※ ※ ※ 翌日、十二月二十四日。クリスマスイブ。 二人で協力して残りの荷物を片付け、ようやく部屋が落ち着いた頃には、外の空気がうっすらと夕闇を帯び始めていた。 夕方前ということもあり、まだ陽の光は残っているものの、窓の外には師走独特の冷たい静けさが漂っている。冷蔵庫の中では、玲が事前に予約し、届いていたクリスマスケーキが二人で囲む夜を待つようにひっそりと冷やされていた。「お腹空いたね。あ、引っ越し蕎麦、俺が作るよ」 玲がキッチンに立ち、手際よく準備を進め始める。トントンと包丁の心地よい音が響くその背中に、渚は照れくさそうに声をかけた。「ねえ……明日から、毎朝お弁当作ろうか?」「本当? 嬉しいな」 玲は心底嬉しそうに振り返り、口元を緩めた。自分が作るお弁当を彼が食べてくれるのだと思うと、渚の胸の奥もじんわりと温かくなる。「あっ。明日、出勤ついでにスーツをクリーニングに出したいんだ。忘れないために玄関に置いておいてもらえる?」「うん、いいよ」「紺色のジャケットのやつ」「おっけー」 渚は「ちょっと持ってくるね」と言ってキッチンを離れ、ウォークインクローゼットへ向かった。 ポケットに何も入っていないか確かめようと、渚は上着のポケットへ滑らせるように手を差し入れた。 指先に、小さく固い感触が触れた。 ゆっくりと、つまみ出してみると、それは鈍く光る、女物のピアスの片方だった。 息が止まる。見覚えがあった。以前、玲の鞄から出てきて、密かに自分が捨てたはずのデザインとまったく同じものだった。(なんで……? もう片方は、確かに捨てたのに) どうして、また同じものがここに入っているのだろう。 渚が手にしているジャケットが、体調を崩して病院へ行くと言っていた日に羽織っていたものだったことを渚は思い出す。 そっと、ジャケットの袖に鼻先を近付ける――あの夜は生乾きの臭いと香水が混ざっていたが、時間が経ったせいか、今はもう匂いが消えていた。(誰の
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