。蠍座座、獅子座と乙女座が一つずつ。因みに誰もメダルは持ってなかった。「一気に鍵がたまったね」「そうだな。ただ、なんでメダルがない?」「…ここに交換所がない、とか?」「確かにそれらしきものは見当たらないが…」「とりあえずクローンも一掃したし、玄関の前は通らないようにして一階を探索しよう」「まずはフロントに行くか」「うん」樹先輩が鍵を全部持ってくれて、そのまま先を走りだしたので私は先輩の後を追う。フロント…そう言えば、フロントって普通は鍵を置いてる場所だよね。要は受付だもん。カウンターの中に入って、戸棚を調べる。樹先輩は右から、私は左から順番に。特に怪しそうな物はない。と言うかドコもほぼ空っぽと言うか、入ってても伝票とか、後は無記入の領収書とかだし。あれ?これ何だろう?左から二番目のカウンターの引き出しの中に本が一冊入っていた。何の本だろ…あれ?これってアルバムじゃない?「樹先輩。ちょっとこっち来て」手招きしてカウンターの上にそのアルバムを置いた。「どうした?」と樹先輩が私の隣に立ったと同時に私はそのアルバムを開いた。「この棚の中にあったの。アルバムだよね、これ」「アルバム?確かにアルバムっぽいが、中には何も挟まってないぞ?」パラパラと捲るが確かに何も…っと、何かがぺらっと落ちた。慌てて拾ってその写真を見ると、女の子が二人写っていた。「…これって、都貴心愛さんの、幼少時の写真?」「…と、考えるのが良さそうだな。俺が映像で見たのも間違いなくコイツだ」「じゃあ、私が話した人と先輩が話した人は双子だったって事?」「だが、俺が聞いたのも【ここあ】と呼ばれていた。となるとお前が会っていた人間と俺が聞いた人間は同じ人間だった可能性もある」その可能性で考えると、私達の知らない人物がもう一人いる、って事になる。可能性は色々考えられるけれど…。そう思って頭を捻らせていると、「もしくは、この双子の片割れがクローンかもしれない」樹先輩はそう呟いた。写真
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第三十三話⑫ ※※※

勢いよく駆け上がったのは良いとして。 私、メダル持ってないんだった…。思えば道具関係も樹先輩が殆ど持ってくれていた。 …と言う事は。 「ドア開けられないじゃーんっ!!」 って事なんだよね…。 二階のドアの前で腕を組む。 ……もう、いっか。 本当は何があるか解らないから、慎重に進みたかったけど。ここまで来たら気にしなくてもいいよね? だって樹先輩の無事がかかってるんだもん。 …男の人は怖いけど、あれはクローン。あれはクローンなんだ。人じゃない。 だから、―――手加減しないっ! 足に気合を込めてっ!「破壊するっ!」ガァンッ!!全力でドアを蹴る。勿論一回で開けられるなんて思ってない。ガァンッ!ガァンッ!!ガタンとドアが傾く。「もういっちょーっ!」ドガァンッ!!「はい、開いたーっ!破壊したとも言うけどねーっ!」 ふんっ。 勝ち誇りつつ、私は二階へと進んだ。 樹先輩が探索した場所を改めて私が探索する。 何か手がかりがある筈だもの。 先輩が話してくれた内容や地図を照らし合わせると、一番怪しいのは書斎。 書斎はここから真反対の位置にある。 クローンの姿は見えないけど…用心して行こう。 止まってる時間はない。 私は足を動かす。一気に駆け抜けて書斎のドアを開けた。 左手側奥に何かあるけど…どうしてかな?私は右手側の方が気になる。 入口の位置から考えると左側の方が広いし何かありそうだけど…あっちはきっと樹先輩が調べたと思うの。 だから…右に進んでみよう。直ぐに行き止まりだろうけど。 右に足を向け歩みつつ、手近な本棚の本を一冊手に取ってみた。 …この本の表紙おかしくね? ドイツ語なのは間違いないけど、何で逆さま?本の帯が定位置にあるからきちんと見ない限りはあまり違和感を感じないのだけど、よくよく見てみると表紙カバーが逆さまになっている。 これだけなのかな? あ、違う。結構まちまちにある。って言うか、これはもしかして…。 ちょっと思い立って、表紙カバーを剥がすと中の本は…。 「……【濡れた人妻、火照る身体】……エロ本やんけ」 思わず突っ込み入れちゃったよ。 ちょっと待ってよ。ここの棚、日本発行のエロ本だけ並んでるんじゃないの? 私が抜き出した本を元の位置に戻して、隣の本もカバーを外してみる。……エロ本。…正
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第三十三話⑬ ※※※

書斎を抜けて走っていると、心愛さんが私に並走して問いかけて来た。 「白鳥総帥。さっきのあれ。あの文章。どう言う意味ですかっ?」 「さっきの文章?」 「ほら。あの、こう小さな機械の…」 「あぁ、あれね。あれはそんな大した内容じゃないよ。区切られ方はおかしかったけど、そのまま続けて読めば『神々の道具は月を導く』って書いてるの」 「神々の道具、とは?」 「心愛さんは気付いているよね?この建物は十二星座が関係してるって」 「…はい」 今の間はなんだろう…? 気になるけど、それより説明を優先しよう。心愛さんの目が教えて教えてと訴えてるから。 「十二星座と言えば、牡羊、牡牛、双子、蟹、獅子、乙女、天秤、蠍、射手、山羊、水瓶、魚の十二なんだけど。星座は神話と繋がっていて。その神話で道具として出てくるのが、天秤座、射手座、水瓶座の三つ」 「なるほど。ではその三つを…いえ、違いますね。あそこにあった入力装置は数字を入力する物だった」 「うんうん。そうだね。だから数字に置き替えなきゃいけない。あのパネルに入力出来る文字は3桁だった。そこで、月を導くって言葉がここで重要になるの」 「月を導く」 「そう。良く星座占いとかであるでしょう?何日~何日は何座だよ~って言うあの区切り。あれを照らし合わせてみると、まぁ、たまに違うのもあるけど大体は、天秤座が9月の24日~10月の23日まで。射手座は11月の23日~12月の22日まで。水瓶座は1月29日~2月の19日までなのね?」 「はい」 「で、もう一度月を導くって言葉を思い出してみて。月日の月の部分だけを抜き出すと、天秤座が910、射手座は1112、水瓶座は12となる。すると三桁なのは?」 「天秤座の910っ?」 「そう言う事。もしかしたら違うかもと思ったけど、一先ず入力したら成功だったね」 「す、凄いっ…」 「凄く何てないよ~。簡単な謎解きだったもの」 ……心愛さんの尊敬の眼差しが痛い。 そこまで凄い事してないのよ?本当なのよ? 階段を駆け下りようとして、私は一歩踏み止まった。 破壊したドアの前に立ち、キョロキョロと辺りを見渡して、とあるものを探す。 「何を探しているのですか?」 「うん。パイプみたいな、トンカチみたいなのないかなー?って」 「パイプ?トンカチ?」 「こう、鉄で出来た棒み
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第三十三話⑭ ※※※(樹視点)

「…くっ」 ただ穴に落ちただけだと思いきや、途中からスライダーのような形に変わり、これなら登って行けるかと足を踏ん張らせてみたが、後ろから次から次へと意識のないクローンが落ちてきて。 踏ん張る事も出来ず、最終的に地下の貯水プールのような所へ落とされた。 勢いよく落とされた所為で一瞬意識が飛びかけたが何とか維持して。俺の上に落ちてくるクローン達をどうにか押し退けて、水面に顔を出した。 「……白色の液体?」 ここの灯り自体がオレンジ色をしているから解り辛いが、恐らくこの液体の色は白だ。乳白色と言うべきか。 「…ちょっと待て。白色の液体だと?と言う事は、これはあれかっ?クローンを溶かす液体かっ!?」 長く浸かってる訳にはいかないだろっ!! こんな所に美鈴が落ちなくて良かった。 それはそれとして、俺も身の安全を確保しなくては。壁に穴とか、俺の力で開けられそうな弱い所はないか? 壁に触れては確かめ、触れては探してを繰り返したが、特になさそうだ。この分厚いアクリル板は割る事も不可能そうだ。 横がダメなら上はどうだ?何処かに少しでも上に上がれる場所は無いかっ? 視線を上向けると、ちょっとした隙間がある事に気付いた。あの隙間なら通れなくはなさそうだ。 ……水族館の魚の気分だな、ほんと。 あとは足場だな。何か足場になるような…クローンを足場にしてみるか?奴らは次から次へと落ちてくる。奴らを重ねて上に上がってあの隙間から逃げるか。 …場所を選んで重ねる必要があるな。奴らは液体に触れると直ぐに溶けてしまう。だからなるべく液体の付かない所に…。 落ちてくるクローンが液体に落ちる前に貯水プールの縁にある突起の所へ座らせる。足は溶けるかも知れないが、上半身はなんとかいける。 非人道的とか今は行っていられない。 まずは俺がここから出る事が先決だからだ。それに…今、上には美鈴は一人だ。 アイツの事だ。 俺を助けに来ようとする筈。アイツの性格上きっとそうだ。 クローンを足掛かりに、何とかよじ登って、貯水プールの上縁から外へと飛び降りた。 「あぁー、くそっ。ここに閉じ込められてから、汚れっ放しだっ」 服を脱いで軽く絞りながら周囲を見渡す。 「んで?ここは一体何なんだ?」 『ゴミ捨て場さ』 「誰だっ!
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第三十三話⑮ ※※※

「それで?いつまで鈴ちゃんを抱きしめてるつもり?」ゲシッと葵お兄ちゃんの蹴りが樹先輩の腹に入れられた。「しかも何泣いてるの?蹴るよ?」「もう蹴ってるだろうが。っとに、お前達兄妹はほんと容赦ねぇな」服の袖で涙を拭い、次の瞬間には樹先輩は私からそっと身を離して、立ち上がった。首と肩を軽く鳴らし、背後のカプセル型の機械を睨み付け、また私達に視線を戻した。「それで?なんでここに葵がいる?美鈴の後ろにいる女は誰だ?それに美鈴もだ。何でここにいる?俺は逃げろと言った筈だ」「樹先輩が逃げろ何て言うから私はそれに逆らうしかなくなったんじゃないっ。ドヤッ」「何でだよ。いらねぇよ、そのドヤ感」呆れたように溜息をつく私に、樹先輩は説明を要求した。説明と言われても…。私は記憶を辿りながら樹先輩に説明する事にした。葵お兄ちゃんを見つけて、抱き付こうとしたあと私は穴に落ちて、本当のゴミ溜めに落ちた。生ゴミから粗大ゴミまで選り取り見取りな本当のゴミ溜めだ。辺りを見渡してみても本当にゴミしかなく、更に言うなれば超臭い…。「鈴ちゃーんっ!!」上の方から声がして、見上げると上の方で葵お兄ちゃんが叫んでくれていた。「葵お兄ちゃんっ!!」「待っててっ、今そっちに行くからっ」「ふみっ!?駄目だよっ!!ここ超臭いよっ!?」と叫んでいる最中に葵お兄ちゃんは飛び降りて来た。私みたいにただ落ちた訳じゃなく、きちんと着地した葵お兄ちゃんはゴミに下半身を埋めている私を引っ張りだしてくれた。「大丈夫?怪我はないっ?」「ないけど…臭い…」顔を覆って泣き真似したいけど、したら悪臭被害が顔にまで行くからそれは避けたい。「…良かった。鈴ちゃんっ」「ふみっ!?駄目だよっ、葵お兄ちゃんっ!汚れちゃうっ!」「そんなの構わないよ。そんな事より僕は鈴ちゃんが無事だって確かめたい」そう言って私は葵お兄ちゃんにぎゅっとされた。ちょっと力が強いかなって感じるけど、これも愛ゆえにっ!昔からだからねっ!もう、慣れたものだよねっ!ぐえっ。「良かった…本当に良かった…」「ごめんね、葵お兄ちゃん、心配させちゃって」「…うん。心配したよ、鈴ちゃん。でも無事だったから」「うん」「さて、ここから脱出しようか」「とは言っても、葵お兄ちゃん?ここよじ登るのは不可能じゃない?」「確かに」私と
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第三十三話⑯ ※※※(樹視点)

美鈴に社員証を受け取った俺はその社員証をくまなく確認した。……ふん、やっぱりな。都貴静流の転生体の為に作られたカードだ。どうせ俺が記憶を取り戻したら、俺を足にする為に、これを使って動かそうと思ったんだろ。はっ、残念だったな。…アイツの言うようにアレは俺の前世なんだろうと思う。だが、正直アレを自分の事と思うのは無理だ。と言うよりやっていることが変質者過ぎて気持ち悪い。出来る事なら、無理矢理与えられたあの記憶を消去してしまいたいと思う所だが…この場所から脱出する為、そしてあの気持ちの悪い都貴静流を潰す為にもまだこの記憶を失くす訳にはいかない。「…樹先輩?」不思議そうに俺の顔を覗き込む美鈴に俺は一歩退き、大丈夫だと頷くとそのまま俺に無理矢理前世を見せた装置へと近付いた。無駄に記憶を取り戻された所為で、この社員証の使い道も良く解る。大きいこの人工記憶再生機にあるパネルを操作して、社員証を機械の中に入れこむ。するとパネルの上方にある真っ黒の画面に緑の文字が下から上へ流れて行った。ふとこれを作った時の記憶を過る。何代目の俺かは覚えていない。ただ、分かるのは【俺(都貴静流)】は同じ人間に転生する事は出来ない。そして、前世の記憶を取り戻させるには【記憶を持っている俺】が【記憶を持っていない俺】の目を見る必要がある。が、どうしてもそれが出来ない奴らがいるのも確かで。そこで記憶を取り戻させる為にはどうしたらいいか考えた末に作ったのが、この機械だ。この機械と接続されたカプセルに転生体である人間を入れると、流し込まれた液体から記憶を取りこむ事が出来る。目を見て取り戻す記憶と違って植え付けられた記憶だから、どうにも前世と言う認識は薄くなるが。因みに目を見て取り戻した記憶は完全に前世の記憶だ。取り戻した記憶に意識を乗っ取られる可能性が高い。まぁ、何が言いたいかって言うと、俺には取り戻した記憶はあるが、アイツに操られてはいないし、操られるつもりもないって事だ。そして、俺にこんな記憶を植え付けやがったこの機械を破壊してやろうと破壊衝動に駆られてもいる。話を戻して。この文字、実は何の意味もない。とある人間の思考を言葉にして表記しているだけ。…この中には都貴静流が、母親であるショウコが持っていた力を奪い取った後に転生した人間の頭脳が入っている。もっ
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第三十三話⑰ ※※※

私と葵お兄ちゃんは一階へ上がる階段を見つけて戻って来た。「鈴ちゃん。どうする?」「一先ず樹先輩が調査してない所を見ておきたいの。葵お兄ちゃんはどうやってここまで降りて来たの?出来れば四階に行きたいんだけど」「え?僕?僕は」と言いながら指さすのは玄関。どゆこと?「ふみ?」言っている事が解らなくて首を傾げたら、手招きされた。そのまま付いて行って、葵お兄ちゃんと一緒に外に出ると自分達が実は随分低い位置にいる事に気付いた。「私と樹先輩が四階だと思ってた場所は、一階だった?」「そうだね。で、僕がどうやって来たかって言うと」葵お兄ちゃんの指さす先を見るとそこには何本かのカーテンがきつく結ばれて一本のひも状になり四階の部屋の窓からぶら下がっていた。「え…?葵お兄ちゃん、もしかしなくてもあれで降りて来たの?」「そうだよ。一応、僕も最上階を探索してみたんだけど、特に目ぼしい物はなくて。鍵がかかっている場所もあったからね。もう面倒になって窓から行った方が早かったんだ」「…流石葵お兄ちゃん…」あの高さから降りてくる勇気、私にはないわ。「それで、鈴ちゃん。どうするの?登ってみる?」「……二人の体重支えきれないと思うの」「それは確かにそうだね。でも一人ずつなら行けると思うよ?」「一人ずつ…。確かに。…じゃあ頑張ってみようかな」ぐっと拳を握って大きく頷く。カーテンの側まで行って、一応念の為に屈伸運動してから、私はカーテンを握った。そして壁に足をかけつつ、少しずつ確実に登って行く。ある程度した時にふと我に返り、自分のいる高さを自覚しそうになるけど、気付かないふり。下は見ちゃ駄目、絶対。よいしょ…よいしょ…ふぅ、私頑張った。登りきったよ。窓枠に足をかけて中に入る。この部屋は何の部屋だろう?4階は初めてだから解らないな。キョロキョロと周囲を見回している間に、「よっと」あっさりと私の半分以下のスピードで葵お兄ちゃんが登ってきた。「この部屋には特に何もないんだよね。ただ」そう言って私を追い越して、葵お兄ちゃんは部屋に一つだけぽつんと置かれていた机の引出しからお皿を二枚取り出した。「これって銅皿?」「そう。それとこれ」「鎖に、三角形の置物?」三角形と言うか正しくは三角形の天辺に棒の様なものがついてるから…T字型してるようにも見えるんだけ
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第三十三話⑱ ※※※

階段を駆け下りて私と葵お兄ちゃんは2階へと向かった。やっぱり謎が解けていないのはここが一番多いと思うから。それにメダルの回収も大事だしね。四階の謎解きにメダルは必須だし。取りあえず、交換機を叩き壊してメダルを取りだそうかな。各階の交換機を壊せば各階で手に入るメダルは全部入手出来そう。私だけだとちょっと壊すのも不安だけど。「?、鈴ちゃん?どうしたの?」葵お兄ちゃんがいるならきっと楽勝だよね。何でもないと葵お兄ちゃんに答えて私は階段を降りた。でそのまま2階へ足を踏み入れようとしたが、ここでとある事に気付いた。「あれ?…私確かこのドア破壊したはず…。え?何でドアが元に戻ってるの?」私が蹴破ったはずなのに、どうして?しかも、全力で蹴ったんだから何か所か凹みがあったはずなのに、それもない。「鈴ちゃん?ドア、どうするの?」動きを止めた事に疑問を覚えたんだろう葵お兄ちゃんが私に向かって伺いをたてた。「あ、うん。壊しても良いんだけど…」「そう?じゃあ壊すね」言うと葵お兄ちゃんは私が何回か蹴ってやっと破ったドアを一撃で蹴破った。「さぁ、行くよ。鈴ちゃん。それでまずは何処に行くんだい?」「まずは、自販機室」駆け出して自販機室へと入り、葵お兄ちゃんに交換機を破壊して貰った。すると中からメダルが出て来たので遠慮なく頂いて行く。流石に他のメダルはなく、あったのは牡牛座と双子座、それから獅子座のメダルだった。あれ?そう言えば、私鞄に…。背負っていた鞄を降ろし、チャックを開けると中からメダルが出て来た。「そうだ。2階のドアを破壊した時、念の為に拾っといたんだっけ」「結構な数があるね。言ってくれたら僕が持ったのに。重かったでしょ?」「そうでもないよ~。ちょっと待ってね。拾ったメダルを確認してみる」…双子、獅子、牡牛、双子、双子、牡牛、獅子……ふむ。「全部、双子座、獅子座、牡牛座のメダルみたいだね」「そっか。他の星座のメダルはどうするの?」「一先ず三階と四階の交換機を破壊してゲットしよう。そこで足りないメダルをチェックして足りない物をまた探しに行こう」「成程ね。う~ん…。鈴ちゃん、ちょっとここで…いや、この階で待っててくれる?僕が他の階に行ってメダルを取ってくるよ」「え?葵お兄ちゃん、大丈夫」大丈夫なの?と聞き返す前に葵お兄ちゃんは
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第三十三話⑲ ※※※

案の定、葵お兄ちゃんは直ぐに戻って来てくれた。樹先輩の使っていた鞄を背負って。鞄の中を見るとメダルと鍵、それから食料、タオル類、そしてライオンのフィギュアが入っていた。「それ?」「うん。これ」良し。このフィギュアも嵌めてみよう。ライオンのフィギュアの底を確認すると、女神の底よりも少し大きい。これは間違いなく女神は歌ってくれるだろう。水夫を外してライオンのフィギュアを嵌め込む。すると、何時ものように女神は歌い始めた。【黄金の獅子。貴方は乙女の守護神。乙女から奪う事は出来ない。例えそれが私の心からの願いだとしても。貴方はずっと乙女と共に…。乙女の中に…】リピートに変わった。…うん。やっぱり今この水槽に関して一番該当しているのは、水夫を相方にした時だね。私はライオンを外してもう一度水夫を嵌めた。水を統べる君は悲しむなかれ。って所は恐らく水夫の事を表しているよね?そして奪われた金貨は私の形見。これはどう言う意味かな?私の形見…女神がいなくなるってこと?求めるは魔物を鎮める鋏の肉。「魔物を鎮めるの魔物がこの下にいる蟹なら、魔物を鎮める鋏の肉って、もしかして…」私は鞄を漁り中から蟹缶を取りだした。「もしかして、これの事?」「あぁ、確かに鋏の肉だね」「これを入れてみればいいのかな?」「やってみる?」「あ、ちょっと待って。残りの歌の文言を確認してからにする」えっと残りは、貴方の心が求めるまま戦いへ。手を貸しましょう。貴方の戦いに。だっけ?となると戦いに手を貸す…だから、船の上に水夫と女神を置いたまま、この蟹缶を開けて中に入れればいいのかな?「うん。…やってみようっ」パキュッ。缶のプルタブを引っ張って開けるとお腹の減りを更に誘導する蟹缶の良い匂いがする。無事に帰れたら蟹しゃぶ食べようと心に決めて、私はその蟹缶の中身を水槽に投入した。すると、水槽の中のグミのような部分に埋められた蟹の鋏が飛び出した。右の鋏、左の鋏、そして頭…。もしかすると、あの蟹缶に入っている成分か何かがグミ部分を弱体化させる効果があるのかもしれない。蟹が動き出すのを葵お兄ちゃんと眺めていると、唐突に水夫のフィギュアが動き出した。オールを片手に水の中に飛び込み、蟹と一騎打ち。木のオールで戦うって漢らしいな。水夫の行動を見守ってると、自分より何倍も大きい、
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