◇◇◇ 深い波に何度も攫われるような、そんな時間が過ぎていった。 二回、身体を重ねて、ゴムを外した透利さんの指先が俺の頬を優しく撫でる。深夜の静寂に溶けてしまいそうな、甘くて穏やかな時間。 普通なら、ここで幸せに浸りながら眠りにつくんだろう。 けれど、俺の心は少しも満たされていなかった。(明日から、いなくなっちゃう……数日も。もしかしたら、もっと長く) 一度火がついた嫉妬と不安は、たった二回の絶頂では消えてくれない。それどころか、肌を合わせたことで、もっと、もっと彼を自分の中に刻み込みたいという強迫観念のような欲求が膨れ上がっていく。「ちょっ、珠依さん。待って、そんなことまでしなくても……」 動揺する透利さんの声を無視して、俺は横たわる彼の脚の間に割り込んだ。まだ生々しい熱を帯びた「そこ」に顔を寄せる。「どうしてダメなんですか?」 「いや、どうしてって……もう、十分でしょう?」 困ったように笑う透利さんを見上げると、さらに不安が募る。俺がこんなに狂おしいのに、どうしてこの人はそんなに余裕があるんだろう。 「透利さんの、いっぱい舐めたい……ダメですか?」 自分でも驚くほど熱っぽい声が出た。 拒まれるのが怖くて、俺は誘うように舌先を覗かせると、そのまま迷いなく彼を口に含んだ。「ん……っ、……。きれいにお掃除させて下さい……」 「ちょっ、珠依さん。言い方が……っ」 透利さんの大きな質量が口内をいっぱいに満たす。 かつて、そう教え込まれたから。こうして尽くして、相手を悦ばせることだけが、俺が「愛される」ための唯一の証明だと思って生きてきた。 透利さんにそんなつもりはないのだろうけど、二回達して硬さを失ってもなお大きすぎるそれ。喉の奥を突かれる苦しさに涙を浮かべながら、俺は夢中で彼を貪った。 舌で、喉で、透利さんのすべてを味わい尽くす。卑猥な水音が寝室に響くたび、自分のいやらしさが暴かれていくようで、同時に得体の知れない高揚感が背筋を駆け上がる。「んっ……ぅ、は……んん……」 とろ、と伝う精液を俺は一滴も零さないように飲み込む。 口の端を拭いながら、わざと挑発するように彼を見つめた。「珠依さんっ、そんな風にされると……」 ちゅう、ちゅう……と吸い付くと、透利さんの目が、見たこともないほど鋭く見開かれた。
Mehr lesen