登入「なあ、俺とBL営業せえへん?」 動画サイトで24時間生配信される、離島のボーイズグループ最終選考合宿。 カメラに囲まれた閉鎖空間で、候補生14人は30日間の共同生活を送る。 颯馬は、元子役俳優の美形候補生・水琴から、BL営業をしないかと誘われた。 視聴者人気を稼ぐため、恋人同士のように振る舞う二人。 だが、水琴には誰にも言えない“復讐”という目的があった。 一方、颯馬もプロデューサーとの過去の関係に未練があり…。 嘘の恋人役のはずだった。 なのに、心に傷を負った二人の本音は、触れ合うたびに揺らぎ始める。 これは、24時間監視される離島で始まる、 “演出”から始まった真実の愛の物語。 #微エロ #執着 #芸能界 #ケミ
查看更多その日一日のレッスンと夕食を終え、それぞれがリビングで重い空気のまま過ごしていた頃だった。 候補生全員の貸与スマートフォンに、一斉に通知が届く。『至急、全候補生はリビングに集合してください』 差出人は炎プロジェクト運営事務局だった。 数分も経たないうちに十四人全員がリビングに集まり、スタッフも壁際に並ぶ。 代表スタッフが前に出た。「これから社長による緊急生配信が始まります。候補生の皆さんも、最後まで視聴してください」 テレビの画面が切り替わる。 午後八時。 炎プロダクション公式チャンネルの緊急生配信が始まった。 黒いスーツ姿の炎が、白い背景の前に一人で立っている。「こんばんは。炎プロダクション代表の緋崎炎です」 リビングでは誰も声を発さない。 颯馬も、水琴も、テレビから目を離せなかった。「まず初めに、今回の件で多くの皆様にご心配、ご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします」 炎は深く頭を下げる。 長い沈黙のあと、ゆっくりと顔を上げた。「現在、わたくしと候補生の一人である成田颯馬との関係、そしてオーディションの公平性について、多くのご意見をいただいています」「現在で回っている写真については事実です。過去に交際していたことも否定はしません。ですが、このオーディションの結果をわたくし個人が決めることはできません」 画面のコメント欄は激しく流れ続ける。『証拠は?』『出来レースじゃないって言える?』『一次審査も私情で合格させたんじゃないの?』 炎は淡々と続けた。「今日は、その理由を皆様にご説明します」 背後のスクリーンに「炎プロジェクト最終審査・投票方法」の文字が映し出された。「この最終審査方式は、炎上以前から決定していたものです。今回の件を受けて変更した内容ではありません」 画面が切り替わる。『炎プロジェクト最終審査ライブ』
「全部、俺のスマホに入ってた写真だ。秘密だったから、誰にも送ったことないのに、なんで……」 一瞬、部屋が静まり返る。 響がゆっくりと尋ねた。「そのスマホって、今どこにある?」「合宿初日に回収されただろ」 颯馬は答える。「私物のスマホはみんなと同じでスタッフに預けたままだ」 その瞬間、リビングにいたスタッフの一人が表情を変えた。「確認します」 そう言い残すと、二人のスタッフが足早に部屋を飛び出していく。 候補生たちも思わず立ち上がり、その背中を見送った。 数分後。 スタッフたちが戻ってきた。「スマートフォンは……ありました」 安堵しかけた空気を、その続きが打ち消す。「保管場所は荒らされた形跡はありません」 颯馬は顔を上げる。「保管場所って?」「ここの一階のスタッフ専用室です」 スタッフが答える。「クローゼットの奥に全員分を保管していました」「鍵は?」 響の問いに、スタッフは言葉を詰まらせた。「……掛けていませんでした」 その場の誰もが息をのむ。「スタッフしか入れない部屋じゃなかったんですか?」 凱が低い声で尋ねる。「立ち入りは禁止していましたが……物理的に入れないようにはなっていません」 つまり、部屋に入りさえすれば、誰でもスマートフォンを取り出せたということだ。 彼方が小さくつぶやく。「じゃあ……」 その先を、誰も続けようとしなかった。 答えは、あまりにも残酷だったからだ。 この合宿所の中にいる誰かが、スタッフルームに無断で入り、颯馬のスマートフォンから写真を持ち出し、外部に流出させた。 犯人は、外にはいない。 約二十日間、寝食を共にしてきた仲間か、あるいはスタッフの中にいるということだ。 やが
誰もがテレビを見つめたまま動けずにいた。 画面には、『炎プロジェクト 出来レース疑惑!?』というテロップが映し出され、過去の特番映像まで流されている。 ゆっくりと立ち上がった颯馬に、全員の視線が集まる。 もちろん、その様子も二十四時間配信のカメラが映している。「颯馬……」 誰かが不安そうに名前を呼んだ。 隣を見ると、水琴が静かにこちらを見つめていた。いつもの余裕は消え、心配そうな表情だった。 颯馬は小さくうなずき、口を開く。「……写真もLINEも本物だ」 室内の空気が張り詰める。「昔、炎さんと付き合ってた。それも事実だよ。今は違うけど」 誰も口を挟まない。 重苦しい沈黙を破ったのは龍也だった。「じゃあ、やっぱり最初から決まってたってことか? このオーディション、颯馬をデビューさせるために」「違う」 颯馬は即座に首を振る。「炎さんが俺を合格させるなんて言ったことは一度もない。俺から頼んだこともない。デビューを約束されたこともない」「でも、視聴者はそう思わないだろ」 響が冷静な口調で言った。「審査員は視聴者だけど、その投票だって操作できると思われる。証明する方法がない」「俺だってそう思われるのは分かってる」 颯馬は拳を握り締めた。「でも違うってちゃんと伝えたい」 言い訳を並べても意味はない。 過去は消えない。 それでも、このオーディションまで否定されるのだけは違うと思った。「俺はみんなと同じ条件でここまで来た。レッスンも審査も、特別扱いなんて一度も受けてない」「でも炎さん、お前だけ何回も部屋に呼んでただろ」 葉月の声に、颯馬はうなずいた。「ああ」 否定しない。「呼ばれたことはある」 また空気が重くなる。「でも、審査の話なんかしてない。証拠がある
颯馬と水琴が手を繋いで階段を上っていく様子はしっかりとライブ配信され、視聴者によるコメントはその夜も盛り上がっていた。【コメント欄】MofuCat_22:手つないだーーーーーー!!!!!腐女子Lv999:ぎゃあああああああAoi_0715:今日も供給ありがとうございますBL_is_life:颯馬から繋いだ!?!?!?sakura39:水琴めっちゃ嬉しそうfujoshi_mikan:営業でも何でもいい、尊いotaku_1988:毎日イチャイチャしてて助かるsnow_rabbit:耳元で何か言った?nekoneko_55:「営業」って言ったっぽいwww腐海の民:照れ隠しordinary_man:いや、友達同士でも手くらい繋ぐことあるだろKazu1984:いや、ねーよwsoccer_11:小さい頃ならあるhiro_777:肩組むなら分かるけど手はないかなTomo_JP:俺男だけど友達と手繋いだこと一回もないRiku_25:仲良い友達でも肩組むまでだなBL_is_life:恋人だから繋ぐんだよ(真顔)ordinary_man:営業だからろwMofuCat_22:営業って言いながら毎日距離縮まってるの最高user_8fa91c:え?ちょっと待ってKotaX_00:ヤバいRin_Rin77:X見てordinary_man:なんかあった?news_fast24:炎と颯馬のプライベート写真流出Aki_1103:は???JP_trend_bot:「緋崎炎」がトレンド1位soccer_11:え、ガチ?Yuki_sub02:颯馬との写真流出してるKazu1984:昔の写真?news_fast24:同棲時代らしいRin_Rin77:LINEスクショまで流れてるTomo_JP:嘘だろMofuCat_22:え、え、え???movie_clip_88:過去配信の切り抜きも出てるAki_1103:炎が颯馬だけ私室に呼んでるシーンまとめられてるKotaX_00:しかも2回hiro_777:今の合宿の映像じゃんordinary_man:これ出来レース疑われても仕方なくないか…JP_trend_bot:「炎プロジェクト」が急上昇2位news_fast24:『炎が元恋人をデビューさせるためのオーディション』って拡散され始
土曜日の朝。 颯馬がまだ寝ていると、ベッドの外から騒がしい声が聞こえてきた。「海行こうぜ海ーっ!!」 彼方の声だ。おかげで目が覚めてしまった。「朝から元気だなぁ……」 日和が眠そうに呟く。 颯馬がカーテンを開けると、部屋の中はすでに休日モードになっていた。そらはオレンジ色の髪を揺らしながら水着姿ではしゃいでいるし、彼方はシュノーケルを振り回している。「颯馬くん! 早く準備して!」「お前ら早すぎだろ……」 まだ頭がぼんやりしている。 その時。「おはようさん」 水琴がベッドのカーテンを開けた。 オーバーサイズのタンクトップは襟が大きく開いていて、鎖骨や胸元があらわになっ
昼食を終えた後、メンバーたちは再びスタジオへ集められた。 鏡張りの広い部屋。冷房は効いているのに、どこか空気が張り詰めている。「ここからはユニットごとに分かれて練習してください」 スタッフがそう告げると、自然と二つのグループに分かれていった。 颯馬は、自分とは別ユニットになったそらと目が合う。 そらは少しだけ寂しそうに笑った。「颯馬くん」「ん?」「ユニット離れちゃったね」
合宿三日目の朝。 沖縄の強い陽射しが、ダイニングの大きな窓から差し込んでいた。「はい、今日は掃除当番決めるからなー!」 瞬多がホワイトボード片手に声を張る。 朝食を食べ終えたメンバーたちは、リビングに集められていた。「はあ? 掃除なんて面倒くせーことやりたくねえし」 龍也が短く刈り上げた金髪の後頭部を掻きながら、不満そうに唇を尖らせる。 それを嗜めるような声音で、瞬多が説明する。「せやけど、この合宿所には掃除してくれるスタッフはいてへんやん。寝室は各自でやればええけど、お風呂やトイレなんかの共用スペースは誰がやるか決めなあかんやろ?」 そこで一旦言葉を区切り、目線で響やミ
画面に映るのは、沖縄の離島にある豪華な合宿所のリビング。夜8時を少し回った頃だった。 この『炎プロジェクト』は、予選からテレビの深夜番組でまとめ放送されていたため、すでに一定のファンがついていた。最終選考の離島合宿が24時間生配信されるようになってからは、特に若い女性層の視聴者が急増している。 現在の同接数は約8,200人。コメント欄がほどよい速度で流れ続けていた。 大きなL字型ソファーの中央に、成田颯馬と桐生水琴の姿がはっきりと映し出されている。水琴が颯馬の肩に軽くもたれかかり、ピンクがかった金髪が颯馬の黒いTシャツに触れていた。【コメ