All Chapters of 元彼に「赤ちゃんが欲しい」と言われて、タオルをお腹に詰めてたら振られましたが、有名フォトグラファーの彼に愛されています♡: Chapter 61 - Chapter 70

82 Chapters

第61話 止めてあげられない

「ひゃっ……! 透利さん、何して……っ」 「んー、何だと思います?」 れろ……と、円を描くように粘膜をなぞり上げる。 珠依さんは予想通り、耐えかねたような涙声を漏らした。震える身体が、俺の舌先の愛撫に翻弄されている。 ごめんね、と心の中で謝りつつも、舌を動かす手は止められない。 自覚はあったが、俺は相当なSっ気があるし、珠依さんも……自覚がないだけで、相当なMだと思う。「ほら、珠依さん。ちゃんと咥えて……。俺の『お世話』をしてくれる約束でしょう?」 その一言に突き動かされるように、珠依さんが震える唇を寄せ、懸命に俺の熱を口腔へ迎え入れようとする。 だが、物理的に無理なのは明白だった。猛り狂ったそれが、彼の小さな口にすべて収まりきるはずがない。イラマでも仕掛けない限り不可能なのに、珠依さんは必死に俺の要求に応えようとしていた。その健気な意地らしさが、たまらなく愛おしい。 不自由な手でゆるゆるとそこを扱きながら、俺は舌先に力を込め、彼の蕾の粘膜を執拗に可愛がった。「あっ……ん、やだぁ、それ……。だめ、しないで、透利さんっ」 「どうして? 先っぽ、こんなに蕩けて……気持ちいいって認めちゃってるのに」 「……だ、だって……。そんなことされたら、エッチ、もっとしたくなっちゃうから……。それ以上、しないで……っ」 潤んだ瞳で懇願するその姿に、俺の中のサディスティックな欲望が、甘い充足感とともに融解していく。 ここまで来たら、もう完全にゴールは見えていた。 俺は、逃げ場をなくした獲物を慈しむように、そっと優しく声をかけた。「なら、珠依さん。珠依さんが動いてくれる? それなら……エッチ、できますよ」 「で、でも、俺……下手かもしれないし。透利さんを気持ちよくさせてあげられる自信、ないです」 「なんで? この前だって、俺に跨って三回目もおねだりしましたよね」 自分から熱心に腰を振っていた事実を指摘すると、珠依さんは観念したようにサイドチェストへ手を伸ばし、コンドームの箱を手に取った。「あ……入ってない……」 中身を確認した彼が、パチパチと目を丸くする。空っぽの箱を手に『どうしよう』と狼狽える姿は、ひどく無垢に見えた。 ――もちろん、わざとだ。中身が尽きているのは、入院前から知っていた。 退院して帰ってきたら、真っ先に生で繋
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第62話 ふたりで過ごす冬

透利さんの怪我もだいぶ良くなって、仕事も少しずつ以前のペースに戻りつつあった。 俺も、ずっと応募しようと考えていた乳幼児ホームでの面接に、無事に合格したばかり。 互いに新しい生活へと進み始めた冬――夕飯の鍋を囲んでいると、透利さんが何気なく切り出した。「そういえば、年末年始って珠依さんは実家に帰ったりします? 両親が透花とハワイに行くらしくて……俺自身は帰る予定、特にないんですけど」 「ハワイ? 素敵ですね。お義父さんとお義母さん、きっとすごく楽しみにされているんじゃないですか?」 「アロハシャツを買うって息巻いてます。きっと、ハワイかぶれになって帰国するんだろうなー」 「あはは、想像つきます。透利さんのご家族はみなさんすっごく楽しい方ばかりですもんね」 目を細めて笑う透利さんに、「それで、珠依さんは?」と重ねて問いかけられる。 けれど、ここで正直に答えたら、せっかくの夕飯の温かな空気を壊してしまいそうで。俺が言い淀んでいると、透利さんは箸を置いて不思議そうに首を傾げた。「あ……えっと……。帰る予定はないので、透利さんと一緒に過ごしたいです」 そんな濁した返答に、透利さんは微かに眉を寄せた。「……珠依さん?」 誤魔化したことが、完全に見抜かれている。 いつかは話さなければならないと思っていたけれど、こんなに早くその時が来るとは思っていなかった。「あの、気を遣わないでくださいね。俺……両親は、もういないんです」 喉の奥が少しだけ熱くなるのを感じながら、俺は続けた。「高校の頃、両親が離婚したんです。そのあと、一緒に暮らしていた母は亡くなって、そのあと、卒業まで俺を育ててくれた、祖母も……」 もともと、仲の良い両親ではなかった。 父が帰るのはいつも真夜中で、会話の記憶すらおぼつかない。 離婚の直後、母の病がわかった。手遅れだった。母は何度も「ごめん」と謝り、治療すら叶わずに逝った。 祖母も、娘を失った寂しさに耐えかねたのだろう。すぐ、後を追うように亡くなった。 俺は、それ以上言葉を重ねなくて済むように、鍋のつみれを口に放り込む。 もぐもぐと口を動かし、飲み込めない感情を必死に咀嚼し続けた。(もう、だいぶ昔のことだから悲しいのも薄れてる。だからもう泣かない……泣かない。絶対、今は泣いちゃダメなタイミングだから…
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第63話 君を連れて行ってあげたい

「ほら、これを撮ったのがテカポ。映ってるのが、『善き羊飼いの教会』って言うんです」 透利さんが開いたページには、静かな湖畔に佇む小さな教会と、今にも零れ落ちそうな一面の星空が写し出されていた。 写真の中でしか存在しないと思っていた、魔法のような絶景。その世界の中に自分が行けるなんて、想像したこともなかった。 隣で微笑む透利さんの体温を感じながら、俺はページの中の星空を、まるで夢を見るように見つめていた。「なんだか、実感が湧かないです。本当に行けるなんて……」 ぽつりと溢れた俺の言葉に、透利さんは少しだけ表情を和らげた。「……いつか、連れて行ってあげたいって思ってたから。航空券、予約してもいいですか?」 俺が小さく頷いた瞬間、幸せな気持ちが胸いっぱいに広がって、さっきまでの寂しさはどこか遠くへ消えていってしまった。 透利さんはすぐにスマホを手に取ると、流れるような手つきでフライトの時間を調べ始める。あまりにもトントン拍子に話が進んでいくものだから、彼の中ではもっと前から計画していたことなんだな、と伝わってきて嬉しくなる。「透利さん、そういう段取りすごく早いですね」 「うん。もっと褒めて。あと、お礼はちゃんとベッドで下さいね」 「……ダメですよ。このあと洗い物もしなきゃだし、お風呂もまだだし……明日はお仕事、早いんですから」 からかうような言葉に、俺は少し赤くなって嗜める。けれど透利さんは「えー」と大げさに声を上げて、子どもみたいにスマホを投げ出してしまった。「あー、じゃあ、もう頑張れない。ご褒美ないとやる気出ないから」 そんな彼の子供っぽい一面に思わず口角が上がる。俺はソファに横たわる透利さんの頬を優しく両手で挟んで、声を立てて笑った。 結局、お風呂でシャワーを浴びていたら、不意打ちで透利さんが『一緒に入ろう』とやってきて、イチャイチャしているうちに、そのままエッチしてしまった。湯船の中で素肌を重ねていたら、俺がのぼせてしまって、透利さんは申し訳なさそうにしつつも「抑えが効かなくて」とぽつりと本音をこぼしていた。◇◇◇ 荷造りをしている途中、俺は霞くんのベビーベッド を見て、少し、いや、かなり悩んでいた。 海外旅行。何日も家を空けることになる。霞くんがたとえ人形であったとしても、置いていくのはどこか罪悪感があった。けれど…
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第64話 テカポに向かう道中

◇◇◇ テカポへの到着がちょうどクリスマス当日になるように設定されていたのは、透利さんの遊び心だったのか、それとも確信犯だったのか。 気になって尋ねてみたけれど、彼は悪戯っぽく笑うだけで結局最後まで教えてはくれなかった。 初めて手にするパスポートの、真新しい紺色の表紙。それと引き換えにするように、これから未知の空へと飛び立つ高揚感と、それ以上の、得体の知れない不安が胸の奥で渦巻いていた。 準備の段階から、透利さんは驚くほど細やかだった。「念のため、ね」 そう言って、彼は俺のリュックに、そっとヘルプマークを添えてくれた。人混みや慣れない環境下で、もし俺がパニックを起こしてしまったら——。自分でも直視したくない「万が一」を、彼は否定せず、優しく包み込むように対策してくれた。 けれど、出発当日の空港は、俺の予想を遥かに超える喧騒に満ちていた。 視界を流れる無数の人々、幾重にも重なるアナウンスの残響。刺すような光の渦に、少しだけ不安を覚える。「あ、あれ……?」 リュックの底をいくら探っても、指先に触れるはずの感触がない。 いつも持ち歩いている片頭痛の市販薬。どうしても引かない時のための、強い処方薬。それらをまとめたポーチが、どこにも見当たらなかった。 一瞬で、血の気が引いていく。 今から車で引き返す時間なんて、どこにもない。 初めての旅行なのに。このままじゃ、俺がすべてを台無しにしてしまう。「――珠依さん。はい、これ」 一人で焦りを感じていると、目の前に差し出され大きな手のひら。 そこには見慣れたポーチではなかったけれど、透明なチャック付きの袋の中に、間違いなく俺の薬が収まっていた。「……と、透利さん。なんで、これ……」 「万が一、珠依さんが忘れた時のためにと思って。実は、同棲し始めた頃から……こっそり予備を持ってた。ごめんね、勝手なことして、今まで黙ってて」 透利さんは困ったように、それでいて穏やかに微笑んだ。彼がいつから、どれほど深い愛情を持って俺の弱さに寄り添ってくれていたのか。その事実が、薬を飲むよりも早く焦燥を溶かしていく。「あ……ありがとう、ございます」 「うん。水買ってくるから、珠依さんはここで少し休んでて」 一人になることに不安を覚えると、透利さんは俺の頭に深くキャップを被せ、自分の上着を肩に
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第65話 そよ風と湖

そうしてたどり着いた、大きな湖。 バスを降りた瞬間、風が吹き抜けて、俺は思わず髪を手で押さえつけた。 観光客の姿もちらほら見えたけれど、本来のベストシーズンは夏らしく、星空が目的の冬のこの時期は思いのほか空いている。おかげで、焦ることなくゆっくりとした気持ちで歩くことができた。「ひとまず、腹ごしらえしよっか」 そう言って透利さんが向かったのは、一台のキッチンカー。 フィッシュアンドチップスにサラダが添えられたセットを、コーラと一緒に頼んでくれたのだけれど……。もともと炭酸が得意じゃない俺は、久しぶりに喉を通るその強い刺激に、ぎゅっと顔をしかめて目を瞑った。「う〜……っ」 「あはは、可愛い。ごめんなさい、ちゃんと水も買ってありますから」 「ひ、ひどい……もう、透利さんイジワル多すぎますよ、最近」 「だって珠依さんのそういう顔が見たいから」 付き合い始めて、たぶん……深い関係になってから分かったことだけれど。透利さんには意外と子供っぽいところがあるし、俺にだけ意地悪な部分を見せてくれるようになった。 透花さんに『昔はクソガキだった』と言われた時はピンとこなかったし、お義母さんの『信じられないくらいやんちゃだった』という思い出話も半信半疑だったけれど。今ではもう、頷くことしかできない。「湖……透き通っていて、綺麗ですね」 「うん……食べ終わったら少し散歩して、荷物をコテージに持っていこうか」 繋いだ手をきゅっと握り返すと、透利さんも優しく応えてくれた。 泊まる場所の手配まで彼に任せきりだったけれど、「一番いいところを取った」という言葉に嘘はなかった。案内されたのは、とんでもなくスタイリッシュで広い部屋。というより、ほぼ一軒家くらいの広さがある。 お風呂の扉はガラス張りだし、ベッドは二人でいくら寝返りをうっても余裕があるほどの大きさ。一体いくらするんだろうと不安になったけれど、透利さんは「珠依さんも俺の仕事を手伝ってくれたんだから、気にしないで」の一点張りだった。 俺をここに連れてくるために、彼がどれだけ準備してくれたのか。 その想いが部屋の隅々から伝わってくるようで、ただただ、胸がいっぱいになっていた。「こんな豪華なおうちに居るの、変な感じがします」 広すぎるリビングを見渡して、落ち着かない気持ちでそう漏らすと、透
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第66話 星空とプロポーズ

◇◇◇ 少し早めの夕食を近くのレストランですませた帰り道。 「寄り道していい?」という透利さんの言葉に頷いて、二人で星空の下を歩き出した。 辿り着いた先は、あの写真集の表紙に描かれていた――教会の目の前だった。「ここで、あの写真を撮ったんです。ちょうどこの位置から」 透利さんは愛おしそうに目を細めると、カメラを構える仕草をして見せた。 俺はそれがなんだか無性に嬉しくて、首から下げていたミラーレス一眼を手に取る。以前、彼がプレゼントしてくれた宝物だ。すると、後ろからそっと透利さんの大きな手が重なった。「星空はこのカメラだと難しいけど……ほら、教会なら綺麗に映るでしょう?」 透利さんに教わった通りにシャッターを切ると、拙いなりにサマになった一枚が撮れた。「本物だ」とはしゃぐ俺の横顔を見て、透利さんはふっと表情を引き締めると、俺の腰を抱き寄せて唇を重ねてきた。「ちょっ……透利さん、ここ外……」 「分かってます。でも、笑ってる珠依さんが可愛すぎて」 そんな風に言われてしまったら、もう笑顔で返すことしかできない。 この人が好き。たまらなく好きだ。ずっとそばにいたいという想いが、心の奥底から溢れ出して止まらなくなる。「……珠依さん、こっち来て」 促されるまま、教会から少し離れた湖の前へと移動する。 頭上に広がる、降るようなテカポの星空。その下で、透利さんは服が汚れるのも厭わない様子で、静かにその場に片膝をついた。「透利さん、何を――」 「初めて珠依さんとぶつかった時……この星空の何倍も、あなたの瞳が綺麗だなって思ったんです」 そっと右手を握りしめられ、俺は金縛りにあったように動けなくなった。今まで何度も見つめ合ってきたはずなのに、こんなに深く、魂まで覗き込まれるような視線は初めてで、胸の奥が激しく震える。「衛藤珠依さん。あなたのことが世界で一番大好きです。もう絶対に悲しい思いはさせないし、ずっとその笑顔を見ていたい。だから……」 透利さんはいつもの黒いアウターのポケットから、小さな箱を取り出した。 開かれた箱の中で、まるで指輪の上に星がひとつ零れ落ちてきたような、眩い輝きが放たれる。「一生、俺のそばにいてほしい」 じわ、と視界が滲む。けれど、その瞬くような光は瞳から消えてはくれなかった。 俺の薬指に指輪を滑り込ませ
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第67話 欲しがる身体

◇◇◇ 好き、好き、好き。 もっとそばに来て、もっと触って。 大好きなこの人の体で、香りで、全部を満たされたい。 「透利さん……っ、ん……っ」 お姫様抱っこのままコテージの扉を蹴り開けるようにして戻り、ベッドへ沈められる。言葉を交わす暇なんてなかった。ただ、互いの鼓動がうるさいほどに重なり、心も身体も「その先」を渇望しているのが肌を伝って流れ込んでくる。 いつもより広いベッドに押し倒され、逃げ場を塞ぐようにしてキスの雨が降ってきた。 照明を消していないことへの羞恥や、まだお風呂にも入っていないという戸惑い。普段ならそんな建前を並べて彼を焦らしているはずの自分が、今は情けないほどに熱い。言い訳のひとつも出てこないくらい、俺も、この人の熱に侵食されることを望んでいた。 「珠依」 不意に、鼓膜を震わせた低い声。 初めて、名前を呼び捨てにされた。 どんなに深く愛し合っても、最後のなけなしの理性で線を引くように「さん」付けで呼ぶ人だったのに。その理性が、今、俺の手によって焼き切れたのだと知って、胸の奥が甘く疼く。 透利さんは、俺の指に絡めるようにして手のひらをぴったりと重ね合わせた。重なり合った薬指で、お揃いの指輪が鈍く、けれど確かに光を反射している。 「愛してる……何よりも、誰よりも。……俺、今、幸せすぎて、怖いくらい……」 俺だけじゃない。 一生を添い遂げると誓った瞬間の喜びを、透利さんもまた、痛いくらいに噛みしめてくれている。 蕩けた瞳の端に浮かんだ涙が、何よりも饒舌に彼の愛を語っていた。俺はそっと手を伸ばし、指先でその愛おしい滴を掬い取る。 「透利さん……」 この手で、この身体で、何度だって俺のことを欲しがって貰いたかった。 それを示すみたいに、汗ばんだ肌で、重なる吐息の熱さで。 全身で、自分が感じている幸せを彼に伝える。 「いっぱい、キスして下さい……」 「……あぁ、もう……明日のことも考えて、ちゃんとセーブするつもりだったのにっ……」 透利さんはじれったそうに俺のズボンを脱がせると、あっという間に裸にし、熱い唇を肌に寄せた。 枕元のリモコンで照明が落とされ、視界を占めたのは、窓の外に降り注ぐテカポの満天の星々だった。 「と、透利さん……これ、なんだか……」 「大
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第68話 絡めた指

「ここ……指で挟んであげよっか。ほら、中が凄く締まってきてるよ。気持ちいい?」 これまでにない執拗な愛撫に、腰が勝手に跳ねる。 二本指で前立腺を掴むみたいに挟まれて、刺激される。指一本でも甘く蕩けてしまうのに、俺は蜜を太ももに垂らしながら、ぴくんと跳ねながらその指を迎えるように自ら腰を寄せてしまった。「あー、お迎えしちゃって……いやらしいな……」 「んあ、透利さん、早く……早く、中……ッ」 「珠依も興奮してるの、可愛い……。もっとおねだりしてるの、聞きたい」 縋り付くように首筋に腕を回し、それがいいと応えるように熱い吐息を吐きかける。 いつからか、透利さんとゴム無しで繋がるのが当たり前になっていた。けれど、身体を壊すようなことは一度もなかった。行為の前後、彼は溢れるほどの愛着を持って丁寧にケアしてくれる。 すっかり彼好みの、悦びに忠実な身体に仕立て上げられた俺は、心が癒えていくのと比例して、性欲までもが深まっていくのが自分でも恥ずかしかった。「ん、透利さん、奥……ぐりぐり、って……シて……」 耳元で、蕩けた声でおねだりを繰り返す。 こんな淫らな欲求も、はしたない懇願も、彼は一度も拒まず、むしろ愛おしそうにすべてを飲み込んでくれる。 時折混ぜられる意地悪な焦らしも、今ではもっと強く求めさせるためのスパイスでしかない。 言葉はより露骨になり、重なるたびに感度は天井知らずに跳ね上がっていく。「……指輪してる珠依、可愛い……俺のなんだ、って感じする」 低く、どこか独占欲を滲ませた透利さんの声が、耳朶を熱く焦がす。 愛する人の重み、内側を埋め尽くす猛るような熱量、そして薬指で輝く誓いの証。 俺は自分のすべてを彼に捧げている実感が、心の底から嬉しくてたまらなかった。「ん、あ、透利さん、すき……大好き……っ、もっと、奥まで……」 「じゃあ、一番奥まで入るようにこうしてみよっか。ほら」 透利さんの大きな手が俺の膝裏を抱え上げ、さらに深く、腹の底を突き上げるような角度へと誘う。 ぐい、と重心が深く沈み込み、最奥の粘膜を、彼の熱い芯が容赦なく蹂躙した。「ひ、あぁっ……!」 「ここ、好きだもんね。珠依は」 逃げ場をなくすように身体を密着させ、激しく突き立てられるたび、頭の中が真っ白に塗り潰されていく。 視界が涙で潤み
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第69話 二度目の春

――二人の出会いから二年後、春。「珠依パパぁ、ねんねの絵本読んで」 「やだー、心愛が先にお約束したのぉ」 「……じゃあ、心愛ちゃんと莉里ちゃんで、パパのことサンドイッチしてくれる? 二人に読んであげるから」 十九時を回った「こばとのお部屋」。お布団に潜り込んだ子どもたちの間で、俺はそっと絵本を開く。 この施設では、職員を「パパ」「ママ」と呼ぶ。寝る前の読み聞かせは、子どもたちとの絆を深めるための、かけがえのない大切な時間だ。「……『二匹の子リスは、顔を見合わせて言いました。ずぅーっと、ずっと大好きだよ』」 「あのね、あたしこの絵本大好き。絵も可愛いし、うれしい気持ちになるの」 「うん、パパもね、この絵本のリスさんが可愛いなーって思ったんだ。心愛ちゃんと莉里ちゃんみたいに、そっくりで仲良しだね」 二人のさらさらした髪を撫でて微笑む。大きなあくびをする二人にお布団を掛け直し、優しくお腹をトントンと叩くと、日中たくさん遊んで泣いた二人は、吸い込まれるように眠りの世界へ落ちていった。 俺がいた所に、「霞くん」の人形を置く。たまたま、心理室に置いていたのを二人が気に入って、「あたしたちの弟」として可愛がってくれている。俺と同じ場所で、あの時心を支えてくれた霞くんもまた、第二の人生を送っているのだとこの前教えたら、透利さんは穏やかに笑ってくれた。 そっと電気を消し、職員室に向かおうと廊下に出た時、背後からぬっと腕が伸びてきて、その指先が俺の顎を固定した。「……珠依、早く本貸して。アドラーじゃなくて、この前のチャルディーニのやつがいい」 「うわっ……びっくりしたぁ……。霜人くん、外出時間過ぎてるよ。出歩いちゃだめでしょう?」 「いいから早く貸せよ」 「……もー、仕方がないなぁ」 このホームには、家庭の事情で養育が困難になった〇歳から十六歳までの子どもたちが、六軒の家に分かれて暮らしている。 最年長の十六歳である[[rb:霜人 > せいと]]くんは、多感な時期ということもあって周囲を寄せ付けないところがあったけれど、最近ようやく俺に心を開き始めていた。「そ、それに……手、離して。こういうことされるのは本当に困るから」 「なんで? クビになるから?」 霜人くんは、俺がされたくないと分かっていて、わざとちょっかいを出すように体に触れた
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第70話 運送会社の彼

「もしもし、衛藤です。御子柴さん、お電話ありがとうございます。……うん、そっか。辛いですよね、今はトイレに篭ってるんですか? うん、大丈夫。お子さんが怪我しないように安全を確保できているなら、少しだけそのまま私とお話ししましょうか」 お母さんの心が健やかであることが、最終的には子どもたちの笑顔に繋がる。それが虐待を防ぎ、このホームに来る子どもたちを減らす一助になればいい。 そんな願いを胸に、俺は受話器越しに、震える母親の声にそっと耳を傾けた。「……ううん、ママはもう十分頑張っていると思いますよ。……もしよかったら、このあと少し温かい飲み物とチョコレートとか……そう言う時こそ、自分をたくさん甘やかす時間をとっていいんです。麗良ちゃんたちには、少しの間スマホの動画を見せても大丈夫ですから、ママの時間を作ってあげて下さい」 そう伝えると、受話器の向こうで震えていた声が、少しずつ落ち着きを取り戻していくのがわかった。彼女が電話をくれたこと自体が、勇気あるSOSだ。今度施設に遊びに来てくれた時にどんなケアが必要か、手元のノートに素早くメモを走らせる。 かつての自分は、外の世界が怖くて、自分の居場所を探すことだけで精一杯だった。 でも今は、誰かの痛みに耳を傾け、その背中をそっと支える側になれている。 ふと、愛する人の顔が浮かぶ。 彼が俺に教えてくれた「誰かを愛し、慈しむこと」の温かさが、今の俺を突き動かしている。 この仕事は楽ではないし、心根を削るような瞬間もある。けれど、ここには俺を「パパ」と呼んでくれる子どもたちがいて、頼りにしてくれる人たちがいる。 受話器を置き、ふぅ、と小さく息を吐いた。窓の外には、星空が広がっている。 俺は机の上を片付けながら、県外に撮影へ行っている透利さんも星空を撮りに移動している頃だろうか――なんて、思いをはせていた。 ◇◇◇ 宿直勤務明け。重たい瞼を擦りながら洗顔を済ませたものの、息つく暇もなく「ひよこのお部屋」のヘルプに駆り出された。 もうすぐ一歳になる陸くんをおんぶして、事務作業をこなす。心理福祉士という肩書きこそあるけれど、子ども達を前にすると、そんな職種による区別はない。モグラ叩きのように次々と泣き出し、パニックを起こす子供たちを前に、人手はいつだって枯渇していた。「すみません、遠山運送の者
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