「王妃、何故私を孤児院へ? 私が子供達に危害を加えるとは考えないの?」「あなたは、子供にそんな酷いことができる人ではありません。目を見れば分かります」「そんなことで分かるとは思えないわ」「あなたは、本当は誰よりも優しい人です。きっと、子供達もあなたを気に入りますわ」「何も知らないくせに」 シャーリィはそっぽを向いてしまった。 馬車が停まったのは孤児院ではなく、お菓子屋の前。「ここは孤児院に見えないけど?」「子供達はお菓子が大好きなの。だから、お土産を持っていこうと思って。シャーリィ、あなたも一緒に選びましょう?」「どうして私が……」 シャーリィが拒むと、一緒にいた衛兵が咳払いをする。シャーリィは渋々馬車から降りると、レイスと一緒にお菓子を選び始める。「このキャンディ、とっても人気なの。ほら、見て。色んな色があって、宝石みたいでしょう?」「ねぇ、シャーリィ。このクッキー、くまの形してて可愛いわ。きっと皆も喜んでくれるはず」「シャーリィはどんなお菓子が好き?」 お菓子屋に入ったレイスは、子供のようにはしゃぎ、お菓子を選んだり、シャーリィに好みを聞いたりする。そんな王妃の姿に、シャーリィは呆気にとられていた。「王妃様はいつもああやって、子供達にお菓子を選んでいるんだ」「そ、そうなの……」 衛兵が耳打ちをすると、シャーリィは苦笑しながらレイスを見る。自分を剣で打ち負かした時とは別人のようで、子供っぽくて王妃らしくないレイスは、シャーリィの毒気を抜いていた。 その後も玩具や絵本を買い集め、馬車の中が窮屈になる。「いつもこんなに買ってるの?」「いいえ、いつもはこれの半分もないわ。けど、今日はあなたが孤児院に行く記念日だもの。子供達にも喜んでもらわないと」 シャーリィはレイスを見つめる。お菓子や玩具を嬉しそうに見る彼女には、傲慢や哀れみなどは一切感じられない。それが不思議でならなかった。 馬車が孤児院に着くと、レイスは先に降りる
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