窓を覆う厚手のカーテン。その僅かな隙間を縫うようにして、白磁のような淡い夜明けの光が、忍び寄るように寝室へと差し込んでいた。 リアンの寝室は、未だ底知れぬ薄闇の中に沈んでいる。天蓋付きの広い寝台の上で、彼は深く、まるで意識を闇の向こう側へ溶け込ませるかのように眠りについていた。昨夜、重い木扉の前で力なく泣き崩れたあと、ようやく寝台へと辿り着いた頃には、すべての涙が枯れ果てていた。枕元には、昨夜焚かれた香の残り香が、甘く、それでいて重たい糸のように漂っている。その香りは、気づかぬうちにリアンを深い昏睡の淵へと引きずり込んでいた。 静寂を切り裂いたのは、扉を叩く微かな音だった。薄闇の中で反響するその音は、遠い記憶の残響のように静かに、しかし拒みがたい力を持って響く。 リアンの長い睫毛が、僅かに痙攣したように震えた。しかし、重く閉ざされた瞼を持ち上げる気力さえ、今の彼には生まれてこなかった。身体は泥のように重く、心臓の鼓動だけが耳元でうるさく響いている。「リアン」 扉の向こうから、低く、そして慈しみに満ちた声が聞こえてきた。 返事を待たず、扉が静かに開けられた。絨毯を踏み締める規則正しい靴音が、寝室の奥へと近づいてくる。廊下から流れ込んできた朝の冷気に混じる、微かな冬の森を思わせる清廉な香りと、使い込まれた剣油の匂い。目を開かずとも、誰が来たのかはすでに分かっていた。だが、重い瞼を持ち上げることができなかった。「朝だぞ、リアン」 ヴァレンの声が、すぐ枕元で降るように響いた。その温度に、リアンの心臓がひっそりと、しかし激しく跳ねる。 ようやく重い瞼をゆっくりと押し上げると、霞んだ視界の中に、漆黒の髪を朝の光に縁取られたヴァレンの輪郭が浮かび上がった。逆光の中に立つ彼の姿は、まるで神話の守護者のように神々しく、琥珀色の瞳がリアンの寝顔を静かに覗き込んでいた。「……陛下」 リアンの喉から漏れたのは、ひび割れた砂のような、掠れた声だった。(ああ、身体がひどく重い……) お香に含まれていた強い睡眠効果のせいだと脳の片隅で理解していても、身体を起こすことができなかった。意識だけが明瞭になろうとし、四肢は未だ昨夜の絶望に縛り付けられている。 ヴァレンが寝台の縁に腰を下ろす。沈み込むマットの感触と共に、彼の確かな体温が伝わってきた。大きな手が伸び、リアンの
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