All Chapters of 24時間生配信の離島軟禁オーディションで、BL演出をやってみた結果: Chapter 81 - Chapter 90

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第81話 島を出る朝

 翌朝、ダイニングのテーブルには、いつもと同じように十四人分の朝食が並んでいた。 焼きたてのパンに卵料理、サラダとスープ、ヨーグルト。毎朝シェフが用意してくれた見慣れた献立なのに、今日は食べ終わった皿を下げれば、ここで次の食事をすることはもうない。「なんか最後って思うと寂しいな」 彼方がパンをちぎりながらダイニングを見回した。「昨日から何回『最後』言うてんねん」 瞬多が笑う。「だって最後じゃん。最後の夕飯、最後の夜、最後の朝飯」「このあと最後の掃除もあるで」「それは別に名残惜しくない」「掃除にも愛着持ったれや」 二人のやり取りに笑いが起こる。 颯馬もスープを飲みながら周囲を見渡した。 眠そうな顔で朝食を口へ運んでいる龍也も、今日の那覇観光について葉月と話しているそらも、食後の予定を確認している響も、すっかり見慣れた朝の風景の一部になっている。 初日は十四人が同じテーブルに座っているだけでも落ち着かなかった。 今では、誰がどの席に座りたがるのかまで分かる。「颯馬くん、それ食べへんの?」 隣から水琴が皿を覗き込んだ。「食べるよ」「ずっと残っとるからいらんのかと思った」「最後に食べようと思ってた」「子供みたい」「好きなもの最後に残す人、普通にいるだろ」「ほな取らんといたる」「取ろうとしてたの?」 水琴は知らん顔をして自分の朝食に戻った。 こんなやり取りも、カメラの前で交わすことにすっかり慣れてしまった。 朝食後は、いつも通り全員で合宿所の掃除をした。 自分たちが使った寝室からリビング、キッチン、レッスン室、トレーニングルームまで手分けして片付ける。 颯馬と水琴は大浴場に向かった。「結局、最後もここやな」 水琴がデッキブラシを持ちながら笑う。「最初よりだいぶ手際よくなったよな」「そら何回やったと思ってんねん」 颯馬がシャワーで泡を流し、水琴が残った水滴をワイパーで排水口まで集めていく。 磨いた鏡には二人の姿が並んで映っていた。 掃除を終え、道具を片付けて浴場から出る前に、颯馬は一度だけ振り返った。「もうここで掃除することもないんだな」「それはちょっと嬉しい」「さっき愛着ありそうなこと言ってたじゃん」「思い出と掃除は別や」 水琴が先に出ていく。 颯馬も笑いながら後を追った。 一時間後には、荷
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第82話 那覇到着

 バスが走り出す。 窓の外を、見慣れた海と木々が流れていった。「ばいばーい!」 そらが窓に手を振る。「誰に振ってんだよ」 龍也が笑う。「島」「でかすぎるだろ」 十五分ほど走り、バスは集落の船着き場に到着した。 ここから船で那覇へ移動する。 キャリーケースを預け、候補生たちは次々と船に乗り込んだ。 エンジンが動き始めると、船体に細かな振動が伝わってくる。 岸との間に少しずつ青い水面が広がり、やがて島そのものが遠ざかっていった。 デッキに出た颯馬は手すりにつかまり、島を眺めた。「ほんまに出てもうたな」 隣に水琴が来る。「ああ」「一か月前は、早よ帰りたいって思う日もあったのに」「俺も」 颯馬は小さくなっていく島を見る。 あそこで水琴と出会った。 正確には予選の時から顔は知っていたが、今のような関係になるとは考えたこともなかった。 水琴から突然、BL営業を持ちかけられたこと。 カメラの前で恋人のふりを始めたこと。 イッセイとの関係を知り、嫉妬して、炎との過去を知られて―――いろいろあったけど、最後には本当に好きになった。 島が小さくなっていくほど、その一つひとつがもう過ぎた出来事なのだと実感する。「東京戻っても」 水琴が小声で言う。「終わりやないからな」「分かってる」 颯馬は水琴を見る。「絶対、二人とも合格しよう」「うん」 水琴の笑顔を見るだけで、伝えたいことは十分に分かった。--------- 那覇に到着すると、雰囲気が離島とは一気に変わった。 船着き場には観光客が行き交い、道路には車が絶え間なく流れている。店の看板、人の話し声、信号機の電子音まで、一か月近く静かな島で暮らしていた颯馬には妙に騒がしく感じられた。「人多っ!」 彼方が目を丸くする。「那覇でそれ言ってたら東京戻れないよ」 まひろが笑う。「コンビニある!」 そらが指差す。「文明に感動すんな、原始人か!」 龍也が呆れていた。 ホテルに到着すると、まだチェックインには早いため、フロントに全員分の荷物を預ける。 身軽になったところで、スタッフがロビーに候補生たちを集めた。「ここから夜までは自由行動です」 その言葉に、何人かの表情が明るくなる。「ただし、完全に撮影がなくなるわけではありません。カメラマンが数名同行します」
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第83話 那覇観光

  水琴に促され、颯馬がホテルの自動ドアを抜けようとした時だった。 「颯馬くん、水琴くん!」  背後から明るい声が飛んできた。  振り返ると、そらが小走りで近づいてくる。その後ろには葉月もいた。 「二人は、どこに行くの?」 「国際通り。買い物しようかなって」  颯馬が答えると、そらの顔がぱっと明るくなった。 「俺たちも行く!」 「え」  思わず声が出た。  隣を見ると、水琴も笑顔のまま固まっている。 「ちょうど俺とそらも国際通り行こうって話してたんだよね。四人で回ろうよ」  葉月まで乗り気だった。  颯馬は水琴と目を合わせる。  もともとは二人で買い物をする約束だった。 恋人になってから初めて、街中を二人で歩けると思っていたのだが、そらと葉月は当然そんな事情を知らない。 ここで二人きりになりたいと言えば、きっと理由を聞かれるだろう。 「……ええよ」  水琴が笑顔を作った。 「四人で行こか」「やった!」  そらが喜ぶ横で、颯馬は水琴にだけ聞こえる声で囁く。 「ごめん」「颯馬くんが謝ることちゃうやろ」  口元は笑っているものの、残念そうなのは颯馬にも分かった。 水琴が楽しみにしていたのを知っているだけに、自分
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第84話 二人きりのデート

 アメリカンビレッジを歩き始めて一時間ほど経った頃、そらはある雑貨店の前で足を止めた。 「俺、ここ見たい!」「俺も。さっき買えなかったお土産探したい」  店内を覗いた葉月も乗り気になる。 颯馬は隣の水琴を見た。 目が合っただけですぐに、何を考えているのか分かった。 「じゃあ、ここから別行動にする?」  颯馬が提案すると、そらが振り返った。 「二人はどこ行くの?」「俺たちも買い物。他に見たい店あるから」「あとで合流する?」「ホテル戻る時間もあるし、そのままでええんちゃう?」  水琴が自然に答える。 そらは特に疑う様子もなく、「じゃあまたホテルで!」と手を振った。 葉月もすでに店の商品に気を取られている。 二人と別れてしばらく歩いてから、水琴が後ろを確認した。 「……行ったな」「行った」「やっと二人きりやな」  途端に声が弾んだ。 「そんなに嫌だった?」「そらくんと葉月くんと一緒なんは楽しかったで。でも、それとこれとは別やろ」  水琴が颯馬の隣に並ぶ。 「今日、ずっと楽しみにしとったもん」  そう言われると、颯馬まで嬉しくなる。 合宿所では毎日顔を合わせていた。風呂掃除の時間など、二人きりになる機会だって何度もあった。誰にも見られない場所で抱き合ったこともある。 それでも、恋人になってから二人だけで街を歩くのは初めてだった。 「じゃあ、どこ行く?」「颯馬くんと二人な
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第85話 カメラのない夜

 夕方、ホテルのロビーに戻ると、すでにほとんどの候補生が集合していた。 昼間まで観光客で混み合っていた国際通りも、日が傾くにつれて看板の明かりが目立ち始めている。 自動ドアが開くたび、車の走行音や人の話し声と一緒に、昼間の熱を残した空気がロビーに流れ込んできた。 「おかえりー!」  ソファに座っていた彼方が、颯馬と水琴を見つけて手を振る。 「そらと葉月は?」「あそこ」  彼方が指した先では、そらが今日撮影した映像を葉月と一緒に確認していた。 颯馬は水琴と並んでロビーの奥へ進む。 水琴の手首には、今日買った青い石のブレスレットがある。 それが視界に入るたび、店で「似合う」と言った時の水琴の顔まで一緒に浮かんできた。 「颯馬くん」「ん?」「顔、ちょっとニヤけとるで」「おまえのせいだろ」「俺?」  水琴は何も知らないような顔をしたあと、すぐに嬉しそうに笑った。 「ほな、ええわ」  颯馬が何か返すより先に、スタッフから集合の声が掛かった。 ロビーの一角に十四人が集まる。 「全員揃ってますね。これから部屋の鍵を渡します。今回はツインを七部屋取ってあります。二人で一部屋なので、今から部屋番号と組み合わせをお知らせします」  スタッフが紙を読み上げる。 「八〇一号室、颯馬君、龍也君」「はい」「八〇二号室、水琴君、葉月君」「はい」「八〇三号室、響君、日和君。八〇四号室、瞬多君、凱君。八〇五号室、カゲトラ君、ミンソク君。八〇六号室、まひろ君、彼方君。八〇七号室、そら君、イッセイ君」
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第86話 同じこと考えてた

 ステーキハウスからホテルに戻ったのは、午後八時を少し過ぎた頃だった。 ロビーで明日の予定を確認してから解散し、十四人はそれぞれの部屋に戻る。 翌日は朝から全員で首里城を見学し、そのまま空港に向かう予定なので、荷物は今夜のうちにある程度まとめておくようスタッフから言われていた。 颯馬も龍也と八〇一号室に戻り、買ったものをキャリーケースに入れていると、龍也のスマートフォンが鳴った。 「瞬多からだ」「何て?」「八〇四でトランプやるから来いって」  龍也はベッドに座ったまま返信を打ち始めた。 「颯馬も行くよな?」「俺はいいや。今日は結構歩いたし、疲れたからもう寝る」「もう寝んのか? まだ八時半だけど」「明日も朝早いじゃん」「じじいかよ」「うるせー、まだ二十歳だよ」  龍也は笑いながら立ち上がった。 「じゃ、俺行ってくるわ」「うん。おやすみ」「まだ寝ねぇけどな」  カードキーを持った龍也が部屋を出ていく。 ドアが閉まる。 颯馬は数秒、そのまま動かなかった。 廊下から遠ざかっていく足音を聞きながら、ポケットからスマートフォンを取り出す。 一人になった。 しかも龍也は、しばらく戻ってこないだろう。 水琴を呼べる。 そう思っただけで、さっきまで感じていた疲れが急にどうでもよくなった。 メッセージ画面を開く。 『龍也が804にトランプしに行った』  そこまで入力したところで、着信を知らせる表示が現れた。 水琴だった。 『葉月くん、804にトランプしに行った』「
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第87話 二人だけの部屋で

 ドアが閉まった瞬間、部屋の空気が変わった。 合宿所にいた頃のように、スタッフの足音も、他の候補生の声も聞こえない。ただ、空調の低い駆動音と、遠くを走る車の音だけが窓の外から届いていた。 水琴の部屋は、八〇一号室とほとんど同じ造りだった。二台のベッド、小さなテーブルと椅子、窓から見える那覇の夜景。 違っているのは、ソファーの上に水琴の荷物が広げられていることと、空気の中にわずかに漂う、水琴の香水の匂いだけだった。 水琴が部屋の中央で立ち止まり、少し照れたように笑う。 「なんか急に緊張してきた」「俺も」  颯馬も正直に答えた。 水琴が少し固い動きで、ベッドの端に腰を下ろす。 颯馬も向かいのベッドに座ろうとして、途中でやめた。 そのまま水琴の隣に座る。 マットレスがわずかに沈み、肩が触れそうな距離になった。 「葉月くん、いつ戻ってくるか分からへんしな」「龍也も」「せやから、今のうちや」  水琴がこちらを見る。目が少し潤んでいるように見えたのは、室内灯の反射のせいだろうか。 「颯馬くん」「ん?」「今日、めっちゃ楽しかった」「俺も」「四人の時も楽しかったけど……二人きりの時が、一番やった」  そう言ってから、水琴は少し間を置いた。 「正直、夜になったらもっとくっつきたいって、ずっと思ってた」  その言葉に、胸の奥が熱くなる。 颯馬は水琴の手を取った。 昼間、ベンチで小指だけを絡めた時より、はっきりと体温が分かる。 水琴の指が、すぐに応えるように絡みついてきた。 「俺も、同じこと考えてた」
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第88話 やっと一つになれる

 明かりを落とした部屋に、街の灯だけが淡く差し込んでいた。 交代でシャワーを浴びた後、二人は備え付けのバスタオルを腰に巻いただけの姿で抱きしめ合った。 颯馬の指が水琴の肌の上をゆっくりと辿ると、水琴は小さく身をよじり、喉の奥で甘い吐息を漏らした。 「……くすぐったい」「ごめん」「謝らんといて。……気持ちええから」  水琴が身をよじり、目を細めて笑う。 その笑顔を見て、颯馬は顔を寄せキスをした。 舌が絡み、甘い唾液が混じり合う。 水琴の脚が自然と開き、颯馬の腰を挟むようにして引き寄せてきた。 下半身が密着した瞬間、互いの熱と硬さがはっきりと伝わってくる。 水琴が小さく身を震わせる。 颯馬は水琴を仰向けに押し倒し、その上から覆い被さるようにして、ゆっくりと唇を移動させた。 首筋から鎖骨へ、鎖骨から胸へ。 乳首に舌先で触れると、水琴の体が大きく跳ねた。 「あっ……んっ」「みー、可愛い」  颯馬は一方の乳首を舌で転がしながら、もう一方を指で優しく摘まんだ。 水琴の背中がベッドに沈み、腰が小さくくねる。甘い吐息が止めどなく溢れてくる。 しばらく胸を弄んだあと、颯馬はさらに下へと唇を滑らせた。 腹の筋肉のラインをなぞり、へそに軽くキスをする。水琴の手が颯馬の髪を緩く掴んだ。 「……そこ、くすぐったい」「我慢して」  腰に巻かれたバスタオルを外すと、すでに硬くなったものが露わになる。 颯馬はそれを見つめた後、一度水琴の目を見た。 「触るよ」「……うん」  五本の指で優しく包み込む。 熱く、脈打つ感触が手のひらに直接伝わってきた。
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第89話 沖縄をあとにして

 翌朝、颯馬が目を覚ました時には、カーテンの隙間から差し込んだ朝日がホテルの壁を細長く照らしていた。 昨夜は八〇二号室で水琴と過ごしたあと、龍也が戻ってくる前に自分の部屋へに戻っていた。 ほんの数時間前まで二人きりだったことを思い出すと、まだ身体のどこかに水琴の温度が残っているような気がして、颯馬は枕元のスマートフォンを手に取った。 メッセージアプリの通知が1件入っている。 『起きた?』  水琴から届いたメッセージは、十分ほど前だった。 『今起きた』  送ると、すぐに既読がつく。 『おはよ』『おはよう』『朝ごはん一緒に食べよ』『じゃあ十分後に部屋の前で』  たったそれだけのやり取りなのに、口元が緩む。 「朝から何ニヤニヤしてんだ?」  窓際のベッドから龍也の眠そうな声が飛んできた。 「してないよ」「してたじゃん」「早く起きれば。朝ごはんなくなるぞ」  話を打ち切って洗面所に入ると、背後から「怪しいな」と聞こえてきた。   ---------    朝食を済ませ、チェックアウトした一行は、貸切バスで首里城に向かった。 昨日の自由行動とは違い、今日は十四人全員での観光だった。 撮影スタッフも同行し、自撮り棒付きのカメラを渡されたそらが、バスを降りるなりレンズを自分たちに向ける。 「沖縄最終日! 今日は首里城に来てまーす!」「朝から元気やなあ」
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第90話 盗撮映像

 沖縄から東京に戻って数日が経った。 炎プロダクション社内のダンススタジオでは、最終審査に向けた調整が続いていた。 島での合宿が終わっても、七人ずつに分かれた二つのユニットで練習する形は変わらない。 ただ、炎のライブ会場で披露する本番が目前まで迫ったことで、レッスンの密度は以前より高くなっていた。 颯馬たちのユニットは、今日はハードヒップホップ調の課題曲を繰り返していた。 スピーカーから響く重低音に合わせて七人の靴底が床を蹴る。 空調が効いているはずなのに、Tシャツは背中に張りつき、前髪から落ちた汗が目尻に染みた。 「もう一回、二番の頭からお願いします」  颯馬が声を掛けたところで、スタジオのドアが開いた。 スタッフの一人が顔を出す。 「颯馬くん、水琴くん。ちょっといい?」  颯馬は水琴と目を合わせる。 「はい、なんですか?」「炎さんが二人を呼んでる。社長室に来てほしいって」  颯馬はタオルで汗を拭った。 この時期に二人揃って呼び出される理由が思いつかない。 「分かりました」  練習をほかのメンバーに任せ、二人でスタジオを出た。 廊下を歩きながら、水琴が声を潜める。 「なんやろな」「分かんない」  社長室の前まで来ると、颯馬がドアをノックした。 「どうぞ」  中から炎の声が返ってくる。 「失礼します」  二人で入る。 デスクの向こうに座っていた炎は、いつもの余裕のある表情をしていなかった。
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