本来なら翌日の昼前に帰宅するはずだった透利さんが、『今から行く』という短いメッセージを送って実家に現れたのは、夜七時を過ぎた頃だった。 突然の前倒しに、お義母さんと透花さんは「もう、あの子ったら!」と呆れ顔だったけれど、お義父さんだけは「来ると思っていたよ」と、どこか嬉しげに笑みを浮かべていた。「透利の支払いで、うな重の特上を五人前頼んでおいたぞ」 お義父さんが事もなげにそう言い放つと、お義母さんと透花さんは顔を見合わせて、またしてもお腹を抱えて大爆笑した。「まぁ、それにしても。あれだけ男前な会見なら、マスコミももうこれ以上は騒ぎ立てないでしょう」 透花さんの言葉に、帰宅して早々に同じ食卓についた透利さんは深く息を吐いた。「……弁護士と、かなり考え抜いて文面は作ったから。まぁ、最後が質疑応答で多少なりとも空気が和らいだのは、結果として良かったかな」 透利さんはお茶を一口すすると、会見の疲れがどっと出たのか、深い溜息をついた。 あの会見の後半、記者たちから「お相手の方」についての質問が飛んでいたことを思い出す。出会いや、プロポーズの言葉について――そんな少しだけ砕けた質問に対し、透利さんは「それは答えられません」と毅然と断ることもあれば、俺との初対面の印象や、俺のどこを尊敬しているのかという問いには、何の淀みもなく、心からの言葉で答えていた。「……あー、腹いっぱい。父さん、晩酌は明日の夜付き合うのでもいい?」 「構わないよ。珠依くんの晩酌がないのは寂しいがね」 お義父さんの冗談めいた返答に、透利さんは「久し振りに会う息子より気に入ってないか?」と毒づきつつも、急かすように俺の手首を引いて立ち上がった。その強引な力に、俺は少しだけたじろぐ。 部屋を出ようとすると、キッチンからデザートの柿を運んできた透花さんが、がしっと透利さんの腕を掴んで制止した。「あんた、ちょっと目が血走ってるわよ。珠依くんに無理させたら駄目だからね?」 「はぁ!? つーかそういうの、親の前で言うなよ……!」 「うるさいわねー、男子高校生みたいにソワソワしててダサいから言ってんのよ。いいから、今日はアタシが和室で寝るから。どうぞ久しぶりの再会を熱く分かち合ってね」 ウフフ、とわざとらしく微笑む透花さんに、透利さんは顔を真っ赤にして『行こう』と俺の手を引っ張り、逃
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