ぼくたちを迎えた門番が、少しして走って戻ってきた。「グランディールと言うのは町の名ですか」「小さいですが、町です。町長も印を持ってきています」「町長……」 サージュとアパルが視線でぼくを示し、ぼくはゆっくりと頷いた。 門番と目が合う。 緊張するな。悠然と、鷹揚に。「お若いですな」「新成人になってすぐ町を造られた傑物です」「このような家具を作れる町を造るとは、まさに傑物ですな」 門番がにっこりと微笑む。さっきまでの適当な態度とは大違いだ。「どちらのギルドに案内されますか」「申し訳ない」 門番は頭を下げた。「トラトーレ商会とデレカート商会が私の報告に興味を持ったようで、どちらが先に見るかで揉めているんです」 トラトーレ。デレカート。なんのこったか分からない。ただここで「それは何?」と聞いてはいけないということは分かっているから、ぼくは目を閉じて腕を組んだ。「ほう。胆力もなかなかのものとお見受けしました。この商会のどちらかだけでもひっくり返る代表者がいるほどなのに、両方の名前を聞いて驚きもしないとは」「それはこちらのセリフですよ」 サージュさんが笑顔で話しかける。「まさか初会で両方に話が行くとは思いませんでしたが、……まあ品には自信があるので」 もう少々、こちらでお待ちくださいと、牛車はぎっしぎっしと門の中に入っていく。 牛車が案内されたのは、豪華で大きい荷車が並ぶエリアだ。屋根があって、日光からは遮られる。 ぼくは声を潜めて聞く。「トラトーレとデレカートって? ……とは?」 言葉! と目で叱られて、言い換える。「スピティ家具ギルドの双璧と呼ばれているSランク商会です」「……初会で見本を持ってきただけの町が案内されるような商会……じゃない、な」 言葉遣いに気を付けてアパルに聞くと、頷き返される。「この町で最も重要なのは門番です。商品を町に入れるかどうか、入れたとしてどの商会に繋ぐかを決める役割を持っているのですから。だから各商会は優秀な目利きを門番にして、自分の所に入れようとしています。私たちを担当したのはどうやらフリーの門番だったようですが、だからこそ一番大きい商会二つに連絡を入れてくれた。運がいいですよ、我々は」 運がいいのか。ならいいや。ぼくは若い町長を演じていればいい。運が良ければグランデ
Mehr lesen