遊園地。中へ入るなり、望はメリーゴーラウンドへ一直線に駆けていった。目を輝かせて二人を見上げ、弾んだ声で言う。「あの三人乗りのにしよう!家族三人で乗れるよ!」家族三人――梨沙の胸が、きゅっと締めつけられた。これまで海渡の望への態度は、冷たくもなければ温かくもなく、形ばかりのものだった。穏やかに一緒に暮らせているだけで十分で、仕事や自分の生活を後回しにして、望を遊園地へ連れてくることなどなかった。望に付き添うのは、いつも梨沙だけだった。しかも二人とも耳が不自由だったため、乗れないと言われるアトラクションも多かった。そんなとき、望は決まって「別に乗りたくない」と、梨沙を気遣ってくれた。けれど今、期待と喜びに満ちた望の顔を見れば、本当の気持ちは痛いほど分かる。梨沙は大きくうなずいた。「うん。ママも一緒に乗るよ」望は改めて礼都を見上げた。礼都は何も言わない。梨沙がどう説得しようかと考えていると、礼都は少し気が進まなそうに、こくりとうなずいた。梨沙はほっとした。望はその場で飛び跳ねそうなほど喜んだ。列に並ぶと、後ろには両親と小さな女の子の一家がいた。女の子の母親が、思わず話しかけてくる。「ご家族そろって、皆さんきれいなお顔立ちですね。息子さんは何歳ですか?」望は幼い声で答えた。「僕、5歳!」相手は笑って尋ねた。「えらいね。もう幼稚園に通っているのかな?」望はうなずいた。「らいねん、幼稚園に行くんだ」望は礼都に抱かれていた。女の子の母親は、今度は梨沙へ話しかける。「旦那さんと息子さん、よく似ていますね。お母さんにはあまり似ていないかも。うちの娘も夫そっくりで、私の面影が全然ないんですよ」梨沙は説明しようとした。だが、どう説明すればいいのだろう。下手に話せば、何か訳ありの関係だと思われかねない。梨沙はぎこちなく笑い、話題を変えた。「そうですね。娘さんも、とてもかわいいですね」しばらく子どもの話をしているうちに、ようやく三人の番が来た。梨沙は急いで前を向き、気づかれないようにそっと息を吐いた。三人はメリーゴーラウンドの三人乗りの馬車に乗り、並んで同じ安全バーにつかまった。いちばん下に望の手。その上に梨沙の手。そして、さら
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