All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 141 - Chapter 150

206 Chapters

あの時代は文献が少なくて…でも、だからロマンがあるんだよ

「まさにそんな感じね」 うおっ!  また僕の思考を読み取ったな、リリム。「突然声をかけないでくれよ、心臓に悪いじゃないか!」「ごめんあそばせ」 そうか、悪党か……そいつぁいい。  実は僕は幕末より戦国時代より鎌倉末期が好きなんだ。  そうかそうか、フフフ……目標が明確になってきたぞ。  てことはとりあえず赤松則村か楠木正成になればいいんだ。  父の名もはっきりしていて地頭職についていた則村より、辰砂の採掘権を持ち散所の長者をしていたと言われる正成の方が今の境遇的に参考になるかもな。  いいぞいいぞ、オラ、わくわくしてきたぞ!  元々この村は岩塩の採掘とダリプ酒をメインに三つのキャラバンと交易していた。  復興後はジョーのキャラバンだけになった代わりにキャラバンと一体になって、元々の特産品に木炭を加えた三品をメインに商売をする村へと変わりつつある。  これに畜産が軌道に乗れば乳製品が加わる。  専門職化が進めば様々な工芸品、民芸品として売りに出すことも可能になる。  酒はいつの時代もよく売れる商材だ。  今この村はダリプ酒のみだけど、世の中には他にも果実酒・穀物酒は存在しているわけで、この村でも作れるはずだ。  酒の歴史は人類の歴史。  この世界も同様だ。  中世ヨーロッパ風ファンタジー世界の鉄板アルコール飲料とも言える発泡麦酒。  これはフレイラで作る酒がそれに当たるとジョーに聞いている。  小麦のつもりで栽培していたフレイラが大麦の代わりにもなるなら焼酎も作れるんじゃないか?  焼酎が作れるならポモイトやマルルンでだって作れるはずだ。  前世持ちが知識を持ち寄れば酒の種類は飛躍的に増えそうだ。  もちろん発酵には適した酵母が、蒸留には大掛かりな施設が必要なんだけど。「いいことずくめね」 リリムを相手に計画を煮詰めていたらそんな風にいうので「いやいやいいことばかりじゃないぞ」とデメリットにも考えを及ばす。  こんな薔薇色
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みんな酒が好きすぎるでしょ

 僕の村に三年目の春がきた。  野盗に村を焼かれてから三度目の春。  この世界は冬の終わりが一年の始まりだ。  冬の間に村の人口が一人増えた。  ママイと名付けられたルダーとヘレンの娘。  そういえば、アニーが絶対妹ができるって言ってたな。  すげー予知能力だ。  これで村の総人口は四十一人になったぞ。  村に生まれたのはママイだけじゃない。  フレイラで穀物酒を醸造することに成功した。  ところがこれが原酒のままだとあまり美味しくない。  そこで蒸留を試してみたらクセの少ないアコール度数高めの焼酎原酒になった。  この他にポモイトとマルルンでも酒を作ってみたところポモイトは独特の香りが立つクセの強い味に、マルルンは甘みが強くてまろやかな喉越しの酒になっていた。  どちらも蒸留して焼酎にしたところ、今まで味わったことのない酒に村人が大喜び。  試作の分は三種類とも一晩のうちに飲み干されてしまった。  むむ……。  ちなみに、翌日は村人全滅の二日酔いに見舞われている。  そりゃそうだ。  蒸留するとアルコール度数が高くなる。  その蒸留原酒を今までのダリプ酒なみにガバガバ呑むんだから。  その点、前世持ちはその知識から割って呑む。  ルダーはクセが強く好みの分かれそうなポモイト焼酎をお湯割で、ジョーはクセの少なくスッキリした飲み口のフレイラ焼酎を水で半分に割って呑むのがお好みのようだ。「原酒で持ち運んで、現地の水で割って売るのが正解だな」 とか、さすが商売人だ。  確かに前世で売られていたのは度数二十度くらいに調整されたものだった。  僕はそれ単体で十分味わい深いマルルン焼酎を水で二対一に割るくらいが好きだな。  前世持ち三人それぞれ好みが被ってないのが嬉しいよ。  でも、売るとなったら確かにフレイラ焼酎だな。  クセが少ないから果汁で風味をつけたりできる。  いわゆるチューハイ的な売り方だ。  ……炭酸はないけど。
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鋳物師の誕生

 蒸留酒最大の特徴は何と言っても長期保存ができることだ。  醸造酒であるダリプ酒は刻々と酸化して一年と持たない。  前世でも果実酒は未開封のボトルでさえ適度な湿度の冷暗所で保存しなきゃわりと簡単に酸化してしまうなかなか手のかかる酒だった。  ここでは密封技術も未熟だしワインセラーなんて望むべくもなく、村で消費するだけなら次の仕込みまで保てばいいけど売りに出すとなったら荷車の振動も大敵で……とか、なかなかハードルが高かった。  ワインのように熟成を試したいところなんだけどねぇ……。  多分深みが出て高値で売れると思うんだよなぁ。  ……おっと、酒にばかり使ってたら備蓄食料がなくなっちゃうじゃないか。  ヤベーヤベー。  冬の間、鋳物のおじさんに協力してもらって鉄瓶を作ってもらった。  囲炉裏にはやっぱ鉄瓶だよね。  おじさんも気に入ったらしく量産をおっぱじめて各家庭に一個配られてる。  ……凝りすぎだろ。  そして、その出来にジョーが目をつけたもんだから、おじさんは鋳物師として晴れて専門に。  専門職として量産を始められると鉄と炭が足りなくなるので、ジョーと話し合って銅製品にしてもらうことにする。  鉄は融点が高くて炭を大量に消費するし、武具防具のために使いたい。  この辺はありがたいことに北に岩塩の他に鉄鉱石が取れる場所があるんだけど、そんなに大量に産出する鉱床じゃあない(塩はすげー取れる)。  じゃあ銅は? っていうと、これが実は西の山にわりと大きな鉱床が見つかったんだ。  もっとも西の山は切り立った崖になっていて村からは遠回りしなきゃ登れないのと、植物型の怪物スクリトゥリがいてちょっと危険なのよね。  まぁ、村人の戦闘訓練に定期的に登っていることだし、取って来れないわけじゃないんだけど。
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ジャン、村に貨幣経済を導入する

 そうだ、崖の上に滑車かなんかを取り付けて釣瓶というかエレベーター的な運搬装置を取り付けよう。  人が登る用の階段とかハシゴ的なものも作れればいいんだけど、ちょっと大工事すぎだよねぇ……。「また、的的言ってる」 うっさいなぁ、リリムのやつ。 そうだ。  冬の間に村に少しづつ貨幣を流通させ始めた。  これまで村は復興のために配給制度にしていた。  均等に食料を分配し、それ以外の必需品は基本自給自足。  お隣さんと物々交換しあって暮らしてきた。  そこにキャラバンが冬ごもりを始めたのを機に、ジョーにお願いして貨幣も配給することにしたわけだ。  配給というか、給金と言うべきかな?  今年の秋までは村の経費として持ち出しになる。  村の資産である農作物を貨幣にしてもらってその貨幣を食料と一緒に村人に渡しているわけだ。  ただし、貨幣は食料と違って、均等じゃない。  ベーシックインカム的に最低額は設定しているけど、村人の生産品を買い取る形で金額を上乗せしている。  この処置は秋まで続けて、それ以降の労働対価は基本的に貨幣で支払うと村人には通告している。  ちなみにこの世界はすでに金銀銅の三種類を貨幣に安定した交換レートで取引されているようだ。  物価自体は変動するわけだけど、貨幣価値は百年以上一金貨=四銀貨=六千銅貨で固定されているんだって。
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村を町にするためのステップ

 貨幣経済導入と並行して算数も教えることになる。  まぁ、さすがに足し算引き算くらいは無学でもある程度できるみたいだけど、お金のやり取りをするようになると掛け算や割り算も大事になるからね。  最初のうちはキャラバンの人たちの手を借りてたけど、やがて大多数の人たちが「計算」できるようになった。  必要ら迫られると人間それなりに覚えるもんだね。  そしてなんと春になる頃には、店ができた。  自炊の苦手な一人暮らしの人のためにヘレンがあったかいスープの提供を始めた。  食べ物は配給制だから物々交換と併用なんだけど、これきっとルダーの入れ知恵だべな。  貨幣経済促進のためにはありがたいアシストだけどさ。  それに触発されたのか、最近ではいろんな商売があちこちで行われている。  僕は今のところによによしながら見守るだけだ。  詐欺まがいの商売でもしない限り取り締まる気はない。 春になって雪解けが進んだことで開墾作業と建設ラッシュが始まった。  冬の間中断していた北の森開墾作業は雪解けで地盤が緩くなっていることもあってそこそこ快調。  冬の間に村の建物は簡易宿泊所、ダリプ酒醸造所から離れたところに焼酎の蒸留所。  僕の館の近くに学校、それから革鞣しは臭いがきつくて不評なので、炭焼き窯付近に専用の工房が作られた。  牧場にはクッカーの小屋が増設され、ホルスとジップの小屋が新設された。  さらに食肉加工場が建設中だ。  ここでベーコンやハム、干し肉などが作れるようになる。  まだ着手していないけど、乳製品の加工場も計画してる。  そして、貨幣経済が怖いくらい順調に浸透しているので計画を一部変更して、「長屋」を建設することにした。  村の町化計画の新展開だ。  賃貸住宅があるって町っぽくね?
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雪解けとともに戻ってきた

 オギンが帰ってきた。  それと前後して移住者が引きも切らずって感じでやってくる。  ちょっとペースがやばい。「何をしたんだ!?」「お館様のご指示通りに村の情報を流しただけですが?」 ……有能すぎじゃね?「……そっちの件はいいや。国の情勢の報告をしてもらおう」 本当は良くないんだけどね。  急激に村の人口が増えると色々と軋轢が生まれるからさ。「はい」 場所は館の奥座敷、囲炉裏のある例の部屋だ。  囲炉裏には炭を絶やさないんでほんのりあったかい。  ここに僕とオギンの他にジョー、イラード、ルダー、が集められていた。  さながらこの村の首脳会談だ。 まずはざっくりリフアカ王国の政情について。  正当な先王崩御後、一旦は長子が後継者として選ばれたものの戴冠式で暗殺されたのが十七年前。  十三年前に先王の弟がどさくさ紛れに王位に就いたことで継承争いをしていた王族が次々に王を僭称。  王家の権威が失墜したことで各地の領主が離反。  七年くらい前から自治独立の動きが相次いでいた。  その後各地の領主が領土的野心を持ちだし、小競り合いが始まると王国内の治安が急速に悪化、三年前には僕の村が野盗に全滅させられた。  僕たちが村の復興にかかりきっている間に世の中はますます殺伐として、ついに去年の秋に大規模な軍事衝突が起きた。「ああ、ついに起きたか」 と、つぶやいたのはジョー。  僕も同じ感想だ。「誰が誰に仕掛けた戦だったの?」 僕が訊くと、オギンは壁掛けの大きな地図を指差しながら説明する。「南東部を領するソクタンカ仲爵が、自分が庇護していたヨワーネ様を『王を僭称した大罪人』として討ったそうです」 ほぅ。 ちなみに王国は伯爵・仲爵・叔爵・季爵・男爵の五爵位がある。  ソクタンカ仲爵家は代々王国軍の指
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オギンからの報告

 事の顛末的には実力も名声もないから仲爵を頼って命を永らえていたのに、誰かの怪しい口車に乗せられて王を名乗ったことが仲爵の逆鱗に触れたって事のようだ。「ソクタンカ仲爵とすれば、王家の争いから逃れてきたから保護していたのに『進んで争いに参加しようだなんてけしからん』ってとこか?」 と、ルダーが言えば「それもあるだろうけど『オレを争いに巻き込むな』ってのが本音じゃないかね」 と、ジョーが返す。  まぁ、僕もそんなところだと思う。「問題は、武力解決で王族を一人殺しちゃった事なんだよねぇ」「どういう事ですか? お館様」 イラードが理解できなかったようで訊ねてくる。  オギンもルダーもおんなじ表情ってことは判ってないな。「ソクタンカ仲爵はその軍事行為を単なる謀反人討伐だと考えたんだと思うんだ」「実際そうではありませんか?」「まぁ、そうなんだけどね」「そう取らない連中がいるってことか?」 あれ?  ジョーも判ってなかったの?  表情からは読み取れなかったよ。  さすがというべきかな。「『そうは取らない』じゃなくて『そういうやり方があるんだ』っていう気づきを与えちゃったっていうね?」「大義名分ってヤツか」「そ。今までは領地紛争みたいな元から対立していた同士の小競り合いだったものが、『大義名分さえあれば相手を滅ぼしてもいいんじゃね?』っていう話になって、一方的に戦争が仕掛けられていくことになるだろうって話」「それはおおごとですね」「なるほど、そういうことだったのですね」「どうしたオギン?」「いえ、その事件の後各地で一斉に軍事衝突が頻発したようで、一気に内乱状態に陥ったという次第です」「さながら群雄割拠だな」「ジョー様?」「いや、なんでもない」 うん、僕には判るよ。 秋から冬にかけての数ヶ月で国内の軍事衝突は二十以上発生したようだ。  そのほ
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衝撃の事実発覚!

 村は急ピッチで発展を遂げる。  秋蒔きのフレイラを刈り取って、春の種蒔きが終わる頃には人口が倍近い七十六人になっていた。  戦火を逃れてきた農民がほとんどだったのは、町ではなく他領の農村でこの村の話を広めた成果でもある。  なぜ、そうしたかといえば、態勢が整う前に男爵の茶茶が入らないようにっていう配慮だったんだけど、こんだけ一気に増えたら嫌でも悪目立ちするよな。  てな訳で、初夏に入る前の天気のいい日、ついにズラカルト男爵の使者がやってきた。「あー、来ちゃったんだね」 と、第一報を受けた僕はため息をつく。  場所は北の開墾地。  見張りからの報告だったんで、到着までには多分まだ一時間はある。「とりあえず、到着したら門の前で待たせておいて」 と、頼んで着替えることにする。  …………。  いや、このままで行こう。「どうして?」 あ、リリムおまっ、また人の心を読んだろ!「あのね、この際だからいっとくけど、私はあなたのために神から遣わされた神の眷属なんだから、本来考えるだけで会話できるんだからね」「え? え!?  今までずっと思考垂れ流しだったの?」「そうよ」 や、やべー。「それって一種のサトラレ状態ってことじゃねーの?」「ね」「…………」「安心して、恥ずかしいこと考え始めたら意図的に思考をブロックしてるから」 僕は、声も出せずに口をパクパクさせるしかない。「ひ、一つ確認してもイイデツカ?」「なによ?」「その能力は、例えば遠く離れてても有効だったりする?」「そもそもこの能力は神への報告のための能力なんだから、当たり前じゃない」 …………。 もはや天を仰ぐしかない。「そろそろ質問に答えてもらってもいい?」「え?」「どうしてその格好のまま会おうとしているか」「あ、ああ……人は見た目が九割って話があ
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早速役に立ってもらう

「家がルンカー造りだべ?」「あ! ああ!」 この国ではルンカーで家を作れるのは法律で決められた一定額の税を納めた者だけということになっている。  もちろん、最終的には領主と一戦構える心算だけど、それは今じゃない。  今は全力で門前払いをするのが僕の至上命題だ。「お館様」 すっと、オギンが僕のそばに立つ。「あと、八半時間ほどで到着します」 !「オギン」「はい」「今の見張りはガーブラだったよね」「はい」「使者に声が届く距離まで来たら僕を大声で呼んでくれるように頼んでくれ」「かしこまりました」「あ、その時は村長って呼ぶように念を押してね」 ひとつ頭を下げ、村へと戻る。 八半時間の半分もしないうちに、「おや……村長ぁ! 誰かやってきます!」 でけー声だな……。  つーか、どんだけ声届くんだよ。  使者だと判るってことはホルスに乗ってきたってことだろ?  並足で歩かせてるとして、あと八半時間の半分ちょっとはかかるってんだから一カルは先にいるんじゃねーの?  まぁ、いい。  僕は見張りを見上げ、道の向こうを見る演技をする。  そして手ぬぐいで汗をぬぐって農作業をしていた他の村人と畑から出ようとする。(リリム)「なによ?」(使者はホルスに乗ってるよな? 歩かせてるか? 走らせてるか確認してくれないか?)「はいはい」 リリムはすっと飛び上がるとすぐに戻ってくる。「結構な速さで向かってきてるわよ」 おおぅ!  じゃあ、もう少し芝居しとこうか。「みんな! 急いで村の中に戻るんだ!」 なんて大声で叫ぶ。  村人は「突然なんだ?」という困惑を浮かべながら、それでも指示に従ってくれる。  僕は指示を出しつつ殿をつとめるふりをして使者との距
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紅顔の小太り

「そこの男、止まれ!」 と、使者の一人が鋭く僕を呼び止める。  肩をすくめてビクリとこわばる。  あ、これは演技じゃない。  なにせこちらは丸腰の農夫、向こうはホルス上で帯剣した男爵の部下だ。  こわごわとゆっくり振り向くと、相手は紅顔のでっぷり肥えた少年と白髪交じりのおじさんだった。「この村のものだな?」 高圧的な態度なのは少年の方。  いやいや、使者なんて仕事についてることを考えれば成人してるか。  一年目の新兵か、いいとこ自分と同年ってとこだろうな。「はぁ……」 と、曖昧に応えとこう。  リリムが僕の横で腹を抱えて笑ってる。  チッ、いい気なもんだよ。「村長を呼べ!」 おやおや、それでいいんですか?  どうやって、中に入れずに済ますか考えてたのに。「あー、それ、僕です」 ここは素直に答えとくべきだろう。「なに!?」 あー……いつものリアクションですね。  いいんですよ、慣れてますから。「この村の唯一の生き残りで、それが縁で村長させてもらってます」「そうか」 と応えたのはおじさん使者の方。  鞍や身につけているものが若い方より質素なのは身分の差だろうか?  だとすれば若様のお目付役ってとこか。  交渉の一切は若様がやるらしい。「なら話が早い。村が復興したと聞いてきた。事実か?」 下手か?  交渉ド下手か!?「……復興ってのがどういうものか知りませんがね、野盗や戦を避けてやってきた人たちが住み着いてるのを復興っていうならそうなんでしょう?」 リリム、気になるから僕の視界に入らないで。  できれば笑い声も抑えてくんないかな?  今後を左右する大事な駆け引きやってんだからさ。「では、今年から税を納めてもらおう」 オフゥ……なんだその説明一切吹っ飛ばした結論のみの伝達は。  
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