Masuk「なあ、俺とBL営業せえへん?」 動画サイトで24時間生配信される、離島のボーイズグループ最終選考合宿。 カメラに囲まれた閉鎖空間で、候補生14人は30日間の共同生活を送る。 颯馬は、元子役俳優の美形候補生・水琴から、BL営業をしないかと誘われた。 視聴者人気を稼ぐため、恋人同士のように振る舞う二人。 だが、水琴には誰にも言えない“復讐”という目的があった。 一方、颯馬もプロデューサーとの過去の関係に未練があり…。 嘘の恋人役のはずだった。 なのに、心に傷を負った二人の本音は、触れ合うたびに揺らぎ始める。 これは、24時間監視される離島で始まる、 “演出”から始まった真実の愛の物語。 #微エロ #執着 #芸能界 #ケミ
Lihat lebih banyak誰もがテレビを見つめたまま動けずにいた。 画面には、『炎プロジェクト 出来レース疑惑!?』というテロップが映し出され、過去の特番映像まで流されている。 ゆっくりと立ち上がった颯馬に、全員の視線が集まる。 もちろん、その様子も二十四時間配信のカメラが映している。「颯馬……」 誰かが不安そうに名前を呼んだ。 隣を見ると、水琴が静かにこちらを見つめていた。いつもの余裕は消え、心配そうな表情だった。 颯馬は小さくうなずき、口を開く。「……写真もLINEも本物だ」 室内の空気が張り詰める。「昔、炎さんと付き合ってた。それも事実だよ。今は違うけど」 誰も口を挟まない。 重苦しい沈黙を破ったのは龍也だった。「じゃあ、やっぱり最初から決まってたってことか? このオーディション、颯馬をデビューさせるために」「違う」 颯馬は即座に首を振る。「炎さんが俺を合格させるなんて言ったことは一度もない。俺から頼んだこともない。デビューを約束されたこともない」「でも、視聴者はそう思わないだろ」 響が冷静な口調で言った。「審査員は視聴者だけど、その投票だって操作できると思われる。証明する方法がない」「俺だってそう思われるのは分かってる」 颯馬は拳を握り締めた。「でも違うってちゃんと伝えたい」 言い訳を並べても意味はない。 過去は消えない。 それでも、このオーディションまで否定されるのだけは違うと思った。「俺はみんなと同じ条件でここまで来た。レッスンも審査も、特別扱いなんて一度も受けてない」「でも炎さん、お前だけ何回も部屋に呼んでただろ」 葉月の声に、颯馬はうなずいた。「ああ」 否定しない。「呼ばれたことはある」 また空気が重くなる。「でも、審査の話なんかしてない。証拠がある
颯馬と水琴が手を繋いで階段を上っていく様子はしっかりとライブ配信され、視聴者によるコメントはその夜も盛り上がっていた。【コメント欄】MofuCat_22:手つないだーーーーーー!!!!!腐女子Lv999:ぎゃあああああああAoi_0715:今日も供給ありがとうございますBL_is_life:颯馬から繋いだ!?!?!?sakura39:水琴めっちゃ嬉しそうfujoshi_mikan:営業でも何でもいい、尊いotaku_1988:毎日イチャイチャしてて助かるsnow_rabbit:耳元で何か言った?nekoneko_55:「営業」って言ったっぽいwww腐海の民:照れ隠しordinary_man:いや、友達同士でも手くらい繋ぐことあるだろKazu1984:いや、ねーよwsoccer_11:小さい頃ならあるhiro_777:肩組むなら分かるけど手はないかなTomo_JP:俺男だけど友達と手繋いだこと一回もないRiku_25:仲良い友達でも肩組むまでだなBL_is_life:恋人だから繋ぐんだよ(真顔)ordinary_man:営業だからろwMofuCat_22:営業って言いながら毎日距離縮まってるの最高user_8fa91c:え?ちょっと待ってKotaX_00:ヤバいRin_Rin77:X見てordinary_man:なんかあった?news_fast24:炎と颯馬のプライベート写真流出Aki_1103:は???JP_trend_bot:「緋崎炎」がトレンド1位soccer_11:え、ガチ?Yuki_sub02:颯馬との写真流出してるKazu1984:昔の写真?news_fast24:同棲時代らしいRin_Rin77:LINEスクショまで流れてるTomo_JP:嘘だろMofuCat_22:え、え、え???movie_clip_88:過去配信の切り抜きも出てるAki_1103:炎が颯馬だけ私室に呼んでるシーンまとめられてるKotaX_00:しかも2回hiro_777:今の合宿の映像じゃんordinary_man:これ出来レース疑われても仕方なくないか…JP_trend_bot:「炎プロジェクト」が急上昇2位news_fast24:『炎が元恋人をデビューさせるためのオーディション』って拡散され始
脱衣所の扉の前でイッセイは振り返り、少し照れたように笑った。「じゃあ、おやすみ」「おやすみ」 水琴も笑顔で返す。 イッセイは軽く手を振ると、そのまま扉の外へ出ていった。 扉が閉まると、水琴はようやく肩の力を抜く。 胸につかえていたものが、少しだけ軽くなった気がした。「ちゃんと話せてよかったな」 隣で颯馬が言う。「うん」 水琴は頷いた。「ちゃんと謝れてよかった」「イッセイもわかってくれたみたいだしな」 イッセイの足音が遠ざかっていく。 二人だけになった空間は、不思議なくらい静かだった。 しばらく無言で見つめ合っていると、ふいに颯馬が一歩近づいた。 その表情はどこか照れくさそうで、それでも嬉しさを隠しきれていない。「……よかった」 ぽつりとこぼれた声は、水琴に向けたというより、自分自身に言い聞かせるようだった。 次の瞬間、ふわりと体が温もりに包まれる。 颯馬が水琴を抱きしめていた。 驚くより先に、胸がいっぱいになる。 背中に回された腕は力任せではなく、壊れ物を抱えるように優しい。 水琴もゆっくりと腕を伸ばし、颯馬の背中へ回した。「心配かけて、ごめんな」 肩口へ小さくつぶやく。「マジで心配した」 そう返しながらも、責めるような響きは少しもない。「でも、もう終わった」 その一言に、水琴は目を閉じる。 少しだけ名残を惜しむように腕がほどける。 目が合うと、どちらからともなく笑ってしまう。「……行こか」「うん」 二人は並んで脱衣所を後にした。 廊下には、夜らしい静けさが広がっていた。 その時だった。 不意に右手が温かいものに包まれる。「……え?」 思わず足が
夕食と入浴を終え、消灯まであと一時間ほど。 候補生たちは思い思いにリビングでくつろいだり、寝室でスマホを見たりしていた。 颯馬はベッドに横になり、課題曲の振り付け動画を専用スマホで確認していた。 すると、カーテン越しに小さく声がする。「颯馬くん」 水琴の声だった。「入ってええ?」「うん」 カーテンが少し開き、水琴がするりと中へ入ってくる。 颯馬は起き上がってシーツの上に胡坐をかいた。 一人用ベッドの上の狭い空間に、二人きり。 寝室の中にも配信用のカメラはあって24時間回り続けているし、他のルームメイトだっている。 だけど、カーテンの内側は誰にも見えない空間だ。 互いの気持ちを確認し合った後だからだろうか。颯馬はなんだか緊張してしまう。 水琴はカーテンをきっちりと隙間なく閉めると、颯馬に向き直る。「話したいことがあるんやけど」「どうした?」 水琴は周囲を気にするように一度カーテンに目を向け、それから颯馬に身を寄せてくる。&nb
あの夜のことは、忘れられない。 高層階の窓の向こうに、東京の夜景が広がっていた。ガラスに映る光が、まるで星みたいに揺れていたのを覚えている。 背後から、低く甘い声がした。「颯馬、俺のこと好きなんだろ?」 振り向くより早く、腕を引かれた。 体が触れる距離に引き寄せられて、息がかかるほど近い。「……ねえ、俺を抱いてみない?」 その言葉が、冗談じゃないことくらい、わかっていた。 細い指が、俺の顎に触れる。逃げる理由なんて、どこにもなかった。 憧れて、焦がれて、やっと手に届いた人だったから。 ――あの夜、俺は初めて、炎さんを抱いた。 触れた体温も、息遣いも、全部、焼
土曜日の朝。 颯馬がまだ寝ていると、ベッドの外から騒がしい声が聞こえてきた。「海行こうぜ海ーっ!!」 彼方の声だ。おかげで目が覚めてしまった。「朝から元気だなぁ……」 日和が眠そうに呟く。 颯馬がカーテンを開けると、部屋の中はすでに休日モードになっていた。そらはオレンジ色の髪を揺らしながら水着姿ではしゃいでいるし、彼方はシュノーケルを振り回している。「颯馬くん! 早く準備して!」「お前ら早すぎだろ……」 まだ頭がぼんやりしている。 その時。「おはようさん」 水琴がベッドのカーテンを開けた。 オーバーサイズのタンクトップは襟が大きく開いていて、鎖骨や胸元があらわになっ
桐生水琴は自分のベッドのカーテンをそっと閉めた。 隣のベッドからは、すでに穏やかな寝息が聞こえてくる。 成田颯馬——引き締まった筋肉質な体格で、笑うと爽やかになるその顔が、今はカーテン一枚隔てただけで眠っている。 水琴は目を閉じず、カーテンの裏側をじっと見つめていた。部屋の明かりはすでに落ち、ただ小さなナイトライトだけが淡く透けて見えている。(……ようやく、始まったな) 六年前の記憶が、静かに蘇る。 水琴の兄・桐生実嗣は、当時二十一歳だった。水琴と同じく子役から俳優業を続けていた。 水琴がまだ十五歳の頃、兄は炎プロダクションの社長・緋崎炎と恋人関係になった。 炎は中性的
颯馬が戻ると、1号室のドアは、少しだけ開いていた。 元々あの有名プロデューサー炎の別荘だというだけあって、部屋は広い。二段ベッドを三台入れてもまだ余裕がある。ベッドの横には人数分の簡易クローゼットも設置されていた。 室内では、すでに三人が荷物を広げていた。 笑い声と、どこか浮ついた空気。合宿初日特有の、独特な高揚感。「ただいま」 颯馬が声をかけると、すぐに反応が返ってきた。「颯馬くん、おかえり!」 オレンジ色の髪を揺らして、そらが駆け寄ってくる。 近い。距離感がやたらと近い。 つぶらな瞳で見上げられて、颯馬は思わず視線を逸らしそうになった。「同じ部屋だね! こ