莉奈から届いた資料は、画面を開いた瞬間に明るかった。KUZÉ ma vieのロゴ。淡い色合いのパッケージ案。百貨店催事のイメージ写真。ポップアップ装飾のラフ。限定ボックス、ノベルティ、インフルエンサー招待、SNS用の撮影、オープニングイベント。どのページも、莉奈らしく華やかだった。久世物産の古い会議室で見ると少し浮いて見えた淡い色も、画面の中ではきれいにまとまっている。薄いピンクベージュと白、細い金色の線。自然光の中に置かれたジャムや米粉クッキー、ハーブティーは、いかにも若い女性が手に取りたくなるように見えた。美緒は、画面をゆっくりスクロールした。莉奈のセンスは、悪くない。むしろ、見せ方だけでいえば、久世物産の中ではかなり新しかった。古い贈答品の会社という印象を和らげ、日常の中に入り込む小さな贅沢として見せる力がある。写真の選び方も、言葉の置き方も、若い顧客層を意識していることが伝わってきた。お義姉さん、追加案をまとめてみました。メッセージの文面も、資料と同じように明るかった。せっかくなら、初回展開でもっと話題性を出したいんです。 数字のところだけ、見てもらえますか?美緒は、しばらく画面の文字を見ていた。数字のところだけ。その言葉は、以前なら何の抵抗もなく受け取っていた。莉奈が企画を作る。怜央がそれを通す。美緒が数字を整える。危ういところを見つけ、足りない項目を埋め、相手が困らない形にして返す。それは、いつもの流れだった。けれど今の美緒には、その「いつも」が少し違って見える。誰かの華やかな案の裏で、誰かが数字を支える。 誰かが見えない費用を拾い、在庫を見て、赤字にならないように整える。 けれど、表に出るのは華やかな案の方だけ。美緒は返信欄を開いた。もちろんです、と打ちかけて、指を止める。前にも同じことをした。何となく引き受けて、何となく全部を見る。すると、いつの間にか自
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