翌朝、ダイニングのテーブルには、いつもと同じように十四人分の朝食が並んでいた。 焼きたてのパンに卵料理、サラダとスープ、ヨーグルト。毎朝シェフが用意してくれた見慣れた献立なのに、今日は食べ終わった皿を下げれば、ここで次の食事をすることはもうない。「なんか最後って思うと寂しいな」 彼方がパンをちぎりながらダイニングを見回した。「昨日から何回『最後』言うてんねん」 瞬多が笑う。「だって最後じゃん。最後の夕飯、最後の夜、最後の朝飯」「このあと最後の掃除もあるで」「それは別に名残惜しくない」「掃除にも愛着持ったれや」 二人のやり取りに笑いが起こる。 颯馬もスープを飲みながら周囲を見渡した。 眠そうな顔で朝食を口へ運んでいる龍也も、今日の那覇観光について葉月と話しているそらも、食後の予定を確認している響も、すっかり見慣れた朝の風景の一部になっている。 初日は十四人が同じテーブルに座っているだけでも落ち着かなかった。 今では、誰がどの席に座りたがるのかまで分かる。「颯馬くん、それ食べへんの?」 隣から水琴が皿を覗き込んだ。「食べるよ」「ずっと残っとるからいらんのかと思った」「最後に食べようと思ってた」「子供みたい」「好きなもの最後に残す人、普通にいるだろ」「ほな取らんといたる」「取ろうとしてたの?」 水琴は知らん顔をして自分の朝食に戻った。 こんなやり取りも、カメラの前で交わすことにすっかり慣れてしまった。 朝食後は、いつも通り全員で合宿所の掃除をした。 自分たちが使った寝室からリビング、キッチン、レッスン室、トレーニングルームまで手分けして片付ける。 颯馬と水琴は大浴場に向かった。「結局、最後もここやな」 水琴がデッキブラシを持ちながら笑う。「最初よりだいぶ手際よくなったよな」「そら何回やったと思ってんねん」 颯馬がシャワーで泡を流し、水琴が残った水滴をワイパーで排水口まで集めていく。 磨いた鏡には二人の姿が並んで映っていた。 掃除を終え、道具を片付けて浴場から出る前に、颯馬は一度だけ振り返った。「もうここで掃除することもないんだな」「それはちょっと嬉しい」「さっき愛着ありそうなこと言ってたじゃん」「思い出と掃除は別や」 水琴が先に出ていく。 颯馬も笑いながら後を追った。 一時間後には、荷
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