ふわっとした浮遊感があった。──ああ、またか。 俺は息を大きく吸い込み、そして止める。 体が引力に引っ張られ、全身を水が包み込む。 沈むに任せて体の力を抜き、やがて伸ばされるであろう助けの腕を待つ。 少年の手が身を包み、ぐいと水面に押し上げられる。「ぶはぁ!」「マシュー!」 駆け寄ってきた父上が、水面のアレクシス殿下から俺の体を受け取り、抱き上げてくれた。「ご無事ですか?」 水から上がり、濡れた黒髪を掻き上げ、アレクシスは父上に問うた。「ありがとうございます! 王弟殿下!」 濡れた服をそのままに、アレクシスはこちらに歩み寄ると、俺の顔を覗き込んだ。 けほけほと咳き込む俺に、金色の瞳がにこりと笑う。「良かった。さほど水を飲んでなさそうだ」 周囲がばたばたと慌ただしく動き、俺とアレクシスにタオルが渡される。 離れた場所で、こちらを見ているランドルフ。──あれ? なんだっけ? またゲームが始まった……と思ったのと同時に、俺は妙な違和感を覚えたのだが……。 それを深く思考する前に、何に引っかかったのかもわからなくなる。 あまりにも何度も同じことを繰り返しすぎて、起きた事案がどのループであったことなのかが、だんだん曖昧になっているようだ。
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