そういえば今年はまだダリプ酒仕込んでいないんだっけ? 醸造技術が未熟で甘くてアルコール度数の低い果実酒だし、保存技術が確立していないから残ってんのは飲み切った方がいいのか。 うん、じゃ、ま・いっか。 全部飲み尽くしても。 ……そうか、醸造技術を洗練させれば長期保存のきく輸出用の酒ができるんだな。 フレイラやポモイトでも酒が作れないかな? 穀物酒は果実酒より日持ちしないんだっけ? …………。 どっちにしても僕の知識の中に醸造技術はないや。 ルダーならひょっとして……後で聞いてみよう。 一通り食べ歩いて腹も膨れた頃、そのルダーがみんなの注目を集める。「みんな、聞いてくれ!」 それまでの浮かれた喧騒が一度落ち着く。 すでに陽は落ちて肌寒い。 焚き木で暖と灯りをとっている。「野盗に襲われお館様以外すべてを失ったここで、再び村を作り始めてから二度目の秋を迎えた。村は復興し、俺たちはこうして楽しく穏やかに暮らせている」 そこで少し間を開ける。 村人から「そうだそうだ」などとはやし立てる声と笑い声が上がる。「これもお館様のおかげだと思わないか?」 賛同の声の奥の方でピリリと空気の変わる場所があった。「リリム」 僕は小声で妖精の名を呼んだ。「なに?」「僕の村長就任を快く思っていない人たちを数えておいてくれないか?」「判ったわ」 さて、ルダーはどう持っていくつもりだろう? 無理言って引き受けてもらった手前、僕は事の成り行きを黙って見守ることに徹する。「豊かな村は襲われるぞ!」 そう声をあげたのはイラードだった。「そこだ!」 と、ルダーがその懸念を引き受ける。
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