ふわっとした浮遊感があった。 目の前に広がる、青い空。 そして続く、落下する感触と水音。 気管を塞ぐ、水・水・水……。「息をしなさい! マシュー!」 抱き上げられ、水の中から引き出される感触。 父の声。「がはっ! げほっ!」「おお! 無事でしたか!」──また……、戻ったのか? 俺の目の前に、跪いた少年がいる。 俺の背中を擦りながら、父上が少年──アレクシスに頭を下げている。 そして、アレクシスの後ろに呆然と立っているランドルフ。「ありがとうございます! アレクシス王弟殿下!」 父の声を遠くに聞きながら、俺は一種の安堵感に近い気持ちと、再び繰り返される絶望感を感じながら、目を閉じる。 そして、次に目を開いた時には、やっぱりマシューの部屋にいた。──繰り返されている。間違いなく。 ランドルフの謝罪と医者の診察が終わり、俺は一人、部屋の天井を眺めて考える。──ランドルフと距離を詰めると、メルヴィンの嫉妬を買う。これは、確定だろうな……。 そして、メルヴィンが王太子以外の攻略対象を選んだ場合、恋に焦がれたランドルフは、八つ当たりと評価を兼ねて、俺への断罪をより暴力的な内容へと変化させることも知った。──アレクシスの言う通り。俺には護衛が必要だ。 しかもそれは、絶対的に信頼の置ける者でなければならない。 俺がメルヴィンに危害を加えた〝捏造〟の証拠を、なんとしても覆すためには、こっちも動かぬ証拠を提示しなければ。──でも、どうやって? そもそも、恋愛ゲームの世界であるなら、ヒロインに焦がれないキャラなどいないだろう。──いや、でも、父上は二度とも俺を信じてくれた。 全くのモブであれば、ヒロインの求心力が効かないのかもしれない。──だが、あくまで可能性でしかない……か? そ
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