Alle Kapitel von 元彼に「赤ちゃんが欲しい」と言われて、タオルをお腹に詰めてたら振られましたが、有名フォトグラファーの彼に愛されています♡: Kapitel 41 – Kapitel 50

82 Kapitel

第41話 恋人同士でするコト

浅野さんと俺が想いを通わせ合ってから、一ヶ月。 相変わらず仕事が忙しい彼は、一週間前から山形県の奥地へ撮影に出かけている。 そして、今夜はようやく、待ちに待った帰宅の日。俺は彼の大好物リストから豆腐ハンバーグを選び、種からこねて和風だしの餡まで手作りして、その帰りを今か今かと待ち構えていた。 「遅くなってすみません!」 駐車場から走ってきたのか、浅野さんは息を切らせて雪崩れ込むように入ってきた。 スリッパを履いて出迎えようとした俺に、彼はそれより早く歩み寄り、背中をぎゅっと強く抱き寄せる。 「浅野さん、おかえりなさい」 そう言っても返事はない。ただ俺の肩口に顔を埋め、深く、深く呼吸を繰り返している。 「な、何してるんですか……」 「吸ってます。はぁー……長かった。やっと、帰ってきたって感じがします」 ぽけーっとしたまま至近距離にある彼の顔を見つめる。数日ぶりの再会もあって、思わず見惚れてしまった。 匂いなんて言われて、『俺、まだお風呂に入ってないです』と慌てると、浅野さんはいつものマウンテンパーカーを脱ぎ捨て、目の前で長袖Tシャツの裾に手をかけた。 「なら、一緒に入ります? 風呂」 「へっ!? や、あの……それは……!」 真っ赤になって両手をぶんぶん振る俺に、浅野さんはふっと笑みをこぼして『どうしてダメなの?』と悪戯っぽく尋ねてくる。 良いとか、ダメとか以前の問題だ。そもそもまだ一緒にお風呂に入ったことなんてないし、キス以上のことだって未だ――。 そこまで考えて、ふと服を脱ぎかけた浅野さんの左手首が目に入った。 手首をぐるりと覆うように貼られた湿布。俺は思わず『えっ』と声を漏らす。 「浅野さん、それ……」 「あぁ、撮影中に山道で足を滑らせちゃって。大丈夫ですよ、折れてはいないですから」 「でも、ちゃんと病院にっ――」 「大丈夫。先に風呂入らせてください。……後から来てくれるの、待ってますね」 浅野さんは顔を火照らせている俺を見て『冗談ですよ』と笑いながら洗面所へ消えていった。 湿布の白さが痛々しかったけれど、いつ怪我をしたんだろう。羽黒山に行くと言っていた四日目か、それより前なのか。 連絡は取り合っていたのに、俺には一言も教えてくれなかった。きっと、心配させたくなかったのだろ
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第42話 甘々な日々

“俺のお下がり” あの時、浅野さんは迷わず拳を振るって俺を守ってくれた。けれど、いざ恋人として肌を重ねる段になって、彼がその言葉をどう消化しているのかが分からなくて怖い。 俺は、彼の過去に何人の恋人がいようと気にならない。けれど、自分だけがひどく汚れた存在のように思えてしまう。 脱衣所で鏡に映る自分を見つめ、深く息を吐く。 綺麗な身体のままで彼に出会いたかったなんて、今更叶わない願いが胸を締め付けた。 ◇◇◇ 寝室のドアをそっと開くと、間接照明の柔らかな光が灯っている。 既にベッドでくつろいでいた浅野さんは両腕を広げ、どこか照れくさそうに、けれど慈しむような微笑みを浮かべる。「おいで」 年上の余裕を感じさせるような、崩された甘い声音。胸の奥がキュッと締め付けられるようなときめきを感じながら歩み寄ると、そのまま向き合う形で彼の膝の上へと招かれた。 浅野さんは甘やかし上手で、いつも俺はそこにどっぷり甘えてしまう。「珠依さん。これ、新しい部屋着ですか?」 「あ……前の家で着てたやつなんです。最近、夜になると少し肌寒くなってきたので」 「……今度、一緒に新しいの買いに行きましょうか」 「え、そんな着古してる感ありますか……?」 浅野さんは俺のお腹のあたりにそっと手を添え、もこもことしたパーカーの感触を確かめるように撫でた。「……いえ。これからは、俺が選んだのを着てほしいなって思っただけです」 前開きのファスナーに指が掛かる。ジジジ……と微かな音を立てて引き下げられ、鼓動が耳の奥まで響くほど高鳴っていく。 臍の下まで下ろされた瞬間、抑えきれなかった感情が、最悪な言葉となって溢れ出した。「ごめんなさい」 「えっ?」 「初めてじゃなくて……ごめんなさい、って、思って……」 言わなくてもいいことだったのかもしれない。けれど、今の俺が何を考え、何に怯えているのか、すべてを彼に知っておいてほしかった。たとえそれが、彼を傷つける毒になったとしても。 浅野さんは動きを止め、俺の瞳をじっと見つめた。「大丈夫、今日は最後までしないから。……最初に言えばよかった。不安にさせて、ごめん」 浅野さんは宥めるように、俺の背中を大きな掌でゆっくりと摩る。 それから、ちゅ、と小さく音を立てて唇を重ねると、解けた俺の毛先を指に絡めて優し
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第43話 浅野さんのお姉さん?

「どうしたんですか? 観に来るなら言ってくれれば、関係者チケットを回したのに……」 「あ、いえ……ちゃんと、入場料をお納めしたかったので」 俺の答えに、浅野さんは『やっぱり……』と項垂れた。どうやら俺からのお布施を受け入れるのは、彼にとって至難の業らしい。 女性は再び俺をじろじろと観察するように見つめ、確信に満ちた顔で瞬きをした。「もー、速攻で分かったわ。異様に可愛いのよ、異様に。それに、これが決定打!」 彼女がビシッと指差したのは、俺の背中のリュックだった。つい先日の誕生日に、浅野さんが贈ってくれたキャメル色のレザーリュック。 一体、この女性と浅野さんはどういう繋がりなんだろう。不安げに眉を寄せる俺を見て、浅野さんは前髪をぐしゃりと掻き回しながら、観念したように口を開いた。「あー……珠依さん。紹介します。これ、俺の姉貴です。透花っていいます」 浅野さんは、できれば一生会わせたくなかったと言わんばかりの様子で深く項垂れた。「初めまして。出来損ないの弟の姉、浅野透花です。『andante』っていうブランドでデザイナーをやってます。珠依くんのことは、こいつから『誕生日プレゼントどうしたらいいのぉ』って泣きつかれた時に、お付き合いしてるって聞いて。絶対会いたいと思って、今日はワンチャン狙ってたの!」 矢継ぎ早な説明に、俺は目を丸くする。透花さんは外見に反して、口調が驚くほど男勝りだ。そのギャップと情報量の多さに、頭の中がこんがらがってしまう。「いやー、透利。アンタ、こんなパッと見大学生……いや高校生? みたいな子と付き合って、パパ活に間違われたらどーするつもりよ、マジで」 「うるさいな……珠依さん、この見た目に騙されないでくださいね。中身はとんでもないオト……じゃなくて、ゴリラですから」 浅野さんの失礼な発言に、すかさず透花さんの両拳が彼のこめかみを捉え、グリグリと力いっぱい回転した。 『痛い、痛いから!』と悶える浅野さんと、容赦のない透花さん。二人の遠慮のないやり取りから仲の良さが伝わってきて、思わず笑みがこぼれる。「あの、このリュック……すごく気に入っています。素敵なデザインで、毎日大切に使わせてもらってます」 俺がそう伝えると、透花さんはパッと表情を輝かせた。「本当!? やったぁ、透利のセンスじゃなくてアタシの腕の
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第44話 元彼との対面

【side:浅野透利】 あの後、珠依さんは姉貴(正しくは兄なのだけれど)に肩を抱かれ、『さっ、行こう行こう♡』と促されるようにしてギャラリーを後にした。 カフェに行く体裁で話を進めていたけれど、姉貴には、彼が外に出ることや人の多い場所がまだ苦手なことはこの前の時点で伝えてあったから、『それとなく誘導して、タク拾ってアンタの家でおしゃべりにするわ』と後からメッセージが届いた。 予想を遥かに上回る来場者数には自分でも驚いたけれど、この場所に彼が来てくれたことは、それ以上に嬉しい誤算だった。 誘うこと自体が彼のプレッシャーになるのではないかと案じ、デスクの引き出しにしまったままだった関係者チケット。 一生懸命に、それでも彼なりの歩幅で俺を追いかけ、傷ついた心を必死に前進させようとするその姿。 それを見守るたびに、胸の奥が温かな熱を帯び、愛おしくて仕方がなくなる。(……さて、こっちもさっさと片付けないとな) 彼が待つ家へと、一刻も早く帰るために。 俺は手元のメモを一瞥し、仕事モードの顔を作って、再び会場へと足を踏み出した。 ◇◇◇ 個展最終日の片付けを終え、いち早く自宅へ帰りたい衝動を抑え込みながら車を走らせた。 向かったのは、珠依さんがかつて住んでいたマンションのほど近くにある、古びた喫茶店だ。 テーブルを挟んだ向かい側、淀んだ空気の中にその男は座っていた。「……で、金は?」 和田早霧。珠依さんの尊厳を土足で踏みにじった男。 かつて激しい嫉妬を覚えた相手と、まさかこうして二人きりで対峙することになるとは思ってもみなかった。 早霧は相変わらず人を小馬鹿にしたような目つきで、不躾に煙草をふかしている。 あの日、珠依さんが独りでこの男からどれほどの恐怖を植え付けられたかを思うと、机の下で握り締めた拳が微かに震える。今すぐその薄笑いを殴り飛ばし、警察へ突き出してやりたい。 けれど、今の俺には何よりも優先して守るべき、珠依さんとの静かな生活がある。「封筒に五十万入ってる。……これでもう二度と、珠依さんに近づかないと約束しろ」 「おー、ガチで持って来たか。随分と寛大なんだな。てっきり、また殴られるか殺されるかと思ってたのに」 「お前と違って、俺には守るべき立場がある。法を犯してまで、同じ土俵に立つつもりはない」 努め
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第45話 愛を綴れなくなるまで

一人残された席で、俺は目の前に残された手紙と写真に視線を移す。 これを持ち帰ることも、捨てることもできない。その中途半端な拒絶こそが、早霧の未練を何よりも雄弁に物語っていた。写真を見た瞬間に彼が浮かべた、あの後悔と罪悪感が混ざり合った表情。 浮気なんて、きっとただの出来心だったんだろう。 相手の女性と籍を入れる気などさらさらなく、珠依さんが絶対に抗えない「子ども」という最悪のカードを切って、相手との関係を清算するために一度逃げ、ほとぼりが冷めたら戻るつもりだったのだ。 ――そして、俺という予想外の存在にすべてを壊され、逆上した。 あくまでこれは俺の想像の範囲にすぎないが、あの態度からしてそうとしか思えなかった。 珠依さんがどう捉えているかは分からない。教えるつもりも、話題にすることも、きっとない。 俺は珠依さんの家で見つけてから、ずっと隠し持っていたその写真と手紙を、喫茶店のゴミ箱へ捨てた。自分でも、醜いことをしている自覚はある。彼が心を込めて書いたのも分かっている。 けれど、どうしても耐えられなかった。 そこにある文章には、あまりにも純粋な珠依さんの「愛」が溢れていた。 滲んだ文字の跡から、彼がどれほどの涙を流しながらこの言葉を綴ったのか、痛いほど伝わってきてしまう。 どうしてこんなに優しい人を裏切れたのかと、早霧を問い詰めたい怒りと同時に、俺の心はどす黒い嫉妬に塗りつぶされていた。 俺の知らない、幼い彼の笑顔。 俺の知らない、彼のささやかな癖や習慣。 この過去に、この手紙に込められた愛に、絶対的に勝ちたいと思ってしまった。 彼が流した涙の数よりも多くの幸福を、俺の手で上書きしなければ気が済まない。 ゴミ箱の中でくしゃくしゃになった紙切れを見下ろし、俺は冷えた指先を強く握りしめた。 ◇◇◇ 早霧との話に蹴りをつけ、帰宅した頃には夜十時を過ぎていた。 姉貴から『少し顔色が悪かったから、ベッドに寝かせたわ。洗い物も済ませておいたから』と連絡が入っている。返信をする余裕もなく、俺は縋るような心地で寝室のドアをそっと開いた。 気配に気づいたのか、珠依さんが薄く目を開け、眠そうに目を擦りながら起き上がる。「浅野さん……お帰りなさい。あれ、透花さんは……」 「明日は仕事らしくて。さっき帰ったみたいです」 彼はその言
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第46話 初めての嫉妬

浅野さんといつものスーパーで買い物を済ませた帰り道。 今夜の献立を話しながら歩いていると、不意に背後から声を掛けられた。「透利せんぱい!」 振り返った先にいたのは、驚くほど整った顔立ちの男性だった。肩には浅野さんが持っているのと似たような、カメラバッグを提げている。 俺と同い年くらいだろうか。浅野さんを「先輩」と呼ぶ彼は、嬉しそうに手を振りながら近づいてきた。「え、セツナ? ……久しぶりだな」 「すっごい偶然ですね! 僕、ちょうど仕事の帰りで。もー、先輩の活躍ぶりヤバいですね。この前の写真集、知り合いに自慢しちゃいましたもん。大学時代の、サークルの先輩なんだ〜って」 浅野さんの表情が、柔らかく変わる。 懐かしむような、目の前の人懐っこい彼を可愛がるような、そんな笑み。 セツナと呼ばれた男性は目を丸くして俺の方を見ると、抱っこひもの中で眠る霞くんを覗き込むようにして首をかしげた。「えーと……こちらの方は、お知り合い……ですか?」 「あぁ、うん。……俺が大学卒業して以来だから、もう5年ぶりか。瞬はまだ、写真続けてんの?」 浅野さんは、俺について紹介したり、関係を語ることはしなかった。さりげなくはぐらかし、そのまま二人の間で、昔話に花が咲き始める。「ホント、懐かしい! よく二人で夜撮りに行きましたよね。寒い寒い言いながら」 「あぁ、そうだな。まだセツナが二年の頃だったっけ」 急激に込み上げてきた居たたまれなさ。聞けば、セツナさんは浅野さんの大学時代の写真部の後輩で、今は写真スタジオで働き、出張カメラマンの仕事を終えて鶴ヶ峰駅から自宅に直帰するところだという。「また先輩と泊まりがけで星景撮りに行きたいです!」 「……あー、ごめん。ちょっと仕事詰め込みすぎてて……そのうちなら」 俺は少し俯きながらその場をやり過ごし、『じゃあ、今度ご飯連れてって下さい!それなら良いでしょう?』と微笑む彼の瞳を見ただけで、なんとなく分かってしまった。 きっと、この人は浅野さんを先輩以上に想い慕う気持ちがあるんだと。 ◇◇◇ 家に戻ってからも、胸の奥がずっとじわじわと、火傷のあとのようにひりついている。 鼻を啜るだけで涙が決壊しそうで、俺は買い物袋の中身を冷蔵庫へ押し込むと、逃げるように自室へ閉じこもった。 浅野さんは、まだ俺の異変
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第47話 全部言って

浅野さんは戸惑ったように動きを止めると、探るように身を屈めて俺の顔を覗き込んでくる。「珠依さん?」 その一言が、決壊の合図だった。視界が歪み、口元が震える。 こんなに面倒で、可愛げのない性格。そんな自分が、何よりも嫌だった。「……っ、」 堪えきれなかった吐息が漏れ、涙がポロポロとまな板に落ちる。それでも俺は、止まったら終わってしまう気がして、包丁を動かし続けようとした。「えっ、ちょっと……珠依さん、危ないですよ。どうしたんですか?」 「…………」 『なんでもない』と言いたいのに、声が出ない。ただ首を横に振る。 けれど、大きな掌がぽんぽんと優しく頭を撫でた瞬間、糸が切れた。 俺は包丁を置き、作りかけの料理も放り出して、浅野さんの胸元にしがみついた。「……とりあえず、こっちで話しましょう」 浅野さんは俺をソファへ促した。目元を擦ろうとすると、『擦らないで』と柔らかく手を制される。 彼がじっと待っていてくれるのが分かるから、俺は震える声で、嗚咽とともに本音を絞り出した。「……行かないで……行かないで下さい」 浅野さんは眉を下げて、困ったように笑う。そして宥めるように背中をさすってくれた。「急でごめんなさい。寂しい思いをさせるとは思ったんですけど、ちょっと断れない案件で……」 「そうじゃなくて!」 俺は首を激しく振り、言葉を継ぎ足した。「さっきの……セツナさんと、ご飯。絶対、行かないでください……」 浅野さんはその言葉に、軽く目を見開いた。それから俺をそっと抱き寄せ、耳元で囁く。「あんなの、ただの社交辞令ですよ。そもそも、俺にそんな時間ありませんし。それは珠依さんも知ってるでしょう?」 その言葉で安心すべきなのに。次に湧き上がってきたのは、子供のような八つ当たりだった。「……セツナさんって、絶対に浅野さんのことが好きですよね」 違う。本当に言いたいのは、そんなことじゃない。 ただ嫉妬して、不安で、会えなくなることが怖くて。 そのやり場のない寂しさを、セツナさんという格好の相手にこじつけて、浅野さんに叩きつけているだけだ。「やっぱり、知識があるから……ああいう、何気ない仕草とかで分かっちゃうんです。浅野さんにその気がなくても、話振りからもすごく好きなのは伝わって来ましたし」 なんて性格が悪いんだろう。浅野
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第48話 肌に触れた夜

「俺……このままだと、浅野さんにもっと酷いことを言ったり、嫌われるようなことばかりしてしまいそうで。……出張もあることですし、その間……少し距離を置きませんか? 冷静になる時間をもつ、というか。浅野さんに凭れかかり過ぎている気がします」 自分でも驚くほど、歪な笑顔が作れた。その自虐的な響きに、浅野さんの眉間に深い皺が刻まれる。彼は俺の両肩を、骨が軋むほどの力で強く掴んだ。「珠依さん。……それ、本気で言ってますか?」 低く、けれど逃げ場を許さない声。 その瞳には、今まで見たことのないような険しさが宿っていた。「……確かに、セツナは俺を慕ってくれている節があるとは思います。でも、その好意に応えるつもりはありません。言い訳がましいけれど、あなたとの交際を誰彼構わず言いふらすことで、その気持ちを牽制するような真似もしない。俺の中では、珠依さんとの関係云々の前に、彼に対して『好きじゃない』と言い切れる確固たる自信があるからです」 瞳いっぱいに涙を溜める俺を、浅野さんは自分の方が辛そうな表情で見つめていた。「もっと、もっとぶつけてください。怒って。珠依さんの不安も、憤りも、悲しみも全部。そうしてくれないと、俺はその一つひとつを取り除いてあげられない」 浅野さんの大きな掌が、熱を持った俺の頬を包み込む。「いつ下の名前で呼んでくれるのかなって、俺もずっと待ってたんですよ。……勝手に呼ばれるのと、あなたに呼ばれるのとでは、その響きの重みが全く違う。それから……距離を置くなんて、二度と言わないでください。そんな暇がないくらい、俺のことで頭をいっぱいにしてあげますから」「……どうやって、ですか?」 震える声で問い返すと、浅野さんの瞳に、これまで隠していた熱い独占欲が宿った。「死ぬ気で時間を作ります。電話も、メッセージも……あなたが俺を求めた瞬間に答えられるように、俺が努力するから」「それは、今でもしてくれてるじゃないですか。この前の撮影の時もそうだったし……でも、それでも足りないんです。……ほら。ここまで言うと、浅野さんもどうしようもないでしょう?」 震える唇で辛うじてそれだけを紡ぎ出すと、浅野さんは低く、けれど柔らかな苦笑を漏らした。 両肩を掴んでいた手を、ゆっくりと、愛おしむように首筋へと滑らせる。「……そうなったら、最終手段かな」 その親指が
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第49話 むしろ興奮する

「だから、あの……エッチするの、好きなんです。キスもいっぱいされたいし、一回だけじゃなくて、何回もシたくなっちゃうから……えっちなこともいっぱい言っちゃうし、シてる時は……頭がとろとろに蕩けちゃうというか……」 一度溢れ出した告白は止まらなかった。こんなに欲しがりで、いやらしいと思われないか。心臓がうるさいくらいに脈打ち、視界がちかちかする。「…………へぇ、知らなかった。俺は全然嫌じゃないし、むしろ……」 その一言と共に、唇が重なった。 「愛おしい」と言葉にせずとも伝わるような、深く、余韻を孕んだ口付け。「んっ……ん……」 ふと見えた浅野さんの瞳が、普段の穏やかで優しいものから、一気に獣のような、一人の男としてのスイッチを入れた鋭い光に変わった。その瞬間、寝室の空気は一変して、肌を刺すような色っぽさで満たされる。 熱を孕んだ唇が、俺の首筋、鎖骨、そして胸へと這い降りてくる。羽が触れるような、もどかしい熱量。 恥ずかしさに耐えきれず、両手で顔を覆おうとした腕を、彼は優しく、それでいて抗えない力で押さえつけた。 欲情を隠しきれない、低く掠れた声が耳を打つ。「……キスされただけでこんなに反応しちゃうんですね。ぷっくりしてて可愛い」 「あ、……っ、浅野、さん……」 「いいですよ、もっと感じて。舌と指で、珠依さんが『もうやめて』って言うまで、可愛がってあげたい」 甘い言葉とは裏腹に、浅野さんの指は容赦なく、硬く尖った先端を執拗に捏ね上げた。 刺激に身体を跳ねさせる度、どこか嗜虐的に楽しむように見つめながら、舌先で弾かれる。「……舐めるのと触るの、どっちが好きですか?」 「な、舐める方……っ」 時折、わざとらしく「ちゅっ」と濡れた音を立てて吸い上げられるたび、俺の思考は予告通り、とろとろに蕩けていった。「……ほら、脚の力抜いて。恥ずかしいところも、全部俺に見せて」 促されるまま、抗う術を失ったそこへ浅野さんの視線が落ちる。 すでに先走りで濡れ、とろりと蜜を滴らせる先端。彼はそれを一瞥して低く笑うと、わざと、じりじりと焼くような視線を注ぎ続けた。「……なんだか背徳感ありますね。珠依さん、顔立ちが幼いから……すごく、いけないことをしてる気分になる」 「あ、浅野さん……っ。そんな、言い方しないで……っ」 「やめないですよ。…
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第50話 どうなっちゃうの?

肩を揺らした瞬間、ぬるりと湿った指先が、震える入り口に這わされる。「……ちゃんと俺の指を飲み込んで、もっと欲しいって言ってるみたい。可愛いな……」 慈しむような声とは裏腹に、浅野さんの指は容赦なく、二本目へ厚みを増していく。 内側の粘膜が、浅野さんの大きな指の形を克明に捉え、こすれるたびにグチュ……と卑猥な水音が寝室に響き渡った。「あ……っ、待ってくださ、無理……っ!」 「うーん、でもこれくらい入らないと。先っぽすら、挿れられないですよ?」 指が中で花が開くように広げられ、内側の柔らかいところを執拗に、甘く抉るように掻き回される。 逃げようとする腰を引き寄せられ、俺はただ、浅野さんの大きな指に支配されていく感覚に、酸素を求めて喘ぐことしかできなかった。「……指だけでこんなに鳴いちゃって……。俺のが入ったら、一体どうなっちゃうんですか?」 浅野さんは、蕩けきった俺の瞳を熱っぽく覗き込み、征服感と愛しさが混ざり合った、極上の笑みを浮かべた。 指だけでとろとろに解され、赤く口を開けたままのそこへ、浅野さんは自身の熱い塊をゆっくりと押し当てた。 先端が触れただけで、身体がビクンと跳ねて、先端から熱い蜜が溢れ出す。「……あ、浅野、さん……お願い、まって……っ」 「待たないですよ。先っぽくっつけただけでヒクつかせてるじゃないですか。エッチすぎて、ちょっとさすがに予想外かも」 浅野さんは俺の腰をがっしりと掴んで固定し、逃げ場を奪う。 入り口をじりじりと焼くような熱量に圧倒されていると、そのまま一気に腰を沈めた。 指とは比較にならない圧倒的な太さが、内側の粘膜を無理やり押し広げ、奥底まで一気に突き刺さる。「……っあぅ、んんっ……やぁ、っ」 最奥を重く、熱く、塗りつぶすような支配感。 浅野さんの大きな体に抱きすくめられ、俺はただ、彼の色に染め上げられていく快楽に声を枯らした。「……っ、ふ、ぅ……。すごい、珠依さんの中……あったかい」 浅野さんは、結合したままわざと動きを止め、俺の耳元で低く、熱い吐息を吹きかけた。 内側の粘膜が、彼の巨大な質量を必死に飲み込もうと波打つのを逃さず感じ取っている。 けれど、その表情とは裏腹に、指先は俺の腹部を厭らしく撫で上げ、内側から突き上げられている彼の形をなぞるように這う。「……中
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