Alle Kapitel von 元彼に「赤ちゃんが欲しい」と言われて、タオルをお腹に詰めてたら振られましたが、有名フォトグラファーの彼に愛されています♡: Kapitel 81 – Kapitel 82

82 Kapitel

【番外編⑨】再会と抱擁の先

本来なら翌日の昼前に帰宅するはずだった透利さんが、『今から行く』という短いメッセージを送って実家に現れたのは、夜七時を過ぎた頃だった。 突然の前倒しに、お義母さんと透花さんは「もう、あの子ったら!」と呆れ顔だったけれど、お義父さんだけは「来ると思っていたよ」と、どこか嬉しげに笑みを浮かべていた。「透利の支払いで、うな重の特上を五人前頼んでおいたぞ」 お義父さんが事もなげにそう言い放つと、お義母さんと透花さんは顔を見合わせて、またしてもお腹を抱えて大爆笑した。「まぁ、それにしても。あれだけ男前な会見なら、マスコミももうこれ以上は騒ぎ立てないでしょう」 透花さんの言葉に、帰宅して早々に同じ食卓についた透利さんは深く息を吐いた。「……弁護士と、かなり考え抜いて文面は作ったから。まぁ、最後が質疑応答で多少なりとも空気が和らいだのは、結果として良かったかな」 透利さんはお茶を一口すすると、会見の疲れがどっと出たのか、深い溜息をついた。 あの会見の後半、記者たちから「お相手の方」についての質問が飛んでいたことを思い出す。出会いや、プロポーズの言葉について――そんな少しだけ砕けた質問に対し、透利さんは「それは答えられません」と毅然と断ることもあれば、俺との初対面の印象や、俺のどこを尊敬しているのかという問いには、何の淀みもなく、心からの言葉で答えていた。「……あー、腹いっぱい。父さん、晩酌は明日の夜付き合うのでもいい?」 「構わないよ。珠依くんの晩酌がないのは寂しいがね」 お義父さんの冗談めいた返答に、透利さんは「久し振りに会う息子より気に入ってないか?」と毒づきつつも、急かすように俺の手首を引いて立ち上がった。その強引な力に、俺は少しだけたじろぐ。 部屋を出ようとすると、キッチンからデザートの柿を運んできた透花さんが、がしっと透利さんの腕を掴んで制止した。「あんた、ちょっと目が血走ってるわよ。珠依くんに無理させたら駄目だからね?」 「はぁ!? つーかそういうの、親の前で言うなよ……!」 「うるさいわねー、男子高校生みたいにソワソワしててダサいから言ってんのよ。いいから、今日はアタシが和室で寝るから。どうぞ久しぶりの再会を熱く分かち合ってね」 ウフフ、とわざとらしく微笑む透花さんに、透利さんは顔を真っ赤にして『行こう』と俺の手を引っ張り、逃
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【番外編⑩】今日もあなたの隣で

*** 記者会見から数ヶ月、嵐のような日々を乗り越えた先には、驚くほど穏やかで温かな日常が待っていた。 「フォトグラファーの浅野です。本日は宜しくお願い致します」 カメラバッグを背負い動きやすいラフな出で立ちの透利さんは、いつもの星空を見上げる時とは少し違う、柔らかな表情で施設に足を踏み入れた。 今日は俺の勤務先である乳児院に、仕事……撮影カメラマンとしてやって来ている。 「わー! 本物だ、おっきいカメラかっこいい~」 「みせてみせて! 私も写真撮りたい!」 ホールでおままごとをしていた子どもたちが、振り向いた先で挨拶をしていた透利さんに一斉に駆け寄る。 「透利さん、来てくれたんですね」 背中でおんぶしている赤ちゃんを優しくあやすように揺らしながら歩み寄ると、透利さんはカメラのレンズ越しに、とろけるような笑顔を向けた。 「珠依、お疲れ様」 「ごめんなさい。みんな、三日前からこんな調子で……テンションが高くて」 「謝ることじゃないよ。こんなに大歓迎されて、嬉しい以外のなにものでもない」 彼の足元では、幼稚園に通う年中・年長組の子どもたちが「それ、どうやって撮るの!」「星とか撮る人なんでしょ!」と、矢継ぎ早に質問を投げかけている。 透利さんは膝を折り、子どもたちと同じ目線まで沈み込むと、楽しそうにレンズの仕組みを教えていた。 今回の依頼は、建て替えを終えた乳児院のホームページを一新するためだ。本来は、児相と連携して身寄りのない子供たちを預かる場所。けれど、それだけでなく一時預かりや園庭解放など、地域に開かれた施設としての魅力を伝え、「可哀想な子供達が生活している場所」というマイナスイメージを少しでも払拭したい――というのが目的だ。 ホームページに載せる施設や職員紹介の写真を撮影するにあたって、会議でのカメラマン選定の話題になると、職員たちの視線が自然と俺に集まり、断りきれず透利さんに打診したところ……人を撮るのが苦手だと言っていたのにも関わらず、透利さんは二つ返事で快諾してくれた。俺が透利さんと正式なパートナーシップを結んでいることを伝えてからは、腫れ物に触るようだった雰囲気もどこか丸くなって、あたたかく受け入れてもらっている。 本来なら、透利さんの事務所では人物に関する撮影は引き受けていない。だ
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