All Chapters of Lv1・Maxからのまちづくり: Chapter 61 - Chapter 64

64 Chapters

第61話・一番の町

「こんな町って……」 ポルティアが呟いた。「私、これまで旅した中でも、一番と言っていい町ですよ」「え? ほんと? それは嬉しい」 ナーヤーありがとう。それはすごい褒め言葉。「家具って特産なしでもここに住みたいって奴は大勢いるだろうに、何故俺たちを?」 改めて聞き直したポルティアに、ぼくも真面目顔……町長の仮面をつけて答える。「この町を造った第一目的は、エアヴァクセンに勝つこと」「エアヴァクセン……鑑定、SSランクの町か」「この町に住む、ぼくを含んだ半分近くがエアヴァクセンから追い出された放浪者なんだ」「こんな町を造るようなスキルの持ち主を追い出したってのか?!」「うん。ぼくの場合はレベル上限が1、つまりスタート状態で上限に達しているから鑑定式の時点で不要だって言われた。実際にはこの町のほとんどを造ったほどのスキルを、ね」「……馬鹿だな、エアヴァクセンも」「でも、私たちはこの町に見合うほどのスキルはないわ」「だから、スキルは求めてないって」 ぼくは二人を見た。「ここに住みたいっていう人、他の人と仲良くやってくれる人、約束を守ってくれる人。そうであれば立場も身分もスキルも問わない。ああ、ちゃんとみんなで食べていくために畑の手伝いとか掃除とかそういうことをしてくれる人なら大歓迎」「……えらく条件が良くないか」「ぼくの条件はこれを守ってくれる人。それ以上は求めない」「これが、私たちの今の立場でなければ大歓迎なんですが……」「大歓迎ならいいじゃない、問題なし」「いや、ある、あるぞ?」 慌ててポルティアが口を出してくる。「俺たちは貴方たちの町を見つけることを依頼されて、失敗してここに来てるんだ。俺たちが気を変えてピーラーにこの情報を売ったら」「売らないでしょ」「あ?」「だから、売らないでしょ? 依頼失敗したからってあっさり切ってここに取り残すような依頼主に、そんな義務を果たすだけの義理もないでしょ?」「そりゃあ……そうなんだが」「それに、ピーラーの性格からしたら、二人がスピティに戻っても戻れないくらいにはしてあると思うね。悪い噂流すとか、他の門番に知らせておくとか。ナーヤーもピーラーと長い付き合いなんだから、その性格くらいは分かってるだろ?」「……ええ。顔もいいし演技も超一流だけど、他人の意見なんて
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第62話・新町民ご案内

 というわけで、湯処。 一応体が汚れている人が入る時はしっかり洗ってから、という決まりがあるので、ポルティアは洗い場でこすられてから湯に入った。「……こんな広い湯処、初めてだ」 湯の中に放り込まれたポルティアが、呆然と呟く。「……ちなみに、使用料は?」「使用料?」 考えてもなかった。「……まさか、タダ……?」「ていうか、今のとこ、この町でお金って使ったことも使われたこともない」「家具売って出来た金は?」「スピティで食糧とか買った」「その割り当ては?」「みんな平等のご飯になりました」「…………」 もはや言葉も出ない模様のポルティア。 そう言えばお金のことって考えなかったよなあ。町の施設もいるものも望めば生えてくるから……。ご飯とか野菜とか、外の物を手に入れる時くらいしか使わないなあ。「……エアヴァクセンを超える、か」 ぽつりと呟かれた言葉に、ぼくは頷いた。「それがぼくの目標。でも、最終目標は違う」 お湯で顔を洗って、ぼくは続けた。「最終目標は富める強国ディーウェスだけが持っていたSSSランク」「SSS……!」「無茶な夢って思うだろうけど、この町に住んでいるみんなは信じてる。こうやって町を大きくしていけば、いつかはその称号を手に入れられるだろうって」「…………」 ポルティアは天井を仰いだ。「とんでもないスキルと、途方もない夢、だな」「分かってる」 でも、とぼくは付け加えた。「ぼくのスキルは、そのためにあるんだと思ってる。エアヴァクセンのミアスト町長を見返して、最高の町を造るために」「そうか」 ポルティアは腕を伸ばした。「俺はポルティア・ポーター」「ん?」「スキルは「家具鑑定」。レベルは3000。正直スピティの門番って言うのは家具を見るから、単純に門番として役に立たないのは分かってる。それでもいいなら」「いいの?」「……いや、町長がそれでいいというんなら」「良かった」 ぼくはほっと息を吐いた。「そんなに俺みたいな役立たずでも嬉しいのか?」「半分はそれだけどもう半分は違う」「半分?」「町民になったから、着替えが出来る」「……は?」 脱いだ服は洗っておくから、ということで引き取ったのだけれど。「町民ってなったら、服も出来る」「服……出来る……?」「ああ。家も出来てるだろうな。
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第63話・驚愕の極み

「ちょちょ、ちょっと待て!」 家の中に入ったポルティアの声が裏返っている。「何だ、何なんだこの高級な家具の見本市は!」 出てきて開口一番これだ。「あれだ、これは俺の家じゃない、グランディール製の家具の見本市だ」「家具はグランディール製で間違いないけど、この家はポルティアので正しいよ」「だけど、あれ!」 ポルティアが指した先を見れば、それはまあ立派な家具の見本市。「ああ、そうか、家具を鑑定できるだけじゃなくて欲しかったのか」「いや、確かに俺の欲しい家具ばかりだけど! こんな高級な家具、家、適当に町外れにあっていいものじゃない!」「でも、それがポルティアの希望の家なんでしょ?」「希望過ぎて怖いわ! 俺の稼ぎで買えない!」「どの家も稼ぎでできたわけじゃないよ?」「は?」「ああ、あんたが新入りか」 畑の手伝いに行っていたらしいヴァダーが、汗を拭いながら戻ってきてポルティアの顔を見た。「あなたはこの町の町民か」「ああ。家がすごいんだろう?」「すごい? そんな言葉で形容できるか! ピーラーもこんな家に家具揃えてないぞ!」「町長の「まちづくり」のスキルのおかげだ」「は?」「町民の理想の家が出来る」「はあ?」「正確には、町民が理想、あるいは必要とするものを、町が具現化するんだ」「はああ?!」 何て見事な「は」の三段活用。「こいつ、何してた人だ?」「スピティの門番って言うか、フリーの家具鑑定師。だから見てるものはいいのばっかだと思う」「あー。高すぎて手に入らないけど欲しいのがいっぱい出てきたのか」 うんうんと頷くヴァダー。「なんだ、欲しいものが手に入ったなら素直に喜びゃいいのに」 マンジェが呆れたように言った。「高すぎて怖い! 俺の人生何回分で揃えられるのか……!」 ナーヤーは……。 入口に座り込んでいる。「大丈夫?」 シートスが声をかける。「わ、私が子供の頃に住みたかった家がそのまま出来てる……。嘘……」「うん、そうなの。思った家が出来るんだよ」「うらやましいです、わたくし、まだ町民として認められていないから、家がないから……」 アナイナとヴァリエも落ち着かせようとナーヤーに声をかけている。「ちょっと、ちょっと待て。この町の町スキルって……いや町長のスキルか……? 町に必要なものが生えて来るって、文
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第64話・遅れて契約

 ポルティアとナーヤーが、ぐたりと椅子に座り込む。「……あれ……本当に俺の家なのか……?」 もう何度目の確認になるだろう。うん、と頷くと、ポルティアが机に突っ伏して頭を抱えた。「あんな家、ピーラーに見せたら速攻奪われる……」「大丈夫、そもそもピーラーみたいなヤツは最初っから町に入れないから」 どうやら家の中の家具を全部「鑑定」してしまったらしく、それが全て最高級と判断され、どうしようもない状態というところ。 一方小さい頃から憧れの家、と言っていたナーヤーは比較的冷静さを取り戻してるっぽい。「あの家、住んでいいんですよね?」「うん。好きに使っていい」「じゃあ、好きに使わせてもらいます」 うん、うん、と頷くナーヤー。 やっぱり何か追い込まれた時強いのは女性の方なんだろうか。それともうちの町の女性陣、アナイナとかヴァリエとか奥さん陣にそういうのが揃っているのか。でもヴァリエはまだ町民じゃないから……でもそろそろ決めないとなあ……てかヴァリエ、家が新しく出来てたのを指摘してなかったなあ……。そういう町、って納得してるのかなあ……。「で?」 突っ伏した体勢のまま、視線だけがぼくに向く。「この町でやらなければならないことは、何だ?」「絶対やらなきゃいけないのは、家具づくり」「ああ、町の人間全員で作るのか。しかし俺のスキルは」「スキル関係ない。……ああでも出来た家具の平均価格を鑑定してくれると嬉しいけど」「待て、おい待て。俺は職人じゃないぞ」「うん。ていうか家具職人はこの町一人もいない」 ポルティアの顔面に疑問がたーくさん浮かんでるよ。「……ああ、分かりました」 ナーヤーが手をポン、と打つ。「私たちの家のように、望んだものが出来る、というわけですか?」「んなわけあるかっ」「あります」 一瞬浮上したポルティア、また撃沈。「個人の物は個人の望みで出来るけど、町で作る外に売り出す品は町民全員が望まないとちゃんとできないんだ。町の人間全員が「これが必要」って思うこと。それが必須条件。でも、それがあるから、スピティに持ってけるほどの家具が出来る」「デザイナーは」 ぼくがシートスを見ると、シートスは少し笑った。「今は家で大人しくしているわ。水路を作る時には起こしてくれって言ってたけど」「毎日寝てる?」「寝溜めするって言ったのを
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