天音が千鶴がいる家を訪ねてきた。千鶴はいつもどおり親しげに迎える。「あら、天音。うちの梨沙は昨日の夜、あなたと一緒だったの?」天音は冷笑した。「千鶴さん、自分の孫娘がどんな人か、まだ知らないんですね」千鶴は眉をひそめ、天音の顔を見た。今日は以前とはどこか様子が違う。声から親しみが消えた。「え?どういう意味だい?」天音は礼都に受けた屈辱も悔しさも、千鶴にぶつけた。「私はずっと梨沙さんのことを親友だと思っていたのに......あの人、私の男を誘惑したんですよ!本人も、秋谷家の人たちも、恥というものを知らないんですか?」千鶴は呆然とした。しばらく言葉が出ない。怒りで胸が痛み、息まで苦しくなる。そのとき、美琴が家の中から飛び出し、千鶴を背中にかばった。「それ以上でたらめを言ったら、ただじゃおかないわよ!」天音は声を上げて笑う。「大声を出せば正しいことになるの?美琴さんよね。あなたのことも知ってる。梨沙の従姉でしょう?あなたもまともな人には見えないわ。まさかだと思うけど、この家は娘を金儲けの道具にして暮らしているの?」千鶴は歯を食いしばった。「今すぐ出ていきなさい」「図星ですか?」天音は舌打ちした。「言っておきますけど、梨沙さんのことは絶対許しません。私の男を奪ったこと、一生忘れないから」「誰を許さないって?」戻ってきた梨沙の目に、その光景が飛び込んできた。天音が家まで来るとは思わなかった。祖母が心臓の手術を受けて、まだ間もないと知っているはずだ。祖母を死なせるつもりなのか。梨沙は冷たい顔で歩み寄った。天音は彼女を見る。戻ってくるとは思わなかったようでもあり、待っていたようでもある、複雑な目だった。天音が詰め寄る。「秋谷梨沙!昨日の夜、どこに泊まったか言える?」梨沙は天音に近づき、耳元でささやいた。「どこだと思う?」天音の目が大きく揺れる。梨沙は笑い、天音の襟元をつかんだ。信じられないという顔をする彼女に、一語ずつ告げる。「昨夜のあなたは、私のほかに誰を呼んだか、分かっているでしょう。そういえば、お礼を言わなくちゃね、天音」天音はすっかり固まった。「あなた一人で、あんなことを思いつくとは思えない。海渡に指示されたでしょう?本当にバカね。人に利用さ
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