บททั้งหมดของ 24時間生配信の離島軟禁オーディションで、BL演出をやってみた結果: บทที่ 1 - บทที่ 10

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第1話 未練とBL営業

 あの夜のことは、忘れられない。 高層階の窓の向こうに、東京の夜景が広がっていた。ガラスに映る光が、まるで星みたいに揺れていたのを覚えている。 背後から、低く甘い声がした。「颯馬、俺のこと好きなんだろ?」 振り向くより早く、腕を引かれた。 体が触れる距離に引き寄せられて、息がかかるほど近い。「……ねえ、俺を抱いてみない?」 その言葉が、冗談じゃないことくらい、わかっていた。 細い指が、俺の顎に触れる。逃げる理由なんて、どこにもなかった。 憧れて、焦がれて、やっと手に届いた人だったから。 ――あの夜、俺は初めて、炎さんを抱いた。 触れた体温も、息遣いも、全部、焼き付いて離れない。 あの時、確かに思ったんだ。 これは恋だって。 一生に一度の、本物の恋だって。 ……でも。「何をそんなに本気になってるんだよ」 ベッドの上で、炎さんは笑っていた。「セックスなんてただの娯楽だろ? 一人の相手に縛られる必要なんてない」 その顔は、あの夜と同じくらい綺麗で―― 同じくらい、どうしようもなく冷たかった。 俺の知らないところで、何人もの男と関係を持っていたことも、 問い詰めても、悪びれもしなかったことも、全部。 ……全部、知ってしまった。 あの時、終わったはずだったのに。---第1話 穏やかな潮風が、成田颯馬の頰を優しく撫でた。 船着き場のある小さな集落から車で十分ほど移動した先に、炎プロダクションが用意した合宿所はあった。元は緋崎炎の別荘を改装したというその建物は、周囲に民家も商店も何もない静かな離島に佇んでいた。庭の芝生の向こうには、青く広がる水平線がどこまでも続いている。 ここが、これから三十日間、十四人の候補生たちが過ごす場所だ。 『炎プロジェクト』——音楽プロデューサーである緋崎炎が手がける、ボーイズダンス&ボーカルグループの最終選考合宿。オーディションの様子は動画サイトで二十四時間生配信され、最終日に視聴者投票で合格者が決まるという、異例の企画だった。 食堂に入ると、そこに緋崎炎プロデューサーが立っていた。 三十五歳とは思えない若々しい顔立ち。中性的でシャープな美貌に、妖艶な色気がまとわりついている。黒いシャツの襟元を少し緩め、細い指で軽く
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第2話 フリなのに、意識してしまう

 颯馬が戻ると、1号室のドアは、少しだけ開いていた。 元々あの有名プロデューサー炎の別荘だというだけあって、部屋は広い。二段ベッドを三台入れてもまだ余裕がある。ベッドの横には人数分の簡易クローゼットも設置されていた。 室内では、すでに三人が荷物を広げていた。  笑い声と、どこか浮ついた空気。合宿初日特有の、独特な高揚感。「ただいま」 颯馬が声をかけると、すぐに反応が返ってきた。「颯馬くん、おかえり!」 オレンジ色の髪を揺らして、そらが駆け寄ってくる。 近い。距離感がやたらと近い。  つぶらな瞳で見上げられて、颯馬は思わず視線を逸らしそうになった。「同じ部屋だね! これから30日間、一緒に頑張ろうね!」 「ああ、よろしく」 「颯馬くん、僕もよろしくね。 あー眠い……今日はなんだか疲れちゃったよ」 ふわふわした茶髪の彼――日和(ひより)は、タレ目でいつもぼんやりしている。高身長なのに華奢で、少し不思議な雰囲気の男だ。 彼方がベッドに飛び乗りながら笑う。「俺は上の段にする! なんか秘密基地みたいでワクワクするな!」 赤い髪に大きな目。元気がありすぎて、部屋に入った瞬間から空気が明るくなるタイプだ。 水琴は静かに自分の荷物を手に取り、部屋を見回していた。 ベッド割りは、自然と決まっていった。 上段:彼方・日和 下段:そら・水琴・颯馬  颯馬のベッドは水琴の隣だ。「ちょっと、颯馬くん」 ベッドの中に入った水琴が、カーテンの隙間からこちらを覗いた。  目が合う。  逃げる暇もなく、視線を絡め取られる。「ちょっと中、ええ?」  手招きされた。「ああ……」 断る理由もなく、颯馬は水琴のベッドに入った。  カーテンが閉まる。外の気配が、一瞬で遠くなる。  ……近い。思ったよりもずっと。  同じベッドの上に、二人。膝が触れそうな距離。「作戦会議、しよか」 水琴がごく小さな声で言う。息がかかりそうな距離で。 「で、何すればいいんだよ」  颯馬も声を潜めた。「自然に距離詰めるだけやで。せやけど、初日からいきなりくっつき過ぎやと変に思われるかもしれへんから、少しずつにしよ」 そう言いながら、水琴は颯馬をじっと見ていた。  値踏みするみたいに。  自然と、颯馬の視界にも水琴が映る。
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第3話 復讐への序章

 桐生水琴は自分のベッドのカーテンをそっと閉めた。 隣のベッドからは、すでに穏やかな寝息が聞こえてくる。 成田颯馬——引き締まった筋肉質な体格で、笑うと爽やかになるその顔が、今はカーテン一枚隔てただけで眠っている。  水琴は目を閉じず、カーテンの裏側をじっと見つめていた。部屋の明かりはすでに落ち、ただ小さなナイトライトだけが淡く透けて見えている。(……ようやく、始まったな) 六年前の記憶が、静かに蘇る。 水琴の兄・桐生実嗣は、当時二十一歳だった。水琴と同じく子役から俳優業を続けていた。 水琴がまだ十五歳の頃、兄は炎プロダクションの社長・緋崎炎と恋人関係になった。 炎は中性的で妖艶な美貌の持ち主で、年下の男を好むと公言してはばからなかった。 兄は炎に夢中になり、すべてを捧げた。  しかし炎は兄を捨てて、他の男に走った。 兄は心を病んだ。  そして芸能界を引退した後も、病は深まる一方だった。 ある日突然、兄は失踪した。今も連絡は取れない。家族は必死に探しているが、手がかりすらない。 水琴はあの時、誓った。  炎を許さない。復讐してやる。 なんとしてでもこのオーディションに受かって炎のそばに近づき、弱みを握ってやる。近づいて、信頼させてから、あの男のしたことを世間に暴露し、裏切ってやるのだ。あいつを芸能界にいられなくしてやる。 炎が目をかけている練習生・成田颯馬と親しくなれば、炎に関する情報を聞き出せるはずだ。それが最も確実な復讐の手段になると、水琴は考えた。 到着初日、トイレで颯馬にBL営業を持ちかけたのも、その計画の一環だった。(完璧や。炎に近づくための道具として、颯馬くんは最適やわ) 水琴は小さく息を吐き、唇の端を上げた。  しかし、隣から聞こえる穏やかな寝息を聞いていると、胸の奥にほんのわずかな罪悪感が生まれた。(……予想外に、まっすぐな目やったな、あの子) 水琴は自分の指先を軽く握りしめ、目を閉じた。  まだ始まったばかりだ。復讐のためには、感情など、必要ない。 翌朝、水琴は一番先に目を覚ました。 カーテンの隙間から、隣のベッドをそっと覗く。颯馬はまだ眠っていた。筋肉の盛り上がった肩と、短い黒髪がタオルケットからはみ出ている。あどけなさの残る穏やかな寝顔は、なんだか可愛らしかった。(……情報を聞
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第4話 #颯水お姫様抱っこ がトレンド入り

 画面に映るのは、沖縄の離島にある豪華な合宿所のリビング。夜8時を少し回った頃だった。 この『炎プロジェクト』は、予選からテレビの深夜番組でまとめ放送されていたため、すでに一定のファンがついていた。最終選考の離島合宿が24時間生配信されるようになってからは、特に若い女性層の視聴者が急増している。 現在の同接数は約8,200人。コメント欄がほどよい速度で流れ続けていた。 大きなL字型ソファーの中央に、成田颯馬と桐生水琴の姿がはっきりと映し出されている。水琴が颯馬の肩に軽くもたれかかり、ピンクがかった金髪が颯馬の黒いTシャツに触れていた。【コメント欄】 SomaMikotoForever:きゃあああ水琴くんが颯馬くんの肩にもたれてる……距離感が尊い RealOrAct:また営業だろこれ? でも水琴の寝顔が自然すぎてちょっと怪しい FirstTimeBL:予選のテレビから見てたけど、生配信だと全然違う……甘すぎる  熱狂的な腐女子の@SomaMikotoForeverは、自宅のベッドにうつ伏せになりながらスマホを両手で握りしめていた。「水琴くん、目がとろーんとしてる……もう限界みたい。かわいすぎる……!」 隣で水琴の肩にもたれていた颯馬が、ふと水琴の顔を覗き込んだ。水琴のまぶたがゆっくりと落ち、完全に眠りについたのがわかった。  颯馬は小さく微笑むと、水琴の頭をそっと持ち上げ、自分の膝の上に優しく移動させた。膝枕の完成だ。水琴の柔らかい金髪が、颯馬の引き締まった太ももに広がる。【コメント欄】 SomaMikotoForever:膝枕きたああああ!! 颯馬くんの手の大きさで頭支えてるの尊すぎる!! SomaSoraShip:え、そらくんが隣で寂しそう……颯馬くんはそら派じゃなかったの!? IsseiMikotoLove:イッセイくん……水琴くんが他の男の膝で寝てる……心が痛い…… 普通のファンA:水琴うらやましい……颯馬くんの膝枕とか反則すぎるだろ  @IsseiMikotoLove(イッセイ×水琴派)は画面を凝視しながら小さくため息をついた。 「水琴くんはイッセイくんの幼なじみだったのに……なんで颯馬くんなの」 @SomaSoraShip(颯馬×そら派)は唇を噛んだ。
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第5話 真相は秘密です

 合宿三日目の朝。 沖縄の強い陽射しが、ダイニングの大きな窓から差し込んでいた。「はい、今日は掃除当番決めるからなー!」 瞬多がホワイトボード片手に声を張る。 朝食を食べ終えたメンバーたちは、リビングに集められていた。「はあ? 掃除なんて面倒くせーことやりたくねえし」 龍也が短く刈り上げた金髪の後頭部を掻きながら、不満そうに唇を尖らせる。 それを嗜めるような声音で、瞬多が説明する。「せやけど、この合宿所には掃除してくれるスタッフはいてへんやん。寝室は各自でやればええけど、お風呂やトイレなんかの共用スペースは誰がやるか決めなあかんやろ?」 そこで一旦言葉を区切り、目線で響やミンソクの方を示す。「昨日は気付いたメンバーが気を利かせてやってくれてたんやで?」「じゃあそれでいいじゃん」「あかんて! まじめな奴が損してまうやん」「やりたいやつがやってんだから、問題ねーだろが。嫌ならやんなきゃいいだけだ」 そこへミンソクが口を挟む。「確かに掃除するのは嫌いじゃないけど、十四人もいる家の汚れ方って半端じゃないよ。できれば皆で手分けしてやってほしい」 ミンソクの訴えに、ほとんどのメンバーが頷き、賛同の声をあげる。「そりゃそうだ」「当番決めた方がいいよ」 わいわい騒ぐ声の中、響だけは真面目な顔でホワイトボードを見ていた。 そして、おもむろに立ち上がる。「効率を考えるなら、担当を固定した方がいいと思う。毎回変えると責任の所在が曖昧になるから」「うわ出た、委員長」 龍也がソファーにふんぞり返ったまま笑う。「掃除なんか適当でいいだろ。男しかいねーんだし」 響の眉がわずかに寄った。「適当で済ませると、誰か一人に負担が偏る。共同生活なんだから最低限のルールは必要だよ」「あぁ? だから何だよ。お前、細けえんだよ」「細かいんじゃなくて常識の話」 空気がぴりっと張る。 彼方が「おっ、始まった」と小声で笑い、そらが不安そうに二人を見比べた。 龍也はテーブルに肘をつきながら、露骨に舌打ちした。「東大卒サマは怖ぇなぁ。俺らみたいなバカとは住む世界違うもんな?」「……学歴の話なんてしてない」「でもそう思ってんだろ?」 響の顔から表情が消える。 颯馬は内心で「あー、まずい」と思った。 龍也は一度ムキになると止まらないタイプだ。「龍也
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第6話 トイレの個室に連れ込まれて…

 昼食を終えた後、メンバーたちは再びスタジオへ集められた。 鏡張りの広い部屋。冷房は効いているのに、どこか空気が張り詰めている。「ここからはユニットごとに分かれて練習してください」 スタッフがそう告げると、自然と二つのグループに分かれていった。 颯馬は、自分とは別ユニットになったそらと目が合う。 そらは少しだけ寂しそうに笑った。「颯馬くん」「ん?」「ユニット離れちゃったね」 オレンジ色の髪を揺らしながら、そらが近付いてくる。「ちょっと寂しいけど……お互い頑張ろうね」 つぶらな瞳で真っ直ぐ見上げられて、颯馬は自然と笑った。「おう。そらなら大丈夫だろ」「えへへ」 嬉しそうに頬を緩めたそらは、小さく手を振って自分のユニットの方へ戻っていった。 その背中を見送りながら、水琴が横から肩を軽くぶつけてくる。「颯馬くん、モテモテやなぁ」「別にそんなんじゃねえよ」「ほんまかなぁ?」 からかうような声音。 颯馬が「うるせえ」と返すと、彼方がすぐ横で吹き出した。「はいはい颯水ごちそうさまでーす!」「彼方くん、うらやましいんやろ?」 水琴が笑いながら言うと、彼方が「そんなわけあるか!」とおどける。 瞬多がパンパンと手を叩いた。「はいはい、まずは真面目にやろかー。俺ら今日やること多いで!」 このユニットのメンバーは、颯馬、水琴、龍也、彼方、瞬多、カゲトラ、凱。 メンバーを見回して、颯馬は少し不安になった。 クセ強いやつ多すぎないか?「まずユニット名決めたいんやけど」 瞬多がホワイトボードを持ちながら言う。「いや先に曲聴こうぜ?」 龍也が即座に口を挟む。「名前とか後でいいだろ」「でもユニット名あった方が配信映えするやん」「知らねーし」 早速空気が怪しい。 凱が腕を組みながら龍也を睨みつけ、低い声で言った。「お前さっきから否定ばっかだな」「あぁ?」「やる気ないなら帰れば?」「は?」 龍也の目つきが変わる。 颯馬は内心で頭を抱えた。 早い。揉めるのが早い。 瞬多が慌てて間に入る。「まあまあまあ!」「凱っつったっけ? お前も体育会系ノリうぜーんだよ!」 龍也が吐き捨てる。 凱の眉間に青筋が浮いた。「……もう一回言ってみろ」 立ち上がる。 身長189センチの圧迫感は凄まじかった。 龍也も負けじと
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第7話 離島の休日

 土曜日の朝。 颯馬がまだ寝ていると、ベッドの外から騒がしい声が聞こえてきた。「海行こうぜ海ーっ!!」 彼方の声だ。おかげで目が覚めてしまった。「朝から元気だなぁ……」 日和が眠そうに呟く。 颯馬がカーテンを開けると、部屋の中はすでに休日モードになっていた。そらはオレンジ色の髪を揺らしながら水着姿ではしゃいでいるし、彼方はシュノーケルを振り回している。「颯馬くん! 早く準備して!」「お前ら早すぎだろ……」 まだ頭がぼんやりしている。 その時。「おはようさん」 水琴がベッドのカーテンを開けた。 オーバーサイズのタンクトップは襟が大きく開いていて、鎖骨や胸元があらわになっている。 しかも短めのショートパンツからは、白い太ももが覗く。 寝起きで乱れたままの金髪の毛先が、頬にかかっていて、妙に色っぽい。 颯馬は思わず視線を止めた。(……なんだよその格好) 水琴が首を傾げる。「どしたん?」「いや……別に」 慌てて目を逸らす。 水琴は小さく笑った。「颯馬くん、寝起き弱いよなぁ」「そういうおまえも寝癖すげーぞ」「え、嘘!」「ほんと。この辺」 颯馬のは水琴の隣に腰掛け、跳ねた髪に指を伸ばす。 そのやり取りを見ていた彼方がニヤニヤし始める。「朝からイチャつくな〜!」「イチャついてねーし!」 颯馬が枕を投げると、彼方が爆笑しながら避けた。「ちょっと颯馬くん! それ俺の枕!」 水琴が叫ぶ。だが顔は笑っている。 営業スマイルではない、ふいにこぼれ出た素の表情。そんな感じがした。(あ、いいな。その顔) 颯馬は少しだけ胸の疼きを感じる。 嬉しいような、せつないような。胸の奥のほうがキュッと締め付けられるような、不思議な感覚。 この感じには、覚えがある。 だが、颯馬は目を逸らし、自分の感情に気づかないふりをした。------------ 庭へ出ると、南国の空気が一気に肌へまとわりつく。 芝生の向こうには透明な海。白い砂浜。強い日差しで水面がきらきら光っている。 今日は屋外撮影らしく、スタッフたちがビデオカメラを構えていた。「今日は海とプールを自由に使ってくださーい!」 スタッフの声に、彼方が「うおおおーっ!」と叫ぶ。 ビーチには様々マリングッズが揃っている。シュノーケルに浮き輪、ビーチボールに水鉄砲。 
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第8話 カメラのない場所へ

 パラソルの下のビーチベッドで休憩していた水琴は、ふいに背後から声をかけられた。「みーくん」 振り向くと、そこにはイッセイがいた。 濡れた黒髪をかき上げながら、いつもの柔らかな笑みを浮かべている。「スタッフが呼んでるよ。一人ずつ個人インタビューするんだって」「……個人インタビュー?」「うん。合宿所の裏の方」 水琴は少し眉をひそめた。 怪しい。でも、嘘だと言い切るほどの確証もない。「イッセイはもう済んだん?」「うん。次はみーくんの番だって」「どこで撮るん?」「こっち。案内する」 イッセイは自然に歩き出す。 水琴は数秒迷った後、その背中を追った。 合宿所の裏手。 周りに民家がないため、敷地にはフェンスや塀などの仕切りがない。 イッセイは時折水琴が着いてきているか振り返って確認しながら、どんどん建物から離れていく。 その先には、背の低い木々が生い茂っていて、さらに向こうの方には小高い山があるのみだ。「イッセイ、どこまで行くん?」 枝が地面に付きそうな低木のそばで、イッセイは立ち止まった。 周囲には誰もいない。 スタッフもカメラもない。「……ちょっと! 誰もおらへんやん」 水琴が叫ぶと、イッセイが振り返る。 ―――と、同時に。後頭部と腰に腕を回され、抱きしめられた。「ちょっ……イッセイ! 何すんねん!」「みーくん、好き」 耳元で、低い声が囁く。 吐息が熱い。 背筋がぞくぞくする。 水琴はハアッとため息を吐く。「おまえ、しつこいわ。俺らはもうとっくに終わった関係やんか」「終わってない。少なくとも俺にとっては」 イッセイの淡い茶色の瞳が、真っ直ぐ水琴を見つめる。「俺、まだみーくんのこと好きだから」 水琴は視線を逸らした。 イッセイとは昔、一時期だけ体の関係を持った。 興味本位だった。初めて知る快楽にのめり込み、夢中になった。 でも、長くは続かなかった。 イッセイがどんどん本気になっていくのが怖くなって、水琴は逃げた。 自分のイッセイに対する感情は、愛じゃないと気付いていたから。 若気の至りだった。体を重ねれば重ねるほど、愛のない行為が虚しくなった。「俺は、好きちゃう」 はっきりとイッセイに告げる。 だが。「それでもいい。俺が好きなだけでいいから。また前みたいに戻ろう?」「何言うて……
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第9話 炎プロデューサー、来島

 午前中いっぱい海やプールで遊び回ったメンバーたちは、昼が近づく頃になると合宿所の庭へ戻ってきていた。 青空の下ではシェフとスタッフたちが慌ただしく動き回っている。大型のバーベキューコンロが並べられ、折り畳み式のテーブルには紙皿や飲み物が次々と運び込まれていた。「腹減ったー!」 彼方が両腕を上げながら叫ぶ。「肉まだかよ!」 龍也も身を乗り出すようにしてコンロを覗き込むが、シェフに「まだ火も起きてない」と笑われていた。 颯馬は凱と一緒に炭の準備を任された。「これ、どう並べればいいんすか?」「いや俺も知らん」 二人で首を傾げながら炭を積み上げている。 一方、水琴はテーブルへジュースや紙コップを並べていた。 和やかな昼前の空気。 だが、突然スタッフたちが慌ただしく動き始めた。 カメラマンが位置を変え、配信用の機材を確認している。 何かが起きる。 そんな予感が庭全体に広がっていった。 配信コメントも騒がしくなっていた。【コメント欄】minamina3117:誰か来るの?angelwing23:追加ゲスト?boys-loveloveheart:なんかあるぞ やがて庭の前に黒い車が滑り込んできた。 ドアが開き、一人の男が降りてくる。 白いTシャツにデニム、サングラス。 それだけのラフな格好なのに、不思議なほど目を奪われる。「炎さん!」 葉月が真っ先に声を上げた。「えっ、今日来る日だったっけ!?」「うわ、相変わらずオーラやば……」 メンバーたちが次々に立ち上がる。 葉月は慌てて髪型を整え、まひろは鏡代わりのスマホを取り出して前髪を確認し始めた。「なんか重大発表でもあるのかな!?」 彼方も興奮気味だ。 そんな中で、颯馬だけが少し違う反応を見せていた。 炭を持つ手が止まる。 表情こそ変わらないが、水琴はその変化に気付いた。 そして炎もまた、真っ先に颯馬へ視線を向けていた。「ちゃんとやってる?」 他のメンバーに向ける時より、わずかに柔らかい、そして気の抜けたような声。 仕事ではなく、いかにもプライベートで使うような声色。「……はい」 対する颯馬の返事は、逆に少しだけぎこちなかった。【コメント欄】LovelySouma0010:炎さん颯馬くんお気に入り?inishienofujoshi:
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第10話 ナイトプール

 夜になると、合宿所の庭は昼間とはまるで別物になった。 ガーデントーチのオレンジ色の炎が風に揺らめきながら暗闇を照らす。 プールの中が青白くライトアップされ、幻想的な空間が作り出される。 そして夜空には、満天の星。 広いテラスには大型スピーカーとマイクが運び込まれ、スタッフたちが慌ただしく配信準備をしている。「よーし! ナイトカラオケ大会スタートー!!」 彼方が真っ先にマイクを奪った。「テンション高っ」 瞬多が笑う。 周囲に民家はほとんどない。多少騒いでも問題ないらしく、昼間より皆のテンションが明らかに高かった。 コメント欄もすでに爆速で流れている。【コメント欄】KANATAoshi:ナイトプールえぐい!!普通のファンA:全員ビジュ良すぎるSomaMikotoForever:颯水今日も隣座ってる尊い「未成年には酒飲ますなよ!」と響が叫ぶ。その横で、ミンソクがコーラを配っている。 颯馬はプールサイドのビーチソファーに水琴と並んで腰掛けていた。 水琴は片手に淡いピンク色のカクテルを持っている。「これ飲みやすいわ〜」「飲みすぎんなよ」「大丈夫やって」 水琴は笑いながらグラスを揺らした。 そこへ彼方の歌声が響き始める。「ざぁんんこぉくな天使のテーゼッ!!」「うっま!?」 凱が思わず叫ぶ。 彼方はガチだった。 高音もビブラートも無駄に完成度が高い。しかも途中から振り付きで歌い始める。「いやなんでそんな本気なん!?」 瞬多が腹を抱えて笑う。「愛だよ愛!!」 彼方が叫ぶ。 コメント欄がさらに加速する。【コメント欄】Gachizei_KANATA:彼方くん歌うますぎIsseiLoveHeart:オタクなのにスペック高いBL_suki_shufu:後ろでソウミコ肩くっついてるんだけど!? その頃、プールでは龍也と凱が水を掛け合っていた。「うおっ冷てぇ!!」「反応ガキかよ!」「てめえ! よし、今度は背泳ぎで競争だ! 昼間の決着付けてやる!」「何回やっても俺が勝つけどな」「やってみなきゃわかんねぇだろ!」  そんな二人の様子を見て、響が腕組みしながら頷く。「あの二人、なんだかんだ仲良くなってるよな。最初はどうなることかと思ったけど」「喧嘩して仲が深まるってやつじゃない? 青春だね」 響の隣でミンソ
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