『この前、会えて嬉しかった』 『今、綾香のこと考えてた』 『迷惑なのは、わかってる』 『でも、自分の気持ちは変わらないから』水を持っている手の、指先が冷える感覚がした。さっきまで、美香と先生のことを考えて温かくなった気がしていた。それなのに、優からのメッセージは私を現実に引き戻す。通知に示されたメッセージを見て、返信をする気はしなかった。私の距離を守ろうとする先生。自分の焦りを隠さずに、距離を詰めようとする元夫。この二人を無意識に比べて。私は、元夫に対して温かい気持ちを持つことはないのだと。メッセージが来て、皮肉にも実感してしまった。既読をつける。返信する気もないからこそ、敢えてメッセージを未読にしないことにした。それを確認したのか、重ねてすぐに連絡が来た。『もうすぐ、プロジェクトの件で連絡することが増えると思う』 『仕事に関しては、ちゃんと気持ちを分けるから』 『あんまり、警戒しないでほしい』警戒しないで。その言葉に、少しだけ。冷ややかに笑ってしまう自分がいた。ざらついた気持ちが、残っていることを実感する。昔はずっと、ずっと。気を遣っていた優に。こんなにも、私が気を遣われる日が来るなんて。半年前の自分に言っても、絶対に信じてもらえないだろう。そんな風に、少し前のことを振り返る。小さなため息をついた。スマホをテーブルに置いて、そのままベッドに戻る。まだ、温かさが残るベッドに再び横になり、目を閉じた。....いつからだろう。こんなにも、優の言葉が私にとって、意味のないものになったのは。いや、気づいていたと思う。少なくとも最近の、自分の変化には。期待することをやめたときから。離婚をすると決めた半年前から。心のどこかで、彼に対して縋りたくなるような感情は。少しずつ、小さな波のように広がって、消えていった。ふと、思う。こんな風に、自分自身の優に対しての気持ちを振り返るのは、いつぶりだろう。引越しをしたあの日くらいだろうか。それとも、離婚届を出しに行った、その前日の夜くらいだろうか。思い出しても、離婚届を出した日は複雑な気持ちだった。少しだけ残っていた、離婚という選択肢をとった自分の見え方に対しての不安と。やっと解放されるという安心感とこれからへの期待に。自分自身の気持ちが、わからなく
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